地鎮祭
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地鎮祭とは?費用や服装、お供え物や当日の流れを解説

執筆者プロフィール

悠木まちゃ
宅地建物取引士

ライター・編集者。ハウスメーカー勤務時に、新築戸建て住宅のほか、事務所建築や賃貸アパートの営業・設計を経験。
その後、2019年よりフリーライター・編集者として活動を開始。実務経験を活かし、不動産・金融系を中心に執筆から編集まで行う。ブックライターとしても活動するほか、ライター向けオンラインサロンの講師も担当している。

ざっくり要約!

  • 地鎮祭にかかる費用は、神主様への謝礼が約2~5万円、お供え物が約1万円、粗品が1つ500~1,000円程度です。
  • 地鎮祭の当日は、カジュアルすぎる服装を控えましょう。
  • 地鎮祭の手配は建築会社が行うので、相談しながら準備を進めましょう。

地鎮祭は、工事の安全を祈願するために神主様を招いて行う儀式です。マイホーム建築で地鎮祭を行いたいと考えているものの、どのように準備を進めればよいかわからない方もいるのではないでしょうか。

本記事では、地鎮祭にかかる費用や服装などのマナー、事前準備、当日の流れを紹介します。滞りなく地鎮祭を開催し、家の建築をスムーズに進めていきたい方はぜひ参考にしてください。

地鎮祭とは?

地鎮祭とは、家を建て始める際に行う儀式で、神主様などを招いて工事の無事を祈願するものです。

土地を守る氏神様からその土地を使用する許しを得て、安全を願う儀式として行われてきました。建設地に青竹としめ縄で祭場をつくり、施主や工事関係者が参列し、お祓いなどを行います。

地鎮祭の歴史は古く、持統天皇(在位 690 ~697年)の頃から行われていた旨が日本書紀に記されていました。さらに遡ると、弥生時代の高床式住居の地面の中から勾玉が見つかっており、これが地鎮祭で埋める「鎮め物」の原型であるといわれています。

近年では、儀式を簡略化するケースや、行わないケースも増えてきました。地鎮祭は必ず行うものではないため、実施するかどうかは施主の判断によります。

また、神道でない宗教の場合も、地鎮祭と同様の儀式を行うことは可能で、起工式と呼ばれます。仏教の場合はお寺の住職、キリスト教の場合は教会の牧師や神父を招いて実施します。

地鎮祭にかかる費用はどれくらい?

地鎮祭では、神主様へ渡す謝礼のほか、儀式で使用されるお供え物や、挨拶回りに持参する粗品などで以下の費用がかかります。

名目費用の相場
神主様への謝礼約2~5万円
お供え物約1万円
近隣への挨拶回りの粗品1件500~1,000円
合計約30,500~61,000円

挨拶回りで渡す粗品の金額は地域によって差があるため、事前に確認しましょう。

また、雨天時のテント設置代や、直会(食事会)をする場合には食事代なども上記に上乗せとなります。祭壇の設営やご近所への粗品などは、施工会社が用意してくれることも多く、契約時の見積もりに組み込まれているケースもあるため、担当者に確認してみてください。

服装やお供物……気になる地鎮祭のマナー

地鎮祭 お供物

ここでは、神主様へお渡しする謝礼やお供え物、参列する際の服装など、気になる地鎮祭のマナーを紹介します。

神主様への謝礼はのし袋に

神主様への謝礼(初穂料・玉串料)を入れるのし袋(祝儀袋)は、水引が蝶結びのものを用意します。

3~5万円を包む際には、取り外し可能な水引と中袋がついているのし袋を使うとよいでしょう。水引が印刷されたものは、1万円以下の金額を包む場合に利用される傾向があるため、避けたほうが無難です。

のし袋には、費用の名目と施主の氏名を記入します。水引の上部に「御初穂料」または「玉串料」と記載し、下部には自分の名前を書きます。連名で書いても問題ありません。

お供え物はスーパーで揃えられるものでOK

儀式で使うお供え物は、施主が用意する場合と、神主様へ費用を払って一式用意してもらう場合があります。お供物の準備に対応しているかどうかは神社によって異なるので、事前に確認しておきましょう。

