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断熱リフォームの効果は?工事内容や補助金も解説

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • 断熱リフォームには冬は暖かく夏は涼しく過ごせるなどのメリットがある
  • 断熱リフォームを対象とした補助金制度には「こどもエコすまい支援事業」などがある

断熱リフォームとは、既存の住宅の壁や床に断熱材を足すことにより断熱性能を高め、外気温の影響を小さくする工事です。他にも窓を複層ガラスや二重サッシにする方法があります。

断熱リフォームをすることで、夏は涼しく冬は暖かく、一年中快適に暮らすことができます。また光熱費を節約できるうえ、二酸化炭素の排出も減らすことができます。

この記事では断熱リフォームのメリットや工事方法、実際にかかる費用の目安を紹介します。

断熱工事することによって使える補助金もありますので、上手に使って賢くリフォームしましょう。

断熱リフォームの効果

断熱リフォームにはどのような効果があるのでしょうか。ここでは代表的な3つの効果を紹介します。

  • 冬は暖かく、夏は涼しく過ごせる
  • 光熱費の節約になる
  • ヒートショックのリスクを低減できる

冬は暖かく、夏は涼しく過ごせる

断熱リフォームで家の断熱性能を高めることによって、冬は暖めた室内の空気が外へ流出するのを防ぎ、夏は外の熱が室内に入ってこないように遮断します。

断熱リフォームで熱の移動を軽減することができれば、冬も夏も室内の温度を一定に保ちやすくなるため、1年中快適に暮らすことができます。

光熱費の節約になる

断熱リフォームをすることによって暖房や冷房の効きがよくなるので、電気代など光熱費を節約できます。

一度部屋を暖めると、断熱効果により熱が流出しにくくなるため、過度に暖房を使わなくてすみます。また夏も同様に過度に冷房温度を下げなくても、快適な温度を保ちやすくなるため、たとえば就寝時にエアコンを使わないで済む可能性もあります。

富士通ゼネラルの資料によると、6畳用エアコンを1時間使うと冷房時は約4円~27.3円、暖房時は約3.4円〜46.5円かかるとされています。

エアコンを6時間使用した場合、冷房時は約24円~164円、暖房時は20.5円~280円ですが、長い目でみると大きな違いが出てくるでしょう。

出典:1時間あたりの電気代はいくらですか?|富士通ゼネラル

ヒートショックのリスクを低減できる

部屋の温度差が大きい場合、血圧が上下して心臓や血管の疾患を招く「ヒートショック」が起きることがあるといわれています。

ヒートショックは、高齢者の「不慮の溺死および溺水」につながることもあります。厚生労働省の「人口動態調査」によると、高齢者の「不慮の溺死および溺水」は近年では交通事故の死亡者数よりも多くなっていることがわかります。

とくに部屋の中でも温度差がある浴室での不慮の溺死および溺水は、11~4月の寒い時期に多く発生しています。断熱リフォームで寒い時期の家の中の温度差をなくすようにすることが、ヒートショックのリスク軽減になります。

出典:冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください! -自宅の浴槽内での不慮の溺水事故が増えています-|消費者庁

断熱リフォームの工事内容・費用・期間

断熱工事のリフォームにはどのような工事があるのでしょうか。ここからは代表的な断熱リフォーム工事とその工事費用の目安、かかる期間などを紹介します。

  • 壁に断熱材を施工
  • 天井の断熱化
  • 床下の断熱化
  • 内窓(インナーサッシ)の追加
  • 外壁・屋根の断熱塗装

壁に断熱材を施工

壁を断熱リフォームするためには壁を一度解体し、既存の断熱材が入っている箇所に断熱材を追加します。壁を施工したうえで内装仕上げもしなければなりません。

家財を移動しなければならないので、準備も必要な大掛かりな工事になります。延床面積が120㎡の家の場合で、約100~300万円かかります。工期は2週間から1ヶ月程度を想定しましょう。

天井の断熱化

天井を断熱工事する場合は、壁の場合と異なり、天井裏に断熱材をすき間なく敷き詰めるように施工します。

解体工事や内装工事が不要のため、比較的簡単な工事です。家財道具を移動する必要もありません。

施工面が60㎡の場合、断熱材のタイプによっても異なりますが20~40万円かかります。工期は2~4日程度を想定しましょう。

床下の断熱化

床の断熱工事は床材の下に断熱材を装填しますので、床を解体せずに行うことができます。床下から施工しますが、構造によっては床下に入れないことがあり、その場合は床を解体して行うことになります。

床の解体が不要であれば、60㎡程度で20~40万円です。工期は2日~1週間程度を想定しましょう。床材を撤去する場合は、床材のグレードにもよりますが100万円以上かかります。詳しくはリフォーム会社に相談してみましょう。

内窓(インナーサッシ)の追加

一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会の資料によると、冬の暖房時の熱が窓から逃げる割合は全体の58%で、夏の冷房時に窓から熱が入りこむ割合は全体の73%とされています。

窓の断熱リフォームは工期が比較的短く手軽な割に、効果が高いのが特徴です。一般的に窓の断熱リフォームには以下の2つの方法があります。

内窓(インナーサッシ)の追加

既存の窓の内側に内窓を設置する窓リフォームです。二重サッシと呼ばれることもありますが、構造は同じです。

断熱効果の他に、サッシが二重になることによる防音効果もあります。また鍵も二重になるので、防犯性も向上します。

内窓を設置する場合は、内側に取り付ける空間が必要です。窓枠に奥行きがない場合は取付けできない場合もあります。

内窓を追加する工事費の目安は大きさや条件によっても異なりますが、掃き出しタイプで1窓17~25万円、工期は1~2日です。

複層ガラスのサッシに交換

既存のガラス1枚で構成されたサッシを、複数ガラスのサッシ(2枚以上のガラスで空気層またはガスを充てんした層を挟んだ構造のサッシ)に交換する窓リフォームです。ペアガラスと呼ばれることもありますが、構造は基本的に同じです。外壁を解体する必要はありません。

