子育て中のファミリーやこれから子どもを持ちたいと考えている夫婦にとって、自治体の子育て支援制度がどうなっているのかは重要なポイントです。ひとくちに支援制度といってもその支援内容はさまざま。そのため、住まいを選ぶときには「どの物件を購入するか」に注力するだけでなく、支援制度も確認しながら「どのエリアに住むか」を検討する必要があるでしょう。今回は、子育て支援の必要性や子育てしやすい環境のほか、東京都や東京23区の子育て支援制度の情報をまとめました。
記事サマリー
子育て支援の必要性
かつては親族や近隣の人たちから得られていたサポートが、核家族化の進行や近隣との付き合いの希薄化などで得られなくなり、子育ての不安やストレス、社会的孤立感を抱えている親が増えています。子育てをする家庭の孤立を軽減するために子育て支援は必要とされており、また、幼児虐待の予防という観点からも重要課題として全国の自治体が取り組んでいます。
子育てしやすい環境とは?
共働きかそうでないかによっても適した環境は異なりますが、ここではさまざまな側面から子育てしやすい環境について見ていきましょう。
待機児童が少ない、または0
自治体が運営している保育所や託児所、学童保育所などが多いほど、子どもを育てやすい環境といえるでしょう。待機児童の数は、自治体の子育て支援の充実さを測る指標となります。また民間企業が運営している保育所などよりも低料金で利用できるというメリットがあります。
治安が良い
治安の良さは、子育てしやすい環境だけはなく住みやすい街の条件としても必須項目です。治安の良いエリアは、犯罪発生率が低いことはもちろん、警察や地域住民による定期的なパトロールが行われているなど防犯対策に力を入れています。また、清掃が行き届いていたり、ゴミが放置されていなかったりする街は治安が良いとも言われています。
自治体の支援が充実している
子育て支援の内容は自治体によって異なります。例えば、多くの自治体が行っている子ども医療費助成も対象年齢、完全無料か一部負担か、所得制限があるかなど条件が異なります。補助金や商品券などの配付、給食費や学費の無償化などの支援サービスを提供している自治体もあります。
医療機関やショッピングモール、商店街などが近い距離にある
子どもは突然体調を崩すことがあるため、医療機関が整っている地域であれば安心して子育てができるでしょう。小さいうちは予防接種や健康診断などで頻繁に病院へ通うことになるので、掛かり付けとなる小児科や耳鼻科、眼科などがまとまってあるとさらに便利です。日々の買い物は、食料品から日用品、衣類などが1カ所で購入できるショッピングモールや商店街などが近くにあると子ども連れでも買い物がしやすいです。
公園がある
子どもたちは公園で遊ぶのが大好きです。遊具が整っていなくても、虫取りや水遊びなど自然の中でのびのびと過ごす時間は子どもにとって大切です。公園で出会った同世代のお友達と遊ぶ良い機会にもなりますし、子どもを通して保護者間のコミュニケーションも広がるでしょう。子育ての悩みや情報交換ができるなど新たな出会いが待っているはずです。
東京都の子育て支援の現状
東京都は都独自の子育て支援を積極的に進めています。2023年度から都内在住の0歳から18歳までの子ども全員に対し、保護者の所得制限なしで月額5,000円を支給する方針を決定しました。さらに、これまで一部負担していた2歳までの子どもの保育料を、2人目以降は完全に無償化するとしています。
東京都の主な子育て支援制度一覧
子育て応援とうきょうパスポート事業
都内在住の18歳未満の子どもがいる、または妊娠中の人がいる世帯にパスポートを交付。飲食店や百貨店などさまざまなジャンルの協賛店で提示すると粉ミルクのお湯やおむつ替えスペースの提供、商品の割引など多彩なサービスが受けられます。
乳幼児医療費助成制度(マル乳)
都内在住の0歳から就学前までの乳幼児の医療保険(国民健康保険や健康保険など)の自己負担分が助成されます(入院時食事療養標準負担額を除く。ただし、区市町村によって助成をしている場合もあります)。
義務教育就学児医療費の助成
都内在住の小学1年生から中学3年生までの児童の医療保険(国民健康保険や健康保険など)の自己負担額から一部負担金(通院1回につき200円(上限額))を控除した額が助成されます。区市町村によって助成範囲が異なるため、詳細については直接各区市町村で確認を。入院の場合は医療保険の自己負担分が助成されます(入院時食事療養標準負担額を除く。ただし、区市町村によって助成をしている場合もあります)。
高校生等医療費助成事業
