憧れの豪邸に暮らす方に、住まいのこだわりを伺う本企画。今回は、明治神宮や富士山を一望できるデーブ・スペクターさんご夫妻の高層マンションにお邪魔しました。華やかで開放感ばつぐんのリビングやデーブさんの仕事場をめぐりながら、お部屋選びやインテリアのこだわりを伺います。
デーブさんプロフィール |
コメンテーター・プロデューサー・放送作家。米国イリノイ州シカゴ出身。O型。1984年に、米国ABC放送のプロデューサーとして来日し、フジテレビ系バラエティ『笑っていいとも!』にゲスト出演したことをきっかけに日本デビュー。以降、コメンテーターや番組プロデューサーを中心に活躍中。 <SNS情報> |
高層マンションが大好き! 眺めはばつぐん
シカゴに生まれ、もともとはアメリカABCのプロデューサーとして、日本の番組を買い付けるために来日してきたというデーブ・スペクターさん。ひょんなことから『笑っていいとも!』に出演し、外国人タレントブームの中心を担うようになりました。以来40年以上も日本のテレビ業界で活躍しています。
そんなデーブさんのお宅は、千代田区にある高層マンションです。
――まず、このすばらしい眺めに圧倒されますね……!
デーブ・スペクター(以下デーブ):とにかく高層ビルが好きなんですよ。シカゴでも100階建てのマンションに住んでいました。いまでいうタワマンのはしりですね。最近は日本でもタワマンが普通になってきたから、時代が僕に追いついてきたなぁと思います。
デーブ:このマンションは窓が二方向に面していて、いろんな景色を楽しめるのが気に入っています。天気のいい日は富士山が見えるし、お台場の花火大会も見える。高尾山の山頂でおばさんが団子を食べている様子や、国会議事堂で居眠りをしている人もわかります。明治神宮野球場の試合が見えるから、かならずヤクルトスワローズを応援しなきゃならないのが難点ですが(笑)。
デーブ:国立競技場も近いから、オリンピックのときにはアメリカのテレビクルーがカメラポジションを借りたいと交渉してきました。夕焼けや夜景など、時間によって表情が変わるのもいいですよ。そしてなにより、ほとんどのテレビ局にすぐ行けるアクセスのよさが最高です。
――こちらのお部屋は、眺めとアクセスで選ばれたのですか?
京子・スペクター(以下京子):もともと知人がこのマンションの違う階に住んでいて、花火大会が見えるからとお招きしてくれたんです。それで、すばらしい眺めが気に入って決めました。それまでの十数年はヒルトンでホテル暮らしをしていたのですが、ものが増えてきて、やはり合理的ではないなと思っていたところだったんです。
デーブ:部屋選びでほかに注意したのは、周りの環境と防音性ですね。若いころは壁の薄いアパートに住んでいて、隣の部屋のリモコンで自分のテレビのチャンネルが変わっちゃうような経験もしていたから、そのあたりはやっぱり気になります。24時間体制のセキュリティも欠かせません。
――これだけ豪華なお宅なのに、私たちと同じように周囲の環境などもチェックして選ばれているんですね。
デーブ:そりゃあそうですよ。引っ越してくるときには、可能なら住んでいる人にインタビューしてみるといいですね。建物やアクセスがどれだけよくても、騒音の出る時間帯があるかもしれない。そういう部分は、市場調査しないとわかりませんから。不動産屋さんにも、気になることはがんがん質問するといいですよ。
ガラステーブルは40年ほど前に購入。気に入ったものを長く使う
――本当に、広々としたリビングがとても気持ちいいですね。
京子:広く見える工夫をしているんです。ものをできるだけ目に見えないように収納したり、壁に鏡を貼って奥行きがあるように見せたり……。
――たしかに、鏡やクリスタル素材のアイテムが多いことで、よりいっそう広く感じられます。しかしこれだけのスペースがあると、家具選びも楽しそうです。
京子:ベッド、ソファーは、ヒルトンホテルで使っていたのとまったく同じものをオーダーしました。とてもしっかりした作りで、快適に使えましたから。あと、このガラステーブルは40年ほど前、ロスで暮らしていたときに買ったものです。そのまま持ってきて、愛用しています。
ーーひとつの家具を長く使われているんですね。お金があってインテリアがお好きなら、どんどん買換えていくのかと想像していました。
京子:日本では、10年も使えば買換えることが多いですものね。でも、気に入っているものは長く使いたいんです。本当に好きな家具を選べば、自然と長持ちします。
デーブ:最初は「少し値段が張るな」と思ったけど、割り算したら激安ですからね。とっくに元が取れました。
――こうした家具は、どんなお店で購入されるんですか?
デーブ:アメリカでは、インテリアデコレーターという専門の方に相談しますね。ロスのロバートソン通りというところには、ものすごい数のインテリアショップがあるんです。でも、たいていは一見さんお断り。買い物できるのは、資格を持ったインテリアデコレーターだけなんです。それから、香港では「OⅤO」という店をよく活用します。
でも、その牛柄のオットマンはIKEAですよ。
――えっ!?
