ゴーストレストランの開業に向けて検討をしているが、不安を抱えている方に。
今回は、開業にあたって取得する必要のある資格の種類と取得方法、営業許可申請の流れについて詳しく解説します。
記事サマリー
クラウドキッチン(ゴーストキッチン)とは
クラウドキッチンとは、客席などのイートインスペースがなく、デリバリーに特化したキッチン設備です。ゴーストキッチンと呼ばれることもあります。
クラウドキッチン(もしくはゴーストキッチンと呼ぶ)の事業展開企業が運営していることが多く、同じテナント空間に複数の飲⾷店が⼊っており、各々のブース内に独⽴したキッチン設備を設けています。
ゴーストレストランとの違いは?
ゴーストレストランはデリバリーに特化した「飲⾷店」の総称です。バーチャルレストランとも呼ばれます。
ゴーストレストランは飲食店の経営形態を指し、クラウドキッチン(ゴーストキッチン)はゴーストレストランで開業するための、デリバリーに特化したキッチン施設の種類を指す言葉です。
ゴーストレストランを運営するための施設として、クラウドキッチンの他に、複数の飲⾷店が昼と夜など時間を分けて設備を共有するシェアキッチン(または間借り)があります。
<言葉の定義>
- ゴーストレストラン:デリバリー専門の飲食店
- ゴーストキッチン :デリバリー専門のキッチン
- クラウドキッチン :ゴーストレストランを開業したい経営者向けに、ゴーストレストランの運営に適した設計がされたキッチン施設。1つの空間(ビルの1フロアなど)に複数のキッチンを提供する。
ゴーストレストラン開業の流れ
ゴーストレストランを開業するには3つのパターンがあります。
- ゼロからスタートする場合
- 元々飲⾷店を経営していて、ゴーストレストラン機能(デリバリー)を兼ね備える場合
- クラウドキッチンの運営会社と契約をして開業する場合
今回は、3.クラウドキッチンの運営会社と契約をして開業する場合について紹介します。
STEP1:提供料理のメニュー考案、⼈員の確保
クラウドキッチンのテナントに申し込み後、すぐに開業ができると思いがちなのですが、デリバリーサイトの登録や準備で1〜2ヶ⽉程度かかります。そのため、提供する料理のメニューの考案や写真撮影など基本的な準備をしておくと良いでしょう。
メニュー考案と同時に、⼈員の確保も⾏うのがベスト。基本的には、1人もしくは2人で、ひとつの業態を受け持つことが良いでしょう。
STEP2:許認可の申請
開業に必要な許認可「防⽕管理者」、「⾷品衛⽣責任者」、「営業許可書」などはクラウドキッチンの運営会社が取得している場合もありますが、⾃社で取得する⽅がのぞましいでしょう。
なぜならば、デリバリープラットフォームと契約をする際に、事業者名の相違があると審査が遅くなる可能性があるからです。
資格の種類、取得方法、申請の流れについて本記事内で詳しく解説します。是非ご確認ください。
STEP3:キッチン施設(調理場所)を賃貸契約をする
ゴーストレストラン開業のための専用キッチンをクラウドキッチンとして貸し出している物件は、テナントを4〜8つで区分けしており、各ブースにキッチン設備を設けています。
物件を選ぶ際には、調理器具や材料をどれだけ保管できるのか、提供予定の料理が問題なく調理可能か、効率の良い導線かを確認しましょう。
STEP4:デリバリープラットフォームと契約
デリバリープラットフォームとの契約は、登録完了するまでに2週間から2ヶ⽉程度の時間を要します。
⾷品衛⽣責任者とは
通常の飲⾷店経営はもちろん、ゴーストレストランやキッチンカー、⾷品の製造や販売を⾏う場合などにも必要な資格です。ひとつの店舗につき⾷品衛⽣責任者の資格取得者⼀名が義務付けられているので、経営者⾃ら取得するのもいいですし、もしくは店⻑や業務補佐をするスタッフなどの従事者を選任してもいいでしょう。
ただし、⼀⼈が複数店舗の⾷品衛⽣責任者にはなれないので、元々飲⾷店を経営していて、さらにクラウドキッチンも開業する場合には注意してください。
資格取得までの流れ
⾷品衛⽣責任者になるためには、下記の資格が必要になります。
⚫︎調理師、栄養⼠、製菓衛⽣⼠等の資格所有者
⚫︎都道府県知事等が⾏う講習会の受講者
※調理師や栄養⼠の資格所有者は講習が免除になる場合もあるので、詳しくは各地の⾷品衛⽣協会にお問い合わせください。
まずは、⾷品衛⽣協会主催の「⾷品衛⽣責任者養成講習会」を受講ウェブサイトから予約をします。会場や⽇程が⾮常に限られており、2ヶ⽉先まで満席の場合もあるので、余裕をもって予約をとりましょう。講習⾃体は⼀⽇で終了します。受講費⽤も⾃治体によって異なりますが、教材費込みで10,000円前後が⽬安です。
防⽕管理者とは
