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建築確認申請とは?流れや費用、不要な場合について紹介

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

建物を建築または一定の増改築等をする場合は、建築確認申請をしなればなりません。建築基準法や、その自治体などの条例に沿った建築物なのかを審査を受けるためです。

そして違反建築物を排除することが目的で、その建物に住む人はもちろん、その周辺に住む人の安全や生命を守るために必要な手続きです。

この記事では建築確認申請が必要になるタイミングや必要書類、実際の流れについて解説します。また建築確認申請が不要なケースも併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

建築確認申請とは

建築確認申請とは、新築工事や大規模な増改築工事等を着手する前に、確認検査機関もしくは特定行政庁に必要書類を添えて申請し、建築基準法や条例に適合しているか確認を受けることを意味します。世の中から違法建築物を排除するためのものです。

そもそも建築基準法は、建築物の敷地や構造に最低限の基準を設けることにより、国民の生命や財産を保護することが目的だとしています。つまりその建物に住む人や周辺の住人の安全を守ることを目的としています。

建築検査機関とは建築確認や検査を行う民間の機関で、国土交通大臣や知事から指定された期間です。また特定行政庁とは、すべての市区町村にあるわけではなく、建築主事を置く都道府県や市区町村のことを指します。

建築確認申請は建築主の義務であるため、申請を怠ると法律違反になります。通常は行政から指導が入りますが、従わないと罰金や懲役刑になることもあります。

住宅を新築するときや増改築するときに必要な申請

住宅を新築するときや10㎡を超えるような増改築をする場合は、基本的に建築確認申請が必要になります。ただし、防火・準防火地域の場合は10㎡以下でも建築確認申請が必要になります。

また一定以上の建築物の場合、大規模修繕や模様替えの際も建築確認申請が必要になるのでご注意ください。一定以上の建築物とは、木造であって3階以上の建物や、軒の高さが9m超の建物です。木造以外の建物の場合は2階以上で、延べ床面積が200㎡を超える場合です。

大規模修繕や模様替えとは、主要構造部(壁・柱・床・梁・屋根・階段など)のうち半分以上の範囲を改修することを指します。

その他にも特殊建築物といわれる床面積が200㎡を超える学校や病院、共同住宅は、用途変更でも確認申請が必要になります。

建築確認申請は違反建築物を取り締まるのが目的であるため、新築や増改築する場合でも、接道義務を満たしていない再建築不可物件は確認申請をすることができません。

建築確認申請後に間取りの変更や、仕様の変更はできません。申請と差異が生じる場合は、軽微な場合であっても必ず計画変更の申請が必要になります。またその変更に対して審査が必要になるため、工期が伸び、建築コストがアップする可能性があります。

申請時には建築計画概要書も提出

建築確認申請時には審査に必要な設計図書などが必要になります。一般的な一戸建ての場合は以下の通りです。

・確認申請書(建築物)
 設計主や建築地の住所、用途地域や建蔽率などを記載したA4サイズの申請書

・委任状
 確認申請書を提出するのは建築主の義務ですが、通常設計事務所や施工会社等が代理で行うため、委任状が必要になります。

・公図
 土地の区画や配置を表す地図で、法務局で入手することができます。

・建築計画概要書
 内容は確認申請書と同じですが、のちに一般公開される書類です。不動産の調査の際に閲覧できるものです。

・工事届
 建築主の種別や工事の種別、主要用途など記載した書類

・案内図
 建築物の所在が分かる地図。(グーグルマップなどでも可)

・配置図
 敷地の形状と、その敷地に建物がどのように配置しているのかを示す図面

・求積図
 敷地と建物の面積を算出するのに必要な図

・平面図
 建物の平面図に仕様などを書き込んだもの

・シックハウス計算表
 シックハウスの原因となるホルムアルデヒドの使用面積や室内を喚起する回数など記載した書類

建築確認申請の基本的な流れ

ここでは一般的な建築確認申請の実際の流れを紹介します。

工事着工前と完成後に行われる

建築確認は基本的には着工前と完成後に審査が行われます。1回目は建築確認申請時に提出した書類を元に審査が行われます。前述の通り建築主に建築確認申請の義務がありますが、実際には設計事務所などが代理人として申請します。

書類上建築基準法等に適合していることが確認できれば、建築検査機関もしくは特定行政庁(自治体)から「建築確認済証」が発行されます。

2回目は建物完成後に、建築確認申請通りに建てられているか完了検査を行います。問題がなければ「検査済証」が同じく建築検査機関もしくは特定行政庁(自治体)から発行されます。大まかな流れは以下の通りです。

  • 設計
  • 事前相談
  • 建築確認申請
  • 建築検査機関や特定行政庁による審査
  • 建築確認済証の発行
  • 工事着工
  • 工事完了
  • 工事完了の届出
  • 検査
  • 検査済証の発行

申請時には手数料がかかる

建築確認申請は建築確認申請時と完了検査時に、建物の床面積に応じて定められた手数料がかかります。床面積が広い方が手数料は高くなります。また依頼先によって多少異なり、特定行政庁(自治体)よりも確認検査機関の方が割高になるといわれています。

