公務員が不動産投資するには許可が必要? 認められる3つの条件とは

ざっくり要約!
- 「5棟10室未満」「管理を委託する」「賃料収入が年間500万円未満」の3つの条件を満たしていれば、公務員でも許可不要で不動産投資を行えます。
- 条件に適合しない場合も、不動産を相続した場合や自宅を賃貸する場合は、許可がおりやすい傾向があります。
- 条件に適合しない不動産投資を無許可で行っている場合、戒告または減給の処分を受ける可能性があります。
公務員は原則として副業が禁止されているため、不動産投資を行えないのではないかと考える方もいるでしょう。不動産投資は公務員にも認められているため、物件規模や家賃収入などが一定以下に収まっていれば取り組めます。
この記事では、公務員に認められる不動産投資の条件や、無許可の場合の罰則などを解説します。許可がおりやすいケースも紹介するので、公務員法に違反せず不動産投資を始めたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
公務員は副業に制限あり!
公務員は、国家公務員・地方公務員ともに、原則として営利目的の副業(兼業)が禁止されています。国家公務員法第103・104条、および地方公務員法第38条による制限です。
副業が禁止されている理由は、公務員の職務に専念するためや、職務外で営利活動を行うことが公務の信用や公平性を損なう恐れがあるためです。具体的には、企業の役員になることや、報酬を得て事業に従事すること、自営兼業を営むことが制限されています。
ただし、自営兼業のうち不動産賃貸業は、公務員にも許可される場合があります。自ら賃貸アパート・マンションなどのオーナーになる不動産投資は、不動産賃貸業に該当するため、条件を満たせば行うことが可能です。
条件については、次の項で説明します。
参考:内閣官房|国家公務員の兼業について
参考:総務省|地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について
公務員の不動産投資が認められる条件
公務員が不動産投資をする場合、3つの条件をすべて満たすことで、「営利目的の副業ではない」とみなされます。その場合は、許可不要で不動産投資を行うことが可能です。
公務員が許可不要で不動産投資を行える条件は、以下の3つです。
- 5棟10室未満
- 管理を委託する
- 賃料収入が年間500万円未満
上記の条件以上の物件規模や収入がある場合、無許可では投資を行えません。兼業許可申請が必要になります。ただし、兼業許可申請は提出しても許可されない場合もある点を認識しておきましょう。
3つの条件については、以下で詳しく解説します。
5棟10室未満
公務員が不動産投資を行う際、不動産の規模が「5棟10室未満」であることが条件の一つです。この条件を満たしていると、許可申請なしでも投資が認められます。
反対に「5棟10室以上」になる場合は、営利目的とみなされます。戸建て住宅の賃貸では5棟以上、アパートやマンションでは合計10室以上になると、兼業許可が必要です。
管理を委託する
不動産投資をする際、管理業務を外部に委託することも公務員が投資を行うための条件です。入居者募集や家賃の集金、物件の維持管理などの業務を管理会社に委託することが求められます。
この規定は、投資活動が公務に支障を与えないようにするためのものです。自分で管理業務を行うと、職務専念義務に反する可能性があるため、委託するように定められています。
賃料収入が年間500万円未満
もう一つの条件は、賃料収入が年間500万円未満であることです。
500万円未満であれば許可不要で不動産投資を行うことが可能です。一方、500万円以上になる場合は営利目的と見なされるため、兼業許可を得る必要があります。
なお、500万円未満かどうかは、経費等を控除する前の収入額で判断されます。投資を行う際に収入の見込みを計算しておきましょう。
公務員が条件を満たさない不動産投資をしたらバレる?