多くの飲⾷店が、調理をする上で⽕器を使⽤しますが、飲⾷店を経営する上では⾷品衛⽣責任者と同様に「防⽕管理者」の資格も必須です。店舗内で⽕災等による被害を防⽌するため、消防計画を作成して計画的に管理する、この防⽕管理者の資格所有者の選任が義務付けられているのです。
これは、飲⾷店に限らず、不特定多数の⼈が集まる施設にも同様です。ただし、⼩さなクラウドキッチンを開業する場合には必要ありません。厳密にいうと、30⼈以上(客数と従業員数を含む)を収容できる店舗が防⽕管理者の選任が義務付けられています。そのため、⼩さな⽴ち飲み屋やラーメン屋などの⼩規模な店舗の場合は、防⽕管理者を登録する必要はないとされています。
クラウドキッチンの枠を超え、複数の飲⾷店や病院などの施設に⼤量の料理を提供するセントラルキッチンの規模になると、防⽕管理者の登録が必要になる場合もあります。
資格取得までの流れ
防⽕管理者の資格は、⾷品衛⽣責任者の資格取得と同様に、一般的には講習を受講することで取得できます。こちらも地域により主催者が異なるため、管轄内の消防署にお問い合わせください。
防⽕管理者には「甲種」と「⼄種」の2種類があり、店舗の延床⾯積によって決まりますので事前に確認が必要です。⼄種を取得後に甲種が必要になった場合には、改めて甲種を受講しなければならないため、これから取得する場合は甲種を選ぶことをおすすめします。甲種であれば2⽇間、⼄種であれば1⽇間の受講で修了証が交付されますが、こちらも⾷品衛⽣責任者の資格取得と同様に、会場や⽇程が⾮常に限られているので余裕をもって予約を取るようにしましょう。
場所によっては講習開催⽉の2ヶ⽉前に受付を開始し、定員も⼗数名ほどで満員になった時点で締め切ることもあります。受講費⽤は、教材費込みで甲種が8,000円、⼄種が7,000円程度です。
飲⾷店営業許可とは
クラウドキッチンを含め飲⾷店を開業するためには必ず「飲⾷店営業許可」が必要になります。管轄内の保健所に申請し、検査に合格することで取得することができますが、先に述べた⾷品衛⽣責任者と防⽕管理者の2つの資格が必要になります(防火管理者は店舗規模により必要な場合)。ただし、⾷品の通販を⾏う場合は、別途⾷品製造業の資格が必要となりますので、ご注意ください。クラウドキッチンの運営会社と契約をしている場合は、既に運営会社が⼀施設として飲⾷店営業許可を取得している場合があるので、その際は新たに営業許可の申請をしなくてもかまいません。しかし、デリバリープラットフォームに登録する時などに、名前の相違から許可がおりない場合もあるため、⾃らも取得する⽅がおすすめです。
飲⾷店営業許可の申請⽅法
飲⾷店やを⾃分で開業する場合は、営業許可が必須になります。申請⽅法は以下のとおりです。
STEP1:保健所に連絡し相談をする
初めて飲⾷店を開業する場合は、まずは管轄内の保健所へ相談しに⾏くことがおすすめです。なぜならば、⾷品衛⽣責任者と防⽕管理者の資格とともに、謄本や店舗の設計図の提出なども必要になるのですが、最終的には保健所の判断により飲⾷店営業許可がおります。そのため、保健所に事前相談をした⽅がスムーズに進⾏します。
STEP2:営業許可申請書を提出する
管轄内の保健所のホームページで「営業許可申請書」がダウンロードできます。もしくは、保健所で直接⽤紙をもらってもよいでしょう。また、⾷品衛⽣責任者養成講習会の受講後に交付される「修了証書」や、「営業設備の⼤要(平⾯図)」、法⼈の場合は「登記事項証明書」が必要になります。この時に申請費⽤がかかりますが、約15,000〜20,000円程度です。
⾃治体により費⽤が異なりますので、事前相談時に確認しておくとよいでしょう。
【必要書類一覧】
- ゼロからスタートする場合
- 元々飲⾷店を経営していて、ゴーストレストラン機能(デリバリー)を兼ね備える場合
- クラウドキッチンの運営会社と契約をして開業する場合
STEP3:保健所から施設検査を受ける
書類が通れば、保健所の担当者が設備の構造などが基準を満たしているか検査をしにきます。クラウドキッチンの運営会社と契約している場合は、検査済みの場合が多いため必要はないでしょう。この検査が最終確認となり、問題がなければ後⽇「営業許可証」が交付されます。
(必要経費)
- ⾷品衛⽣責任者 受講費用 教材費込み10,000円前後
- 防火管理者 受講費用 7,000~8,000円程度
- 営業許可 申請費用 15,000~20,000円程度
本記事では、ゴーストレストランの開業に伴う「資格」「申請」に関して詳しく解説をさせていただきました。
申し込みが遅れ、資格取得までに想定よりも時間がかかってしまった。このようなことが起こらないよう、早めに準備を進めると良いでしょう。
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