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不動産相続発生時のよくある事例を専門家が解説!

相続が発生した!

遺産分割、相続財産の評価の方法、相続税の申告期限など具体的に解説します。

誰がどのくらいの遺産を相続するの?Q.01

父が急逝しました。父母は、再婚同士ですので身内でもめそうです。相続人とその取り分を教えてください。

波戸岡光太弁護士
法定相続人について解説します。
まず、お父さまが遺言書を作成していなかったかどうかを確認しましょう。遺言書があるなら、その通りに遺産を分けるのが原則です。遺言書がない場合は、民法に定められた法定相続人を確定します。
配偶者は常に相続人となり、他に相続人になれる優先順位は、子ども、親、兄弟姉妹の順。たとえば、亡くなった方に子どもがいなければ、親が相続人になります。この質問の相談者の場合、法定相続人は配偶者であるお母さまと、子どもである相談者とそのご兄弟です。もし、お父さまに初婚時にお子さんがいた場合は、そのお子さんたちも相続人になりますので、しっかりと確認しましょう。
また、法定相続人は取り分も定められています。相談者のように、配偶者と子どもが相続人の場合は「配偶者:2分の1 子ども:2分の1(全員で)」。子どもはこの2分の1を均等に分け、取り分とします。ちなみに、配偶者と親が相続人の場合は「配偶者:3分の2 親:3分の1(全員で)」、配偶者と兄弟姉妹では「配偶者:4分の3 兄弟姉妹:4分の1(全員で)」が法定相続分となります。ただし、相続人全員で話し合うことでこの配分を自由に変更することができます。それが「遺産分割協議」で、相続人全員の参加が条件です。全員が納得できる結果にすんなりと落ち着くことができれば問題はありませんが、必ずしもそうとは限りません。そんなときは、弁護士など相続の専門家を介して解決を図ることが望ましいといえます。

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相続税の申告に遅れたらどうなるの? Q.02

亡くなった母は、マンション投資やアパート経営をしていました。所有していた物件の評価にてとまどっています。相続税の申告期限に遅れた場合はどうなるのでしょうか。

福岡雅樹税理士
遅れると特例が使えなくなることもあるので要注意。
相続税の申告期限は、亡くなった方(被相続人)の死亡日を「知った日」の翌日から10カ月以内です。期限内に申告と納税ができれば問題はないのですが、万が一、期限を過ぎてしまうと、申告の遅れと納税の遅れそれぞれに罰金として追徴課税を支払うことになります。実際には、相続の対象となる財産の評価が決まらない、遺産分割がまとまらないといった理由から、申告期限までに手続きができないケースも少なくありません。相談者のように、遺産の評価額が決まらず、税額を確定することが難しい場合は、いったん、期限内に概算申告で税金を多めに支払っておくという方法で対処するといいでしょう。多めに支払った税金は、後日、税額に誤りがあった旨を伝える申告を行うことで、還付を受けることが可能です。まずは、概算でかまいませんから、期限内の申告を行うことが肝要です。なお、申告期限までに遺産分割がされていない場合、相続税が軽減できる特例が使えなくなることがあるので、注意が必要です。

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土地の相続税評価額について知りたいQ.03

父は、先祖代々の土地にアパートと自宅を所有していました。土地の相続税評価額の計算方法を教えてください。

栗山大介不動産鑑定士
「路線価方式」と「倍率方式」の2つ。相続税には、特例もあるので要チェック!
ご相談の土地は宅地であるため、路線価等を基に評価しますが、自由に利用できる「自用地」としての評価額が基本となります。その評価には、2つの方法があります。
1つが「路線価方式」で、国税庁が路線価を定めている地域の評価方法で、「正面路線価×宅地の形状等に応じた調整率×土地の面積」で計算します。路線価は、毎年1月1日に評価されて7月上旬に国税庁のホームページで公開されますので、お父さまの住所で検索し、確認してみましょう。
もう1つは、「倍率方式」です。これは、路線価が定められていない地域の評価方法です。「固定資産税評価額×評価倍率」で計算しますが、評価倍率も国税庁のホームページで確認することができます。固定資産税評価額は納税通知書で確認できますが、お手元になければ、都税事務所や市(区)役所または町村役場で確認してください。相続税には「小規模宅地等の減額の特例」があり、居住用宅地の場合、330m2までは評価額を80%減額することが可能です。また、アパートが建っている土地は貸付事業用宅地として「貸家建付地」と呼ばれ、評価額は「自用地の評価額×(1−借地権割合 ×借家権割合〈30%〉×賃貸割合)」という計算式で算出します。この貸付事業用宅地にも「小規模宅地等の減額の特例」は適用できますから、要件を満たせば、200m2までは評価額を50%減額できます。
ただし、居住用宅地と貸付事業用宅地は、限度面積の調整計算が必要となるため、単純に併用できませんので、小規模宅地等の特例を適用する場合には、どちらを優先的に適用するかは検討が必要です。

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監修

弁護士

アクト法律事務所

波戸岡 光太

「困っている人を助けたい」-少年時代からの熱い思いを胸に弁護士になり、これまでの法律相談件数は1000件以上。契約トラブルから、債権債務、相続、中小企業の法律顧問と幅広く取扱う。依頼人に共感し、ともに解決を目指すという一貫した姿勢は、高い評価と信頼を受けている。

税理士

税理士法人Farrow Partners

福岡 雅樹

大手監査法人に勤務後、大手税理士法人への転職を経て2012年に独立開業。税理士法人では相続・事業承継、組織再編に関するコンサル業務等に従事し、独立後は中小企業等への税務・会計サービスをメインに展開。公認会計士、税理士として税務、法務、経営面といった複数の視点から行うアドバイスは好評を博している。

不動産鑑定士

清風不動産鑑定事務所

栗山 大介

生命保険会社、不動産鑑定事務所勤務後、独立。地価公示をはじめとする各種公的評価員を歴任。公認不動産コンサルティングマスター、AFPの資格を持つ。「不動産にかかる問題解決のお手伝い」を主眼に、物件調査から不動産鑑定、コンサルティングまでお客様にとって最適なサービスを提案している。

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