ざっくり要約!
- 億ションは首都圏だけでなく、地方都市でも見られるようになりました。
- 億ションを購入するために必要な最低年収は「1,400〜1,650万円」といわれています。
首都圏を中心としたマンション価格の高騰によって、1億円を超える億ションが頻繁に取引されるようになりました。億ションを購入する際は、借入額が大きくなる傾向があるため、融資が受けられなかったり、ローン返済が滞ったりする場合があります。
本記事では、億ションを購入する際に必要な年収や注意点を詳しく紹介します。ローン金利ごとの返済シミュレーションもまとめているので、億ションの購入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
首都圏の新築マンションが1億円を超えた
株式会社 不動産経済研究所の調査によると、2023年3月の首都圏の新築分譲マンションの平均価格は14,360万円と発表され、新築マンションが1億円を超える金額で取引されていることがわかります。
新築マンション価格の高騰は、首都圏だけでなく地方でも見られる現象です。どのような特徴があるのかを詳しく見ていきましょう。
新築マンション価格が高騰している影響から、首都圏を中心に売買価格が1億円を超える億ションが頻繁に取引されています。
これらの取引は首都圏だけでなく、地方都市でも見られています。どのような特徴があるのかを詳しく見ていきましょう。
億ションとは?
億ションとは、1戸1億円以上で売買されるマンションのことをいいます。
数百万円から数千万円で購入できるマンションを「万ション」と表現するなかで、億超えの高級物件を指すときに「億ション」という言葉が使われるようになったといわれています。億ションは、東京や神奈川などの首都圏を中心に取引されており、新築マンション市場が高騰することで地方でも見られるようになりました。
都内で億ションは珍しくない
株式会社 不動産経済研究所の調査では、2023年1〜6月の東京23区内の新築分譲マンションの平均価格が12,962万円と発表しており、1億円を超えるマンションが都内で頻繁に取引されていることがわかります。
過去データと比較すると、前年が8,091万円、前々年が8,041万円となっていることから、新築マンション価格が上昇傾向にあります。なかには、売出価格を1億円以上に設定している中古マンションもあるため、都内では億ションが珍しい存在ではないといえるでしょう。
品川区や千代田区などの東京23区内には、販売価格を1億円以上に設定している新築マンションが多くあり、都内では億ションが珍しくない存在となっています。
公益財団法人 東日本不動産流通機構によると、2020年4〜6月に成約した中古マンションの1㎡あたりの単価が52.47万円でしたが、2023年4月〜6月には71.15万円まで上昇しています。なかには、売出価格を1億円以上に設定している中古マンションもあるため、都内では億ションが珍しい存在ではないといえるでしょう。
地方都市でも億ションは見られる
国土交通省の調査によると、2013年を境にマンション価格が上昇傾向にあります。その影響から東京都や大阪府などの都市圏だけでなく、香川県や熊本県といった地方都市でも1億円以上で取引される億ションが見られるようになりました。
中古マンションの取引価格も上昇傾向にあるため、地方都市の立地に優れたエリアのマンションは、高所得者でない限り手が出しづらい状況になっているといえるでしょう。
ローンを組んで億ションを購入する場合の返済額はいくら?
