マンション売却相場
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マンション売却相場の調べ方は?地域別・築年数別の目安売却相場も紹介

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • マンションの売却相場はポータルサイトを使って類似の物件の売り出し価格をチェックすることで調べられる
  • マンション売却の全国的なトレンドは国土交通省が示す不動産価格指数で把握することが可能

近年、マンション価格は上昇傾向にあり、売りどきが続いています。
価格が上昇トレンドにあるときは、相場よりもやや高い価格で売れることがよくあります。

理由としては、相場は「少し前の過去に決まった価格で形成されるもの」であり、売るときは「少し先の将来に決まる価格」になるからです。
適正価格で売るには、なるべく直近の相場を知ることが望ましいといえます。
マンションの売却相場は、どのように調べればよいのでしょうか。
この記事では、「マンション売却の相場」について解説します。

マンション売却相場の基礎知識

マンション売却相場の基礎知識

最初に、マンション売却相場の基礎知識について解説します。

マンション売却価格の決定要因

マンションの売却価格は、さまざまな要因によって決定されます。
国土交通省の示す不動産鑑定評価基準によると、マンションの価格決定要因は以下の通りです。

【建物に係る要因】

  • 建築の年次
  • 面積、高さ、構造、材質等
  • 設計、設備等の機能性
  • 施工の質と量
  • 玄関、集会室等の施設の状態
  • 建物の階数
  • 建物の用途および利用の状態
  • 維持管理の状態
  • 居住者、店舗等の構成の状態
  • 耐震性、耐火性等建物の性能
  • 有害な物質の使用の有無およびその状態

【敷地に係る要因】

  • 敷地の形状および空地部分の広狭の程度
  • 敷地内施設の状態
  • 敷地の規模
  • 敷地に関する権利の態様

【建物およびその敷地に係る要因】

  • 敷地内における建物および附属施設の配置の状態
  • 建物と敷地の規模の対応関係
  • 長期修繕計画の有無およびその良否並びに修繕積立金の額

【専有部分に係る個別的要因】

  • 階層および位置
  • 日照、眺望および景観の良否
  • 室内の仕上げおよび維持管理の状態
  • 専有面積および間取りの状態
  • 隣接不動産等の利用の状態
  • エレベーター等の共用施設の利便性の状態
  • 敷地に関する権利の態様および持分
  • 区分所有者の管理費等の滞納の有無

出典:不動産鑑定評価基準|国土交通省

実際のマンションの価格は、上記のような要因を総合的に勘案したうえで決定されます。

マンション売却の流れと必要な準備

マンション売却の主な流れを示すと、以下の通りです。

【売却の流れ】

  1. 価格の査定を依頼
  2. 不動産会社と媒介契約(不動産会社に依頼する仲介の契約のこと)を締結
  3. 販売活動の開始(買主が決まるまで一般的には3ヶ月程度)
  4. 買付証明書の受領
  5. 売買契約の締結(引渡までは一般的に1ヶ月から1ヵ月半程度)
  6. 引渡
  7. 必要があれば売却の翌年に確定申告

引渡時は、買主に対して下表のような書類を引き渡します。

必要とする場面書類名
買主へ引き渡す書類・分譲時のパンフレット
・管理規約・使用細則・最近のマンション理事会の会計報告書や議事録の写し等
・管理費・修繕積立金の額の確認書等
・固定資産税・都市計画税納税通知書の写し
・設備取扱説明書、保証書、アフターサービス基準書
登記に必要な書類・登記識別情報通知書または登記済証(権利証)
・印鑑証明書(引渡時の3ヶ月以内に発行のもの)
・固定資産税評価証明書
・住民票(住所の変遷が確認できない場合は戸籍の附票が必要)
・本人確認書類(免許証等)
・抵当権の抹消に必要な書類(銀行が保管している書類)

不動産会社の選び方と依頼の仕方

不動産会社は、以下のような点を意識して選ぶことがポイントです。

【不動産会社の選び方】

  • 売却実績が豊富である
  • 売主向けサービスが充実している
  • 担当者が誠実である

1つ目は、売却実績が豊富な会社を選ぶことが適切です。
売却実績が豊富な会社はノウハウが豊富であるため、さまざまな状況に対応ができ、物件をスムーズに売却することができます。
床に傷がある、転勤ですぐに売らなければいけない等の事情があっても適切な対応を行ってくれます。

2つ目は、売主向けサービスが充実している会社であるかどうかです。
不動産会社によっては建物保証や設備保証、除、ハウスクリーニング等を無料で対応してくれる場合もあります。
サービスが充実している会社は、物件価値を高めた上で売却してくれますので、高値で売却しやすくなります。

3つ目は、担当者が誠実であるかどうかという点です。
売主の要望をしっかりと聞き、誠実な対応をしてくれる担当者が望ましいといえます。
誠実な担当者は買主にも印象が良いため、売却しやすくなります。

また、不動産会社への査定依頼は、ホームページで売主向けサービス等を調べた上で、連絡することが適切です。

査定時は、以下の資料を用意しておくことが望ましいといえます。

  • 登記済証(権利証)または登記識別情報
  • 間取りがわかる資料(分譲時のパンフレット等)
  • 建設住宅性能評価書

住宅性能評価書とは、登録住宅性能評価機関が発行する住宅の性能を客観的に示す書面のことです。
近年に新築されたマンションであれば、住宅性能評価書を持っている場合があります。
住宅性能評価書は査定価格をアップさせる可能性がある資料となるため、保有していれば査定時に提示することが望ましいです。