デーブ:ロケで行ったら「ほしいものはありますか?」と聞いていただいたので、このオットマンをリクエストしたんです。
――この空間にあると、何十万円もするように見えますね……!
デーブ:家具選びって工夫でなんとでもなるんですよね。空間に合っていれば、高いものばかり買う必要はない。
――勉強になります! お部屋の色の組み合わせ方も絶妙ですよね。
京子:基本は白と黒、シルバー。ときどきアクセントにバーガンディを入れています。あるときバーガンディのキャビネットを買ってから、クッションやお花で同じ色を選ぶようにして、バランスを取りました。
デーブ:ピアノもカラーコーディネートの一環なんですよ。昔、白黒の猫を飼っていて、部屋と猫に合うインテリアを考えたらピアノになったんです。だから、普段は誰も弾いていません。
アートの楽しみ方は自分次第。良いものは投資にもなる
――そして、部屋のあちこちで目を引くのが、大きな絵画やオブジェです。
デーブ:昔少しだけ絵をやっていたので、アートは好きなんです。とくに、大きな絵を壁にどーんと飾るのがいい。アメリカの家は広いから、あらゆる壁にどんどん絵を飾れたんですよね。それに、アートは投資にもなります。何十年も飾って楽しめるうえ、価値が上がれば財産にもなるんです。
――たしかに素敵ですが、飾るスペースがなかなか取れません。どんな絵を選んでいいかもわからないし……。
デーブ:お気に入りのポスターを額装するだけでも、ぐっと素敵な空間になりますよ。どんな作品だって、持ち主が自信を持って飾れば充分にアートです。夫婦のデートで行ったコンサートのチケットをアクリルフレームに入れて飾る、なんていうのもいいですね。
――アートの楽しみ方も工夫次第なんですね。
京子:そうだと思います。我が家のインテリアも、じつは決して高級じゃないものがたくさんあったりするんです。ひな人形のうしろにある金屏風は、ベニヤ板に素敵な壁紙を貼ってもらっただけのものだし、廊下にあるシルバーの照明は、私が紙を貼ってつくりました。
――デーブ家を拝見していると、家づくりはもっと自由に楽しんでいいんだと思えてきます。廊下のオブジェにアクセサリーをかけたりしているのも、遊び心を感じますね。
京子:母にもらったジュエリーなども、しまいこんでおくよりいいと思って。ときどき、ここから取って付けて行ったりしてね(笑)。
――実用的でもありますね(笑)。こちらには、お客様もたくさんいらっしゃいますか?
京子:コロナの前にはときどきホームパーティーをしていました。バーカウンターでお酒やお寿司を楽しんだり、季節の花をあしらったテーブルコーディネートを用意したり、そういうおもてなしが好きなんです。
隣室を借りて仕事部屋に。集中して作業できる空間
――そういえば、デーブさんはご自宅だとどこでお仕事されているんですか?
デーブ:集中して作業をしたいし、資料も多いから、隣の部屋を仕事スペースにしているんです。こことはバルコニーでつながっていて、手軽に行き来できます。朝もめちゃくちゃ早いから、そのほうが過ごしやすいんですよね。
――このフロアに2部屋お持ちなんですね!? スケールが違う……!
京子:デーブはテレビを何台もつけっぱなしにして、さまざまな情報を取り入れるようにしているんです。コメンテーターとして適切な発言をするために、入念な下調べが欠かせないんですね。その環境として、どうしてもこことは別のスペースが必要でした。
――ものすごい数の映像資料ですね。
デーブ:何十年も前のテレビ番組がたくさんあるんですよね。これでもずいぶん倉庫に移したんですが、なかなか整理しきれません。「夕焼けにゃんにゃん」の映像なんて、テレビ局よりも充実しているから、ときどき「貸してほしい」と言われたりします。
――テレビ局を凌駕するデーブコレクション……。これだけの資料と向き合って、誠実にお仕事されているのが伝わってきます。そして、膨大なネクタイとスーツ!
デーブ:ここから毎日衣裳を選んでいます。ネクタイは1000本くらいあるんじゃないかな。
――子どものころから当たり前にテレビに出ているのを観ていましたが、デーブさんって、本当に日々バリバリ働いていらっしゃるんですね……。
京子:出演だけでなくプロデュースもしているので、各局から毎日のように問い合わせの電話がかかってきますよ。家にいる日でもだらだらせず、いつもシャキッとしている姿は本当に尊敬できます。
デーブ:でも、仕事部屋でNetflixを見たりはしていますよ。テレビがあるとだらだらしちゃうからこそ、リビングには置いていないんですが。
――お忙しいなか、お二人でくつろぐ時間はあるんでしょうか?
京子:ありますよ。リビングで景色を眺めながらおしゃべりしたり、さっき話していたことがすぐTwitterのネタにされていて驚いたり(笑)。
デーブ:会話のなかからネタが見つかるんですよね。
京子:なんにせよ、我が家にいるととてもリラックスできます。どこかに出かけていても、結局は我が家が一番です。
デーブ:住めば都はるみだからね。
――ふとした会話の中にもユーモアが交じる、笑いの絶えないインタビューでした。
(写真:黒滝千里/取材・文:菅原さくら)
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