億ションをローンで購入した際の返済額は、借入金額と金利によって大きく異なります。
ここでは、金利0.5%・1.5%でローンを組んだ場合の返済額を、以下の条件でシミュレーションします。
条件
返済期間:35年
返済方式:元利均等方式
金利0.5%の場合
億ションの購入資金を準備するために金利0.5%のローンを組んだ場合の返済額は、以下の通りです。
借入額 | 月々の返済額 | 総返済額 |
---|---|---|
10,000万円 | 259,585円 | 109,025,661円 |
9,000万円 | 233,626円 | 98,123,078円 |
8,000万円 | 207,668円 | 87,220,482円 |
1億円の借り入れをした場合は、月々に約26万円の返済が発生し、約900万円の利息が発生します。借入額を少なくすることで返済の負担を小さくできるので、可能な限り頭金を準備するように意識しましょう。
金利1.5%の場合
次は、億ションを金利1.5%のローンで購入した際の返済額を見ていきましょう。
借入額 | 月々の返済額 | 総返済額 |
---|---|---|
10,000万円 | 306,184円 | 128,597,261円 |
9,000万円 | 275,565円 | 115,737,576円 |
8,000万円 | 244,947円 | 102,877,760円 |
1億円を金利1.5%で借り入れた場合は、月々の返済が30万円を超え、利息だけで約2,850万円の負担が発生します。借入額が大きくなるほど、金利の影響を受けやすくなるため、借り入れ前にシミュレーションをしながら返済が続けられる金額であるのかを確認しておきましょう。
億ションを購入するために必要な年収
住宅ローンの借入限度額を「年収の約6〜7倍」と設定している金融機関が多いため、億ションを購入する際に必要となる最低年収の目安は「約1,400〜1,650万円」といわれています。
しかし、住宅ローンは借りられる限度額ではなく、返済の負担が大きくなりすぎない借入額に設定することが大切です。住宅ローンの借入額は「年間返済額÷年収×100」で求められる返済比率が25%になる金額が理想的とされています。
億ションを購入する際に必要となる年収額を以下の条件でシミュレーションしていきましょう。
条件
- 固定金利:1.5%
- 返済期間:35年
- 元利均等返済
- ボーナス返済なし
借入額 | 25% | 30% | 35% |
---|---|---|---|
10,000万円 | 約1,470万円 | 約1,230万円 | 約1,050万円 |
9,000万円 | 約1,330万円 | 約1,110万円 | 約950万円 |
8,000万円 | 約1,180万円 | 約980万円 | 約840万円 |
シミュレーション結果から、借入金を1億円以上に設定する場合は、最低でも年収1,470万円以上が必要であることがわかります。なかには、年収が低い場合であっても融資を実行する金融機関もありますが、問題なく返済ができるのかを確認しておくことが大切です。
どんな人が億ションを購入するの?
億ションを購入する人は、投資家や資産家、パワーカップルなど多岐にわたります。
どのような人が億ションを購入するのかを詳しく見ていきましょう。
投資家
億ションを居住用ではなく、賃料収入や値上がり益といった投資目的で購入する人もいます。
億ションの販売直後に賃貸物件として貸し出されているケースの多くが、賃料収入を得ることを目的とした投資家が購入したものであるといえるでしょう。人気エリアの億ションは、販売価格より価値が上がる可能性があるため、タイミングを見ながら売却益を狙う投資家もいます。
資産家
億ションの購入者には、自身や家族の居住用として購入する資産家もいます。
現預金に余裕がある資産家であれば、ローンを組まずにキャッシュで購入する人も少なくありません。億ションは、戸建て住宅に比べて資産価値が低下しにくい傾向にあるため、将来的に売却することを視野に入れている人もいるでしょう。
相続税対策として億ションを購入する資産家も多くいますが、国税庁が相続税評価額の算出方法の見直しを検討していることが公表され、億ション購入による節税効果が圧縮される可能性が高まりました。億ションの需要は、今後の税制改正によって大きく変わることも考えられるでしょう。
パワーカップル
億ションを購入するのは投資家や資産家だけでなく、夫婦ともに年収の高い「パワーカップル」が購入するケースがあります。パワーカップルの年収に明確な基準はありませんが、一般的には年収700〜1,000万円を超える夫婦のことを指します。
