ハーバード大学・ジュリアード音楽院を卒業後、メディアや教育など幅広い分野で活躍するヴァイオリニストの廣津留すみれさん。今年11月に開催される37thリバブル・クラシックコンサートへの出演に先立ち、コンサートへの思いや演奏へのこだわり、精力的な活動を支える活力の源についてお話をうかがいました。

―――― リバブル・クラシックコンサートへの出演が決まりました。コンサートに向けた意気込みをお聞かせください。

 37回も続いている歴史あるコンサートに出演できることを大変光栄に思っています。まだお会いしたことのないお客様に会場でお会いできることが楽しみですし、私たちの演奏にお客様がどのように反応してくださるのかを想像するだけでワクワクします。

―――― プログラムは、「Aria~ヴァイオリンは歌う~」をテーマに、誰もが一度は耳にしたことがあるようなクラシックの名曲で構成されるそうですね。

 そうなんです。ですから、クラシックコンサートは初めてという方にも楽しんでいただけるのではないかと思っています。クラシック音楽に馴染みのない方には、「ヴァイオリンが歌うってどういうこと?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ヴァイオリンの演奏に歌詞はありませんが、その音色は人の声に近いと言われることがよくあります。私自身、ヴァイオリンを弾くときは自分が歌っているような気持ちで演奏することが多いですね。

 しかも、今回はオーケストラとの共演であり、指揮はオペラを中心に活躍されてきた園田隆一郎先生です。オペラでは叙情的な独唱曲を「Aria(アリア)」と呼びます。オーケストラの演奏の“波”に乗りながら、まるでAriaのように歌うヴァイオリンの音色をお楽しみいただけたらと思っています。

―――― 廣津留さんの演奏のどういったところに注目してほしいですか?

 やはり、“歌う”ところは注目していただきたいですね。歌い方はヴァイオリニストによっても様々で、私の場合、演歌のようにこぶしを効かせて情緒豊かに歌うというより、基礎は崩さず、聴いていただきたいポイントを強調するような弾き方を意識しています。これはアメリカに行って弾き方が変わったなと自分でも感じるところで、日本語と英語の違いにも通じるかもしれません。日本語は文末のさじ加減でいろんなニュアンスを作り出せるのに対して、英語は伝えたいことをはっきりと伝える明快な言葉の使い方をしますよね。同じ“歌う”にしても、無駄を削ぎ落した洗練された音色が私の持ち味だと思っているので、その辺りを注目していただけたらうれしいです。

 それから、私が大切にしている遊び心も感じていただけたらと。基本は譜面に忠実でありながら、所々で譜面には書いていない装飾音を入れてみたり、本番の雰囲気によってはリハーサルとは少し違うことを試したり、お客様の反応を見ながら演奏に遊び心を取り入れるのが私流です。

 その原点となったのは、小学生の頃、故・十八代目中村勘三郎さんの歌舞伎を見たことでした。完璧な歌舞伎の基礎にギャグコメディのような演技や時事ネタを組み合わせる勘三郎さんの遊び心に、子どもながらに感動して、自分の演奏にも遊び心を持ち込むようになりました。

―――― 廣津留さんといえば、音楽家でありながら、著述家、テレビ番組コメンテーターなど様々な顔をお持ちですが、現在の主な活動内容について教えてください。

 メインはヴァイオリニストとしての演奏活動で、全国各地でのリサイタルやオーケストラとの共演が7割くらいを占めています。リサイタルツアーでいろんな都道府県を訪れる機会が増えました。地域や会場によってお客様の反応が異なるので、新しい場所を訪れるのが楽しみですね。教育分野では、2つの大学(国際教養大学、成蹊大学)で准教授として教鞭を執るのに加え、地元・大分市の教育委員と文科省の中央教育審議会の委員を務めています。メディア系の仕事としては、毎週金曜日、テレビ番組にコメンテーターとして出演したり、不定期で様々なジャンルの音楽番組に出演しています。現在はこの3つの軸で活動しています。

―――― なるほど。音楽、教育、メディアの3軸ですね。教育分野やメディアのお仕事が、今のご自身の音楽活動に生かされていることはありますか?

