不動産投資ローンとは? 金利・審査・選び方を徹底解説!

ざっくり要約!
- 不動産投資ローンと住宅ローンは、融資の対象や返済原資、金利などが異なる
- 不動産投資ローンの審査では、個人の属性(年収・勤務先など)だけでなく物件の収益性や担保価値も確認される
不動産投資ローンは、投資用の不動産を購入するためのローンです。不動産投資ローンを利用することで、自己資金のみでは取得が難しい物件に投資をして、より多くの収益を得られる可能性があります。
マイホームの購入時に利用できる住宅ローンと不動産投資ローンでは、いくつか異なる点があります。また、融資を受けるためには、金融機関の審査に通過しなければなりません。
今回は、不動産投資ローンと住宅ローンの違い、審査基準などを解説します。
目次
不動産投資ローンと住宅ローンの違いとは?
不動産投資ローンと住宅ローンは、次の点が異なります。
融資の対象となる物件
不動産投資ローンを借り入れられるのは、マンションやアパートなど投資用不動産を購入するときです。一方の住宅ローンは、借り入れる本人やその家族が住むための住宅を購入する際に利用できます。
住宅ローンで投資用不動産を購入することは契約違反です。「自宅を購入するため」といった虚偽の申告をして金融機関から住宅ローンを借り入れて投資用不動産を購入すると、一括返済を求められる他、刑事的な責任も問われる恐れがあります。
返済原資
不動産投資ローンの主な返済原資(返済に充てるお金の出どころ)は、投資対象となるマンションやアパートなどから得られた家賃収入です。
それに対して住宅ローンの場合は、給与収入や事業の収入など、借り入れた本人が働いて稼いだお金が返済原資となります。
金利
金利は、借り入れた元金に対する利息の割合です。不動産投資ローンの金利は、年1%台〜年4%台が目安です。金融機関によっては、年5%を超えることもあります。それに対して、住宅ローンの金利は年0.3%台〜年2.0%台が相場です。
不動産投資では、空室の発生や家賃の下落などが起こる可能性があります。そのため金融機関は、融資金が回収できなくなる貸し倒れのリスクを考慮して、不動産投資ローンの金利を高く設定しています。
一方の住宅ローンは、給与という比較的安定した収入源をもとに返済をするのが一般的です。不動産投資ローンよりも、金融機関が融資金を回収できなくなるリスクが相対的に低いため、金利も低く設定されています。
「不動産投資 ローン 金利」に関する記事はこちら
不動産投資ローンの金利相場はどれくらい?金利タイプによる返済額を比較
融資金額
住宅ローンの場合は、融資金額の上限は借り主の年収の5〜8倍程度が一般的です。一方、不動産投資ローンであれば、年収の7〜10倍ほどの融資を受けられるケースもあります。
不動産投資ローンの融資金額は、申し込んだ本人の返済能力に加え、物件から得られる家賃収入や物件の資産価値なども考慮して決まります。そのため、主に本人の返済能力で融資金額が決まる住宅ローンよりも、高額な借り入れが可能です。
住宅ローン減税
住宅ローン減税は、住宅ローンを利用して住宅を購入した人が受けられる税の優遇制度です。所定の要件を満たすと「年末時点の住宅ローン残高×控除率」で計算された金額が、所得税と一部の住民税から控除され、税金の負担が軽減されます。
マイホームに入居したタイミングが2022年1月〜2025年12月末までの場合、控除率は0.7%です。たとえば、年末時点の住宅ローン残高が2,000万円であれば、その0.7%である14万円分の減税が受けられます。
住宅ローン減税を受けられるのは、住宅ローンを組んで自分自身やその家族が住むための自宅を購入した人です。不動産投資ローンで投資用不動産を購入しても、住宅ローン減税は受けられません。
不動産投資ローンの審査基準
不動産投資ローンを申し込むと金融機関による審査が行われ、その結果に応じて融資の可否や借入金利、融資金額、返済期間などが決まります。
ここでは、金融機関が不動産投資ローンの審査で確認している項目を解説します。
物件の収益性・担保価値
不動産投資ローンは、家賃収入が主な返済原資となるため、審査の際には想定される家賃収入や期待できる利回りなど、物件の収益力が入念に審査されます。
また、物件の担保価値も不動産投資ローンの審査対象です。担保価値とは、物件を売却したときに得られる対価のことです。
不動産投資ローンを組む場合、投資対象となる物件そのものが担保となります。ローンを借り入れた人が返済できなくなったとき、金融機関は融資金を回収するために、担保となっている物件を差し押さえ、競売によって強制的に売却します。
