ざっくり要約!
- 家を貸すことで賃料収入が得られる一方、赤字や資産価値低下、金利上昇、トラブル発生などのリスクがある
- 「普通借家契約」と「定期借家契約」のどちらが適しているかは、貸したい期間や得たい収入による
- 管理方法は「自主管理」「管理委託」「サブリース」の3つに大別される
持ち家から転居するときには、売却のみならず、賃貸に出すことも選択肢の1つとなります。家を貸すメリットは、賃料収入が得られるとともに、再び住むことができ、インフレ対策にもなることです。しかし、賃貸経営にはリスクも伴うため、よく理解したうえで検討するようにしましょう。
本記事では、家を貸すメリット・デメリットとともに、手順や注意点を解説します。
記事サマリー
家を貸すメリット・デメリット
まずは、家を貸すメリット・デメリットを整理しておきましょう。賃貸経営は、家賃収入が得られるというメリットがある一方で、一定のリスクがあります。
メリット
家賃収入が得られる
家を貸すことによって得られる賃料は、家計や老後資金の足しになります。中には、不動産投資だけで生計を立てている投資家もいるほどです。資産の形成方法は数あれど、不動産投資のように比較的安定していて、ある程度の利回りが得られる投資方法は多くはありません。
また住むことができる
転勤や海外転勤に際し、自宅を売るか、貸すか、空き家にしておくか悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。売却すれば、当然ながら今後、自身や家族が住むことはできません。また、空き家にしておくと維持費の負担が大きくなるでしょう。一方で、一時的でも家を貸し出せば、また自身や家族が住むことができるとともに、空き家を有効活用できます。
・「リロケーション」に関する記事はこちら リロケーションとは?転勤時の空き家活用で検討したい賃貸方法をご紹介 |
インフレ対策になる
昨今、世界的にインフレーションが進んでいます。インフレに際しても現金の価値は変わりませんが、不動産の価値は基本的に物価とともに上がります。つまり、賃貸経営は継続的に収入が得られることに加え、インフレ対策にもなる事業だということです。
デメリット
赤字リスクがある
家を貸すということは「経営」にあたります。どんな事業にも一定のリスクがありますが、例に違わず、賃貸経営にも赤字になるリスクはあります。賃貸経営で赤字が発生する理由の大部分を占めるのが、入居率が予想を下回ることです。賃貸経営には、管理費や維持費がかかるため、賃料収入が得られなければ、当然ながら収支はマイナスになってしまいます。
資産価値低下のリスクがある
先のとおり不動産はインフレに強い資産ですが、物価が一定であれば、基本的には経年によって価値を落としていきます。このことを考慮せずに家を貸し出してしまうと、手放す時期を見誤ったり、売りたいときに売れなかったりする可能性があります。
金利上昇のリスクがある
変動金利でローンを借り入れている場合は、金利上昇リスクについても考慮しておかなければなりません。金融政策の影響を大きく受ける金利は、急激に上がる可能性もあります。また、金利上昇が緩やかだったとしても、長期間のローンを組んでいる場合は同様にリスクとなります。変動金利でローンを借り入れている場合は、急激な金利上昇にも対応できるよう、手元に繰り上げ返済できるだけの資金を残しておくことをおすすめします。
トラブルが発生するリスクがある
賃貸借契約は、第三者との契約です。他人が関わる以上、トラブルが発生するリスクも一定程度あります。賃貸経営におけるリスクとは、例えば次のようなものです。
- 家賃の滞納
- 隣人トラブル
- ゴミ屋敷化
このようなトラブルを回避するには、管理委託が有効です。プロに賃貸住宅の管理を任せることで、トラブルを未然に回避し、万一、トラブルが発生してしまったときにも適切な対応が取れます。管理委託については、後述で詳しく解説します。
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家を貸す方法
家を貸す方法は「普通借家契約」と「定期借家契約」の2つです。どちらが適しているかは、貸したい期間や必要とする収入などによります。
普通借家契約
普通借家契約は、原則として借主が希望する限り契約が更新され、継続的に住むことができます。契約の性質上「借主優位」のため、賃料は後述する定期借家契約と比較して高くなる傾向にあります。一方、家主の都合で退去してもらいにくいなど、家主が居住したくなっても所有物件に戻ることが難しい点はデメリットといえます。
定期借家契約
定期借家契約は、契約によって決められた期間で満了する更新契約のない賃貸借契約です。普通借家契約と比較して借主の制限が大きいため、賃料は低い傾向にあります。基本的には、契約期間が短ければ短いほど賃料は低くなります。賃貸契約満了の見通しが立つため、家主が再び住んだり、売却したりする予定がある場合に適した賃貸借契約だといえるでしょう。
賃貸住宅の管理方法
家を貸す際には、賃貸借契約の種類だけでなく、管理方法も検討しなければなりません。管理方法は、次の3つに大別されます。
自主管理
自主管理とは、所有者自らが賃貸物件を管理する方法です。委託費用や手数料はかかりませんが、賃貸経営では次のようにやるべきことが多岐に渡ります。
- 入出金管理
- 修繕・メンテナンスとその管理や手配
- 入居者募集・審査
- 賃貸借契約
- 更新契約
- 退去立会い
- 確定申告 など
管理委託
管理委託とは、管理会社に管理を委託する方法を指します。委託料は管理会社や委託する範囲によりますが、賃料収入の5%前後が一般的です。費用はかかるものの、経営負担の多くを委託することも可能であり、リスク回避にもなるため、副業で経営する方や高齢の方、初心者の方には管理委託をおすすめします。
サブリース
