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こどもエコすまい支援事業とは?適用条件や申請方法を紹介

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • こどもエコすまい支援事業とは、子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援する補助制度
  • こどもエコすまい支援事業者に注文住宅やリフォームの工事を依頼したり、新築住宅を購入したりすると、補助金の還元を受けることができる

近年、国を挙げてCO2削減に取り組んでいることから、省エネ住宅に関連するさまざまな補助金制度が設けられています。
利用者としては選択肢が増えて嬉しい一方、どの補助金制度を使えば良いのかわからないと感じている方も多いのではないでしょうか。
省エネ住宅に関する補助金の中では「こどもエコすまい支援事業」が比較的使いやすいです。
前身の制度「こどもみらい住宅支援事業」は使い勝手が良く、あっという間に予算に達して補助制度が終了してしまったので、「こどもエコすまい支援事業」に興味のある方は早めに利用することをおすすめします。
この記事では、「こどもエコすまい支援事業」について解説します。

こどもエコすまい支援事業とは?

こどもエコすまい支援事業とは、2050年のカーボンニュートラルの実現を図ることを目的に、子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援する補助制度のことです。

こどもエコすまい支援事業者に注文住宅やリフォームの工事を依頼したり、新築住宅を購入したりすると、補助金の還元を受けることができます。

こどもエコすまい支援事業者とは、こどもエコすまい支援事業の事務局に登録された建築事業者や販売事業者、施工業者のことを指します。

補助金は発注者が直接国からお金を受領するのではなく、契約を締結したこどもエコすまい支援事業者を通じて還元を受けられるという仕組みです。
お金が直接振り込まれるのは、こどもエコすまい支援事業者となります。

どの会社に依頼しても補助金を受領できるわけではなく、こどもエコすまい支援事業者の中から工事等を依頼する会社を選ぶ必要がある点がポイントです。

子育て世帯による新築住宅やリフォームに関する支援

補助金の対象と補助上限額は、下表のようになります。

補助金の対象1戸あたりの補助上限額
注文住宅の新築100万円
新築分譲住宅の購入100万円
リフォーム原則30万円

いずれも2023年3月31日から交付申請の受付がスタートしており、予算に達した段階で補助事業は終了します。

こどもエコすまい支援事業の対象者や適用条件

こどもエコすまい支援事業の対象者と適用条件について解説します。

新築住宅の場合

注文住宅の新築と新築分譲住宅の購入では、子育て世帯または若者夫婦世帯のいずれかが対象者となります。

世帯要件
子育て世帯申請時点において、2004年4月2日以降に出生した子を有する世帯
若者夫婦世帯申請時点において夫婦であり、いずれかが1982年4月2日以降に生まれた世帯

対象となる新築住宅は、以下の要件を満たす必要があります。

【新築住宅の要件】

  • 所有者(建築主または購入者)自らが居住する
  • 住戸の床面積が50平米以上である
  • 土砂災害防止法に基づく、土砂災害特別警戒区域外に立地する
  • 都市再生特別措置法第88条第5項の規定により、当該住宅に係る届出をした者が同条第3項の規定による勧告に従わなかった旨の公表がされていないもの
  • 未完成または完成から1年以内であり、人の居住の用に供したことのないもの
  • 証明書等により、高い省エネ性能(ZEHレベル)を有することが確認できるもの
  • 交付申請時、一定以上の出来高の工事完了が確認できるもの

要件の中でポイントとなるのは「高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する」住宅であるという点です。

ZEH(ゼッチ)とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略であり、強化外皮基準に適合し、再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量が削減される性能を有する住宅のことを指します。

ZEHに適合することを証明するには、登録住宅性能評価機関等の第三者機関に証明書の発行を依頼する必要があります。マンションの場合、要件を満たしていれば対象住戸を含む一棟全体で評価された証明書等でも有効となります。

また、高い省エネ性能を有する住宅は、2022年10月1日以降に新基準で認定申請した認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、性能向上計画認定住宅も対象となります。

リフォームの場合

リフォームの対象者は、子育て世帯や若者夫婦世帯には限定されていません。こどもエコすまい支援事業者とリフォームの工事請負契約等を締結し、工事を行う人であれば誰でも対象となります。ただし、リフォームする住宅の所有者等であることは必須です。

対象となるリフォーム工事は、下表のようになります。

区分 対象工事
必須 開口部の断熱改修
外壁、屋根・天井又は床の断熱改修
エコ住宅設備の設置
任意 子育て対応改修
防災性向上改修
バリアフリー改修
空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
リフォーム瑕疵保険等への加入

対象となるリフォーム工事は、3つの必須工事のうち、原則としていずれか一つは実施することが必要です。

任意工事は、原則として必須工事と同時の行う場合に補助の対象となります。必須と任意の工事は、いずれも補助額が合計5万円以上となる場合に補助対象となります。

補助額は、対象工事内容ごとの補助額の合計です。同一住宅に複数回のリフォーム工事を行う場合、補助要件を満たしていれば補助上限額の範囲内で申請を行うことができます。

補助上限額は原則として1戸あたり30万円ですが、「子育て世帯または若者夫婦世帯」もしくは「自ら居住するために購入した既存住宅に行うリフォーム工事」である場合には、補助上限額が下表のように引き上げられます。

子育て世帯・若者夫婦世帯既存住宅購入1戸あたりの上限補助
該当する 該当する 60万円
該当しない 45万円
該当しない 該当する(安心R住宅※に限る) 45万円
該当しない 30万円

