住宅の建築やリフォームを検討している方のなかにはペアガラスという言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ペアガラスとは名前のとおりガラスが二重になっている窓です。ペアガラスを住宅に取り入れることで、断熱性能や遮熱性能が高まり、快適に生活できます。
しかし、ペアガラスにはデメリットもあるため、メリット、デメリットの両方を踏まえて検討しましょう。
この記事ではペアガラスの特徴のほか、メリット・デメリット、注意点について解説します。ペアガラスに興味がある方はぜひ参考にしてください。
記事サマリー
ペアガラスとは
ペアガラスとはガラスが二重になっている構造で「複層ガラス」とも呼ばれます。
ペアガラスはガラスの大手メーカーであるAGC株式会社の登録商標ですが、ペアガラスが多く流通したことから複層ガラスの一般名詞として使われています。
通常の1枚のガラスだけでは、雨風をしのぐ役割しかありません。しかし、ペアガラスは2枚のガラスの間に空間があり、スペーサーと呼ばれる乾燥剤入の金属部材を間に挟み、乾燥空気を封入して作られているため、断熱性能や遮熱性能アップが可能です。
また、アルゴンガスやクリプトンガスと呼ばれる熱伝導率の低いガスを封入したものや真空にしたものなど多くの種類の製品があります。
板硝子協会の調べによると、2021年の新築一戸建てでは97.6%の住宅でペアガラスが採用されています。
ペアガラスのメリット
ペアガラスのメリットは以下のとおりです。
- 断熱性能が高い
- 遮熱性能が高い
- 紫外線カット率が高い
- 結露対策になる
- 防犯性を高めることもできる
それぞれのメリットについて解説します。
断熱性能が高い
ペアガラスにすると、断熱性能が高くなるため、室内の熱を外に逃しにくくなります。
断熱性能には熱貫流率(1㎡あたり1時間に移動する熱量)という数値が関係しており、ペアガラスにすることで熱貫流率が低くなります。
断熱性能が高くなることで、寒い時期にも室内を快適な温度に保てることに加え、エアコンなどにかかる電気代を節約できます。
遮熱性能が高い
ペアガラスにすると、遮熱性能が高くなるため、室外の熱が室内に入りにくくなります。
遮熱性能には日射熱取得率(太陽の日射熱が日よけやガラスを通して室内側へ入り込む割合)という数値が関係しており、ペアガラスにすることで日射熱取得率が低くなります。
日射熱取得率が低くなると、夏の熱さや冬の寒さなど外の気温の影響を受けにくくなるため、エアコンやストーブなどの空調効果を高められます。
紫外線カット率が高い
ペアガラスは通常のガラスより紫外線カット率が高いです。
紫外線をカットできると、床や畳、家具の日焼け防止にもなるため、築年数が経過しても家具へのダメージが少なく、メンテナンス費用や買換え費用を抑えられるでしょう。
紫外線カット率はガラスの組み合わせによっても異なります。
結露対策になる
ペアガラスは室内側のガラスと室外側のガラスの間に空気の層があるため、室内と室外の温度差が小さくなり、結露を防止します。
窓の結露はカビの原因にもなるため、窓の結露で困っている方はペアガラスを検討してみましょう。
もしも、ペアガラスを設置したのちに、ペアガラスの内側が結露した場合は、ペアガラスの経年劣化であるため取り替える必要があります。
防犯性を高めることもできる
ペアガラスはさまざまな種類のガラスを組み合わせることが可能なため、防犯性を向上させることができます。
1枚は通常のガラス、もう1枚は防犯ガラスといったように、目的に合わせて組み合わせを考えてみましょう。
網入ガラスや強化ガラスとも組み合わせできるため、災害時にも安全な窓を作ることができます。
ペアガラスのデメリット
ペアガラスのデメリットは以下のとおりです。
- 通常のガラスよりも価格が高い
- 通常のガラスよりも重い
- 共鳴透過現象が発生する
- 熱割れの危険がある
それぞれのデメリットについて解説します。
通常のガラスよりも価格が高い
ペアガラスは2枚のガラスで1つの製品になっているため、一枚ガラスよりも価格が高いです。
ガラスとガラスの間の中空層に何が封入されているかでも価格は異なるため、窓の性能と価格のバランスを踏まえて検討しましょう。
また、ガラスが2枚になる分、一枚ガラスよりも厚みが出るため、場合によってはサッシの交換が必要になります。
通常のガラスよりも重い
ペアガラスは一枚ガラスと比べ重くなります。
窓の開け閉めがしにくくなる可能性もあるため、その点を踏まえてペアガラスを検討しましょう。
とくに高い位置にある窓は重くなると開け閉めが負担になるため注意が必要です。
共鳴透過現象が発生する
共鳴透過現象とは、ペアガラス内の空気層がばねとして働くことで特定の周波数で共鳴が発生し、遮音性能が低下する現象です。
共鳴透過現象が発生することで遮音性能が低下するため、遮音対策でペアガラスを検討する方は注意しましょう。
しかし、内側と外側のガラスの厚みを変えることで共鳴は軽減できます。