サブリースは、貸主が所有する物件をサブリース会社が借り受け、入居者に転貸するという仕組みの賃貸方法です。サブリース業者は、借り上げた家を転貸することから「管理」というより「経営」の委託に近いといえます。手数料は賃料の10%程度と管理方法のなかで最も高額になりますが、経営負担を大幅に軽減できます。
・「サブリース」に関する記事はこちら サブリースとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説 東急リバブルの「リロケーションプラン」はこちらから |
家を貸す流れ
家をスムーズに貸し出すためには、あらかじめその流れを把握しておくことが大切です。ここでは、家を貸し出すまでの一般的な流れを解説します。
1.不動産会社へ相談する
まずは、不動産会社に賃貸の相談をします。査定および収支シミュレーションをしたうえで、家を貸すか、売るか、あるいはそのままにしておくか判断しましょう。
2.入居者募集・申し込み・審査
家を貸す判断をした場合は、入居者の募集を開始します。内覧を経て、物件を気に入ってくれた方から申し込みが入り次第、入居審査と続きます。管理を委託する場合は、管理会社が審査しますが、最終的に入居者を決めるのは所有者(貸主)です。
3.賃貸借契約
入居者が決まれば、契約の運びとなります。賃貸借契約では、不動産会社の仲介のもと、重要事項説明の読み合わせや契約書への署名・捺印などが行われます。
4.更新・解約
普通借家契約の場合は、解約まで更新契約を繰り返します。定期借家契約は、期間満了をもって契約終了となりますが、再契約は可能です。
賃貸相場の調べ方
家を貸すときに気になるのが「いくらで貸せるか」なのではないでしょうか?賃料によっては、貸し出すのではなく、売却したほうがいいと考えられるケースもあるでしょう。ここでは、賃料相場の調べ方を解説します。
類似物件の賃料を調べる
立地や広さ、築年数などが類似している賃貸物件の募集賃料を見れば、ある程度の相場をつかむことができます。ただし、募集賃料と成約賃料は、必ずしもイコールではありません。契約前に値引き交渉があり、家主が了承すれば、賃料は下がる可能性もあります。とはいえ、類似物件は家を貸し出すうえで「ライバル」にもなるため、動向をチェックしておいて損はないでしょう。
不動産ポータルサイトを見る
不動産ポータルサイトでは、物件情報のみならず、賃料相場も公開しています。最寄りの駅名や間取り、建物種別などを絞って家賃相場を調べることも可能です。おおよその賃料の目安を知るには、このような情報を見るのが最も簡単な方法だといえます。
不動産会社に査定を依頼する
賃料は、物件自体の価値とともに周辺の価値や市況を踏まえて設定しなければ、入居希望が入ることには期待できません。あるいは、相場を見誤って低い金額で募集をかければ、所有者にとって大きな機会損失となります。
物件情報や不動産ポータルサイトで把握できる相場は、あくまで目安にすぎません。賃貸物件の適正な評価をする方法は1つ。不動産会社に査定を依頼することです。東急リバブルなら、賃料査定だけでなく売却査定も同時にできるため、家を貸すか売るか悩んでいる方にもおすすめです。
・「マンションを売るか貸すか」に関する記事はこちら マンションを売るか貸すか決める方法をメリットとデメリットから解説 東急リバブルの「賃貸×売却 無料W査定」はこちらから |
家を貸すときの注意点
家を貸す際には、リスクやデメリットを理解するとともに、次のような点に気をつけましょう。
住宅ローンが残っている場合は金融機関に相談を
住宅ローンが残っている家を貸し出すには、事前に金融機関から承諾を得なければなりません。そもそも住宅ローンとは、自己居住用の不動産に対する融資です。貸し出す行為は契約違反にあたるため、場合によっては投資用ローンへの借り換えを求められます。
維持費は継続してかかる
家を貸し出している間も、固定資産税やマンションの管理費、修繕積立金などの維持費は継続してかかります。また、設備や建具の修繕・メンテナンスにかかる費用も、基本的には家主負担です。これらの費用を考慮せずに収支シミュレーションをしてしまうと、赤字になってしまうリスクが上がります。
所得税・住民税が発生する
固定資産税や管理費、修繕費は、家を貸すことがなくてもかかる費用です。一方、家を貸すことで新たに発生する費用があります。それは、税金です。
家を貸して得た利益は「不動産所得」にあたります。不動産所得には、所得税と住民税が課されます。不動産所得は、賃料や礼金などの収入から必要経費を差し引いたものです。必要経費は、以下のような費用を指します。
- 借入利息
- 減価償却費
- 固定資産税・都市計画税
- 管理委託費
・「賃貸用不動産の賃貸時の税金」についてはこちら 不動産所得の計算方法、必要経費や修繕費に含まれるもの |
まとめ
家を貸すうえでは、賃料収入が得られるなどのメリットのほかに赤字や金利上昇、資産価値の低下、トラブル発生など一定のリスクがあることも認識しておかなければなりません。リスクを回避するには、管理委託やサブリースが効果的です。とはいえ、適切な管理方法や契約方法は、どれほどの収入が得られるかわからなければ判断できません。家を貸すかお悩みの方は、まず不動産会社に査定を依頼することから始めましょう。
この記事のポイント
- 家を貸すメリット・デメリットは?
賃料収入得られることに加え、インフレ対策にもなり、再び自分たちが住めることが家を貸すメリットです。一方で、赤字リスクや金利上昇リスクがある点はデメリットといえます。
詳しくは「家を貸すメリット・デメリット」をご覧ください。
- 家を貸すときの契約方法は?
「普通借家契約」と「定期借家契約」の2つがあります。どちらが適しているかは貸し出す期間などによります。
詳しくは「家を貸す方法」をご覧ください。
- 家を貸すときの管理方法は?
「自主管理」「管理委託」「サブリース」の3つに大別されます。
詳しくは「賃貸住宅の管理方法」をご覧ください。
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