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マンションの排水管清掃は不在でも大丈夫?定期的に受けるべき理由と準備方法

執筆者プロフィール

悠木まちゃ
宅地建物取引士

ライター・編集者。ハウスメーカー勤務時に、新築戸建て住宅のほか、事務所建築や賃貸アパートの営業・設計を経験。
その後、2019年よりフリーライター・編集者として活動を開始。実務経験を活かし、不動産・金融系を中心に執筆から編集まで行う。ブックライターとしても活動するほか、ライター向けオンラインサロンの講師も担当している。

ざっくり要約!

  • マンションの排水管清掃は1〜2年に1回程度、管理費で行われます。
  • 排水管清掃を拒否することは可能ですが、個人で清掃を依頼する場合は有料になります。
  • キッチン・お風呂・洗濯機などの排水溝は当日までに掃除しておくのが望ましいです。

マンションの排水管清掃は漏水や詰まりを未然に防ぐため、1〜2年に1回程度おこなうものです。基本的には居住者の立会いが必要ですが、都合が合わず不在にするケースや、他人に入室されることに抵抗を感じる場合もあるかもしれません。

この記事では、マンションの排水管清掃を拒否するリスクや不在時の対応、必要な準備を解説します。排水管清掃を控えている方は、ぜひ参考にしてください。

マンションの排水管清掃とは?

はじめに、マンションの排水管清掃の対象範囲や実施頻度、費用負担などを解説します。まだ実施したことがない方は、概要を把握しておきましょう。

清掃対象は主に区分所有部の雑排水管

マンションの排水管清掃の対象範囲は、主に区分所有部である各住戸の雑排水管です。雑排水管とは、キッチンや洗面台、洗濯機やお風呂の排水管のことを指します。

これらの排水管を高圧洗浄によって清掃するのが一般的です。洗浄ホースを排水口から挿入し、高圧の水で汚れを削ぎ落とす作業を行います。

配管が古いマンションでは、高圧洗浄ではなくワイヤー式洗浄やロッド式によって、手作業で清掃が行われます。

清掃頻度は1〜2年に1回が一般的

マンションの排水管清掃は、1〜2年に1回程度の頻度で行われるのが一般的です。目安として、築10年までは2~3年に1回、築10年以上なら1~2年に1回程度と考えておくとよいでしょう。

実際の実施頻度はオーナーや管理組合によって決定されており、清掃が実施されていないマンションもあります。

なお、法的には自治体で定める一定条件に該当する場合のみ、排水設備の点検が義務付けられています。

たとえば建築基準法第12条では、一定条件に当てはまるマンションにおいて排水設備の定期的な点検が定められています。条件は自治体によって異なり、各住戸内の点検は義務の対象外となっている自治体もあります。

また、厚生労働省の建築物環境衛生管理基準において、一定条件に該当するマンションは6か月に1回の頻度で点検することを定められています。しかし、この基準はより快適にするためのものなので、基準を満たしていなくても罰則の対象とはなりません。

参考:建築基準法第十二条
参考:東京都都市整備局|定期報告が必要な特定建築物・防火設備・建築設備・昇降機等及び報告時期一覧
参考:厚生労働省|建築物環境衛生管理基準について
参考:北九州市|マンション管理の手引き(P17)

実施費用は管理費でまかなわれる

マンション全体で行う排水管清掃の場合、実施費用は管理費でまかなわれます。入居者が毎月支払っている管理費の中から費用を捻出するため、別途支払いが発生することはありません。

管理会社が行う管理の対象には、設備や共有部分の清掃が含まれており、排水管清掃もその一つであるためです。なお、小規模の集合住宅ではオーナーが排水管清掃を実施するケースもありますが、マンションでは管理会社が主体となり実施するケースが多くなっています。

マンションの排水管清掃時は不在でもいい?拒否はできる?

マンションの排水管清掃の作業時には、基本的に居住者の立ち会いが必要です。しかし、予定が合わず不在にするケースもあるでしょう。

ここでは、不在の場合の対応とあわせて、拒否するリスクを解説します。

不在だと清掃業者が入室できない

排水管清掃の当日に本人が不在の場合、勝手に入室されることは基本的にありません。入居者の許可がなければ、管理会社や清掃業者は室内へ入れないためです。

不在にする場合の対応は、主に以下の6つがあります。

対応方法清掃立ち会う人
本人が立ち会い 時間帯の変更を管理会社に相談する
実施
本人
立ち会いなし 入室しないでほしい旨を事前に管理会社へ伝える
実施なし
当日不在にする
実施なし
第三者が立ち会い 親族や知人に代理で立ち会いを依頼する
実施
・親族
・知人
管理会社やオーナーに事前に鍵を預ける
実施
・管理会社
・オーナー
管理会社やオーナーが室内へ立ち入ることを許可する
実施
・管理会社
・オーナー

予定が合わない場合は、当日の別の時間帯へ変更できないか、管理会社に相談してみましょう。マンションの全住戸の清掃を1日で終わらせるスケジュールを組んでいるため、清掃を行う日付は変えられませんが、時間帯は変更可能な場合があります。

なお、1戸だけ別の日に行うとなると、その分は割高の費用になるため、日付変更には対応していないのが一般的です。

実施日に不在にする場合は、入室しないでほしい旨をあらかじめ連絡するか、知人や管理会社などに鍵を預けて立ち会いをしてもらいましょう。すでに鍵を持っている場合は、許可するのみで入室可能となります。