物件の担保価値が低いと、万が一のときに競売にかけても、融資金を回収できないかもしれません。そのため、金融機関は審査の際に、立地や築年数、管理状況、建物の状態などをもとに物件の担保価値も慎重に審査します。
個人の属性(年収・資産状況など)
不動産投資ローンを申し込む人の年収や勤務先、勤続年数、資産状況なども重要な審査項目となります。物件からの家賃収入が減少したとき、借り入れた人の収入や貯蓄などから借入金を返済するケースがあるためです。
不動産投資ローンの審査に通過しやすいといわれる人の特徴は、以下の通りです。
- 年収が高く安定している
- 大企業に勤める正社員である
- 勤続年数が10年や20年など長い
- 預貯金で多くの資産を保有している
- 不動産投資で収益を得ている実績がある
一方「年収が低い」「自営業である」「勤続年数が短い」「預貯金の残高が少ない」「不動産投資の初心者」などに該当する人は、審査に通過しにくくなります。
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不動産投資に必要な年収は?融資審査で見られる項目と不動産投資のポイントを紹介
既存の借り入れ
不動産投資ローンの審査では、申し込んだ人が返済している借り入れの状況も確認されます。
住宅ローンや自動車ローンなど、他の借り入れが多ければ多いほど、返済比率が高くなるため滞納をする確率が高いと見なされて審査に通過しにくくなります。年収が高く大企業に勤めている方であっても、多額の債務を抱えていると、不動産投資ローンを組めないかもしれません。
また、すでにローンの返済やクレジットカードの支払いを滞納したことがあり、いわゆる信用情報に傷が付いた状態であると、審査に通過するのが著しく困難になります。
不動産投資ローンの審査を通りやすくするには?

ここまで、不動産投資ローンの審査でチェックされる項目を解説してきました。これらを踏まえて、金融機関の融資審査に通過しやすくする方法をご紹介します。
自己資金を多く入れる
自己資金を多く準備できると、借入金の金額が減って返済を滞納しにくくなるため、不動産投資ローンの審査に通過しやすくなります。また、金融機関から「この人はきちんとお金を管理できる人だ」と評価され、審査に有利に働きやすくなります。
さらには「借入金利が低くなる」「返済期間が長くなる」「融資金額が高くなる」など、より好条件の融資を受けることも可能です。
一方、自己資金が少ないと審査に通過しにくくなります。とくに近年は、金融機関の融資審査が厳しくなってきているため、不動産投資の初心者が、物件購入価格の全額をローンで賄うフルローンを組むのは困難です。
不動産投資ローンを組むために必要な自己資金は、物件価格の20〜30%が目安といわれています。不動産投資を始めたいと考えている方は、計画的に貯蓄をして、ある程度の自己資金を準備することが望ましいといえます。
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不動産投資に自己資金はいくら必要?自己資金別の購入できる物件価格と種別を紹介
担保価値の高い投資物件を選ぶ
担保価値が高い物件を選ぶことも、不動産投資ローンの審査に有利に通過しやすくなることに加え、金利や融資金額などの条件が優遇されることもあります。
担保価値が高い物件の主な特徴は、以下の通りです。
- 立地が良い(最寄り駅が徒歩10分以内、最寄り駅がターミナル駅に直結しているなど)
- 人口の増加が期待できるエリアにある
- 築年数が浅い
- 建物や設備が適切に管理・メンテナンスされている
- 駅周辺の再開発や大型商業施設の建設などが予定されているエリアにある
担保価値が高い物件は収益性も高い傾向にあるため、安定した家賃収入が期待できます。
不動産投資を始めるときは、投資用不動産の取扱実績が豊富な不動産会社とよく相談し、担保価値や収益力が高い投資先を選ぶことが大切です。
他の借り入れを返済する
不動産投資ローンを申し込む前に、自動車ローンや教育ローンなど他の借入金を完済するのも1つの方法です。
借入総額が減ることで返済比率が低くなるのでを滞納するリスクが下がり、金融機関からの評価が上がって融資審査に通過しやすくなるためです。
ただし、借入金を完済すると手持ち資金が少なくなります。将来のライフイベントや不測の事態が起こったときに資金が不足しないよう、計画を練ったうえで返済することが大切です。