2023年4月から開始された制度です。都内在住の高校生は、通院1回につき最大200円まで助成されます(調剤と訪問看護については負担なし)。入院時は食事療養標準負担額のみ助成されます。
在宅サービス
保護者が疾病や仕事などの理由で子どもの養育が困難なときに、児童福祉施設などで子どもを一時的に預かってくれる子育て支援サービスです。種類は下記のようなものです。
- ショートステイ…保護者が病気や出産、育児疲れなどで子どもの養育が困難なとき、児童福祉施設などで子どもを短期間(7日間程度・宿泊可能)預かってくれます。
- トワイライトステイ…残業などで保護者の帰宅が遅いとき、児童福祉施設などで17時以降22時頃まで子どもを預かって、夕食や入浴など生活の援助をしてくれます。
- 一時預かり事業…いつもは保育所に通っていない場合でも、保護者のパート勤務、病気や出産などの緊急時、育児に疲れた時などの理由があれば、保育所などで未就学の子どもを預かってくれます。
独自の子育て支援が充実している自治体
東京都23区では、それぞれ独自の子育て支援制度があります。ここでは、特に手厚い支援施策を行っている自治体の制度を抜粋して紹介します。
世田谷区
出産児1人につき5万円を助成。2歳までの子どもがいる家庭には、地域の産前・産後サービスが受けられる「せたがや子育て利用券」(1万円分)を配付します(子供1人につき1セットまで)。さらに、2023年4月1日より自己負担、所得上限のない医療費助成制度を高校生相当世代まで拡大しました。健康保険診療の自己負担分、入院時の食事の自己負担分が助成されます。
台東区
妊娠時と出産時それぞれに5万円相当のWebカタログギフトを贈呈する「出産・子育て応援ギフト」を実施しています。さらに22歳までの子どもを2人以上養育している台東区内在住の保護者には、第3子以降の子どもに「出生」「小学校入学」「中学校入学」時にお祝い品を支給する「にぎやか家庭応援プラン」を行っています。それぞれのタイミングで1万円相当の商品券または図書カードがもらえます。
千代田区
児童手当(国制度)の支給対象となっていない18歳までの児童1人につき月額5,000円を支給する「次世代育成手当」を実施。さらに乳幼児から高校生まで、医療機関で治療を受けた時の保険診療の自己負担分を助成する「こども・高校生等医療費助成制度」を行っています。その他、1回の妊娠につき4万5,000円を支給する「誕生準備手当」、妊娠時と出産時それぞれのタイミングで5万円相当のギフトカードが贈呈される「出産・子育て応援ギフト」などとかなり手厚いサービスが用意されています。
葛飾区
妊娠をお祝いする「マタニティパス」を実施しています。母子健康手帳の交付を受けてから1年を経過していない人を対象に、5,500円分をチャージした交通系ICカードを交付します。その他にも、妊娠時の面談後に5万円相当、出生後の訪問(面談)後に10万円相当のギフトを贈呈する「出産・子育て応援ギフト」、小学生未満の子どもを2人以上養育している家庭に「三人乗り自転車等購入費助成事業」(購入金額の2分の1・上限5万円)など多彩な経済的支援が行われています。
江戸川区
区独自の制度「乳児養育手当(ゼロ歳児)」を実施しています。0歳児を養育している人を対象に月額1万3,000円を出生月から最大12回支給します(所得制限あり)。また1歳の誕生日を迎える子どもを養育する家庭にギフト券を進呈する「ファーストバースデーサポート事業」(第1子は1万円分、第2子は2万円分、第3子以降は3万円分)、さらに2歳の誕生日には2,000円分のこども商品券を支給する「2ndバースデーサポート事業」を実施しています。
新たな街に住む際は、子育て支援制度のチェックを
東京都内でもエリアによって子育て支援の手厚さやラインナップがまったく違います。新しく住む街を探すときは、自治体のホームページをチェックして区独自の支援制度の内容を確認することも大切でしょう。
この記事のポイント
- 東京23区で独自の子育て支援が充実している自治体はどこ?
「世田谷区」「台東区」「千代田区」「葛飾区」「江戸川区」などが挙げられます。
各自治体の支援内容など詳しくは「独自の子育て支援が充実している自治体」をご覧ください。- 子育てしやすい環境とは?
生活スタイルによって求めるものは変わりますが、「待機児童数」「治安」「子育て支援」などが子育て世帯にとって良い環境であること=子育てしやすい環境。と判断できるのではないでしょうか?詳しくは「子育てしやすい環境とは?」をご覧ください。
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