断熱効果はもちろん、結露防止効果も期待できます。

既存のサッシを複層ガラスのサッシに交換する工事費の目安は大きさによっても異なりますが、一般的な掃き出し窓の場合で35~45万円、工期は1日程度です。

出典:開口部からの熱の出入りは、どの位あるのですか?|一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会

外壁・屋根の断熱塗装

断熱塗料を使って外壁や屋根を塗装して、断熱効果を得る方法です。ただし、塗料を塗ったことにより断熱効果が期待されるため、対象となる部分が限定的で効果を実感できない可能性もあります。

塗料には熱の伝道を抑える断熱塗料と、光を反射して熱の発生を抑える遮熱塗料があり、どちらも一般的な塗装より高くなります。

塗装工事は延べ床面積が30坪(100㎡程度)で、屋根塗装・外壁塗装・足場代混みで120~150万円です。工期は2週間から4週間を想定してください。

断熱リフォームに使える補助金

断熱改修を行うことによって受けられる補助金があります。一定の条件を満たす必要がありますが、上手に活用できればお得に断熱リフォームができます。

申請期限が決まっていますが、予算額に到達すると早めに打ち切りになることがあります。お早めに検討しましょう。

3省連携による住宅省エネ化支援強化事業

環境省・経済産業省・国土交通省が連携して行う、住宅の省エネ化支援強化事業として「こどもエコすまい支援事業」があります。

こどもエコすまい支援事業
住宅の所有者がこどもエコすまい支援事業者と契約し、対象となるリフォーム工事を行った場合に補助金が支給されます。

開口部の断熱改修もしくは外壁・屋根・天井・または床の断熱改修など一定の工事を行うことが必須ですが、一緒に改修する工事(一定の条件あり)も補助対象になります。

対象となる高断熱窓やドアが定められており、その大きさによって補助金額が異なりますが、補助額は5万円から最大30万円/戸です。ただし「安心R住宅」の購入をともなう場合は上限45万円/戸となります。

安心R住宅とは、既存住宅の流通促進を目的に国土交通省が新たに設けた制度により、耐震性がありインスペクション(建物状況調査等)が行なわれた住宅です。

子育て世帯・若者夫婦世帯の場合は45万円です。ただし既存住宅の購入をともなう場合は上限60万円/戸になります。

なお、子育て世帯とは申請時点において2004年4月2日以降に出生した子どもがいる世帯、若者夫婦世帯とは申請時点において夫婦であり、いずれかが1982年4月2日以降に生まれた世帯です。

詳細についてはこどもエコすまい支援事業者、またはこどもエコすまい支援事業事務局にお問い合わせください。

出典:こどもエコすまい支援事業|国土交通省

また、環境省と経済産業省では既存住宅の断熱性能を高めることを目的に、断熱窓への改修に対して補助する「先進的窓リノベ事業」を行っています。

先進的窓リノベ事業
既存住宅の窓の断熱性能を高めることにより、エネルギー価格高騰への対応やCO2削減への貢献等を目的とする事業です。

補助対象は窓の断熱改修で、実施する補助対象工事の内容に応じて5万円~最大200万円/戸です。

契約期間は2022年11月8日から遅くとも2023年12月31日で、交付申請期間は2023年3月31日~予算上限額に達するまでです(遅くとも2023年12月31日まで)。

詳しくは先進的窓リノベ事業のお問い合わせ窓口へご相談ください。

出典:先進的窓リノベ事業|経済産業省・環境省

各地方自治体の補助金制度

自治体によっては、リフォームや改修工事に対して独自の補助事業を実施していることがあります。リフォームを検討する場合は、お住まいの自治体のホームページや役所の窓口でご確認ください。

たとえば東京都では高断熱窓や高断熱ドアなどを対象に「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」を行っています。申請期間は2022年6月22日から2025年3月31日です。

なお断熱改修工事と一緒に太陽光発電設備工事をすると、補助金が上乗せになります。補助率・最大補助額は以下の通りです。

項目補助率補助額(最大)
高断熱窓(1つ以上の居室の
すべての窓を高断熱窓にする)
3分の1100万/戸
高断熱ドア3分の116万/戸
太陽光発電設備(既存)
※断熱窓・断熱ドアの一緒に行う必要あり
3.75キロワット以下の場合15万円/キロワット(上限45万円)
3.75キロワットを超える場合12万円/キロワット(50キロワット未満)

出典:災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業|東京都

この記事のポイント

断熱リフォームの効果は?

冬は暖かく夏は涼しく過ごせる、光熱費の節約になる、ヒートショックのリスクを低減できるといった効果が期待できます。

詳しくは「断熱リフォームの効果」「断熱リフォームの効果」をご覧ください。

断熱リフォームに使える補助金にはどんなものがありますか?

「こどもエコすまい支援事業」や「先進的窓リノベ事業」のほか、自治体によって独自の補助金制度を設けている場合もあります。

詳しくは「断熱リフォームに使える補助金」「断熱リフォームに使える補助金」をご覧ください。

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