マンション売却相場の調べ方

マンション売却相場の調べ方

この章では、マンション売却相場の調べ方について解説します。

市場データを活用した調査方法

マンションの売却相場は、ポータルサイト(売り出し中の物件の広告が掲載されているサイト)を使って類似の物件の売り出し価格をチェックすることで簡単に調べられます。

特に同じマンションの他の部屋が売りに出されている場合には、参考になりますので必ず確認しておきましょう。

売り出し価格を床面積で割って単価を求め、その単価を自分の部屋の面積に乗じれば、概ね自分の物件の価格がわかります。

同じマンションの物件がない場合には、近隣の築年数が極力近い物件を参考にすることが適切です。

なお、ポータルサイトで調査できるのは、あくまでも売り出し価格であり、実際に取引される成約価格ではありません。

不動産の売買では、買主からの値引き交渉によって成約価格が売り出し価格よりも下がる可能性があります。

全国的なトレンドを把握するための情報源

全国的なトレンドは、国土交通省が示す不動産価格指数で把握することができます。
参考までに、2024年4月分の不動産価格指数を示すと、下図の通りです。

2024年4月分の不動産価格指数

画像出典:不動産価格指数|国土交通省

近年のマンション価格は、10年以上に渡り上昇トレンドが継続している状況です。

新築時に購入したときよりも高く売却できるケースも増えており、今は売りどきといえます。

地域別の相場動向とその分析

地域別の相場については、レインズマーケットインフォメーションで調べることができます。
レインズマーケットインフォメーションとは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理している不動産流通標準情報システムのことです。

レインズマーケットインフォメーションでは、実際に取引された成約価格がデータベース化されており、条件を絞ることで地域の相場をある程度把握することができます。

レインズマーケットインフォメーションは、不動産会社が実際に取引されたデータを不動産流通機構に報告したデータが元になっています。
ただし、個人情報保護の観点から物件が特定できない状態で情報が公開されている点が特徴です。

そのため、自分のマンションの価格がいくらで取引されているかということまでは、わからないようになっています。

築年数別のマンション売却相場

築年数別のマンション売却相場

この章では、築年数別のマンション売却相場について解説します。

築10年以内のマンション

首都圏における築10年以内の中古マンションの平均価格は、下表の通りです。

築年数価格(万円)面積(平米)平米単価(万円)
築0~5年7,07762.87112.55
築6~10年6,65566.19100.54

出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)|公益財団法人東日本不動産流通機構

築20年以内のマンション

首都圏における築20年以内の中古マンションの平均価格は、下表の通りです。

築年数価格(万円)面積(平米)平米単価(万円)
築11~15年5,93268.1986.99
築16~20年5,50970.4978.15

出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)|公益財団法人東日本不動産流通機構

築30年以内のマンション

首都圏における築30年以内の中古マンションの平均価格は、下表の通りです。

築年数価格(万円)面積(平米)平米単価(万円)
築21~25年4,88770.6069.23
築26~30年3,34464.9451.48

出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)|公益財団法人東日本不動産流通機構

築30年以上のマンション

首都圏における築30年以上の中古マンションの平均価格は、下表の通りです。

築年数価格(万円)面積(平米)平米単価(万円)
築31~35年2,30357.6639.94
築36~40年2,67257.6350.49
築41年~2,26056.0046.37

出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)|公益財団法人東日本不動産流通機構

・「【2024年版】新築・中古マンション価格の推移と地域別データ」に関する記事はこちら
【2024年版】新築・中古マンション価格の推移と地域別データを紹介
・「中古マンションの築年数ごとの特徴」に関する記事はこちら
中古マンションを買うなら築何年がいい?築年数ごとの特徴を紹介

地域別のマンション売却相場

地域別のマンション売却相場

この章では、2024年6月における地域別のマンション売却相場について解説します。

東京のマンション

都道府県価格(万円)面積(平米)平米単価(万円)築年数(年)
東京都6,15659.54103.4023.27

出典:月例マーケットウォッチ2024(令和6)年6月度|公益財団法人東日本不動産流通機構

神奈川・千葉・埼玉のマンション

都道府県価格(万円)面積(平米)平米単価(万円)築年数(年)
神奈川4,01667.6559.3524.54
千葉2,89971.5040.5427.16
埼玉2,85267.6542.1526.58

出典:月例マーケットウォッチ2024(令和6)年6月度|公益財団法人東日本不動産流通機構

北海道・大阪・福岡のマンション

都道府県価格(万円)面積(平米)平米単価(万円)築年数(年)
北海道2,26674.5130.4228.07
大阪3,23666.2648.8326.31
福岡2,53466.3038.2224.88

出典:月例マーケットウォッチ2024(令和6)年6月度|公益財団法人東日本不動産流通機構

ライターからのワンポイントアドバイス

ライターからのワンポイントアドバイス マンション売却相場

近年は日銀が低金利政策を取ってきたことから住宅ローンの金利が安く、購入需要が強まっていたため、売りどきが続いていました。

ただし、2024年3月に日銀がマイナス金利を解除する方針を示したことで、今後金利が上がる可能性が強まっています。金利が上がれば購入需要が弱まり、マンション価格が下がる見込みが強いです。

購入需要が弱まると価格が安くなるだけでなく、売却までの期間も長期化する傾向があります。本格的に金利が上がると売却しにくくなりますので、今のうちに売ることをおすすめします。

この記事のポイント

マンション売却価格の決定要因とは?

マンション売却価格は、建築の年次、面積、高さ、構造、材質等、設計、設備等の機能性、施工の質と量をはじめとした不、さまざまな要因に基づいて決定します。

詳しくは「マンション売却相場の基礎知識」をご覧ください。

不動産会社の選び方のポイントは?

不動産会社を選ぶ場合は、売却実績が豊富である、売主向けサービスが充実している、担当者が誠実であるという3つのポイントを意識しましょう。

詳しくは「マンション売却相場の基礎知識」をご覧ください。

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