熱割れの危険がある
ペアガラスは内と外の温度差で熱割れを起こす危険があるため注意しましょう。
冷え込んだ日に窓にストーブやファンヒーターなどの温風、白熱電球などの強い光源の照明が当たることで、部分的に高温になり、熱割れが発生します。
エアコン程度の温度であれば熱割れは考えにくいですが、安全に使用するためにも高温になるようなものをペアガラスに当てるのは避けましょう。
ペアガラスへの交換方法
ペアガラスへの交換方法は以下のとおりです。
- ガラスだけ取り替える、もしくはアタッチメントを付ける
- 障子部分だけ交換する
- サッシごと取り替える
それぞれの交換方法について解説します。
ガラスだけ取り替える、もしくはアタッチメントを付ける
ペアガラスが既存の窓枠に収まるのであれば、ガラスだけ取り替えるのが最も簡単な方法です。
既存のサッシに収まらない場合も、アタッチメントで対応できるため、リフォーム業者などに相談してみましょう。
アタッチメントはカラーバリエーションも豊富であるため、既存のサッシや室内の雰囲気に合わせて選べます。
ガラスのみの取り替えであるため、費用は3種類の交換方法のなかで最も低価格です。
障子部分だけ交換する
ペアガラスに交換する際には、障子部分だけ交換する方法もあります。障子部分とは窓の可動する部分です。
二枚ガラス仕様の障子を吊り込むだけで済み、短時間で完了します。
また、窓枠はそのままの状態にしておけるので、外壁や室内の窓まわりの改修は必要ありません。
費用はガラス交換よりは高くなる傾向にあります。
サッシごと取り替える
ペアガラスによっては厚みが出るため既存のサッシでは合わない可能性があります。サッシごと取り替える工事は内外壁の補修工事が発生するため、おおがかりな工事になってしまいます。
また、マンションの場合はサッシが専有部分ではなく共用部分扱いであることが多いため、個人の判断ではサッシの取り替えができません。管理組合での判断になるためマンションでのサッシの取り替えはあまり現実的ではないでしょう。
サッシごと取り替える工事の費用は、ガラスの取り換えや障子交換より高い傾向にあります。
ペアガラスへ交換する際の注意点
ペアガラスへ交換する際の注意点は以下のとおりです。
- 遮音性能は高くならない
- アタッチメント部分は結露が発生しやすい
- 既存のサッシではペアガラス本来の性能を発揮できない場合もある
それぞれの注意点について解説します。
遮音性能は高くならない
ペアガラスを設置するだけでは共鳴透過現象が発生するため遮音性能は高くなりません。
遮音性能を高めたい場合は、異なる厚みのガラスでペアガラスを作る必要があります。また、二重サッシでも遮音性能は高くなるため、遮音目的の場合はペアガラス以外の選択肢も検討してみましょう。
アタッチメント部分は結露が発生しやすい
既存の窓枠にアタッチメントをつけてペアガラスを取り付ける方法もありますが、アタッチメント部分は結露が発生しやすいです。
窓の結露対策でペアガラスを検討している方は、アタッチメントでの取り付けの場合、本来の目的を達成できない可能性もあるため、サッシごとの交換がおすすめです。
既存のサッシではペアガラス本来の性能を発揮できない場合もある
一枚ガラス用のサッシにペアガラスを設置する場合、ペアガラス本来の性能を発揮できない場合があります。
ペアガラスの性能を発揮するには、ガラスとガラスの間の中空層の幅も重要です。一枚ガラスのサッシにペアガラスを設置する場合、中空層が狭くなってしまいます。
また、アタッチメントの場合も結露が発生しやすいなど、ペアガラス本来の性能を発揮できない可能性があるため注意しましょう。
ペアガラスの特徴を理解し、目的に応じて使い分けましょう
この記事ではペアガラスの特徴のほか、メリット、デメリットや注意点を解説しました。
ペアガラスはガラスを二重にした構造で、設置することで「断熱性能が高まる」、「遮熱性能が高まる」というようなメリットがあります。
使用するガラスによって断熱性能が高いガラスや、防犯性の高いガラス、紫外線カット率が高いガラスといったように特徴が異なるため、ペアガラスにする目的によって使い分けましょう。
また、1枚ずつ異なる性能のガラスを組み合わせることも可能なため、ご自宅の用途に合わせた組み合わせを考えてみましょう。
この記事のポイント
- ペアガラスとは?
ペアガラスとはガラスが二重になっている構造で「複層ガラス」とも呼ばれます。
詳しくは「ペアガラスとは」をご確認ください。
- 今の窓をペアガラスにつけ替えられる?
ガラスだけ取り替える場合や、障子部分のみの交換の場合は既存の窓もペアガラスにつけ替えられます。しかし、構造によってはペアガラス本来の性能を発揮できない可能性もあるため、リフォーム業者などの専門家に確認してもらいましょう。
詳しくは「ペアガラスへの交換方法」をご確認ください。
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