施主が用意する場合は、スーパーで揃えられるような市販品で問題ありません。具体的には、以下の食材やお酒などを準備します。

種類備考
一合
一合(200g程度)
200g程度
野菜(3~5種程度)    キャベツ、きゅうり、ナス、にんじん、いも など
果物(3種程度)りんご、バナナ、みかん、ぶどう、いちご、など
海藻海藻類の乾物
尾と頭の付いた魚(鯛など)
お酒清酒(一升瓶2本)

お酒は1本ずつ箱に入れて包装した上から、のし紙をつけて「奉献」などと書きます。酒屋やスーパーで包装に対応している場合も多いので、近隣のお店に確認してみるとよいでしょう。

カジュアルすぎる服装は控える

地鎮祭へ参列する際はスーツなどの正装が望ましく、お子さんも制服などのフォーマルな服装がふさわしいとされています。

近年では普段着で参列するケースも多く見られますが、サンダルや短パンのようなラフすぎる服装は避けるのが無難です。また、地鎮祭の後に近隣へ挨拶回りを行う場合は、カジュアルすぎず清潔感のある装いが適切といえます。

建築会社に相談して、一般的な参列者の服装を教えてもらうのもいいでしょう。

地鎮祭の事前準備

地鎮祭の準備は、基本的に建築会社が指揮を取って進めてくれます。とはいえ、施主も当事者なので、どのように進めるのか一通り把握しておきましょう。また、建築会社によっては、施主自身が準備するケースも見られます。

日取りを決める

地鎮祭を行うことを決めたら、まずは日程を確定させましょう。一般的に、以下の表にある縁起の良い日が望ましいとされています。

縁起の良い日(時間帯)・大安
・先勝
・友引
・牛の刻(11時~13時)
避けるべき日・仏滅
・先負
・三隣亡(さんりんぼう)

建築に関する凶日とされる三隣亡(さんりんぼう)は、避けるのが無難です。三隣亡の日付は毎月異なるため、調べてみるとよいでしょう。

ただ、家族や神主様、建築会社など関係者全員のスケジュールを合わせることが大切なので、都合がつかない場合は上記の六曜にこだわりすぎず、柔軟に調整しましょう。

神主様へ依頼する

神主様への依頼は、建築会社から行うことが多くなっています。一般的には、家を建てる土地の氏神である神社に依頼しますが、建築会社が信頼している神主様に依頼するケースもよく見られます。

神主様は一年中、さまざまな祭儀や社務に従事しているため、希望する日程がある場合は、早めに建築会社と打ち合わせし、スケジュールを確保することが肝心です。

参加者への声かけ

地鎮祭においては、施主や施工会社の担当者など、以下の関係者は参加することが基本とされています。

参加必須・施主
・施工会社の担当者
・工事関係者
・現場監督
・設計者
参加任意・同居していない両親
・建築後の家に住む家族
・その他の親族

同居していない両親を招くこともありますが、参加は任意のため、施主の判断で声がけします。また、遠方にいる親族は参加が難しい場合でも、マナーとして地鎮祭の開催を報告しておくとよいでしょう。

近所への挨拶回りも兼ねるなら粗品を用意

地鎮祭が終わった後に近隣へ挨拶回りを行う場合は、手土産を持参します。500~1,000円ほどを目安に、お菓子やタオル、消耗品などを用意することが一般的です。

のし袋をつけ、水引の上部には「御挨拶」と記載し、下部に施主の名前を書きます。

ただし、建築会社が粗品のタオルなどを用意する場合もあるので、事前に確認してみてください。

ハウスメーカーや工務店と相談しながら準備しよう

ここまで、神主様への謝礼やお供え物、粗品の準備、服装などについて一般的な内容をお伝えしてきました。ただし、実際にはハウスメーカー・工務店や、依頼する神主様によって、用意するものや金額などは多少異なります。