※安心R住宅とは、建物状況調査等が行われており、リフォーム等について情報提供がなされている住宅のこと。

子育て世帯と若者夫婦世帯の定義に関しては、新築住宅と同じです。
既存住宅に関しては、以下の要件を満たす必要があります。

【既存住宅の要件】

  • 不動産売買契約の締結時に完成から1年以上経過している住宅である
  • 不動産売買契約の締結が、2022年11月8日以降である
  • 売買代金が税込100万円以上である
  • リフォーム工事の工事請負契約の締結が、不動産売買契約の締結から3ヶ月以内である
  • 工事発注者が子育て世帯と若者夫婦世帯に該当しない場合は、購入する住宅が安心R住宅である

なお、リフォーム工事では、補助の対象にはならない工事も定められています。
補助の対象とならないリフォームの例を挙げると、以下の通りです。

【補助対象とならないリフォーム例】

  • ドアの一部および欄間に取り付けられたガラスを交換する工事
  • 店舗併用住宅等の住宅以外の部分の工事
  • 住宅の所有者等が住宅設備を購入し、その取付けを住宅事業者に依頼する工事
  • 外皮以外の部分の窓やガラス、ドアの工事
  • 屋外に設置した手すり工事や、屋外の段差解消の工事
  • 太陽光発電設備の設置工事
  • 家庭用燃料電池コージェネレーションシステム(エネファーム)の設置工事
  • リース設備の設置工事
  • 中古品を用いた工事

太陽光発電設備や家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの設置工事は、一見すると必須工事の「エコ住宅設備の設置」に該当しそうですが、対象外となっています。

リフォーム工事は、詳細要件を十分に確認した上で行うようにしましょう。

こどもエコすまい支援事業の申請方法

こどもエコすまい支援事業の申請方法について解説します。
まず、こどもエコすまい支援事業では、建築主や購入者、リフォーム工事発注者等の依頼者が直接申請手続きを行うことはありません。

申請手続き自体はこどもエコすまい支援事業者が行ってくれるため、依頼者は申請手続きの細かいルールを気にする必要は少ないといえます。

依頼者が最も意識しなければいけない点は、こどもエコすまい支援事業者に工事を依頼する、またはこどもエコすまい支援事業者より住宅を購入するという点です。
こどもエコすまい支援事業者以外の事業者と契約を締結しても、補助金はもらえません。

また、こどもエコすまい支援事業は、国が有する予算に達した時点で事業が終了となります。計画では遅くとも2023年12月31日まで行うこととしていますが、前身の制度である「こどもみらい住宅支援事業」は早々に予算に達し途中で事業が終了してしまいました。そのため、早めに申請することも重要なポイントです。

「こどもエコすまい支援事業者」のメーカーに問い合わせる

こどもエコすまい支援事業で補助を受けるには、こどもエコすまい支援事業者に問い合わせて依頼することがスタートラインです。

こどもエコすまい支援事業者は、こどもエコすまい支援事業の公式ポータルサイトより検索することができます。公式ポータルサイトの事業者検索画面は以下のリンクです。

補助金利用を相談できる事業者の検索

こどもエコすまい支援事業の注意点

こどもエコすまい支援事業の注意点について解説します。

他の補助金と併用できない場合がある

こどもエコすまい支援事業は、国の補助金であることから、国の他の補助金とは併用ができません。他の補助金が国費を充当していない補助金であれば、併用できる可能はあります。

例えば、「地域型住宅グリーン化事業」や「ZEH支援事業」は、国の補助金です。これらの国の補助金とこどもエコすまい支援事業は、併用できないことになります。

マンションのリフォームは管理組合との重複に注意

こどもエコすまい支援事業のリフォーム工事は、マンションも対象となります。リフォーム工事は、区分所有者が1戸を行う場合も対象ですし、管理組合が全体を行う場合も対象です。

ただし、すでに各住戸が戸別にリフォームを申請している場合において、後から管理組合がリフォームを行おうとすると、各設備や住戸毎の補助額以上の交付申請について減額される場合があります。

子育て世帯または若者夫婦世帯のみが対象

新築住宅の場合、子育て世帯または若者夫婦世帯のみが対象です。

リフォームに関しては子育て世帯や若者夫婦世帯以外でも利用できますが、子育て世帯や若者夫婦世帯であれば補助上限額が加算されるため、子育て世帯や若者夫婦世帯の方が有利といえます。

この記事のポイント

こどもエコすまい支援事業の対象者や適用条件は?

注文住宅の新築と新築分譲住宅の購入では、子育て世帯または若者夫婦世帯のいずれかが対象者となります。

また、対象となる新築住宅は「所有者(建築主または購入者)自らが居住する」「住戸の床面積が50平米以上である」など、さまざまな条件を満たす必要があります。

詳しくは「こどもエコすまい支援事業の対象者や適用条件」をご覧ください。

こどもエコすまい支援事業の申請方法は?

こどもエコすまい支援事業では、建築主や購入者、リフォーム工事発注者等の依頼者が直接申請手続きを行うことはありません。申請手続き自体はこどもエコすまい支援事業者が行ってくれます。

ただし、こどもエコすまい支援事業者に工事を依頼する、またはこどもエコすまい支援事業者より住宅を購入することが必須です。

詳しくは「こどもエコすまい支援事業の申請方法」をご覧ください。

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