自社データ
レポート2022.03
四半期ごと成約件数・
平均成約表面利回りの推移
区分マンション投資において利回りは、重要な指標となります。
不動産は物件価格が1つずつ異なり、また賃貸用物件においては、賃料もまた1部屋ごとに異なるため、価格の妥当性を判別するのが困難と言えます。そのため、賃貸用物件、つまり投資用不動産においては、利回りが投資妥当性の判断基準となっています。
投資用物件の利回りは主に、表面利回り(賃料総額(年)÷物件価格)とネット利回り((賃料-各種経費)÷物件価格)の2種類ありますがネット利回りにおいては、経費について「どこまで経費とみなすか」により異なります。そのため、表面利回りの方が判断基準としては、分かりやすい利回り表記と言えるでしょう。
東急リバブルが2016年~21年にかけて仲介のサポートをした投資用マンションの中から、エリアを絞り約4000件をピックアップして利回りの分析を行いました。そのほとんどは、投資用=賃貸用の中古区分マンションです。
それらを、都心エリア、城南・城西エリア、城東・城北エリアの3つに分けてグラフ化しましたので、解説と合わせてご覧ください。
都心エリア
図1は、都心エリア(中央・港・千代田・新宿・渋谷の5区)の四半期ごとの成約件数とその四半期ごとの平均成約利回りの推移を示しています。
これを見ると、2016年から21年の全体的な傾向としては、利回りは右肩下がりとなっています。2018年以降は6%を下回る状況が続いています。この間賃料はあまり上下していませんので、物件価格が上昇したことを示しています。
また、四半期ごとの成約件数をみると、多少の差はありますが、概ね50~60件前後で推移しています。
こうしたことから考えると、たとえ利回りが低くなっていても、区分マンションへの投資意欲は旺盛であることが分かります。
城南・城西エリア
図2は、城南・城西エリア(目黒・品川・大田・中野・世田谷・杉並、練馬の7区)の四半期ごとの成約件数とその四半期ごとの平均成約利回りの推移を示しています。
これを見ると、都心エリアと同じく2016年から21年の全体的な傾向としては、利回りは右肩下がりとなっています。
2018年以降は6.5%を下回る状況になり、21年の後半は6%を下回っています。
また、四半期ごとの成約件数をみると、2016年は、概ね50~60件前後で推移、以降は70~90件で推移しています。
こうしたことから考えると、たとえ利回りが低くなっていても、区分マンションへの投資意欲は旺盛であることが分かります。
城北・城東エリア
図3は、城北・城東エリア(北・板橋・文京・豊島・荒川・江東・墨田・台東・葛飾・足立・江戸川の11区)の四半期ごとの成約件数とその四半期ごとの平均成約利回りの推移を示しています。
これを見ると、2016年から2021年の全体的な傾向としては、利回りは右肩下がりとなっています。
2016年ごろは7%台半ばで推移していましたが、以降は6.5%を下回る状況になっています。
また、四半期ごとの成約件数をみると、2016年は、概ね40~50件前後でしたが、年を追うごとに取引件数が増えていることがわかります。
吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て 現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書:「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社)、 「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
(レギュラー出演)
ラジオNIKKEI「吉崎誠二のウォームアップ 840」(ニュース解説番組)
「はいさい!沖縄デュアルライフ」 (吉崎誠二×新山千春)
「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」(不動産投資番組)
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
吉崎誠二公式サイト http://yoshizakiseiji.com/