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アスファルトシングル屋根とは?メリットやデメリット、メンテナンス方法を解説

住宅の建築を検討するなかで、どの屋根材にするか迷っている方も多いのではないでしょうか。

屋根材には多くの種類がありますが、近年デザイン性の高さから注目を集めているのが「アスファルトシングル」です。アスファルトシングルを採用することで、ほかの住宅とはひと味違った個性的な住宅を建てられますが、デメリットもあるため注意が必要です。

そこで本記事ではアスファルトシングルのメリット、デメリットやメンテナンス方法を解説します。本記事を読んでいただければ、アスファルトシングルを採用するべきかどうかの判断ができるでしょう。

住宅の建築を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

アスファルトシングルは北米で人気の屋根材

アスファルトシングルとは、住宅に用いる屋根材の1つです。

屋根材には瓦屋根やスレート屋根、金属屋根などの種類があります。アスファルトシングルもその1つです。

アスファルトシングルは、アスファルトをガラス繊維(グラスファイバー)の基材に含浸、コーティングして、砂粒や石粒で表面を着色しています。もともと北米で開発されて普及していた屋根材ですが、デザイン性や機能性の高さから近年日本でも注目されています。

以前は日本の建築基準法に適合しておらず、防火地域や準防火地域で使用できませんでした。しかし、2007年の建築基準法改正によって、一定要件を満たす場合は使用できるようになりました。

アスファルトシングルのメリット

アスファルトシングルが近年注目されているのは、以下のようなメリットがあるためです。

  • デザイン性が高い
  • 防水性が高い
  • 防音性が高い
  • 割れにくく、サビにくい
  • 建物の耐震性が高くなる

それぞれについて解説します。

デザイン性が高い

アスファルトシングルはデザイン性の高さが特徴です。砂粒や石粒を吹き付けて着色するため、砂粒の色によってさまざまなカラーに仕上げられます。

洋風住宅だけでなく、和風住宅にも合うため、ほかの住宅とひと味違った仕上がりにできるでしょう。

防水性が高い

アスファルトシングルは、仕上材に防水シートが使われているため、防水性が高くなっています。

通常の屋根の場合、屋根材の下地となる防水シートだけで雨水の侵入を防ぐ必要がありますが、アスファルトシングルの場合は、屋根材自体が防水の役割を果たしています。

また、アスファルトシングルの施工方法も防水性が高い要因です。

アスファルトシングルも通常の屋根材も、防水シートを下葺きしますが、通常の屋根材は、防水シートの固定時に釘やビスを打つので穴があいてしまいます。この穴によって雨漏りのリスクが高くなります。

一方、アスファルトシングルは専用の接着剤を使うので、極力穴をあけない施工が可能です。そのため、屋根が破損した際にも雨漏りのリスクを抑えられます。

防音性が高い

アスファルトシングルは防音性が高いため、静かな住環境を確保できます。

金属屋根の場合、雨音が室内まで響いてしまうこともありますが、アスファルトシングルは表面に吹き付けている砂粒や石粒が緩衝材になるので、雨音が気になりません。

近年ゲリラ豪雨が増加していますが、アスファルトシングルであれば雨音に悩まされることなく生活できるでしょう。

割れにくく、サビにくい

アスファルトシングルはカッターやハサミで切れるほど、薄くて柔らかい材質であるため、割れにくく、サビにくいメリットがあります。

瓦屋根の場合は、飛来物などで割れてしまう恐れがありますが、アスファルトシングルであれば心配いりません。

また、金属屋根のようにサビないため、破損や強度の低下も起こりにくい傾向にあります。

建物の耐震性が高くなる

アスファルトシングルにすることで、建物の耐震性が高くなります。

アスファルトシングルは、比較的重量が軽く、建物にかかる負荷を抑えられるためです。

  • 瓦屋根:約60kg/㎡
  • スレート屋根:約20kg/㎡
  • 金属屋根:約5kg/㎡
  • アスファルトシングル屋根:約9kg/㎡

新しく住宅を建てる以外にも、現在瓦屋根やスレート屋根を使用しており耐震性に不安がある方は、アスファルトシングルへの葺き替えを検討してもいいでしょう。

アスファルトシングルのデメリット

アスファルトシングルにはメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。

  • 強風に弱い
  • 劣化しやすい

それぞれについて解説します。

強風に弱い

アスファルトシングルは軽い素材であるため、強風によってめくれてしまうこともあります。めくれてしまうと、下地がむき出しの状態になるので、早い段階で補修しなければいけません。

