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2024.09.25

#不動産価格#不動産投資#資産運用

積算価格とは?実勢価格との違いや計算方法をわかりやすく解説

積算価格とは?実勢価格との違いや計算方法をわかりやすく解説

ざっくり要約!

  • 積算価格は、不動産の価値を判断する指標の一つで担保評価の根拠として用いられる
  • 積算価格は実勢価格ではなく、路線価や公示地価、再調達価格などを基に算出される

不動産投資物件を選ぶ際には、実勢価格や収益価格などを見る必要がありますが「積算価格」も重要な指標の一つです。積算価格とは、金融機関の担保評価の根拠となる金額を指します。積算価格だけで融資額が決まるわけではありませんが、金融機関からどれだけ評価されるかの目安を知ることで、販売価格の適正性などを判断することができます。

この記事では、積算価格と実勢価格、収益価格との違いや計算方法をわかりやすく解説します。

積算価格とは?実勢価格(販売価格)とは何が違うの?

積算価格は、不動産の価値を判断する指標の一つで、土地と建物のそれぞれの価値を算出して合計した評価額のことを指します。

一方、不動産売買をしていると「実勢価格(販売価格)」という言葉も目にします。積算価格と実勢価格は明確に異なるものなので、まずはその違いについて見ていきましょう。

積算価格はどんな用途がある?

積算価格は、主に金融機関が融資を行う際に、担保評価の根拠として用いられます。これは、積算価格が路線価、公示地価、再調達原価をベースに算出されるためです。

万が一、債務者が返済不能に陥った場合、金融機関は担保物件を競売にかけ、売却金から融資金を回収します。市場変動を受けにくい路線価などの不動産評価額は、金融機関が不動産を競売にかけた場合の回収可能額の目安となるため、担保評価に適しているというわけです。

多くの金融機関では、融資額を積算価格の70~80%としており、積算価格から受けられる融資額の上限を推測することもできます。

また、収益物件の購入時には、積算価格は物件の価格が適正かどうかを判断する基準になります。具体的な計算方法は後ほど解説しますが、建物積算価格は「再調達減価」という、同じ建物を取得する場合にかかる費用を基に算出します。この価格と実際の売り出し価格を比較することで、その不動産が割安なのか、割高なのかを判断する材料になります。

実勢価格(販売価格)との違い

実勢価格は、同じエリアで実際に取引されている不動産の価格のことを指します。直近の取引事例や市場動向をもとに算出されるため、もっとも時価に近い不動産価格と言えます。

一方、積算価格は、土地については路線価や公示地価、建物については再調達原価と減価償却を使って算出されます。路線価や公示地価は実勢価格よりも低い水準であるのが一般的なため、実勢価格よりも積算価格のほうが低くなります。

収益価格との違い

収益価格は、対象となる不動産から発生が予測される収益(利益)を基に算出される価格です。不動産の収益性に着目して評価を行うことから、収益物件の購入や売却の場面で多く活用されます。

一方、積算価格は土地そのものの価値や、建物を再取得する際の費用に着目して評価を行います。そのため、自己使用を目的とした物件の売買や融資審査など、収益価格よりも幅広い場面で活用されるのが特徴です。

土地の積算価格の計算方法

土地の積算価格は、以下のような計算式を基に、さらに土地の条件に応じた補正を行って求めます。

土地の積算価格 = (公示地価または路線価 × 土地面積(㎡)) × 補正率

計算に用いるのは公示地価や路線価

土地の積算価格の計算には、一般的に路線価や公示地価に土地の面積を掛け、さらに土地の条件に応じて補正を行います。

公示地価は、国土交通省が毎年3月に公表する、その年の1月1日時点における標準地の土地の価格です。路線価は、国税庁が毎年7月に公表する、その年の1月1日時点における主要な道路に面した1㎡あたりの土地の価格です。

