ざっくり要約!
- 収入証明書の代表的な例として、源泉徴収票、給与明細書、確定申告書、青色申告決算書などがある
- 収入証明書は種類によって、勤務先や役所から送付されるもの、役所で取得可能なものなどに分かれる
住宅ローンやカーローンを申し込む際に、「収入証明書」を求められることがあります。収入証明書とは収入を証明する書類の総称ですが、どのような書類が収入証明書にあたるのでしょうか。
本記事では収入証明書と認められている、書類の種類と発行方法を解説します。記事後半では、賃貸物件の申し込み時、住宅ローンの申し込み時に必要となる収入証明書について説明します。いざ収入証明書が必要になった時に焦らないように、理解を深めておきましょう。
記事サマリー
収入証明書(年収証明書類)とは?
収入証明書とはご自身の収入を証明する書類の総称で、役所に行っても「収入証明書」という名の書類が取得できるわけではありません。ここからはどのような書類が収入証明書と呼ばれるものなのか解説します。
収入を公的(年収証明書類)に証明できる書類
収入証明書の代表的な例としては、次のような書類があります。
- 源泉徴収票
- 給与明細書
- 確定申告書
- 青色申告決算書
- 住民税決定通知書/納税通知書
- 所得証明書
- 課税証明書
- 納税通知書
- 年金通知書
収入証明書は住宅ローンの申し込みの際や、賃貸借契約の入居審査時などに提出を求められます。提出先により、公的機関発行の証明書のみ受け付けるケースもありますので留意しましょう。
収入証明書(年収証明書類)の種類と入手方法
収入証明書として利用できる書類にはさまざまなものがあります。ここからは、収入証明書の提出を求められた際に利用できる下記の書類の概要と入手方法を解説します。
- 住民税決定通知書/納税通知書
- 所得証明書/課税証明書
- 源泉徴収票
- 確定申告書
住民税決定通知書/納税通知書
住民税は前年の所得金額をベースに税額が算出されますが、サラリーマンなどの給与所得者は自分で直接納税せず、会社が従業員に代わり所得税や住民税を納付します。
これを「特別徴収」といい、従業員は会社から「住民税特別徴収税額の決定通知書」を渡されます。住民税特別徴収税額の決定通知書には主に次の内容が記載されています。
- 前年の給与収入
- 前年の給与所得
- 税額算定の基準となる課税標準額
- 住民税の税額と内訳
- 毎月給与から天引きされる住民税額
一方、自営業者やフリーランスなどの個人事業主は給与天引きなどありませんから、自分で年に4度、もしくは一括で住民税を納税する必要があります。これが「普通徴収」です。
個人事業主など普通徴収の納税者には「住民税納税通知書」が市区町村より送付され、主に次の内容が記載されています。
- 前年の総所得額と所得の内訳
- 所得控除の額と内訳
- 普通徴収分の納付額
- 納付の期限と納付額など
いずれの通知書も前年の所得が記載されているため、収入証明として利用ができるのです。なお、市区町村により「税額決定兼納税通知書」「納税通知書」など呼称は異なります。
発行方法
住民税特別徴収税額の決定通知書は、住民税を源泉徴収(給与天引き)する事業主に送付されます。そのため、サラリーマンなど特別徴収で住民税を納税している人には、会社から6月頃に渡されることが一般的です。普通徴収で住民税を納税する個人事業主には、毎年6月頃に市区町村より自宅宛てに住民税納税通知書が送付されます。
なお、住民税特別徴収額の決定通知書や住民税納税通知書は紛失してしまっても再発行ができません。そのような時は、次に解説する所得証明書や課税証明書を取得することになります。
所得証明書/課税証明書
所得証明書とは市区町村が発行する、「ある年の1月1日~12月31日までに所得の総額」を証明するもので、1年間の収入と所得控除の額、合計所得金額が記載されています。
所得とは収入から必要経費(サラリーマンの場合は給与所得控除)を差し引いて算出されます。複数の収入源がある場合には、すべての所得が記載されます。
一方、課税証明書は合計所得額に応じて課税された住民税の額を証明する書類です。課税証明書には住民税の額、合計所得金額、所得控除額や控除の内訳、課税標準額など住民税額算出のために必要な数字が記載されています。
課税証明書には合計所得金額が記載されていることから、所得証明書と課税証明書を統合した「所得(課税)証明書」を交付する市区町村も少なくありません。
発行方法
所得証明書や課税証明書は、住民登録をしている役所の窓口で取得可能です。いずれも、その年の1月1日時点の住民登録をしている市区町村に請求をします。役所、支所、出張所、窓口センターなどで取得可能です。
また本人以外でも、委任を受けた代理人も取得可能です。代理人が代理取得する場合には、各市区町村のホームページより委任状をプリントアウトし、本人が自署し押印をする必要があります。
なお、生計を一にする同世帯の親族が代理人となる場合には、委任状は不要とする市区町村が多いものの、事前に確認することをおすすめします。交付手数料は300円程度です。
以下に必要な持ち物を記載しますが、市区町村により異なることもあるため、ホームページなどで事前に確認をしましょう。
【必要な持ち物】
- 官公庁発行の顔写真のある身分証明書(マイナンバーカード・免許証・パスポート等)
- 上記以外の身分証明書の場合は2点(例)健康保険証+介護保険証
- 手数料
- 代理人が請求する場合は本人の自署・押印済みの委任状と代理人本人の身分証明書
また役所の窓口に行かなくとも郵送請求も可能です。ただし、郵送請求は原則、本人のみが請求でき、手元に証明書が届くまで日数がかかることに注意しましょう。
さらに、マイナンバーカードを持っていれば、コンビニエンスストアのマルチコピー機での発行が可能な市区町村もあります。
