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マンションの売却相場ってどのくらい?地域別の相場と調べ方を解説

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • マンション売却に適したタイミングを見極めるには相場、引っ越しシーズン、築年数をチェックする
  • 全国的に中古マンションは上昇傾向にあり、中古マンション市場は引き続き上昇していくことが見込まれる

近年、マンション価格は上昇傾向が継続しており、「売りどき」が続いています。マンションを高く売るなら、相場が上昇中のタイミングで売却することが望ましいです。

中古マンションは公的な機関でも平均価格の情報が開示されており、自分でも無料で調べることができます。中古マンションの相場はどれくらいで、調べ方にはどのようなものがあるのでしょうか。

この記事では、マンション売却の相場や調べ方について解説します。

マンションの売却に適したタイミングとは?

マンション売却に適したタイミングを見極めるには、主に以下の3つの視点があります。

  • 相場
  • 引っ越しシーズン
  • 築年数

1つ目の「相場」に関しては、市場価格が上昇傾向にあるときは相場が上がり、売りどきといえます。市場価格が上昇するのは、強い購入需要があるためです。多くの人が購入する状況であれば、マンションは売りやすいといえます。

2つ目の「引っ越しシーズン」は取引件数が伸びるため、売りどきです。取引件数は、毎年「2~3月」または「9月」に伸びる傾向があります。これらの時期を狙って売ると、比較的早く売れる可能性が高いです。

3つ目は「築年数」です。築年数の売りどきに関してはさまざまな考え方があるため、一概に正解はありません。

マンションは築年数が経過するほど価格が下がるため、「値段」だけを考えれば極力築年数が浅いうちに売った方が良いです。
しかしながら、築年数が浅い時期は住宅ローンの返済が進んでおらず、あまり早すぎる段階で売ると「手取り」の面で損をします。

マンションは、築20~25年以内であれば、比較的まだ売却しやすい状況が保てます。また、この時期になっていると、住宅ローン残債もかなり減っていることが多いです。そのため、売りやすさや手取りも考慮すると「築20~25年以内」が売りどきという考え方もあります。

新築マンションの価格は高騰中

新築マンション価格の相場は、中古マンション市場を占う上で非常に重要な指標です。

中古マンション市場は、新築マンション市場から人が流れ込んで来る傾向があります。新築マンションは高すぎて買えないと判断した人たちが中古マンション市場に流れ込み、中古マンションの需要が強まって高く売れるという仕組みです。
そのため、新築マンション市場が高くなるほど中古マンション価格も上がっていきます。

過去10年間における全国の新築マンションの平均価格の推移を示すと、下表の通りです。

価格(万円)単価(万円/平米)
2013年4,17458
2014年4,30660.3
2015年4,61865.4
2016年4,56065.5
2017年4,73969.6
2018年4,75971.3
2019年4,78772.6
2020年4,97175.8
2021年5,11578.4

全国的に中古マンションは上昇傾向にあり、中古マンション市場は引き続き上昇していくことが見込まれます。

中古マンションの在庫は減少傾向

中古マンションの在庫は、やや減少傾向にあります。

2021年までの過去10年間における「レインズ」に物件登録されている中古マンションの数は、下表の通りです。これは売り物件として登録された全国の中古マンションの数、つまり在庫数を表したものとなります。

レインズとは、全国の不動産会社しか見ることのできないシステムです。 不動産会社は、専任媒介契約もしくは専属専任媒介契約と呼ばれる仲介の契約を締結すると一定期間内に売り物件情報をレインズに登録する義務があります。


新規登録件数(件)前年比(%)
2013年395,503
2014年441,63111.7%
2015年499,86413.2%
2016年459,054▲8.2%
2017年476,0253.7%
2018年540,83713.6%
2019年502,901▲7.0%
2020年446,131▲11.3%
2021年406,877▲8.8%

市場に売り出されている物件数が少なくなれば、供給が少なくなることで中古マンションの価格が上がるという側面はあります。

ただし、今後の市場を占うには在庫件数ではなく、実際に取引が行われた成約件数の方が重要です。成約件数が増えているということは取引が活発化しているということであり、今後も価格が伸びる可能性があると推測できます。

同じくレインズのデータで全国の中古マンションの成約件数の推移を示すと、下表の通りです。

成約件数前年比
2013年70,108
2014年67,265▲4.1%
2015年69,7423.7%
2016年72,5394.0%
2017年73,3791.2%
2018年74,0921.0%
2019年75,9682.5%
2020年71,376▲6.0%
2021年76,8247.6%

2020年は新型コロナウイルスの影響で取引件数は減りましたが、2015年以降は総じて取引件数が前年より増加している状況が続いています。
成約件数が増えていることは中古マンションの需要が増えているということであり、今後も中古マンション価格が上昇していく可能性があることを示唆しています。

引用:2022不動産統計集 (9月期改訂)3不動産流通| 公益財団法人不動産流通推進センター

不動産価格は全体的には上昇中か

不動産価格は全体的に上昇中です。

国土交通省が開示している不動産価格指数を示すと、下図のようになります。

引用:不動産価格指数 |国土交通省

2010年を基準としたグラフになりますが、不動産 の中でも特にマンションの価格は力強く上昇していることがわかります。

マンションを相場より安く売却しないようにするには?

