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マンション売却時は仲介と買取どちらを選ぶ?物件の向き・不向きも紹介

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • マンション売却時に買取が向いているのは築年数が古い物件
  • マンション売却時に仲介が向いているのは築年数が浅い物件

マンションの売却を検討する場合、不動産会社に依頼して買主を探し、価格が折り合った一般の買主様に売却する「仲介」が主流ともいえますが、一般に公開せず不動産会社に直接売却する「買取」という方法もあります。

この記事では仲介と買取それぞれのメリットとデメリットや、「買取に向いている物件」と「仲介に向いている物件」について解説します。仲介・買取のどちらを選ぶか決める際のポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

マンション売却時の仲介と買取とは?

マンション売却時の仲介と買取には、どのような違いがあるのか気になるところです。実際の流れや、それぞれのメリットとデメリットについて解説していきます。

買取

住み替えを予定していて「いつまでに売却したい」と売却期限が決まっている人や、早く売却したい人には買取がおすすめです。

仲介の場合は売買契約まで3カ月以上、さらに決済までに2~4カ月を想定しなければなりませんが、買取の場合は買主が不動産会社になるため、ある程度売主の希望に合わせてもらえます。個人がローンを組んで購入するのと違い、現金化までが非常にスムーズです。

とくに住み替えの場合は売却価格がスピーディーに確定することにより、購入先の資金計画が立てやすくなります。また購入と売却のタイミングを合わせることができるので、仮住まいや住み替えローンを利用する必要がなくなります。

マンションを内見するのは、基本的に不動産会社の担当者のみです。そのため、休日に内見希望者を対応するために、スケジュールを調整する必要はありません。また、買取の場合は広告活動をしないため、周囲に売却の事実を知られる可能性が低いのもメリットです。

さらに、契約不適合責任を負わなくても良いというメリットもあります。買取であれば、例えば万が一、売却後に給排水管の故障が発見されたとしても修復義務等は生じないので、安心感がある取引になるでしょう。

デメリットは仲介に比べて売却価格(買取価格)が低くなる可能性が高いことでしょう。不動産会社はリフォームした上で再度販売することを前提としているため、その時の不動産相場や状況に応じて査定をします。事業として買取することから、個人が購入する場合に比べて購入金額はシビアになり、市況によりますが、一般的に相場価格よりも2~3割ほど安くなるケースもあります。

なお、すべての物件が買取対象になるわけではありません。立地や条件によっては買取を断られる場合もあります。

買取のメリット・デメリット

メリットデメリット
現金化までが早くスムーズ売却価格が安くなる可能性が高い
希望した期日に合わせてもらえる買取してもらえない可能性がある
売却を内密にできる可能性が高い
売却価格が確定するので資金計画を立てやすい
契約不適合責任の免除とできる可能性が高い

「買取」の流れ

  1. 買取の相談・査定依頼
  2. 買取価格の提示
  3. 不動産売買契約締結・手付金受領
  4. マンション引き渡し・残代金決済(現金化)

仲介

時間に比較的余裕があり、少しでも高く売却したい場合は一般のお客様に購入いただく仲介がおすすめです。まず売却想定価格で売り出し、状況見ながら値下げするなど自分のペースで進めることができます。

一番のメリットは、売却価格について納得しやすいことです。前述の通り、買取では価格が相場よりも安くなる可能性が高いですが、仲介の場合は不動産会社と相談の上、売り出し価格を決めることになります。条件等によりますが、ある程度希望額を反映することができるのです。ただし、当初の価格で購入希望者が現れない場合は値下げする必要があります。

デメリットは、売却時期と売却価格に関していざやってみなければ確実なことがわからない点です。不動産会社は売却想定価格を査定額として提示しますが、その時の需要と供給のバランスによってはすぐに売却できないこともあります。比較対象となる類似物件が多数あるようなケースでは、割安感がある物件から売れていくためです。状況や物件の条件などにもよりますが、仲介の場合は売買契約まで3カ月以上、さらに契約から決済までは2~4カ月を想定しなければなりません。

時間にゆとりがあったとしても、売却期間が長期になることに利点はありません。不動産会社から状況報告や近隣の成約事例などをもとに、相場感をつかんでおきましょう。

とくに住み替えを予定している場合は、売却を見越して仮住まいをすることも視野に入れる必要があります。その場合は仮住まいの家賃や引っ越し代がかかることを頭に入れておきましょう。

仲介のメリット・デメリット

メリットデメリット
買取価格でよりも高く売却できる可能性がある売却時期がいつになるか読めない
段階を踏むので売却価格に納得しやすい内見希望者に対応する必要がある
売却価格が定まらないまま、住み替え先を検討しなければならない
仮住まいや住み替えローンを利用する可能性が高い
契約不適合責任を問われる可能性がある

「仲介」の流れ

  1. 売却の相談・査定依頼
  2. 査定額の提示
  3. 売出価格を決定し、不動産会社と媒介契約を結ぶ
  4. 不動産会社が販売活動を行う(広告活動開始)
  5. 希望者の内見対応
  6. 価格・条件交渉
  7. 不動産売買契約締結・手付金受領
  8. 買主のローン承認
  9. マンション引き渡し・残代金決済(現金化)

