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専門家コラム

資産の組み換えはなぜ、不動産資産形成の王道なのか

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吉崎 誠二

COLUMNIST PROFILE

吉崎 誠二

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

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「投資用不動産資産の組み換え」の第2回目のテーマは、「資産の組み換えはなぜ、不動産資産形成の王道なのか」についてです。投資用資産を組み替えるということは、いうまでもなく、「すでに所有している物件の全部または一部を売却し新たな物件を購入する」ということですが、大まかな流れは、以下のようになります(状況により異なります。あくまでも一例です)。

⓪資産の組み換えが資産形成における王道であることを理解する
①どんな資産組み換えをイメージするか、目的・目標などを決める
②新規購入物件への投下資金のイメージ(新たな自己資金はどれくらい?)
③所有している物件の査定などを精査
④新規購入物件候補のリスト化、収益シミュレーションなどの作成
⑤所有している物件の全部あるいは一部の売却
⑥新規物件の購入

今回はこのうち、イントロにあたる⓪について解説します。

目次
資産の組み換えこそが、不動産資産形成の王道
会社勤めの投資家の方は、キャピタルゲインに興味ない?
株も不動産も、プロは積極的に資産の組み換えを行っている
資産形成を加速させるために

資産の組み換えこそが、不動産資産形成の王道

不動産投資において、「資産の組み換え」を行うことは、資産を確実に増やすための王道と言えるでしょう。日本で発売される「不動産投資」に関する書籍では、特に初心者向けの書籍が多く、その中身は「不動産投資の優位性」と「どんな物件を選べばいいのか」が中心に書かれており、購入した不動産資産の売却についてはあまり書かれていません。しかし、アメリカで書かれた(発売されている)不動産投資関連や資産形成関連の書籍では、「資産は組み替えることで増える」ことについての解説ページがたいていあります。
 日本においては、一度保有した不動産資産をずっと持ち続ける傾向にあります。自宅などではこの思考は分かりますが、投資用に保有している、つまり収益を上げるために保有している物件では、タイミングを見て売却することで、より多くの収益を上げることを検討してよいと思われます。

会社勤めの投資家の方は、キャピタルゲインに興味ない?

たしかに賃貸住宅として貸すことで賃料を得る収益不動産においては、年単位でのキャッシュフローがプラスならば、「利益を生み出す資産」ですから、「このままでいいかな」と考える投資家の方も多いことでしょう。また、特に区分マンション投資等では、普段は会社勤めの方が多いと思いますので、「あまり気にしていない」という感じかもしれません。
不動産投資における醍醐味は様々あります。ざっと挙げると、①投資にレバレッジが効くこと、②節税可能性があること、③インカムゲインがあること、④キャピタルゲインがあることなどですが、先ほどの書籍の例や、「不動産投資セミナー」のようなものでは、①・②・③を取り上げることが多くなっており、④についてはあまり触れないというのが実情です。

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株も不動産も、プロは積極的に資産の組み換えを行っている


しかし、不動産投資のプロ(つまりそれを職業としている企業)では、不動産投資の狙いは圧倒的に④のキャピタルゲインです。これは資産の運用を行う全てのビジネスで同じことです。
 例えば、株式投資では多くの投資家は、昔の証券会社の営業担当者は「この株上がると思いますよ」というような営業トークをしていたように、1株1000円で買った株が2000円になった(2倍になった!)というような資産上昇を狙います。もちろん、インカムゲインである配当をメインに考える投資家の方もおられますが、見知る限りではキャピタルゲイン狙いの方が多いようです。しかし、1000円の株が2000円になったとしてもそれを売却しない限り、その利益は「絵にかいた餅」です。もちろん株式投資では、グロース株狙いで長期保有を基本線としている投資家もいます。しかし、株式投資で儲けている方の多くは(少なくとも、それを職業としている方や企業は)、ある線まで上昇すれば「利益確定=利確」を行い、その利益を元手に、新たな銘柄へ投資を行う、ということを繰り返しています。資産の組み換えを積極的に行い、ベストなポートフォリオを構築しているということです。
 また、不動産証券化商品であるJREITでは、各銘柄をアセットマネジメント会社が運用し、その運用益を投資家に還元する仕組みです。その収益(=配当原資)をみれば、ポートフォリオに組み込まれている各物件からの賃料から経費などを引いたもの(これを巡航収益と言います)、と譲渡益(売却価格-取得価格)から成り立っています。そして、巡航収益を落とさないために新たな物件を購入します。ここでも資産の組み換えが行われています。

資産形成を加速させるために

不動産投資を初めて行う投資家の方は、「まず区分マンション投資」という方が多いと思います。1物件目を購入してしばらくして少し感覚がつかめると、続けて2物件目、3物件目・・と増やしている投資家の方も多いことでしょう。
 しかし、ここで止まっていると「真の資産形成」にはつながりません。ここ10年くらい不動産価格上昇が続いているなかで、売却益の出る物件も多いと思われます。いまこそ「不動産資産形成を加速させるチャンス」なのかもしれません。

ご留意事項
不動産投資はリスク(不確実性)を含む商品であり、投資元本が保証されているものではなく、元本を上回る損失が発生する可能性がございます。
本マーケットレポート に掲載されている指標(例:利回り、賃料、不動産価格、REIT指数、金利など)は、
不動産市場や金融市場の影響を受ける変動リスクを含むものであり、これらの変動が原因で損失が生じる恐れがあります。
投資をする際はお客様ご自身でご判断ください。当社は一切の責任を負いません。
本マーケットレポートに掲載されている情報は、2024年7⽉16⽇時点公表分です。
各指標は今後更新される予定があります。
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