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住宅ローンの手数料とは?費用の相場や保証料との違いもあわせて解説

執筆者プロフィール

海老原政子
ファイナンシャル・プランナー/住宅ローンアドバイザー

国内の生命保険会社にて生命保険募集人業務に携わるなかでライフプランの重要性に目覚め、生活者視点を活かしたFP業務を開始。千葉で、家計相談や執筆業務、個人・企業向けマネープランセミナーをおこなう。生命保険見直しや住宅ローンの借り換え、貯蓄ができない家計の体質改善アドバイスなど、わかりやすい情報提供が好評。

ざっくり要約!

  • 住宅ローンには借入の再、手数料と保証料がかかる
  • 住宅ローンの手数料・保証料はプランや借入先によって節約することができる

住宅を購入する場合、多くの方が住宅ローンを組むことになります。ただ、金融機関からお金を借りる際にはいろいろ費用がかかり、その多くを手元資金から出すことになるため支払いが少ないに越したことはありません。

今回記事では、住宅ローンにかかる手数料の種類や費用の目安などについてまとめています。融資金利だけでなく諸費用も気がかりな方はぜひご一読ください。

住宅ローンでかかる手数料とは?

金融機関からお金を借りる場合、毎月返済の都度利息を支払うのはもちろんのこと、融資を受ける際に手数料や保証料などがかかります。

金融機関によって呼び名が変わることがあります(「事務(取扱)手数料」「ローン取扱手数料」「融資手数料」など)が、当記事では手数料と呼ぶことにします。

手数料は住宅ローンを組む際に金融機関に支払う手間賃のようなものです。返済プランによって方式や計算方法が変わるなど手数料は金融機関で変わります。
一体どれくらいの金額を見込んでおけばよいのでしょうか。

手数料の設定方式は2つ

住宅ローンの借入金額によらず手数料が一定の金額となる「定額型」と、住宅ローンの借入金額に一定の比率をかけた金額を手数料とする「定率型」があります。
手数料無料を選べる金融機関も中にはあります。

手数料の相場の目安

【定額型手数料の目安】
 3万円~11万円程度

(参考)
三井住友銀行(長期固定金利型住宅ローン)の手数料:33,000円
イオン銀行の手数料:110,000円

【定率型手数料の目安】

借入金額×2.2%
(計算例)
借入金額3,000万円の場合の手数料:66万円
借入金額5,000万円の場合の手数料:110万円

保証料との違い

金融機関にとって“貸し倒れ”はリスクです。住宅ローン契約者が万一返済できなくなった場合に備え、契約者との間に保証会社を入れ残債を肩代わりしてもらう(代位弁済)約束をあらかじめ取り付けるのが通常の流れです。
その際、契約者が保証会社に支払う手数料が「保証料」ということです。

金融機関に支払う手数料とは異なり、住宅ローン融資時に保証会社を入れない金融機関もあります。その場合は保証料がかからないことになりますが、ローン審査が厳しくなる可能性が高くなります。
また、住宅ローンの契約者が保証会社を任意に選ぶことはほぼできませんが、保証料の支払い方式を選べる金融機関は複数あります。

性質上、保証期間(=住宅ローンの返済期間)が長くなるほど保証会社のリスクも高まるため、当然、保証料も高くなっていきます。

保証料の払い方にも種類があります。
前払いで一括払いする「保証料一括前払い型(金利外枠方式)」と、現金ではなく融資金利に上乗せして月々支払っていく「保証料金利上乗せ型(金利内枠方式)」です。

住宅ローンの金利ばかりに目が行きがちですが、手数料や保証料など諸費用を含めたトータルコスト(総返済金額)で住宅ローンを選ばないと長い目で損する可能性があります。時間をかけてしっかりシミュレーションを行うことが大切です。

住宅ローンの手数料以外にかかる諸費用とは?

住宅ローンを組むときに手数料や保証料以外にかかる費用はまだあります。
契約書に貼る収入印紙代や火災保険の保険料などです。
一覧表にしましたのでご確認ください。

<住宅ローン手続きに必要となる費用の例>

内容必要な時期補足
審査・契約にかかる
費用
収入印紙代
適合証明書交付手数料
住宅ローン契約締結時【フラット35】で借り入れする場合
基本的に適合証明書が必要
金融機関や保証会社に
支払う費用
手数料
保証料
融資実行時【フラット35】は保証料不要
保険関係費用団体信用生命保険特約料
火災保険料(地震保険料)
融資実行時、
または返済開始後
【フラット35】で借り入れする場合
団体信用生命保険は任意加入
登記関係費用抵当権設定費用
司法書士報酬
登記申請時一般的に、金融機関の指定する
行政書士に依頼

手数料以外にかかる諸費用の目安

【収入印紙代の目安】
住宅ローンの借入額によっても変わりますが、1,000万円~5,000万円の借り入れ時は2万円、5,000万円超で6万円です。

【適合証明書交付手数料】
【フラット35】で借り入れる場合に提出が必要になります。
新築・戸建て住宅で確認申請、住宅性能評価等と同時申請する場合、次の通りです

【フラット35】(一般基準)
設計:7000円、竣工:11,000円
【フラット35S】(ZEH)
設計:27,500円、竣工:16,500円
※再発行にも手数料がかかります。