不動産投資ローンはシミュレーションして選ぼう
不動産投資ローンを選ぶ際は、シミュレーションを用いて返済額を確認すると良いでしょう。ここでは、以下の条件を共通として、金利の種類や返済期間で返済額がどのように変わるのかを試算します。
- 融資額:3,000万円
- 返済方法:元利均等方式(毎月の返済額が一定である返済方法)
- ボーナス払い:なし
金利による違い
不動産投資ローンの金利タイプには、市場の金利などに応じて金利が見直される変動金利と、定められた期間は金利が変わらない固定金利があります。借入当初の金利は、変動金利よりも固定金利のほうが低くなります。
返済期間を35年とし、変動金利2.0%と固定金利3.0%で3,000万円を借り入れる場合の返済額を試算すると、結果は以下の通りとなりました。
変動金利 (2.0%) | 固定金利 (3.0% | |
---|---|---|
毎月の返済額 | 10.0万円 | 11.6万円 |
総返済額 | 4,174万円 | 4,850万円 |
うち利息分 | 1,174万円 | 1,850万円 |
3,000万円のローンを返済期間35年で組む点は同じであっても、借入金利が1.0%上昇すると、毎月の返済額は1.6万円、総返済額は676万円増える結果となりました。
ただし、変動金利を選ぶと、返済途中で金利が上昇して返済負担が増えるかもしれません。
たとえば、返済額が毎月1.6万円増えたとしても金利が変わらない安心を重視したいのであれば、固定金利を選んだほうが良いといえます。一方、金利が今後大きく上昇するとは思えず、当面は返済額を少しでも減らしたい場合は、変動金利を選ぶのも一案です。
返済期間による違い
続いて、金利を2.0%(変動金利)とした場合、返済期間が20年と35年で返済額がどのように異なるのかを試算します。結果は、以下の通りです。
返済期間 | 20年 | 35年 |
---|---|---|
毎月の返済額 | 15.2万円 | 10.0万円 |
総返済額 | 3,643万円 | 4,174万円 |
うち利息分 | 643万円 | 1,174万円 |
返済期間が35年から20年に短縮されると、毎月の返済額は5.2万円増える結果となりました。一方で、15年早く完済できるようになるため、総返済額は531万円減少しています。
そのため、毎月の返済額を減らして手元に残る現金を増やしたい場合は返済期間を長く、早く完済して利息の総額を減らしたい場合は期間を短くするのが、1つの選び方といえます。
まとめ
不動産投資ローンと住宅ローンでは、対象となる物件や返済原資、金利などが異なります。また、金融機関の審査では、個人の年収や勤務先、保有資産などに加え、物件の収益性や担保価値も重視されます。
融資を受けたあとは、元金を返済するとともに利息を支払っていかなければなりません。不動産投資ローンを利用する場合は、融資金額や金利タイプ、返済期間などを検討し、無理のない返済計画を立てることが大切です。

不動産投資・収益物件
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ワンポイントアドバイス
たとえ悪徳な業者に騙されて、住宅ローンを利用して投資用の物件を購入しても、投資した人の責任は逃れられません。融資を利用して投資用不動産を購入するときは、必ず不動産投資ローンを利用しましょう。また、不動産投資ローンの審査では「物件から安定した家賃収入が得られるか」がとくに重視されます。立地や築年数、エリアの人口増減、再開発の予定などをよく確認し、安定した収益が見込める物件を選ぶことが大切です。
この記事のポイント
Q. 不動産投資ローンと住宅ローンの違いは?
A. 不動産投資ローンと住宅ローンは融資の対象物件や返済原資などに違いがあります。詳しくは「不動産投資ローンと住宅ローンの違いとは?」をご覧ください。
Q. 不動産投資ローンの審査基準にはどのようなものがありますか?
A. 年収や資産といった個人の属性や既存の借入などの審査基準があります。詳しくは「不動産投資ローンの審査基準」をご覧ください。
Q. 不動産投資のローン審査を通りやすくするにはどうすればいいでしょうか?
A. 不動産投資ローンの審査でチェックされる項目を踏まえて、金融機関の融資審査に通過しやすくする方法をご紹介します。詳しくは「不動産投資ローンの審査を通りやすくするには?」をご覧ください。