前項では不動産投資を行う際の条件をお伝えしましたが、条件を満たさずに公務員が不動産投資をした場合、バレるのでしょうか。ここでは、バレる原因やバレた場合の罰則を解説します。
- 住民税でバレるリスクがある
- SNSや噂でバレる
- バレたら罰則が科される可能性がある
それぞれ見ていきましょう。
住民税でバレるリスクがある
公務員が条件に適合しない不動産投資をした場合、住民税の変動によってバレるリスクがあります。
公務員の場合、原則として住民税は給与から控除(天引き)され、勤務先がまとめて地方自治体に納税する仕組みです。
不動産投資による収入が発生した場合、家賃収入にも住民税がかかります。この際、勤務先が把握している金額と実際の課税額に差が生じることで、バレる場合があります。
SNSや噂でバレる
SNSや噂によって、不動産投資をしていることがバレるリスクもあります。
SNSは匿名であっても、写っている景色や投稿の内容から、個人を特定される可能性があります。不動産投資に関する情報を発信していると、勤務先にバレるかもしれません。また、職場での会話や飲み会での発言が噂となり、上司の耳に入ることもあります。
バレたら罰則が科される可能性がある
公務員法では副業が原則禁止されているため、条件に適合しない不動産投資を許可なく行った場合は法令違反となります。バレた場合には懲戒処分の対象となる可能性もあります。
公務員の懲戒処分には4つの種類があり、処分が軽い順に「戒告」「減給」「停職」「免職」となっています。このうち、営利目的の不動産投資を許可なく行った場合の懲戒処分は、原則として「戒告」もしくは「減給」です。
なお、戒告とは文書や口頭で厳重注意をする処分で、懲戒処分の中ではもっとも軽いものです。
過去には実際に、1~6か月の減給(10分の1)や、戒告の処分が行われた事例がありました。また、公務員の信用を著しく傷つけるような副業を行っていた場合には、より重い処分の懲戒免職となる場合もあります。
参考:人事院|義務違反防止ハンドブック(P24)
参考:東京市町村自治調査会|公務員における副業・兼業の現状と課題(P8)
許可を得れば条件外の不動産投資も認めてもらえる可能性がある
前項まで、許可不要で不動産投資を行える条件や、許可を取らなかった場合の罰則を紹介してきました。ただし、条件を満たさない不動産投資でも、許可を得ることで認めてもらえる場合があります。
ここでは、許可について重要な以下2つのポイントを解説します。
- 許可が下りやすいケース
- 申請は投資を始める前に
詳しく見ていきましょう。
許可が下りやすいケース
「5棟10室未満」や「賃料収入500万円未満」の条件を満たしていない場合でも、以下の2つのケースでは許可が下りやすくなっています。
- 不動産を相続した場合
- 自宅を賃貸する場合
本来、副業が禁止されている理由は、本業に支障を来たさないためです。そのため、公務員であるという理由だけで、相続した財産の放棄や売却を強要することはできません。
また、転勤などにより空室になった自宅を貸し出す場合も、営利目的で購入したものではないため、比較的許可がおりやすくなっています。
申請は投資を始める前に
副業の条件に適合せず、許可申請を行う場合は、不動産投資を始める前に申請します。
兼業許可申請は必ず下りるものではなく、却下される可能性もあります。副業の条件を満たせないことがわかった時点で、上司へ相談しましょう。許可が下りる場合でも日数がかかる可能性があるため、早めに申請を提出する必要があります。
兼業許可申請に関する詳細は各自治体で定められていますが、多くの自治体では「兼業を行う場合はあらかじめ申請する」となっています。
また、一部の自治体では、兼業を始める1週間前までが申請期限となっている場合もあります。お住まいの自治体や勤務先に確認して手続きを進めましょう。
参考:東京都水道局職員の兼業許可等に関する事務取扱規程の運用について(第2 第3条関係)
参考:青森県弘前市|弘前市職員の兼業許可等に関する事務取扱要領(第4条)
まとめ
不動産投資は公務員にも認められています。「5棟10室未満」「管理を委託する」「賃料収入が年間500万円未満」の条件を満たしていれば、許可不要で行うことが可能です。
条件に適合しない不動産投資を行う場合は、兼業許可申請が必要です。無許可で行うと懲戒処分を受ける可能性があるため、必ず申請しましょう。
なお、条件のひとつに「賃料収入500万円未満」があるため、収入の見込みを綿密に計算しておく必要があります。
東急リバブルでは、不動産のプロが収支計画のサポートもしていますので、お気軽にお問い合わせください。
ワンポイントアドバイス
不動産投資は手間をかけずに家賃収入を得られる副業なので、公務員の方にもおすすめできます。ほとんどの副業が禁止されている中、条件さえ満たしていれば自由に行える点も不動産投資の魅力です。
また、公務員は収入が安定しているので、ローンの審査にも比較的通りやすいと考えられます。不動産投資に興味がある方は、条件に適合する物件を見るところから始めてみましょう。
この記事のポイント
Q. 公務員でも不動産投資が認められますか?
A. 公務員が不動産投資をする場合、3つの条件をすべて満たすことで、「営利目的の副業ではない」とみなされます。詳しくは「公務員の不動産投資が認められる条件」をご覧ください。
Q. 条件を満たしていないのに不動産投資をした場合、職場にバレますか?
A. 条件を満たさずに公務員が不動産投資をした場合のバレる原因やバレた場合の罰則を解説します。詳しくは「条件を満たさない不動産投資をしたらバレる?」をご覧ください。
Q. 条件外の不動産投資は認めてもらえないのでしょうか?
A. 条件を満たさない不動産投資でも、許可を得ることで認めてもらえる場合があります。詳しくは「許可を得れば条件外の不動産投資も認めてもらえる可能性がある」をご覧ください。