路線価は税務上の評価基準として使われるため、実際の取引価格よりも低い場合が多いですが、必ずしも一概に言えるわけではなく、地域や市場の状況によって異なります。

奥行きや形状によって補正する

土地の積算価格は、土地に接する道路の数や道路幅、土地の形状、用途地域などの条件に影響を受けます。そのため、土地の状況に合わせて、補正率を用いて価格の補正を行う必要があるのです。

補正率は条件ごとに細かく設定されており、国税庁のホームページで確認できます。

計算シミュレーション

では、実際に土地の積算価格を計算してみましょう。今回は公示地価を用いて計算します。

公示地価:100,000円/㎡
土地の面積:200㎡

この土地の基本価格は、以下のように計算されます。

土地の価格 = 100,000円/㎡ × 200㎡ = 20,000,000円

この土地が角地の場合は、通常の土地よりも価値が高く評価されます。対象の土地が普通住宅地区にあると仮定すると、補正率は1.03倍です。

補正後の土地の価格 = 20,000,000円 × 1.3 = 20,600,000円

更に、この土地が不整形地である場合は、市場での評価が下がります。敷地内のがけ地割合が30%以上40%未満の場合、補正率は0.9倍です。

補正後の土地の価格 = 20,600,000円 × 0.9 = 18,540,000円
このように、土地の積算価格を正確に算出するためには、特性や地域の規定に合わせて、適切な補正率を適用することが重要と言えます。

建物の積算価格の計算方法

建物の積算価格は、以下の計算式で求めることができます。

建物の積算価格 = 再調達価格 × 延床面積 - 減価償却費

再調達価格とは、対象となる建物と同等のものを新たに建てる際に必要な金額のことです。建物の構造や地域の建築コストによって価格が異なるため、構造別に再調達価格が設定されています。

再調達価格

再調達価格は、現時点で同等の建物を新たに取得するのに必要な金額を指します。これは、建物の構造や用途に応じた単価(円/㎡)に、設計費、労務費、地域の建築コストなども含めて算定されます。

再調達価格の算定方法は以下の通りです。

再調達価格 = 延べ床面積 × 構造・用途別単価(円/㎡)

構造別の再調達価格は地域によって多少異なりますが、国税庁が公開している平均的な建築価額は以下の通りです。

  • 木造:約18万円/㎡
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造:約27万円/㎡
  • 鉄筋コンクリート造:約28万円/㎡
  • 鉄骨造:約27万円

法定耐用年数

法定耐用年数とは、税務上の減価償却を計算する際に使用する年数のことです。

構造別の住宅用建物の法定耐用年数は以下の通りです。

  • 木造・合成樹脂造:22年
  • 木骨モルタル造:20年
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造 47年
  • れんが造、石造、ブロック造 38年
  • 軽量鉄骨造:19年
  • 鉄骨造:27年
  • 重量鉄骨造:34年

【シミュレーション】積算価格を計算してみよう

それではここからは、具体的な例を用いて不動産の積算価格を計算してみましょう。今回は「中古区分マンション」と「中古戸建て」の2つのケースを想定し、積算価格を計算します。

中古区分マンション

まずは、延床面積30㎡の都内の中古区分マンションの積算価格を計算してみます。

対象物件:都内コンパクト区分マンション
<建物>
構造:鉄筋コンクリート造
築年数:10年
延床面積:30㎡
<土地>


地区区分:高度商業地区
奥行き距離:20m
建物の敷地面積:1,000㎡
土地の持分:1/30
公示地価:70万円/㎡

まず、建物部分を計算します。
この物件の再調達価格は34.1万円/㎡、法定耐用年数は47年です。

この数字を建物の積算価格を求める方程式に当てはめると、以下のようになります。

建物の積算価格 = 再調達価格 × 延床面積 × [(法定耐用年数 - 築年数)÷ 法定耐用年数]
        =34.1万円×30㎡×[(47年-10年)÷47年]
        =約805万円

