カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにすることです。
温室効果ガスが増えると何が困るのか、カーボンニュートラルを実現するために何ができるのか、そして、なぜカーボンニュートラルを目指す必要があるのか、詳しく解説します。
また、カーボンニュートラルを理解する際にあわせて知っておきたいカーボン・オフセットについても解説します。世界が直面している温暖化問題をより深く理解するきっかけとして一読ください。
記事サマリー
カーボンニュートラルとは温室効果ガスを最終的にゼロにすること
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量から、吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにすることです。カーボンゼロやネットゼロ(Net zero Co2 emissions)と呼ばれることもあります。
カーボンニュートラルは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を減らすこと、そして、温室効果ガスを吸収する森林などを育成することにより実現を目指します。
なお、本来カーボンといえば炭素のことですが、世界の温室効果ガスの約8割が二酸化炭素であることから、カーボンニュートラルのカーボンは温室効果ガス全体を指すことが一般的です。
温室効果ガスがもたらす影響
温室効果ガスとは、大気中に含まれる二酸化炭素や一酸化二窒素、メタン、フロンガスなどを指し、太陽から受ける熱を地球に閉じこめ、地表を温める役目を持ちます。
温室効果ガスが存在することで、地表の平均温度は14℃程度に保たれています。温室効果ガスがないと、地表は約-19℃もの寒さになるとされ、人間の生活に不可欠なものです。
しかし、温室効果ガスが多すぎると地球温暖化が進み、氷河の融解、海面水位の上昇が起こり、地上の生態系に大きな影響を与えます。また、温室効果ガスの増加により、海洋は酸性化し、海の生物たちの生活も破壊しつつあります。
日本で年間排出される温室効果ガスは2020年時点で11.5億トン。そのうち二酸化炭素は約10.4億トンを占めます。また、排出された二酸化炭素のうち約9.7億トンはエネルギー生産を起源としていることから、エネルギーを生み出す際に大量の温室効果ガスが生まれていることがわかります。
陸上と海洋の生物たちが生活を維持するためにも、温室効果ガスの削減は急務といえるでしょう。
カーボンニュートラルにおける国際的な動き
2014年、国際的研究機関「IPCC」は気温上昇の原因が人間社会の温室効果ガスである確率が95%以上であると結論づけました。これを受け、パリ協定では、国際社会全体で温暖化対策を進めるため以下の目標を打ち立てています。
- 平均的な気温の上昇を2℃より低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること
- 人為的な発生源よる温室効果ガスの排出量と排出量をゼロにすること
パリ協定では、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを目標としました。実際に日本を含む124カ国と1地域が賛意を表明し、カーボンニュートラルを目指してさまざまな取り組みを実施しています。
カーボンニュートラルの具体的な取り組み
カーボンニュートラルを実現するための取り組みについて紹介します。また、個人で実施できるカーボンニュートラルの取り組みも紹介するので、ぜひ今日から始めていきましょう。
二酸化炭素の排出量削減
日本の温室効果ガス排出量の約90%が二酸化炭素です。さらに、温室効果ガスとして排出される二酸化炭素のうち9割程度は、呼吸など生命活動を由来とするものではなく、エネルギー起源です。
エネルギーを起源とするCO2の発生源は、非電力分野と電力分野に分けられます。電力分野とは電力会社等による発電に関することなので、電力会社等が主導し、二酸化炭素の排出量削減に努めていく必要があります。
一方、非電力分野の二酸化炭素は、民生、産業、運輸などの活動によって生み出されています。積極的に二酸化炭素の排出量削減に取り組む企業のサービスを利用すること、自動車は個人個人が利用するのではなく、声を掛け合って乗り合うことなども個人が取り組めることの一つとなるでしょう。
カーボンニュートラルを実現するためには、エネルギー起源の二酸化炭素の排出量を削減する必要があります。
省エネルギー
エネルギー削減効果が期待できる取り組みの実施によっても、カーボンニュートラルを目指すことができます。
例えば、蛍光灯等からLED照明へ変更すること、流量調整方法としてのバルブからインバーターへ変更すること、ヒートポンプを利用して廃熱回収をすることなども、省エネルギー実現につながります。
再生可能エネルギーの利用
再生可能エネルギーには、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどがあります。再生可能エネルギーを利用することで、石油や石炭などの大量に二酸化炭素を排出するエネルギーの消費量を減らせます。
特に太陽光や風力は、電気に変換しやすく現実的なエネルギー源とされています。太陽光発電であればシステムも導入しやすく、個人も取り入れやすいでしょう。
植林および、植林支援
森林破壊によって放置されている荒地への植林活動の実施も、二酸化炭素の吸収量を増やし、カーボンニュートラルの実現を目指す取り組みの一つです。なお植林は、京都議定書においても温暖化対策の一つとして挙げられています。
また、植林は温暖化対策として有効なだけではなく、生物多様性や水の保全にも役立ちます。生きていくために欠かせない水を守るためにも、植林活動は重要といえるでしょう。
カーボン・オフセットに取り組む動きもある
生命活動を続けていくためには、ある程度は二酸化炭素を排出しなくてはいけません。カーボン・オフセットとは、削減が困難な部分の排出量について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量等(クレジット)を購入するという考え方です。
例えば、徒歩や自転車などの環境負荷の少ない移動手段を選ぶことなどで、温室効果ガスがトータルでゼロになるように目指します。企業と個人が協力し、環境のためにできることを一つずつ実施していくことで、カーボン・オフセットも実現できるでしょう。
カーボンニュートラルの問題点
カーボンニュートラルの問題点としては、実現できているかを検証がするのが難しいことが挙げられます。二酸化炭素は目に見えるものではないため、削減効果を実感しにくいでしょう。
また、発展途上国と先進国では状況が違うため、取り組みの内容に差が生じることもカーボンニュートラルの問題点です。発展途上国では、社会インフラを整えるために二酸化炭素を排出することを回避できません。その分の埋め合わせを先進国が実施し、トータルで温室効果ガスがゼロになるように取り組む必要があります。
一人ひとりがカーボンニュートラルを意識しよう
電力会社、国などが手動でカーボンニュートラルを目指す取り組みを行っていますが、一人ひとりの努力も必要です。
省エネルギー、節電、太陽光発電の利用など、個人でもできるカーボンニュートラルを意識した行動を心掛けましょう。
この記事のポイント
- カーボンニュートラルとは?
カーボンニュートラルは温室効果ガスの排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにすることです。
詳しくは「カーボンニュートラルとは温室効果ガスを最終的にゼロにすること」をご確認ください。- カーボンニュートラルの取り組みとは?
カーボンニュートラルには以下のような取り組みがあります。
- 二酸化炭素の排出削減
- 省エネルギー
- 再生可能エネルギーの利用
- 植林および、植林支援
詳しくは「カーボンニュートラルにおける国際的な動き」をご確認ください。
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