当日不在の場合は、入室されることはなく清掃の順番を飛ばされます。排水管清掃にかかる時間は1部屋あたり10~30分程度なので、できるだけ予定を調整し、本人が立ち会うことをおすすめします。

拒否した場合のリスク

清掃をしなかったことが原因で排水管がつまった場合には、個人で排水管清掃を依頼しなければなりません。その際の費用は自己負担となる上に、清掃を行う戸数が少ないため割高になります。

マンション全体で実施する場合には管理費でまかなわれるため、日程を調整して受けることをおすすめします。

マンションの排水管を定期的に清掃する理由

排水管内部の汚れや詰まりは、目視で確認することができません。状況がわからないまま放置すると、さまざまなリスクが発生するため、定期的な清掃が必要です。

悪臭・詰まり・漏水を未然に防ぐ

排水管の清掃を怠ると徐々に汚れが溜まり、排水管が詰まる可能性があります。排水管が詰まると排水の逆流や水漏れ、それによる悪臭が発生するリスクもあるでしょう。

また、洗濯機の排水がスムーズに流れないことによって、ホースが外れて室内で漏水が発生するケースも考えられます。

これらの事態を未然に防ぐためには、排水管内部の油脂汚れや髪の毛といった蓄積物を定期的に取り除くことが重要です。

区分所有部の排水管がつまると共用部にも影響が出かねない

マンションでは各住戸から出た排水が、最終的に共用部の配水管に集まります。

そのため、キッチンやお風呂の排水口から流れ込んだ髪の毛や油脂などが、共用部分の排水管内部に溜まっていきます。結果的に排水管が詰まり、逆流や水漏れに繋がるケースもあるのです。

そうした被害を防ぐために、各住戸の排水管も定期的に清掃を行う必要があります。

排水管の維持・管理はマンションの寿命にも直結する重要な要素

排水管内に汚れが溜まったまま放置すると、排水管自体の劣化が進む恐れがあります。金属製の排水管は永久に使えるのではなく、経年劣化で徐々に腐食していくものです。

その内部に汚れが付着することで、腐食が進んで排水管に穴が開く可能性が考えられます。排水管に穴が開けば、さまざまなトラブルに発展するでしょう。

マンションの寿命を長く持たせるためにも、排水管のメンテナンスを適切に行わなければなりません。

マンションの排水管清掃の準備は必要?

排水管清掃をするにあたって特別な準備は必要ありませんが、作業しやすいようにスペースを空けておくことをおすすめします。また、作業員が入室するため、気になる部分は片付けや掃除をしておくとよいでしょう。

作業員はどこを清掃するの?

作業員は、キッチン・お風呂・洗面所・洗濯機などの排水口を清掃します。これらの水まわりが設置されている箇所までに通る部屋や廊下、玄関、水まわりの周辺を整理しておきましょう。トイレは雑排水ではなく汚水のため、排水管清掃の対象外となります。

清掃の際は高圧洗浄ホースを玄関から室内へ引き込むため、玄関の靴や荷持などを片付け、業者の方がスムーズに入室できる環境を作っておきます。

他の場所も玄関と同様に、床に置いている荷物は別の場所へ移動させ、清掃機器が使えるスペースを確保することが大切です。

また、洗面所に洗濯物などを干している場合は、作業員が入らない部屋へ一時的に移動させておくのがおすすめです。

排水溝は綺麗にしておくのがベター

排水管清掃の際、ストレーナー(ごみ受け)に髪の毛が絡まったりしていると、それを取り除く作業から開始することとなります。

キッチンや洗面所、お風呂などの排水溝は、事前に綺麗にしておきましょう。ストレーナーに溜まっているごみや髪の毛を取り除き、洗剤を使って掃除しておくのが望ましいです。

まとめ

マンションの排水管清掃は、悪臭や詰まり、漏水を未然に防ぐために必要な作業です。目安として1~2年に1回程度、清掃することが推奨されています。

清掃の当日に不在にすることや拒否することは可能ですが、個人で排水管清掃を依頼すると有料になるため、できるだけ日程調整をして受けましょう。

お住まいのマンションにおけるメンテナンスが気になる場合は、管理会社へ問い合わせしてみてください。また、物件を探す際には、排水管清掃の実施の有無について不動産会社へ確認してみるとよいでしょう。

この記事のポイント

マンションの排水管清掃の頻度や費用負担は?

清掃頻度は1〜2年に1回が一般的で、実施費用は管理費でまかなわれます。

詳しくは「マンションの排水管清掃とは?」をご覧ください。

マンションの排水管清掃時は不在でもいい?拒否はできる?

不在にした場合、作業員は入室しません。拒否することも可能ですが、個人で排水管清掃を依頼すると有料になるため、受けることをおすすめします。

詳しくは「マンションの排水管清掃時は不在でもいい?拒否はできる?」をご覧ください。

マンションの排水管清掃を受ける際に準備することは?

特別な準備は必要ありませんが、キッチン・お風呂・洗濯機などの排水溝は掃除しておくのが望ましいです。

詳しくは「マンションの排水管清掃の準備は必要?」をご覧ください。

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