源泉徴収票
源泉徴収票は、年間の給与総支払額とその給与に対する所得税および復興特別所得税の税額を証明するための書類です。
源泉徴収票には、会社から払われた通勤手当やボーナス、残業代、役職手当などを含めた給与の総支払額、その給与総支払額から給与所得控除が引かれた給与所得、各種の控除、会社が給与から天引きした所得税の金額が記載されています。
給与総支払額および給与所得が記載されているため、収入証明書として利用することが可能です。
発行方法
源泉徴収票は、勤務先の会社が12月に年末調整を行った後に交付されます。12月の給与明細と併せて交付されることが一般的です。このタイミング以外に源泉徴収票が必要な場合は、会社に請求すれば交付可能です。
12月以前に会社を退職した場合には、最終の給与の確定後に1ヶ月ほどで交付されることが多いでしょう。なお、源泉徴収票を紛失した場合には、会社の経理担当者に依頼すれば再発行可能です。
確定申告書
自営業・フリーランスなどの個人事業主の人や、副業を行っている人で一定所得のある人、住宅ローン控除を初めて受ける人、給与所得が2,000万円を超える人などは確定申告を行います。1年間の所得にかかる税額を計算し、税務署に申告・納税を行いますが、この時に税務署に提出する書類が確定申告書です。
収入証明書として確定申告書を提出する場合には、税務署の「収受日付印」が押印された確定申告書控えを提出します。
また最近では、オンラインで確定申告を行う人(税理士を含め)も増えています。これは電子申告(e-Tax)と呼ばれますが、電子申告を行った場合には、申告書の控えは発行されません。
申告書控えの代わりにe-Tax申請時にe-Taxソフトのメッセージボックスに届く「受信通知」と確定申告書データを提出することで収入証明書と認められます。またe-Taxソフトで請求できる「電子申請等証明書」と確定申告書データを併せて提出する方法も、提出先によっては収入証明書として認めらます。
発行方法
税務署に直接確定申告をした場合には、その場で収受日付印を押印した確定申告書の控えを受け取れます。税務署等で入手した確定申告署の用紙に手書きで記入した場合は、申告書は複写式となっているため、自動的に控えが作成されます。
ただし、Web上から確定申告書の用紙をプリントアウトした場合や、国税庁の確定申告書作成コーナーで作成した確定申告書は、複写式ではないため、控えが作成されません。
この場合には、必要な控えの通数分、記入済みの確定申告書のコピーを持参する必要があることに注意しましょう。郵送で確定申告をする場合も同様です。
税務署等で入手した複写付きの確定申告用紙以外を使って確定申告書を作成した場合は、確定申告書のコピー(控えとして必要な通数分)を確定申告書の原本郵送時に同封します。確定申告書の写しは郵送で届くため、返信用封筒(宛名記入済みで切手を貼付したもの)を忘れずに同封しましょう。
電子申告(e-Tax)の場合は、確定申告データを送信後、e-Taxソフトのメッセージボックスに届く「受信通知」と確定申告データをプリントアウトし提出します。
なお、確定申告書の控えを紛失した場合には、申告を行った税務署に「開示請求手続き(手数料300円)」をすることで、再発行は可能です。ただし、1か月程度の時間がかかることに留意しましょう。
収入証明書(年収証明書類)が必要になるタイミング
収入証明書が必要なタイミングとして代表的なものは賃貸物件の入居申し込み時、住宅ローンの申し込み時です。
賃貸物件を借りるとき
賃貸物件を借りるときには収入証明を求められることが一般的です。タイミングとしては、入居申し込み時に提出を求められることが多いでしょう。入居希望者の家賃支払い能力を審査するために収入証明が必要になるのです。
先述したとおり、収入証明書はさまざまな書類が該当しますが、管理会社や大家さんにより求める収入証明が異なります。そのため、どの収入証明書が必要であるか確認するようにしましょう。一般的には次のような収入証明が必要です。
【サラリーマンなどの給与所得者】
- 源泉徴収票
- 管理会社によっては納税証明書
【源泉徴収票が手元にない給与所得者】
- 給与支払証明書
【個人事業主】
- 確定申告書控え
住宅ローンを申し込むとき
住宅ローンの申し込み時にも収入証明が必要になります。必要な収入証明書の種類は金融機関により異なることもありますが、一般的には次の収入証明書が必要になることが多いでしょう。
【サラリーマンなどの給与所得者】
- 源泉徴収票
- 住民税(特別徴収税額)決定通知書または課税証明書(直近分)
【個人事業主】
- 確定申告書の控え(直近3期分)
- 納税通知書(その1・その2・直近3期分)
この記事のポイント
- 収入証明書の種類と入手方法は?
収入証明書の種類によって入手方法が異なります。
例えば、源泉徴収票は、勤務先の会社が12月に年末調整を行った後に交付されます。12月の給与明細と併せて交付されることが一般的です。このタイミング以外に源泉徴収票が必要な場合は、会社に請求すれば交付可能です。
詳しくは「収入証明書の種類と入手方法」をご覧ください。
- 収入証明書が必要になるタイミングは?
主に賃貸物件の入居申し込み時、住宅ローンの申し込み時です。
住宅ローンの申し込み時に必要な収入証明書の種類は、金融機関により異なります。サラリーマンなどの給与所得者の場合は源泉徴収票、住民税(特別徴収税額)決定通知書または課税証明書(直近分)が必要になることがほとんどです。
詳しくはくは「収入証明書が必要になるタイミング」をご覧ください。
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