たとえば、神主様への謝礼について神社側で一定の金額を定めている場合があります。また、お供え物や挨拶回りの粗品は、建築会社が準備することもあれば、施主がすべて用意するパターンもあります。

そのため、本記事の内容を参考にしながら、ハウスメーカーや工務店と相談して準備を進めましょう。

地鎮祭を行うメリット

近年では地鎮祭を行わないことも増えてきていますが、開催すると主に以下のようなメリットが享受できます。

  • 家を建てる喜びを実感できる
  • 近隣挨拶の機会を作ることができる
  • 施工会社や工事業者との信頼関係につながる
  • 精神的に安心できる

マイホームの建築は一生に一度ともいえるので、何の儀式もなく淡々と着工していくと、少し寂しく感じるものです。地鎮祭を行うことで家を建てる実感を得られる方は多いでしょう。

また、地鎮祭で施工会社と顔を合わせたり、近隣挨拶をしたりすることで、着工後のやり取りがスムーズになります。何より「地鎮祭を行った」という安心感のもとで進めていけることは、大きなメリットといえるでしょう。

地鎮祭の流れ

地鎮祭当日の儀式は、以下の流れで進めていきます。儀式そのものは約30分で終了しますが、準備や片付けを含めると1時間半~2時間程度かかると想定しておきましょう。

式次第内容
1.手水(てみず・ちょうず)手で両手を洗い心身を浄める
2.修祓(しゅばつ)祭壇や参列者を祓い清める
3.降神の儀(こうしんのぎ)祭壇のに神様を迎える
4.献饌の儀(けんせんのぎ)祭壇のお供え物を神様に食していただく
5.祝詞奏上(のりとそうじょう)建物を建てることを神様に報告し、工事の安全を祈願する祝詞を読み上げる
6.四方祓の儀(しほうはらいのぎ)土地の四隅に米・塩などをまいてお祓いする
7.地鎮の儀(じちんのぎ)鍬入れなどを行い、鎮め物を埋める
8.玉串拝礼(たまぐしはいれい)神前に玉串を捧げる
9.撤饌の儀(てっせんのぎ)お神酒などのお供え物を下げる
10.昇神の儀(しょうしんのぎ)神様をお送りする
11.直会(なおらい)神酒で乾杯する

主に神主様がお祓いやお清めを行いますが、途中で施主が行う儀式もあります。

ただし、近年では神主様が「頭をお下げください」「一礼してください」のように、次のアクションを説明してくれることが多くなりました。そのため、特に予習をしなくても、基本的には神主様に従って動いていれば大丈夫です。

心配な場合は、事前に建築会社へ確認しておくとよいでしょう。

まとめ

地鎮祭は工事着工の節目で行う儀式です。近隣へ挨拶するきっかけになるほか、工事の安全を祈願することで気持ちよくスタートを切れることでしょう。

マイホームの建築は一生に何度もあるものではありません。手間と費用はかかりますが、地鎮祭を行うのもよいのではないでしょうか。

この記事のポイント

地鎮祭にかかる費用はどれくらい?

神主様への謝礼が約2~5万円、お供え物が約1万円、挨拶回りの粗品が1つ500~1,000円程度です。

詳しくは「地鎮祭にかかる費用はどれくらい?」をご覧ください。

地鎮祭で守るべきマナーはある?

神主様への謝礼はのし袋に「御初穂料」と書いて渡すほか、お供え物を用意すること、当日はカジュアルすぎる服装を控えることが挙げられます。

詳しくは「服装やお供物……気になる地鎮祭のマナー」をご覧ください。

地鎮祭の事前準備は何をすればいい?

地鎮祭の準備は基本的に建築会社が進めてくれます。流れとしては、日取りを決めたら神主様への依頼や参加者への声かけをし、近所へ渡す粗品を用意します。

詳しくは「地鎮祭の事前準備」をご覧ください。

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