次に、土地部分を計算します。

土地の積算価格は、公示地価または路線価に土地面積を乗じて計算しますが、マンションは土地のすべての所有権を持っているわけでないため、さらに土地の持分を乗じます。マンションが建つ土地は、高度商業地区で奥行き20mのため、補正はありません。(参考:国税庁)側方路線影響や不整形地補正などもないものと想定します。

土地の積算価格 = (公示地価または路線価 × 土地面積(㎡)) × 敷地権割合
        =70万円×1,000㎡×1/30
        =1,750万円

最後に土地と建物の積算価格を足すと、このマンションの積算価格は約2,550万円と計算できます。

中古戸建て

次に、築20年の一般的な大きさの戸建てを例に、積算価格を計算してみましょう。

対象物件:都内中古戸建て
<建物>
構造:木造
延床面積:100㎡
築年数:20年
<土地>
地区区分:普通住宅地区
奥行き距離:7m
敷地面積:80㎡
公示地価:60万円/㎡

まず、建物部分を計算します。
この物件の再調達価格は17.7万円/㎡、法定耐用年数は22年です。

この数字を建物の積算価格を求める方程式に当てはめると、以下のようになります。

建物の積算価格 = 再調達価格 × 延床面積 × [(法定耐用年数 - 築年数)÷ 法定耐用年数]
        =17.7万円×100㎡×[(22年-20年)÷22年]
        =約161万円

次に、土地部分を計算します。
戸建てが建つ土地は、普通住宅地区で奥行き7mのため、補正率は0.95となります。(参考:国税庁)側方路線影響や不整形地補正などはないものと想定します。

土地の積算価格 = (公示地価または路線価 × 土地面積(㎡)) × 補正率
        =60万円×80㎡×0.95
        =4,560万円

最後に土地と建物の積算価格を足すと、この戸建の積算価格は約4,721万円と計算できます。

まとめ

同じような販売価格や収益性の投資物件だとしても、積算価格が大きく異なる場合があります。投資家の多くはローンを組んで収益物件を購入するため、積算価格が高ければ融資が受けやすく、売りやすいともいえるでしょう。とはいえ、積算価格が高くても収益性が低ければ本末転倒でしょう。物件選びの際は、価格などわかりやすい指標だけでなく、その物件の魅力や将来性などを見ることも大切です。

ワンポイントアドバイス

収益物件の価値は、一つの指標だけで判断できるものではありません。積算価格についても、それだけが高ければ良いというものではなく、相対的に判断する必要があります。投資の目的によっても、適切な物件は変わってくるでしょう。客観的な価値のみならず「投資に何を求めているのか」「どれくらいの期間で出口を設定するつもりなのか」などを明確にし、自分に合った物件を選ぶことが大切です。

この記事のポイント

Q. 積算価格とはどんな価格ですか?

A. 土地と建物の価値を合算した価格で、主に金融機関の担保評価の根拠として用いられます。
詳しくは「積算価格とは?実勢価格(販売価格)とは何が違うの?」をご覧ください。


 Q. 土地の積算価格はどうやって計算すればいいの?

A. 土地の積算価格は、以下のような計算式を基に、さらに土地の条件に応じた補正を行って求めます。
土地の積算価格 = (公示地価または路線価 × 土地面積(㎡)) × 補正率
詳しくは「土地の積算価格の計算方法」をご覧ください。


 Q.建物の積算価格はどうやって計算すればいいの?

建物の積算価格は、以下の計算式で求めることができます。
建物の積算価格 = 再調達価格 × 延床面積 - 減価償却費
詳しくは「建物の積算価格の計算方法」をご覧ください。

ライター:村田よしみ

上智大学外を卒業後、不動産調査会社在籍中に宅地建物取引士試験に合格。宅建士として事業用不動産の仲介営業職に従事し、退職後はレンタルオフィスの運営会社で入居者・契約管理をするかたわら、売買・賃貸・住宅ローンを中心とした不動産関連の専門性が高い記事を多数執筆。不動産初心者でもわかりやすい文章に定評がある。

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