 コメンテーターのお仕事はたまたまお声がけいただいたもので、私にとってはすごく意外だったのですが、テレビで私のことを知ってコンサートに足を運んでくださる方が結構いらっしゃいます。私の目標は、一人でも多くの人に生のヴァイオリンの演奏をお届けすることです。私のテレビ出演が、初めてクラシックコンサートに足を運んだり、初めて生のヴァイオリンの演奏を聴いたりするきっかけになっているのはとてもうれしいですね。

 大学のお仕事でいえば、秋田の国際教養大学で教えている科目の1つに「マクロ音楽学」があります。例えば音楽×教育、音楽×スポーツ、音楽×心理学など、多角的な視点から音楽について考えようという科目をデザインしました。「教育においてなぜ芸術が必要か」とか、「大勢の人がいる場所で音楽を聴くとどのような相乗効果があるか」といった視点で音楽を見ていくのですが、音楽が私たちの日常とどう関わっているのかを考えることは自分の音楽活動にもプラスになっていると思います。

―――― いろんなことに興味や好奇心を持って活動されていますが、その活力の源は何ですか?

 そうですね……、一つ山を登ると景色が開けてきて、また次の高い山が見えてくるので、それも登りたくなってしまう。そんな感じでしょうか。新しいことを見つけるのが好きなんです。今年、委員に就任した文科省の中央教育審議会では、大学の学長さんなど教育界の方々に交じって、日本の教育が進むべき方向や学習指導要領の話など、これまで深掘りする機会がなかった分野の議論をする機会に恵まれて、ものすごく勉強させていただいています。新しいことはおもしろいのでもっと掘り下げたいですし、音楽家の私が教育分野でどんなバリューを出せるのかは常に考えています。

―――― 演奏家としての今後の目標を教えてください。

 先ほどの話と重なりますが、クラシック音楽やヴァイオリンの生音をできるだけ多くの方々に届けたい、という思いがあります。今も学校に講演に行った際に2~3曲演奏すると、児童生徒や学生の皆さんがキラキラした目で聴いてくださるので、そういう機会をもっと増やしていきたいですね。年齢に関係なく、クラシック音楽やヴァイオリン演奏に馴染みのない方々との間をつなぐブリッジの役割を果たしていければと思っています。

―――― リバブル・クラシックコンサートはその絶好の機会になりそうですね。最後に、クラシックコンサートが初めての方も楽しめる方法があればぜひ教えてください。

 演奏の合間のトークで、「この曲はこういうふうに弾きたい」とか、「この部分がこだわりポイント」といった話を指揮者の園田先生や私がさせていただくと思うので、それらのポイントを意識しながら演奏を聴いていただくと興味が湧くのではないでしょうか。例えば、演奏予定の「ツィゴネルワイゼン」という曲の場合、約8分間の演奏で3つの情景が表現されるので、どこで情景が変わったのか、どんなふうに変わったのか、多分演者の表情自体も変わると思うので、そういうところにも注目しながら聴いてみていただきたいですね。

 それから、同じ場所で大勢の人が同じ曲を聴くという体験を楽しんでほしいなと思います。例えば、演奏前にホール全体を包み込む3秒くらいの沈黙。これも日常ではなかなか体験できないことだと思うんですよね。それを何百人で共有できるのはスペシャル感があります。ホールに足を踏み入れてから、演奏を聴いてホールを後にするまでの1秒1秒が特別な体験になると思うので、それをぜひ楽しんでいただきたいです。

―――― 確かにそうですね。演奏だけでなく、コンサートに足を運ぶという体験自体を楽しめそうですね。

 ドレスコードなどもよく質問されますが、何を着ていてもいいですよ。ちょっとした非日常を楽しむ気持ちで気軽に聴きに来ていただけたらと思います。皆様にお会いできるのを楽しみにしています。

―――― どうもありがとうございました。

〜廣津留すみれさんからのSPECIAL MESSAGE〜

Q1

子供の頃の夢は?

A1

ヴァイオリニスト

ヴァイオリンは生活の一部で、当然そうなるものと思っていました。

Q2

過去に戻ってやり直したいことはある?

A2

ないです

今がベストです。

Q3

これまでのキャリアは自分の中で何点?

A3

100点

自分がハッピーだから。

Q4

自分の強み・弱みは何ですか?

A4

強みはポジティブなところ

寝れば大体リセットされるので、あまり悩みがありません。

弱みは方向音痴

一人で楽屋にたどり着くことができません(笑)。

Q5

一日休みがあったら何をしたい?

A5

午前中は寝て、午後はゲーム

B級グルメが好きなので、たこ焼きも食べたいです。

Q6

普段よく聴く音楽ジャンルやアーティストは?

A6

J-POP、aiko

aikoさんの予定調和ではないメロディが癖になっています。

Q7

最近うれしかったことは?

A7

飛行機からスカイツリーと東京タワーが同時に見えたこと

トラブルによる迂回ルートのお蔭で普段は見られない景色が見れてラッキー!

廣津留すみれさんのインタビューページは
いかがでしたでしょうか。

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