屋根は、常に雨風や紫外線、砂ぼこりなどの厳しい環境にさらされています。
なかなかじっくりと見る機会はないのでつい忘れがちですが、劣化が進みやすい部分のひとつともいえます。屋根を適切なタイミングで修理をすることで、住宅を長持ちさせていきましょう。
どんなときに屋根の修理をすればよいのか、修理にはどの程度の費用がかかるのかについて解説します。
また、修理を依頼する業者の選び方や費用の準備の仕方についても紹介します。大切な家で快適に生活するためにも、ぜひご覧ください。
記事サマリー
屋根修理の費用相場
屋根修理の費用相場は、住宅の大きさや屋根素材の種類、素材のグレードによっても異なります。一般的な広さの一戸建て住宅の屋根修理について、おおよその相場を紹介します。ぜひ参考にしてください。
葺き替えは200~400万円
屋根修理のなかでも最も大がかりな工事になるのが「葺き替え」です。
現在の屋根材をすべて剥がして、屋根下のルーフィングシートも交換するので、雨漏りしにくくなる効果も期待できます。
なお、葺き替える際に、現在の屋根材と別のものを選ぶことができます。例えばガルバリウム鋼板のように軽量な屋根材を選べば、耐震性を高めることができるでしょう。
また、重厚感を出したい方は、粘土瓦を選ぶこともできます。重量があるため耐震性が低くなることもありますが、長持ちするので頻繁に修理しなくても良いというメリットがあります。屋根修理を依頼する業者とも話し合い、機能性や耐震性を向上させる素材を選びましょう。
屋根を葺き替える場合は、足場を組んで現在の屋根材を剥がし、下処理をして新しい屋根材を設置するため、工期は1~2週間ほどかかります。
屋根材や屋根の広さにもよりますが、相場は200~400万円です。
カバー工法は100~250万円
短期間で屋根の修理をしたいという方は、「カバー工法」も検討してみましょう。
カバー工法とは葺き替えるのではなく、現在の屋根に新しいものを乗せる工法で、現在の屋根材を剥がす作業と屋根下の処理をする作業がないため、葺き替えよりも短期間で工事が完了します。費用も葺き替えよりは安く、100~250万円です。
古い屋根材を剥がさないため、ホコリが立ちにくいというメリットもあります。
デメリットとしては、屋根の重量が増えるので、耐震性が落ちる可能性があることを挙げられます。また、屋根の一部が破損している場合や雨漏りがする場合などの修繕が必要な場合には、カバー工法は根本的な解決とはならないため利用できません。
屋根の塗装は30~70万円
屋根材の上に塗料を塗ることでも、屋根を長持ちさせることができます。この場合は屋根材が不要なため、費用は大幅に安くなります。
相場は30~70万円で、塗料代だけでなく、足場代や高圧洗浄費用などが含まれます。
割高にはなりますが、遮熱効果、防汚効果などがある塗料を選ぶことで、住宅の快適性が向上することもあります。業者と相談して、適した塗料を選びましょう。
部分修理の費用は内容によって大きく異なる
屋根全体が古くなり、寿命と考えられるときは、葺き替えやカバー工法、塗装などで全体的な修繕を行います。反対に、全体的にトラブルがあるわけではないとき、寿命ではないときは、部分修理で十分なこともあります。
瓦であれば1枚3,000円~、板金交換・抜板であれば1平米あたり10,000円~で修理することが可能です。
また、瓦の下の漆喰の補修は1平米あたり3,000円~、雨どいの補修は1mあたり4,000円程度かかることが一般的です。
天井や壁に不具合が起きたら屋根の修理を検討する
屋根の修理は、主に何らかのトラブルが起こったときに行います。次のいずれかの不具合が起こったときは、屋根にトラブルが起こったと考えられます。早めに修理をしましょう。
- 天井にシミがあり雨漏りしている
- 天井にカビやコケがついている
- 雨どいから水があふれる
なお、屋根の寿命は素材やメンテナンスによっても異なります。
粘土瓦は60~80年、ガルバリウム鋼板は20年以上、トタンは10~20年、スレートやセメントは20~30年程度が寿命とされています。気になるときは、信頼できる業者に調べてもらいましょう。
天井付近にシミがあり雨漏りしている
天井付近にシミがあるときは、雨漏りしている可能性があります。
また、明らかに雨漏りしている部分がある場合も、周辺が腐る可能性があるので早く修理する必要があります。
雨漏りしているときは、屋根下の下地処理をしてからルーフィングシートを張り替え、部分的、あるいは全体的に屋根材の葺き替えを検討しましょう。
天井にカビやコケがついている
天井にカビやコケがついているときは、屋根に水分が染み込んでいると考えられます。放置すると雨漏りの原因になるので、早めに屋根修理を依頼しましょう。
放置してしまうと、住宅そのものの寿命が短くなることもあるので、できるだけ早く修理をしてもらいましょう。
