ざっくり要約!
- 分譲賃貸とは賃貸に供されている分譲マンションの部屋のこと
- 分譲賃貸には造りがしっかりしている、管理組合員にならなくて良いなどのメリットがある
賃貸物件の一つに、分譲賃貸と呼ばれるものがあります。
分譲賃貸とは、賃貸に供されている分譲マンションの一室のことです。
分譲賃貸には、アパートや一棟賃貸マンションのような賃貸専門の物件にはないさまざまなメリットがあり、快適に暮らせる物件も多いといえます。
賃貸物件への引っ越しを検討している人であれば、分譲賃貸も意識的に探していきたいところです。
分譲賃貸とは一体どのような物件なのでしょうか。
この記事では「分譲賃貸」について解説します。
記事サマリー
分譲賃貸とは
分譲賃貸とは、賃貸に供されている分譲マンションの部屋のことです。
共同住宅の賃貸物件には、アパートや一棟賃貸マンションの他、分譲賃貸があります。
アパートや一棟賃貸マンションは、1人の所有者が一棟全体を保有していることが通常です。
Aさんが所有していれば、101号室も201号室も貸主はAさんとなります。
一棟賃貸マンションは所有者が1人であり、居住者はどの部屋も全員が借主という点が特徴です。
一方で、分譲賃貸は所有者が部屋ごとに異なります。
所有形態は、101号室はBさん、201号室はCさんといった状態です。
分譲マンションのように、部屋ごとに所有する形態のことを「区分所有」と呼びます。
分譲賃貸では、居住者がどの部屋も借主という状態にはなりません。
例えば101号室は所有者であるBさんが自分で住んでおり、201号室は所有者のCさんがDさんに貸しているといった状態が分譲賃貸です。
居住者の中に区分所有者と借主が混在しているのが分譲賃貸の特徴であり、権利関係は一棟賃貸マンションよりも複雑であるといえます。
分譲賃貸の特徴
分譲賃貸では、分譲マンションで暮らしていても居住者(借主)は物件の区分所有者ではないため、固定資産税や都市計画税、管理費、修繕積立金の負担はありません。
固定資産税等の物件の維持費は、貸主である区分所有者が家賃収入の中から支払っていることが通常です。
また、分譲賃貸であっても賃貸物件に変わりはないため、借主と貸主の権利や義務はアパートや一棟賃貸マンションと同じになります。
借主には家賃の支払い義務があり、退去時には原状回復義務があります。それに対して、貸主には修繕義務があります。仮に、入居中に設備等が寿命によって壊れた場合、貸主に修繕してもらえる点が特徴です。
借主は、入居時に敷金も支払い、また家賃保証会社への加入も義務付けられることが一般的となっています。
火災保険に関しては、通常の賃貸物件と同様に借主が家財に加入し、貸主が建物に加入することが通常です。
ちなみに分譲賃貸であっても、貸主(区分所有者)が管理を管理会社に委託しているケースもよくあります。
管理会社が介在している場合に、水漏れ等のトラブルが発生した際、借主は管理会社に一報を伝えることになります。貸主が管理会社を使っていない場合に、トラブルが発生した際は、直接貸主とやりとりすることが必要です。
分譲賃貸の種類
分譲賃貸の種類について解説します。
個人が賃貸に出している中古物件
分譲賃貸で最も多いケースは、個人が元マイホームや親から相続したマンションを賃貸に出している中古物件です。
マイホームでも住宅ローンが完済しているのであれば、賃貸に供することができます。
親から相続したマンションも、通常はローンを完済しているため、賃貸に供することができます。
住宅ローンの返済中の物件は、原則として賃貸に出すことができないことから、個人が賃貸に出している分譲賃貸は、比較的築年数の古い物件が多いです。
一方で、裏を返すと築年数が古くても借主が見つかる物件が賃貸に出されているケースが多いことから、立地条件が良い物件も多い傾向があります。
資産性が高いため、「売るのがもったいないので貸している」という判断で賃貸に出されている物件も多く、比較的利便性の高い場所に見つけやすいのも特徴です。
投資目的で購入した物件
近年では、最初から投資目的で購入されている分譲賃貸も増えてきました。
マンションディベロッパーも、最初から投資家向けに分譲していることも多いです。
最近の新築分譲マンションでは、分譲時のパンフレットに価格だけでなく、貸したらいくらになるかという賃料も併記されていることがよくあります。
賃料は自分で住む人にとってはあまり関係のない情報ですが、わざわざ載せているのはディベロッパーが新築時から投資家に売ることも視野に入れているからです。
都市部のタワーマンションでは、新築時から3分の1くらいの住戸が投資家に売却されているような物件もあります。
投資目的で購入されている分譲賃貸は、築年数が新しい物件が多い点が特徴です。
また、投資家が立地も判断して購入しているため、立地の良い物件も多い傾向があります。
投資家は不動産投資ローンと呼ばれる住宅ローンとは異なるローンを組んでいることから、新築当初から賃貸に供することができるのです。
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転勤などで一時的に部屋を空けている物件
住宅ローンの返済中の物件は原則として賃貸に供することはできませんが、例外的に所有者が転勤等で一時的に空いてしまう部屋は住宅ローンの返済中でも貸すことができます。
そのため、転勤などで一時的に部屋を空けている物件も分譲賃貸となっていることが多いです。
所有者が転勤中の分譲賃貸は、賃貸借契約が定期借家となっていることが特徴となっています。