東京都の場合の手数料は、東京都都市整備局のホームページで確認できます。
例えば床面積の合計が100㎡を超え200㎡以内の建物の確認申請・計画通知手数料は14,000円、完了検査申請・工事完了通知手数料は15,000円です。
自治体によっても異なりますので、実際の手数料は申請先にご確認ください。

建築基準法関係申請・通知手数料|東京都都市整備局

建築確認申請で交付される書類2つ

前述の通り建築確認申請で交付される書類は「建築確認済証」と「検査済証」の2つです。それぞれがどのような書類で、どのような時に必要になるのか違いも含めて解説します。

建築確認済証

建築確認済証とは建築確認後に発行される書類で、文字通り建築確認済みであることを証明するものです。

建築基準法に適合しているかを確認することができます。例えば建蔽率や高さが適合しているか、シックハウス対策がされているかなどです。2020年からは省エネ基準を満たしているかについても審査項目に追加されました。

ただしあくまでも書類上の審査であり、耐震基準について保証する書類ではありません。

1999年5月1日に施行された改正建築基準法以前は「建築確認通知書」と呼ばれていましたが、建築確認済証と同様の証明となる書類です。

建築確認済証は金融機関から融資を受ける時や、不動産登記を行う時に必要になります。またのちにその建物を増改築する時や、売却する時に必要になりますので失くさないように大切に保管しましょう。

検査済証

検査済証とは建物の完成後に発行される書類で、完了検査に合格したことを証明するものです。建築確認済証は書類上の審査結果ですが、検査済証は申請通りに完成していることを証明するものです。

建築基準法では建物完成後4日以内に完了検査申請を行うよう定められており、建築確認済証と検査済証が揃う必要があります。しかし中には完了検査受けていない建物や、検査に合格していない建物があります。検査済証がない場合は違反建築物と判断される可能性があるため、検査済証も紛失しないよう大切に保管しましょう。

検査済証はその建物を売買する時や、増改築する場合で建築確認申請する際に必要になります。売買する時になくても契約は成立しますが、違反建築物と判断されると買主が金融機関で融資を受けることが難しくなり、売却時にハンデになる可能性があります。

建築確認申請が不要なケース

建築物の規模や条件によっては建築確認申請が不要なケースもあります。実際にどんなケースでは不要になるのか、例をあげて紹介します。

防火地域・準防火地域以外で計10㎡以内の増築や改築

前半でも触れていますが、10㎡を超える増築や改築は建築確認申請が必要ですが、10㎡以内であれば不要です。ただし対象エリアが防火地域や準防火地域の場合は、10㎡以下でも建築確認申請必要です。

例えば防火地域や準防火地域以外での10㎡以下のプレハブの物置や納屋、カーポートなどは不要です。

建築基準法上による建築物に該当しない

建築確認申請が必要なのは、建築基準法上「建築物」とされるものです。建築基準法では以下の要件すべてに該当する場合、建築物に該当するとしています。

  • 土地に定着している
  • 工作物
  • 屋根がある
  • 壁もしくは柱がある

つまり土地に定着しないホームセンターで売っているような物置や、建物に付随しない門や塀は建築物に該当しないため、基本的には建築確認申請は不要と考えられます。

しかし物置であっても、倒壊防止のためにコンクリートなどにボルトや杭で固定した場合や、建物と一体化した車寄せ(車庫)は、十分建築物と判断される可能性がありますのでご注意ください。

建築基準法 | e-Gov法令検索

都市計画区域外などで四号建築物を建築する

建築基準法第6条第1項第四号で定義されていることから、「四号建築物」と呼ばれる小規模建築物の規定があります。

用途が特殊建築物ではなく、木造の場合は2階以下・延べ床面積500㎡以下・最高高さ13m以下・軒高9m以下のすべてを満たすものを指します。一般的な木造の戸建のイメージです。

日本国内には都市作りを計画すべきとするエリアと、都市づくりを計画しないエリアに分かれています。一般的に都市計画区域外は人がほぼ住んでいないような地域です。万が一違反建築物が建てられても小規模であれば、周辺に影響を与える可能性が低い為建築確認申請が不要とされています。

建築基準法 | e-Gov法令検索

この記事のポイント

建築確認申請ってなに?

建築確認申請とは、新築工事や大規模な増改築工事等を着手する前に、確認検査機関もしくは特定行政庁に必要書類を添えて申請し、建築基準法や条例に適合しているか確認を受けることです。

建築確認申請は建築主の義務であるため、申請を怠ると法律違反になります。通常は行政から指導が入りますが、従わないと罰金や懲役刑になることもあります。

詳しくは「建築確認申請とは」をご覧ください。

建築確認申請に必要なものは?

建築確認申請の際には提出する書類がいくつかあります。一般的な一戸建ての場合に必要な書類は以下のとおりです。

  • 確認申請書(建築物)
  • 委任状
  • 公図
  • 建築計画概要書
  • 工事届
  • 案内図
  • 配置図
  • 求積図
  • 平面図
  • シックハウス計算表

詳しくは「申請時には建築計画概要書も提出」をご覧ください。

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