雨どいから水があふれる
雨どいから水があふれているときは、屋根自体は修理する必要はありません。雨どいが破損している場合は取り替え、詰まっているときは詰まりを取ります。
雨どいの破損や詰まりを放置すると、壁にシミが生じることもあります。シミが生じた部分から壁が腐り、住宅の寿命を縮めることもあるので早めに対応することが望ましいでしょう。
屋根修理の業者の選び方
丁寧で誠実な作業をする業者に屋根の修理を依頼すると、屋根の寿命も長くなり、ひいては住宅自体の寿命が延びることが期待できます。信頼できるリフォーム業者や工務店がある場合は、屋根修理も依頼しましょう。
業者が決まっていない場合は、少なくとも2社以上から見積もりを取り、比較してから選ぶようにしましょう。
大幅な値引きをする業者や「一式」のように詳細を記さない見積書を作成する業者は、避けるほうがよいかもしれません。
また、「今すぐ」、「今日なら」、「今だけキャンペーン」などの言葉を使って早く契約させようとする業者も注意が必要です。そのほかにも、過度に不安をあおる業者や飛び込み業者も注意するようにしましょう。
修理費用の準備で覚えておきたい相談先
屋根の修理にはリフォームローンや住宅ローンが活用できます。修理費用をまとめて支払うことが難しいときは、金融機関に問い合わせて、好条件のリフォームローンや住宅ローンを選びましょう。
リフォームローン、住宅ローンが利用できないか金融機関に相談する
屋根の修理や葺き替えなどのリフォームでは、リフォームローンを利用できる場合があります。金利は借入金額や借入期間だけでなく、金融機関によっても異なるので、いくつか比較してみましょう。
また、屋根の修理や葺き替え、塗装などのリフォーム工事であっても、住宅ローンを利用できることがあります。
一般的に住宅ローンはリフォームローンよりも低金利なので、利息を抑えることができます。住宅ローンが利用できないか、金融機関に相談してみましょう。また、住宅ローンのほうが長期間借りられることが多いため、月々の返済額を抑えたい方にも向いていることがあります。
ただし、リフォームローンも住宅ローンもいずれも利用前に審査があります。結果によっては借りられないこともあるので、ほかの資金調達方法についても考えておくようにしましょう。
活用できる補助金制度がないか自治体へ確認する
耐震性能や省エネ性能を向上させるリフォーム工事を行う場合、自治体の補助金制度を利用できることがあります。
例えば、遮熱効果のある屋根材や塗料を導入する場合などに、補助金制度が適用されることがあります。
なお、多くの補助金制度は予算が決まっているため、利用希望者が多いと短期間で打ち切られてしまいます。屋根の修理や塗装の予定が決まり、補助金制度の適用条件を満たしている場合には、業者に見積もりを出してもらい、早めに自治体に問い合わせるようにしましょう。
定期的な屋根のメンテナンスで住宅を長持ちさせよう
大切な住宅を長持ちさせるためにも、定期的に屋根をメンテナンスすることが大切です。また、修繕が必要な部分を直したり、こまめに塗装したりすることで、屋根全体を葺き替えるまでの期間を延ばすことができます。長い目で見ればリフォーム費用の節約にもなるでしょう。
屋根修理の費用が不足するときは、リフォームローンなどを検討しましょう。借入額が大きいときは少しの金利の差でも総返済額が大きく変わります。いくつかの金融機関のローンを比較してから借りるようにしましょう。
また、返済期間が長引くことでも、総返済額が増えます。無理のない範囲で早めに完済できるように計画を立てましょう。
屋根修理や塗装を行うことで省エネ性能や耐震性能を高める効果が期待できるときには、自治体の補助金制度を利用できることもあります。自治体によって実施している制度や適用条件が異なるので、事前に問い合わせておくとよいでしょう。
この記事のポイント
- 屋根の修理にはどのくらいの費用がかかる?
屋根修理の費用は、住宅の大きさや屋根素材の種類、素材のグレードによっても異なります。
一般的な広さの一戸建て住宅の場合、葺き替えは200~400万円程度、カバー工法は100~250万円程度、屋根の塗装は30~70万円が相場となります。詳しくは「屋根修理の費用相場」をご確認ください。
- 建ててからどのくらいで屋根の修理が必要になりますか?
屋根の寿命は素材やメンテナンスの頻度などによって異なります。
概ね、粘土瓦は60~80年程度、ガルバリウム鋼板は20年以上、トタンは10~20年程度、スレートやセメントは20~30年程度が寿命とされています。詳しくは「天井や壁に不具合が起きたら屋根の修理を検討する」をご確認ください。
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