台風のあとなどは、屋根が剥がれていないかチェックする必要があります。

劣化しやすい

アスファルトシングルは劣化しやすい点に注意しましょう。

割れる、錆びるといった心配は少ないものの、湿気に弱くカビや苔が生えやすい材質であるためです。とくに高温多湿の日本では注意しなければいけません。

また、時間の経過とともに表面に吹き付けている砂粒や石粒が剥がれ落ちてきます。屋根が色褪せる、カビや苔で黒ずむといった見た目の劣化を避けるためにも、定期的なメンテナンスを心がけましょう。

アスファルトシングルをおすすめできる方

アスファルトシングルのメリット、デメリットを解説しましたが、自宅の屋根にアスファルトシングルを採用するべきか悩んでいる方も多いでしょう。

本章ではアスファルトシングルがどのような方におすすめかを解説するので、自分が該当しているかをチェックしてみましょう。

アスファルトシングルをおすすめできる方は以下のとおりです。

  • デザイン性の高い屋根にしたい方
  • 建物の耐震性を重視したい方
  • 防音性を重視したい方

それぞれについて詳しく解説します。

デザイン性の高い屋根にしたい方

アスファルトシングルは、デザイン性の高い屋根にしたい方におすすめです。

砂粒や石粒を吹き付けて着色するアスファルトシングルは、住宅のデザインに合わせて色を自由に選ぶことができるため、さまざまな住宅にマッチします。

屋根メーカーによって、カラーバリエーションは異なりますが、ブラック、グレー、ブラウン、レッド、グリーンなどを選べるのが一般的です。

また、アスファルトシングルを採用している住宅は少ないので、ほかの住宅とひと味違った作りにできるでしょう。

おしゃれな屋根を作り、ほかの住宅と差別化したい方は、アスファルトシングルを検討してみましょう。

建物の耐震性を重視したい方

建物の耐震性を重視したい方には、アスファルトシングルがおすすめです。

日本は地震の多い国であるため、どこに住んでいようと地震の被害を受ける可能性を0にはできません。

そこで重要になるのが事前の対策です。屋根が重いと柱にかかる負荷が増えることに加え、遠心力が働くため揺れが大きくなってしまいます。

アスファルトシングルは瓦屋根やスレート屋根と比較すると軽量であるため、建物への負荷を抑えられます。

新築住宅を建てる場合だけでなく、築年数が経過した物件の耐震改修にもアスファルトシングルへの変更がおすすめです。

防音性を重視したい方

防音性を重視したい方にはアスファルトシングルがおすすめです。

アスファルトシングルは、吹き付けている砂粒や石粒が緩衝材となり、雨音が聞こえにくくなります。大雨の日でも、静かな住環境で生活できるでしょう。

また、現在金属屋根の住宅に住んでおり、雨音に悩まされている方もアスファルトシングルへの変更がおすすめです。

金属屋根は屋根材のなかでも、雨音が響きやすい素材です。アスファルトシングルへ葺き替えすることで、現在の悩みが解消するでしょう。

アスファルトシングルの施工、メンテナンス方法

アスファルトシングルは、湿気に弱いのでカビや苔が生えて劣化してしまいます。

そのため、アスファルトシングルを採用した場合は、10年に一度は点検しましょう。点検によって不具合が確認された場合は、以下のような施工、メンテナンスを実施します。

  • 補修工事
  • 塗装工事
  • 屋根カバー工法
  • 屋根葺き替え工事

それぞれについて詳しく解説します。

補修工事

補修工事とは、めくれた部分や剥がれた部分を貼り直す工事です。

アスファルトシングルはカッターやハサミで切れるほど、薄くて柔らかい材質であるため、専用の接着剤で該当箇所とその周辺を貼り直せば簡単に補修できます。

