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専門家コラム

保有する収益不動産の売却、その最下限価格の考え方

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吉崎 誠二

COLUMNIST PROFILE

吉崎 誠二

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

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「投資用不動産資産の組み換え」の第4回目のテーマは、「保有する収益不動産の売却」です。

⓪資産の組み換えが資産形成における王道であることを理解する
①どんな資産組み換えをイメージするか、目的・目標などを決める
②新規購入物件への投下資金のイメージ(新たな自己資金はどれくらい?)
③所有している物件の査定などを精査
④新規購入物件候補のリスト化、収益シミュレーションなどの作成
⑤所有している物件の全部あるいは一部の売却
⑥新規物件の購入

目次
収益不動産の売却の2パターン
仲介形式での売却
買取形式での売却
買取形式で注意しておきたい事
売却価格の最下限の設定について

収益不動産の売却の2パターン

保有する収益用区分マンションを売却する際は、誰もが「できるだけ高く売りたい」と考えるでしょう。収益不動産の売却には「仲介形式」と「買取形式」があります。基本的には、買取形式の方が売却価格は低くなる傾向がありますが、物件や業者の選び方によって異なるため、「ケースバイケース」と言えます。

仲介形式での売却

仲介会社に「仲介形式」で売却を依頼する際には、まず査定を依頼し、売り出し価格(公募価格)を決めます。その際、例えば「売り出し価格は3,100万円でスタートしますが、指値(値交渉)が入った際には、3,000万円まででお願いします」といった形で、スタート価格と最低価格を設定することが一般的です。また、売り出しの期間(例えば3か月間公募する)も合わせて決めます。
仲介形式での売却の場合、問い合わせ(買い付け申込)があり、金額に折り合いがつけば売却が成立します。一般的には、契約時に買い主から手付金が支払われ、残金は決済時に支払われます。この間、スムーズに進めば数か月程度ですが、長引くと半年ほどかかる可能性もあります。この時、仲介手数料(3%+6万円+税)を仲介会社に支払います。スムーズに売却できることもありますが、そうでない場合もあるため、確実に早く現金化したい方には、次に述べる買取形式がおすすめです。

買取形式での売却

一方、収益不動産を仲介会社や買取専門業者に買い取ってもらう形式もあります。買い取った物件は、再販されるか、業者が保有することになります。いずれにせよ、売買契約の相手は仲介会社(もしくは買取専門会社)です。売買価格は、例えば「2,500万円で買い取ります」と金額を提示され、その後多少の交渉を経て価格が決まります(もちろん提示された価格に不満があれば、成約には至りません)。

東急リバブルでは、どちらの形式にも対応しているようなので、自身の状況を検討した上で選択できます。このように、両方に対応している大手仲介会社は少なく、例えば複数戸所有している場合、仲介形式でじっくり売却する物件と買取形式でスムーズに売却する物件をワンストップで依頼できるため、売却計画や資産組み換え計画を戦略的に行うことができ、便利です。

買取形式で注意しておきたい事

収益不動産を買取形式で売却する最大のメリットは、素早く(面倒が少なく)売却し、現金化できることです。
上記の例は、東急リバブルも採用している一般的な買取形式です。しかし、中には「売買契約は交わすが、売買代金の支払いは半年後(あるいは3か月後)」といった条件を提示する買取専門業者もいます。このような場合、業者はその半年の間に購入者を見つけ、買い取った物件を再販することを目指します。業者は形式上、(不動産の所有権移転登記をせず)資産を保有する形を取り、売主と業者、業者と買主との間で2つの売買契約を交わします。
この形式は一応合法ですが、売主としては、なるべく早く現金化したいと考えるでしょう。そのため、代金支払いの期間が短い契約を希望することを伝えると良いでしょう。

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売却価格の最下限の設定について

「これくらいで売れるといいな」という金額は、多少不動産投資を行っている経験のある方ならば、キャップレートを基準にして、NOI利回りで割り戻して価格の計算をするでしょう。しかし、「これ以下で売りたくないな」の最下限金額の設定には個人差があります。
例えば、3000万円で購入した収益用区分マンション、頭金200万円で2800万円をローン借り入れ、6年経過後の残債が2200万円だとします。また、月々のキャッシュフローは税金分を含めた、多少のプラスが出ているものとします(ここでは諸経費等は考えない。以下同じ)。
所有者の希望としては、購入時価格(3000万円)を下回ると損したイメージを持つと思います。しかし、2800万円で売れれば手残りは600万円で、そこから頭金200万円を引けば400万円(+月々のプラス分×6年間)が真の手残りということになります。ローン支払分は、不動産に変えて貯蓄していたというイメージになります。このような「手残りはいくらか」という考えで収益不動産の売却の最下限価格を考えればいいでしょう。

ご留意事項
不動産投資はリスク(不確実性)を含む商品であり、投資元本が保証されているものではなく、元本を上回る損失が発生する可能性がございます。
本マーケットレポート に掲載されている指標(例:利回り、賃料、不動産価格、REIT指数、金利など)は、
不動産市場や金融市場の影響を受ける変動リスクを含むものであり、これらの変動が原因で損失が生じる恐れがあります。
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本マーケットレポートに掲載されている情報は、2024年9⽉16⽇時点公表分です。
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