定期借家とは更新ができない契約のことであり、契約期間が満了したら確実に退去しなければならない契約のことです。
ただし、定期借家契約は更新ができないという点で借主に不利であることから、賃料が相場よりも安い物件が多くなっています。
分譲賃貸のメリット
分譲賃貸のメリットについて解説します。
造りがしっかりしている
分譲賃貸は、一棟賃貸マンションよりもコストをかけて建築されている傾向があり、建物の造りそのものがしっかりしています。
設備に関しても、同年代に建てられた一棟賃貸マンションよりハイスペックな物件が多いです。
管理組合員にならなくて良い
分譲賃貸は、分譲マンションに住みながら管理組合員にならなくて良いというメリットがあります。
居住者(借主)は区分所有者ではないため、管理組合員ではありません。
管理組合の理事も回ってきませんので、分譲マンション特有のストレスを感じにくいといえます。
共有部分が充実している
一般的に分譲マンションは一棟賃貸マンションよりも共用部分が充実している物件が多いです。
分譲賃貸の居住者(借主)は、管理組合の理事会に参加せずに区分所有者同様、共用施設を利用できます。
専有面積が広い物件が多い
分譲マンションは、ファミリー層をターゲットにしている物件が多いため、専有面積が広い物件が多い点が特徴です。
一方、一棟賃貸マンションは、賃料単価を上げるために各部屋の賃貸面積が狭い物件が多いです。
広めの物件は、分譲賃貸の方が見つけやすいといえます。
引っ越しが容易
分譲賃貸は、賃貸物件ですので引っ越しが容易です。
所有していると、売却してから引っ越さなければいけない等の制約が発生します。
賃貸物件であれば、好きなタイミングですぐに引っ越すことができるため、住み替えはしやすいです。
分譲賃貸のデメリット
分譲賃貸のデメリットについて解説します。
駐車場を貸してもらえないこともある
マンションにもよりますが、分譲マンションでは借主には駐車場を貸さない物件も多いです。
駐車場の台数が足りていない物件では、駐車場は区分所有者に優先される傾向があります。
借主は管理組合員ではないため、規約を変更してもらう手段がなく、常に管理組合の決定に従わざるを得ないというデメリットがあります。
相場より家賃が高い傾向がある
分譲賃貸は、専有面積が広い、立地の良い物件が多い等の理由で、家賃が相場よりも高い傾向はあります。
長期間住み続けるには、経済的に厳しいと感じる物件も多いです。
定期借家契約の場合は居住期間が限られる
定期借家契約となっている物件は、居住期間が限られる点がデメリットです。
長期間住みたい人は、転勤で一時的に貸しているような物件は避けるべきといえます。
物件数が少ない
分譲賃貸は物件数が少ない傾向にあります。
特に築年数が浅く、かつ3LDKのようなファミリータイプの物件は、見つけにくいことが多いです。
オーナーの知識にばらつきがある
分譲賃貸は投資家だけでなく、一般の個人が貸主となるケースも多いため、オーナーの知識にばらつきがある点もデメリットです。
貸主によっては修繕を要求しても、なかなか対応してくれないこともあります。
また、管理会社を使っていないケースでは、直接貸主とやり取りしなければならず、トラブルも発生しやすいです。
分譲賃貸はこんな人におすすめ
家を選ぶ際には、間取りや設備などはもちろん、自分の生活スタイルや希望に合っているか確認することも大切ですが、分譲賃貸の場合は下記のような人におすすめです。
分譲マンションに憧れがある
戸建てにしか住んだことのない人で、分譲マンションに住むことも検討している人は、一度分譲賃貸に住むことをおすすめします。
分譲マンションは、庭の草抜きも不要で、ゴミステーションの掃除当番もありません。
セキュリティも戸建て住宅に比べると格段に高いです。
戸建て住宅では得られない居住の快適性があり、お試しに住んでみることは良い経験となります。
ご近所付き合いのストレスを減らしたい
分譲賃貸では、居住者(借主)は管理組合の理事が回ってくることはありません。
戸建て住宅のように、回覧板を回すような習慣もないです。
分譲マンションではゴミ捨て場の掃除は清掃会社が行いますので、居住者による掃除も不要となります。
分譲賃貸は、近所付き合いを最小限にできる居住形態であり、ストレスを軽減できる点がメリットです。
ファミリー向け物件を探している
ファミリー物件を探している人は、自然と分譲賃貸に行きつくことが多いです。
一棟賃貸マンションは、賃料単価を上げるためにワンルームや1LDK、2LDKといった狭めの間取りが多くなっています。一棟賃貸マンションで、3LDK以上の物件を探すのは逆に困難です。
築浅物件にこだわらなければ、ファミリー物件の分譲賃貸は見つけやすいといえます。
この記事のポイント
- 分譲賃貸のメリットは?
分譲賃貸には、造りがしっかりしている、管理組合員にならなくて良い、共用部分が充実している、専有面積が広い物件が多い、引っ越しが容易などのメリットがあります。
詳しくは「分譲賃貸のメリット」をご覧ください。
- 分譲賃貸のデメリットは?
分譲賃貸には、駐車場を貸してもらえないこともある、相場より家賃が高い傾向がある、定期借家契約の場合は居住期間が限られる、物件数が少ない、オーナーの知識にばらつきがあるなどのデメリットがあります。
詳しくは「分譲賃貸のデメリット」をご覧ください。
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