マンションを相場より安く売却しないようにするための対処法について解説します。

囲い込みに要注意

囲い込みとは、売却の仲介を依頼した不動産会社が、他の不動産会社に買主のあっせんをさせないことです。
他社に売り物件の情報を公開せず、情報を独占するような行動であることから「囲い込み」と呼ばれています。

囲い込みは、1社にしか仲介を依頼できない専任媒介または専属専任媒介で生じる可能性があります。ただし、専任媒介や専属専任媒介では、売主が依頼した後、レインズ上で物件が他社に公開されているかを確認できる機能(取引情報確認機能)がある点が特徴です。

専任媒介や専属専任媒介で依頼した売主には、不動産会社から取引情報確認機能用のIDとパスワードを渡されます。売主は取引情報確認機能を使って情報が公開されているかを確認し、囲い込みがなされていないことをチェックするようにしましょう。

複数の会社に査定を依頼して比較

売却する前は、複数の不動産会社に査定を依頼して比較することも適切な対応です。
査定の依頼は、より高く売ってくれる不動産会社を探すための手順といえます。
査定は、事前に不動産会社の特徴やサービスを良く調べた上で依頼することが望ましいでしょう。

相場よりも高い価格設定を意識

一般的に、売り出し価格は相場よりも高い価格を設定したほうが良いと主張されることもあります。
確かに戸建てや土地に関しては値引きが大きいため、意図的に高い価格を設定して売るという方法が合理的な場合もあります。

しかしながら、マンションは値引きが少なく、査定価格のままで売れることも多いです。
マンションは戸建てや土地に比べると適正な価格が査定されやすい傾向にあるため、逆に査定価格よりも高めに売り出してしまうとなかなか売れないといったことも起こり得ます。

そのため、相場よりも高い価格設定で売り出したい場合には、不動産会社と十分に相談した上で売り出し価格を慎重に決定することをおすすめします。

マンションの売却相場を自分で調べるには?

マンションの売却相場を自分で調べる方法について解説します。

不動産情報サイトを活用する

相場を調べる場合、不動産情報サイトを活用する方法があります。
一番おすすめの方法は、自分のマンションと同じマンションの他の部屋の売り物件の価格を調べることです。

同じマンションの他の部屋が売りに出ていれば、価格を専有面積で割って単価を出しておきます。その単価を自分の物件の専有面積に乗じれば、およその価格を把握することができます。

ただし、都合よく自分のマンションの他の部屋が売りに出ていないことも多いです。
他の部屋が売りに出ていない場合には、同じ最寄り駅の物件の中で、「駅からの距離」「築年数」「専有面積」が極力近い物件を探して相場を調べます。

また、チラシの投函が許されているマンションであれば、同じマンションの売り物件のチラシが入っていることがよくあります。チラシも、相場を調べるための有益な参考資料となります。

「レインズマーケットインフォメーション」を活用する

「レインズマーケットインフォメーション」とは、国土交通大臣が指定する不動産流通機構が運営するサイトです。
レインズは不動産会社しか見ることのできないサイトですが、レインズマーケットインフォメーションは、レインズの中にある成約物件の情報を加工して一般の人向けに公開したものとなっています。

レインズマーケットインフォメーションを使えば、地域を指定し、最寄り駅や駅からの距離、専有面積、築年数を指定していくことで自分の物件と類似する物件の相場を確認することができます。

「土地総合情報システム」を活用する

「土地総合情報システム」とは、国土交通省が運営するサイトです。不動産を売買した人たちに対してアンケート調査を行い、その結果を加工して一般の人向けに公開したものとなります。

土地総合情報システムでは、地域を指定していくとその地域内の取引事例が羅列されます。レインズマーケットインフォメーションよりも条件を絞りにくく、かつ、情報量も少ないという点が特徴です。

【最新】2023年の主要都市のマンション売却相場

最新の主要都市の売却相場を紹介します。

東京のマンション売却相場

東京における2022年の中古マンションの平均価格は下表の通りです。

範囲価格(万円)単価(万円/平米)
東京都5,33390.14
都区部5,776100.32
多摩地区3,32650.16

神奈川県・埼玉県・千葉県のマンション売却相場

神奈川県および埼玉県、千葉県における2022年の中古マンションの平均価格は下表の通りです。

都道府県価格(万円)単価(万円/平米)
神奈川県3,44752.25
埼玉県2,74340.07
千葉県2,60335.56

その他主要都市のマンション売却相場

その他の主要都市における2022年12月時点における中古マンションの平均価格は下表の通りです。

主要都市価格(万円)単価(万円/平米)
札幌市2,26529.81
仙台市2,43433.54
名古屋市※2,71837.11
京都市3,29251.02
大阪市3,39154.70
神戸市2,63737.42
広島市2,42036.55
福岡市2,56039.44
※名古屋市のみ2022年10月~2022年12月の3カ月平均

引用:
首都圏不動産流通市場の動向(2022年) |公益財団法人東日本不動産流通機構
月例速報Market Watchサマリーレポート2022年12月度 |公益財団法人東日本不動産流通機構
最新3ヶ月の市況データ |公益社団法人中部圏不動産流通機構
マンスリーレポートNo.121 2023年1月号|公益財団法人近畿圏不動産流通機構
県別等レポート2022年12月 |公益財団法人近畿圏不動産流通機構

この記事のポイント

マンションの売却に適したタイミングとは?

「引っ越しシーズン」は取引件数が伸びるため、売りどきです。取引件数は、毎年「2~3月」または「9月」に伸びる傾向があります。

これらの時期を狙って売ると、比較的早く売れる可能性が高いです。

詳しくは「マンションの売却に適したタイミングとは?」をご覧ください。

マンションの売却相場を自分で調べるにはどうしたらいいですか?

不動産情報サイトや国土交通大臣が指定する不動産流通機構が運営するサイト「レインズマーケットインフォメーション」などを活用する方法があります。

レインズマーケットインフォメーションを使えば、地域を指定し、最寄り駅や駅からの距離、専有面積、築年数を指定していくことで自分の物件と類似する物件の相場を確認することができます。

詳しくは「マンションの売却相場を自分で調べるには?」をご覧ください。

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