【団体信用生命保険特約料の目安】
【フラット35】は加入が任意となりますが、金融機関で住宅ローンの借り入れを行う場合、団体信用生命保険への加入が求められます。契約者の高度障害状態や死亡時に住宅ローン残債が相殺される、シンプルな団体信用生命保険特約料は通常無料であり金利の上乗せもありません。

ただ、健康状態によっては「ワイド団信」と呼ばれる告示内容が緩和されたタイプの団体信用生命保険への加入が求められるかもしれません。また、「がん保障付き団信」や「疾病保障付き団信」といった保障が充実した団体信用生命保険を希望する場合、融資金利に0.3%程度の上乗せが必要です。

【火災保険料(地震保険料)の目安】
立地や建物の構造、築年数などで変わりますが、
仮に、都内一戸建て(木造構造)の新築物件であれば、次の金額を目安にしましょう。
・火災保険料(保険期間5年)
3万円~5万円/年
・火災保険料+地震保険料(保険期間5年)
9万円~11万円/年

【登記関係費用の目安】
住宅ローンを借りる金融機関の指定する司法書士に抵当権設定を依頼するのが一般的です。かかる費用は金融機関で変わりますが5万円~10万円の費用を見積もっておけばよいでしょう(別途、登録免許税も必要です)。

住宅ローンの手数料や諸費用を抑えるためには?

収入印紙代などのように費用を抑えることができない費用もありますが、支払い方法や住宅ローンの返済プランを変えるなどで諸費用を抑えることはできます。

お手元の資金や毎月返済額と家計のバランスなど実行が難しいものもあるかもしれませんが、できそうな部分があれば積極的に採用してください。

手数料を節約する方法

借入金額が大きくなるほど「定率型」ではなく「定額型」を選ぶことで手数料を減らすことができます。ただし、手数料の方式によっては融資金利が上がってしまうケースもあり、一概に「定額型」のほうが節約になるとは限らないことに留意してください。
当初借入額が4,000万円、5,000万円と大きくなりそうな人。住宅ローン減税控除期間終了後に期間短縮型で一気に繰り上げ返済を進める等当初の借入期間以外で検討している人は、両方のタイプで頭金を変えたりしつつ返済シミュレーションをして検討してみましょう。

保証料を節約する方法

全期間固定金利型の【フラット35】は保証料がかかりません。また、近年ではネット銀行の一部など保証料を取らない金融機関もあります。こうした金融機関の住宅ローン商品をメインに比較・検討することで保証料を節約できるでしょう。
注意点としては、金融機関自らが貸し倒れリスクを背負うことになるため、ローン審査がより厳しくなることも念頭に置いておく必要があります。

家計にゆとりがある方は、住宅ローンの借入期間を短くすることで保証料の総額を下げることもできます。借入期間を変えてシミュレーションを行い、トータルコストを比較してみましょう。しばらく住んだ後に家を売却予定の方も検討してみてください。

また、節約とは別の観点になってしまいますが、当初は住宅ローンの借入を長めの35年で組んでおき、住宅ローン控除の控除期間終了後にまとめて繰り上げ返済をする予定の方は、戻し保証料のある「保証料一括前払い型(金利外枠方式)」で支払うか、繰り上げ返済を見込んで「保証料金利上乗せ型(金利内枠方式)」で支払ったほうが得か、一度試算をしておくと安心です。

火災保険料を節約する方法

物件価格に比べたら火災保険の保険料は微々たるものに思えてしまいますが、長期的にはそれなりの金額になります。まず、保険商品の比較・検討して無駄な保障のないプランを選ぶことです。

火災保険にもいろいろあり、火災補償や水災補償など以外にも盗難被害や玄関鍵の交換をカバーする補償などさまざまな補償がパックされた総合保険タイプのものは総じて保険料が上がりがちです。任意の補償に選べる商品を選ぶ、保険期間は選択できる最長の期間で契約し一括払いするなど保険期間や支払い方法で保険料を抑える工夫も有用です。

補償をしっかり見直す外にできることとして、新築割引・建物築浅割引・耐震等級割引・オール電化割引などの割引を上手に使うことも一案です。自動車保険のように、専用サイトを申込経路とする場合に割引が利く保険会社もあるようですので、比較サイトでいろいろ調べてみましょう。

この記事のポイント

住宅ローンでかかる手数料とはどんなもの?

金融機関からお金を借りる場合、融資を受ける際に手数料や保証料などがかかります。

手数料は住宅ローンを組む際に金融機関に支払う手間賃のようなものです。返済プランによって方式や計算方法が変わるなど手数料は金融機関で変わります。

また、金融機関にとって“貸し倒れ”はリスクです。住宅ローン契約者が万一返済できなくなった場合に備え、契約者との間に保証会社を入れ残債を肩代わりしてもらう(代位弁済)約束をあらかじめ取り付けるのが通常の流れです。
その際に契約者が保証会社に支払う手数料が「保証料」ということです。

詳しくは「住宅ローンでかかる手数料とは?」をご覧ください。

住宅ローンを抑えるコツは?

「定率型」「定額型」のどちらかによって手数料が変わることがあります。どちらのほうが安くなるかはケースによって異なるので都度確認が必要です。

また、全期間固定金利型の【フラット35】では保証料がかかりません。近年ではネット銀行の一部など保証料を取らない金融機関もあります。
こうした金融機関の住宅ローン商品をメインに検討すると保証料を節約できるでしょう。

詳しくは「住宅ローンの手数料や諸費用を抑えるためには?」をご覧ください。

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