屋根のめくれや剥がれを放置しておくと雨漏りの原因になるので、不具合を見つけ次第早めに業者に連絡しましょう。

塗装工事

表面の砂粒や石粒が剥がれて、色褪せてしまった場合は塗装工事が必要になります。

塗装工事の流れは以下のとおりです。

  • 高圧洗浄:屋根の汚れやカビ、苔を落とす
  • 下地の調整:必要な場合は補修する
  • 下塗り:塗料が付着するように下塗り材を塗る
  • 中塗り、上塗り:塗料が均一に塗られるように、重ね塗りする

塗装工事にかかる費用は足場の組み立てや、高圧洗浄などを含めて約5,000円/㎡です。しかし、使用する塗料によって費用は異なるため、事前に見積りを取っておきましょう。

屋根カバー工法

屋根カバー工法とは、既存の屋根にアスファルトシングルを被せる工法です。下地材に傷みがない場合は、この工法で対応できます。

解体する必要がなく廃材も出ないため、本来廃材処理にかかる費用を抑えられます。また、工期も短くなるので、その分の人件費もかかりません。

しかし、屋根が重たくなってしまう点には注意が必要です。屋根カバー工法の費用は8,000〜10,000円/㎡程度です。

屋根葺き替え工事

屋根材の劣化がひどく、下地まで影響が出ている場合は、葺き替え工事を実施する必要があります。

葺き替え工事とは、屋根をすべて撤去し、躯体を補修してから屋根材を取り付ける工事です。工事費用は8,000〜12,000円/㎡程度ですが、別途廃材処理費がかかります。

アスファルトシングルはほかの屋根材と比べて、費用が安い傾向にありますが、工事の前には必ず見積もりを取りましょう。

デザイン性や機能性を踏まえてアスファルトシングルを検討しましょう

本記事ではアスファルトシングルのメリット、デメリットやメンテナンス方法について解説しました。

アスファルトシングルは、もともと北米で開発された屋根材ですが、デザイン性や機能性の高さから日本でも注目されています。おしゃれな屋根にしてほかの住宅と差別化を図りたい方や、防音性の高さにこだわりたい方にはおすすめの屋根材です。

しかし、強風でめくれる、時間の経過によってカビや苔が生えるといったデメリットもあるため、定期的なメンテナンスは欠かせません。

本章で解説した内容を踏まえて、アスファルトシングルを検討してみましょう。

この記事のポイント

アスファルトシングルってどんな屋根?

アスファルトシングルはもともと北米で開発されて普及していた屋根材です。デザイン性や機能性の高さから近年日本でも注目されています。

アスファルトをガラス繊維(グラスファイバー)の基材に含浸、コーティングして、砂粒や石粒で表面を着色しています。

詳しくは「アスファルトシングルは北米で人気の屋根材」をご覧ください。

アスファルトシングルのメリットは

アスファルトシングルのメリットは、以下のとおりです。

  • デザイン性が高い
  • 防水性が高い
  • 防音性が高い
  • 割れにくく、サビにくい
  • 建物の耐震性が高くなる

詳しくは「アスファルトシングルのメリット」をご覧ください。

執筆者プロフィール

岡﨑 渉
資格情報: 宅地建物取引士

国立大学卒業後新卒で大手不動産仲介会社に入社。約3年間勤務した後に独立。現在はフリーランスのWebライター・Webディレクターとして活動。不動産営業時代は、実需・投資用の幅広い物件を扱っていた経験から、Webライターとしては主に不動産・投資系の記事を扱う。さまざまなメディアにて多数の執筆実績あり。

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