マンション売却時に買取が向いている物件

マンションの売却を考える場合、具体的にはどのような物件が買取に向いているのでしょか。ここでは代表的なケースについて紹介します。

築年数が古い

買取に向いているマンションの特徴として、まず築年数が古いことが挙げられます。

通常、売主は買主に対して契約不適合責任を負います。つまり万が一引渡し後に大きな不具合や欠陥が見つかった場合は、程度にもよりますが修理代の負担や損害賠償、さらには契約解除に応じなくてはいけない可能性があります。

買取の場合は、この契約不適合責任免除を条件にすることも可能です。特に築年数が古いマンションは引渡し後に不具合が判明する割合が比較的高いため、買取による売却を選ぶと安心でしょう。

事故やトラブルがあった

一般的に「事故物件」と呼ばれるマンションは、価格が相場の2~5割減になることもあり、売却に苦労するでしょう。事故物件は「心理的瑕疵」ともいいますが、具体的には室内で死亡事故や事件があった物件や、住人が孤独死後に長期間発見されず放置された物件などを指します。

事故やトラブルがあった物件は、一般的に敬遠されるため、なかなか買い手がつかない可能性が高く、また専門業者に清掃してもらう必要などがあります。基本的には個人より不動産会社に売却する買取の方がスムーズでしょう。また、事故物件のように難がある物件を専門に取り扱う買取業者に相談するのもおすすめです。

マンション売却時に仲介が向いている物件

逆に仲介が向いているのはどんな物件でしょうか。考えられるのは以下のような物件です。

築年数が浅い

たとえば築5年以内など、築年数が浅いマンションは売りに出ている物件が少ないため希少性があり、すぐ買い手がつく可能性があります。新築時に購入できなかった人などが、「売りに出たら連絡欲しい」と不動産会社に依頼していることもあるぐらいです。

築年数が浅い物件は仲介でも十分早期に売却できる可能性が高いため、まずは仲介で売り出すことをおすすめします。

立地が良い

具体的には人気沿線主要駅の徒歩5分圏内にあるマンションなど、立地がよい物件は誰もが望む好条件のため、仲介でも比較的早期に売却できるでしょう。

需要があるマンションであれば、必要以上に価格を安く設定する必要がなく、仲介で売却するのに向いているといえます。

マンション売却時に買取・仲介を選ぶポイント

ここからは買取と仲介を選ぶポイントを紹介します。

早く売却したい場合

「とにかく早く売却したい」という場合は、買取がおすすめです。たとえ築浅で立地が良い物件を仲介で売却に出し、早期に売買契約を締結できたとしても、買主がローンを組む場合は残代金決済までに少なくとも1カ月程度かかります。

買取は買主が不動産会社のため、マンションの引き渡し準備が整いさえすれば、すぐに現金化することができます。

近所にバレないように売却したい場合

仲介は買主を探す必要があるため、不動産会社は広告活動をします。広告紙面に住所の詳細まで記載しないとしても、外観写真や間取図などから推測され、近隣の住民に売却していることを知られてしまう可能性があります。

また、内見希望者と不動産会社の担当者が複数回マンションを訪れると、勘のいい人は売りに出していることに気づくこともあります。

その点、買取は不動産会社の担当者が内見するのみですから、周囲に売却していることを知られる可能性は低いと考えてよいでしょう。バレたくない場合は買取をおすすめします。

できるだけ高く売りたい場合

できるだけ高く売りたい場合は、仲介をおすすめします。買取は不動会社が再販することを前提としているため、相場よりも安くなる可能性が高いですが、仲介であれば、まずは売却想定価格で売りに出すことができるので、買取よりも高く売却できる可能性があります。

ただし売出価格が相場よりも高すぎる場合は、売却までに時間がかかり、最終的に良い結果を生まないこともあります。的確な価格で売り出すことが、高く売れることにつながるでしょう。

住宅ローンの残債が多い場合

住宅ローンの残債は返済しなければ売却することはできません。通常であれば、売買代金を残代金返済に充当します。

残代金が多い場合は売買代金を上回ることもあり、足りない場合は自己資金を充当しなければなりません。特に住み替えの場合は購入物件の諸費用や引越費用などもかかりますから、なるべく資金を残すためにも仲介で売却することをおすすめします。

確実な売却価格がわからないまま住み替えを進めるのが心配な場合は、仲介と併せて買取の査定も依頼しておき、なかなか買主が見つからなかったときに買取に切り替えるようにするとよいでしょう。

この記事のポイント

マンション売却時の買取と仲介、それぞれどんな場合に向いていますか?

住み替えを予定していて「いつまでに売却したい」と売却期限が決まっている人や、早く売却したい人には買取がおすすめです。

時間に比較的余裕があり、少しでも高く売却したい場合は仲介がおすすめです。まず売却想定価格で売り出し、状況見ながら値下げするなど自分のペースで進めることができます。

詳しくは「マンション売却時の買取と仲介とは?」をご覧ください。

マンション売却時に買取・仲介を選ぶポイントは?

仲介の場合には仲介手数料がかかりますが、買取の場合は不動産会社が直接購入するため、仲介手数料はかかりません。仲介手数料を抑えたい場合は、買取を選択すべきでしょう。

ただし、できるだけ高く売りたい場合は、仲介をおすすめします。買取は不動会社が再販することを前提としているため、相場よりも安くなる可能性が高いですが、仲介であれば、まずは売却想定価格で売りに出すことができるので、買取よりも高く売却できる可能性があります。

詳しくは「マンション売却時に買取・仲介を選ぶポイント」をご覧ください。

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