専門家コラム
区分マンション投資、新築物件と中古物件のどちらがよい?
COLUMNIST PROFILE
吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
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ネット広告などで、マンション投資の案内を目にすることがありますが、その多くは新築物件です。かつてはマンション投資=新築物件のイメージがありましたが、現在では中古物件の流通量が増え、新築・中古と2つの選択肢となりました。ここではそれぞれの長所・短所について解説しましょう。
新築マンション投資とは
新築マンションとは、工事完了後誰も住んだことのない物件のことです。加えて建築後1年以内の物件という条件も付きます。そのため、ときどき「未入居物件」と記載されている物件案内を見かけますが、これだけでは「新築」かどうかわかりません。
また、購入後賃貸することを前提とした「賃貸用」物件への投資が「新築マンション投資」の多数ですが、最近は自己所有で自己利用を前提として分譲マンションを投資用として購入する方も増えており、「新築マンション投資」は、安価な物件から高額物件まで広がりを見せています。
新築マンションの場合、たいてい売主は供給主であるデベロッパーであり、投資家はデベロッパーから買うか、販売会社(販売代理店)から買うことになります。そのため、基本的には購入者は、仲介手数料など不要です。
中古物件投資の2種類
投資用の中古マンションと言えば、そのほとんどはワンルームタイプやコンパクトタイプと呼ばれる、間取りでは1R,1DK,1LDK、広さは20㎡~40㎡程度の単身者向けのマンションです。築年数が浅い物件もありますが、投資用新築マンションが多く供給された2000年代前半~2010年までに建築された築15~20年程度の物件が多いようです。
投資用の中古マンション物件は、分譲マンションの取引と同じように、仲介業者が間に入り売主と買主が取引を行う仲介パターンと、業者が所有者から物件を買い取り、それを新たな投資家に売る、売買パターンがあります。
前者の場合、購入者(投資家)は物件代金に加えて仲介手数料がかかります。後者の場合は、いったん業者買い取っていますので、その業者から買えば、手数料などはかかりません。
中古物件が増えた背景
かつてマンション投資といえば、投資用(賃貸用)の新築マンション(おもにワンルームマンション)を購入するのが一般的でした。しかし、2013年頃からサラリーマンやOLにも投資をする方が広がったことで、より安価な中古ワンルームへ投資をする方が増えました。また、2000年代(2000~2009年ごろ)に投資用新築マンション供給が増え、それらを購入した方が、一定年数保有したことで、徐々に売りに出すことが増え、徐々に中古物件が市場に出回り始めたことで、需要と供給が合致したことが、投資用マンションにおいて中古物件が増えた要因です。
また、投資用新築マンションは、分譲マンションやビジネスホテルなどと競合し用地仕入れの難易度が上がった事などから、購入意欲のある投資家は増えているものの、物件供給が追い付かないような状況となっており、このようなことから中古物件に流れていることも、要因と言えるでしょう。
新築物件への投資の長所と短所
しかし、投資用の新築マンションも相変わらず販売は好調のようです。中古物件と比べて、同一条件下では価格が高いことが一般的ですが、投資用で新築マンションを購入するメリットはどんなことでしょう。
まず、賃貸における優位点です。新築プレミアムと言われるように、賃借人が付きやすく、賃料も高く設定することが可能です。次に、突発的な「〇〇が壊れたので、修理してほしい」というような状況になりにくく、築後10年程度はメンテナンスコストがほとんどかかりません。また、新築マンションですので、中古物件に比べて同一条件では金融機関の評価が高くなり、期間などで有利な条件となる可能性があります。
一方、デメリットとしては金額が高いことで利回りが低くなり、キャシュフローが悪化しやすいこと、また先に述べた賃料が数年すると新築プレミアムがなくなり、初期入居に比べて下落可能性が高くなる事でしょう。
中古物件への投資の長所と短所
投資用マンションの中古物件では、すでに入居者が付いている物件を買う場合(オーナーチェンジ物件)が多く、すでに数回入れ替わりが起こっているため、賃料が下落しにくいといえます。ただし、その賃料が現在の相場に照らして妥当かどうかの判断が必要です。高い場合は、現在の入居者が退去後は下がる可能性があり、その際は利回りが悪化します。逆に、現在低い場合は、想定利回りは上がる可能性もあります。このような目利きが必要で、こうした点をデータに基づいてアドバイスしてもらえる業者から買うといいと思われます。
デメリットとしては、先に新築物件で述べたことの逆で、メンテナンスコストがかり、突発的な修繕費用などが必要になる可能性が高くなります。また、築年数によっては融資期間が短くなります。
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