専門家コラム
他の投資と比較することで見える
不動産投資の黄金律
COLUMNIST PROFILE
吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
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多くの方が投資をする時代になりました。
政府はより税メリットの大きい新NISAを24年からスタートさせ、
より多くの方が投資をするように後押しています。
古典的な投資と呼ばれる「株式投資」や「国債投資」、「為替取引(FX)」、
オルタナティブ投資と言われる「金」などの商品への投資、不動産投資など、
投資の種類は多種多様です。
投資種別の比較3つの視点
ここでは、不動産投資を含めて多くの方が行っている比較的身近な投資を比較する際に3つの視点で比較を行うことにします。
- 元本のリスク(リスク許容度)
- リターンの種別
(キャピタルゲインとインカムゲイン) - レバレッジ効果
以上の3つの視点です。
投資を始める前に決めておくこと
どんな投資においても、始める前に目的を決めておくことが必須です。
「〇%以上の値上がりを期待したい」「毎月あるいは年間〇〇万円の収益を得たい」
「将来に備えて現金の代替として保管したい」といった目的です。
そこで、ポイントとなるのが「どれくらいのリスクを許容できるのか」という
「リスクの許容度」です。リスクとリターンは表裏一体の関係にあります。
投資先をどう分類するかにおいては、さまざまな角度から行うことができます。
1元本のリスク許容度による投資の分類
投資の対象となるものには、
元本保証型(厳密には完全に保証されるものはありません)
元本変動型
元本0-100型
の3つに分かれます。
元本保証型の投資型には、定期預金(金融機関が破綻すれば上限がありますが保護されます)や、国債投資(各国がデフォルトしない限り期限日に約束された金額がもらえます)などがあります。これらは、一般的にリスクが少ないため、利回りは低く設定されています。
元本変動型には、株式投資や不動産投資などがあります。ここでいう元本とは、投資する資産のことと捉えてください。これらの資産は、価格が上下することがありますが、基本的には(可能性ゼロではないという意味です)、価値がゼロになる事はありません。
一般的に、価格の振れ幅は株式>不動産です。
元本0-100型には、FX投資があります。FXは為替投資ですが、一般的なFX投資では為替相場の動きが小さいためレバレッジをかけて投資を行います(最大25倍まで)。そのため、狙っていた方向と逆に大きく動いた場合には、強制的に売却されることになり、ゼロになってしまう可能性もあります。
2キャピタルゲインとインカムゲイン
投資によるリターンを大きく分けると、値上がり期待のキャピタルゲインと賃料や配当期待のインカムゲインに分かれます。
元本保証型の投資では「約束された利息を約束された期日に受け取る」というスタイルですので、どちらにも当てはまりません。
不動産投資や株式投資が該当する元本変動型では、このキャピタルゲインとインカムゲインのどちらも狙える投資です。投資家のスタンスにもよりますが、株式投資ではキャピタルゲインを不動産投資ではインカムゲインを主目的にする方が多いようですが、本来は「賢くどちらも狙う」のがよいとされます。株式も不動産も経済成長がある状況下では、基本的にはキャピタルゲインを得ることができます。
元本0-100型と位置付けた為替投資は「ゼロサムの投資」ということが大きな特徴です。誰かが儲かれば誰かが損をする、比較的ギャンブル要素の強い投資といえます。
3投資とレバレッジ
元本保証型の投資である定期預金や国債投資などでは、基本的に借り入れを行っての投資を行うことはありません。
一方、資産を保有することになる不動産投資や株式投資が該当する本元変動型では借り入れを行っての投資が可能です。株式投資の場合は、一般的には信用取引口座を開設すれば3.3倍までのレバレッジを効かせることができます。
不動産投資の場合は、金融機関からの借り入れを行うことができますので、例えば3000万円の物件を購入する際に、2400万円を借り入れで行えば借入割合8割(LTV=80%)で、レバレッジは5倍ということです。
FX投資では、25倍のレバレッジをかけることができますが、かなりリスクの高い投資になり注意が必要です。
こうしてみれば、レバレッジをかけることのできる投資では、資産性が高く、ブレ幅が許容範囲で収まる投資は、株式投資と不動産投資に軍配が上がりそうです。
3つの視点から見る不動産投資の成功のセオリー
ここまでをまとめると「不動産投資」の特徴は、
1元本(投資資産の価値)が、上下する可能性がある。
2資産の値上がり期待(キャピタルゲイン)と賃料収入(インカムゲイン)の両方を狙うべき投資である。
3資産性がある物への投資のため、借入での投資が可能。レバレッジ効果が期待できる。
ということです。
こうしてみれば「1のリスクをどこまで抑えることができるか」が投資のカギと言えます。
具体的には「価値が下がらない」もしくは「価値が上がる」物件を選び投資をすることができれば、1のリスクは減り、2でのキャピタルゲインを得られる可能性があがり、3担保割れの可能性が減ります。
不動産投資のカギは「価値の下がらない、あるいは価値が上がりそうな物件を選ぶ」このことにこだわった投資物件選びを行うことが成功のセオリーです。
- ご留意事項
- 不動産投資はリスク(不確実性)を含む商品であり、投資元本が保証されているものではなく、元本を上回る損失が発生する可能性がございます。
- 本マーケットレポート に掲載されている指標(例:利回り、賃料、不動産価格、REIT指数、金利など)は、
不動産市場や金融市場の影響を受ける変動リスクを含むものであり、これらの変動が原因で損失が生じる恐れがあります。
投資をする際はお客様ご自身でご判断ください。当社は一切の責任を負いません。 - 本マーケットレポートに掲載されている情報は、2023年4月20日時点公表分です。
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