夫婦で住宅ローンを契約するペアローンや連帯債務などを活用すると、単独で審査に通らない金額の借り入れが受けられます。そのため、経営者や資産家でなければ手が出せなかった億ションを購入することができるのです。
・「パワーカップル」に関する記事はこちら パワーカップルとは?定義や世帯年収、おすすめの暮らし方・家の買い方を解説 |
二次取得者
自宅を売却した資金で住居を買換える「二次取得者」も、億ション購入者となるケースがあります。
国土交通省の令和4年度住宅市場動向調査によると、分譲集合住宅を購入する二次所得者の年齢割合のうち60歳以上が52.6%を占めており、売却益や退職金などのまとまった現金を元手にマンションを購入していることがわかります。また、首都圏を中心に中古マンションの取引価格が高騰傾向にあるため、自宅マンションが想定より高く売却できたことが億ションの購入理由になっていることも考えられるでしょう。
億ションを買うときの注意点
理想の億ションを見つけられたとしても、融資が受けられなかったり、返済が滞ったりする可能性があります。ローン返済ができない場合は、財産を差し押さえられてしまうことになるので注意が必要です。
ここでは、億ションを購入する際の注意点を紹介します。
1億円以上融資してもらえないことも
億ションの購入費用を自己資金でまかなう人も一定数いますが、多くの人が金融機関から融資を受けることとなります。
しかし、金融機関が規定している返済比率を超えていたり、借入上限額を1億円未満に設定したりする場合は、1億円以上の融資が受けられなくなってしまいます。住宅金融支援機構が提供しているフラット35では、借入額を8,000万円以下に設定しているため、返済比率を下げたとしても融資を受けることができません。
1億円以上の融資を受けられたとしても、適用金利が高くなったり、借入期間が短くなったりするケースがあるので注意しましょう。
億ションは維持・管理費も高い傾向にある
建物本体の価値が高く、高級な設備が使われている億ションは、固定資産税や修繕費が高くなる傾向があります。そのため、ローン返済ができていたとしても、維持・管理費の支払いが苦しくなってしまうことが考えられます。
ローン返済額だけを想定していると、マネープランが大きく狂ってしまう可能性があるので、購入前にどのような費用がかかるのかをシミュレーションしておくことが大切です。
収入減・自然災害・離婚などのリスクも想定する
現状は問題なく返済ができていたとしても、収入減や自然災害、離婚などによって返済が滞ってしまう可能性があります。
特に、ペアローンや連帯債務で億ションを購入していた場合は、離婚によって収入が半減すると住み続けることが難しくなってしまいます。ほかにも、出産や育児などのライフイベントによって収入が減ってしまうことを想定しておくことも大切です。
ローン返済ができない状況にならないためにも、収入がいくらになったら億ションを売却するといった具体的な金額を決めておきましょう。
まとめ
億ションを購入するために必要な最低年収は1,400〜1,650万円といわれています。ただし、借入額や適用金利によって必要になる年収が異なるため、それぞれの状況に応じたシミュレーションをすることが大切です。
なかには、1億円以上の融資が受けられなかったり、収入減や離婚によってローン返済が滞ったりする場合もあるので、マネープランを立てたうえで億ションを購入するようにしましょう。
この記事のポイント
- 億ションを購入するために必要な最低年収はいくら?
億ションを購入に必要な最低年収は「1,400〜1,650万円」といわれています。ただし、借入額や適用金利によって金額が異なるので、自身の状況にあわせたシミレーションをすることが大切です。
詳しくは「億ションを購入するために必要な年収」をご覧ください。
- 億ションを購入する人には、どんな人がいる?
億ションは、投資家や資産家、パワーカップルといったさまざまな人が購入します。自己居住用だけでなく、投資目的で購入する人も少なくありません。
詳しくは「どんな人が億ションを購入するの?」をご覧ください。
- 億ションを購入して後悔することはある?
億ションは固定資産税や修繕費が高くなる傾向があるため、維持・管理費が高くなる傾向があります。加えて、育児や離婚などで収入が減ると、ローン返済が滞ってしまう可能性があるので注意が必要です。
詳しくは「億ションを買うときの注意点」をご覧ください。
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