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不動産の譲渡とは?贈与との違いや発生する税金について解説

不動産を第三者に渡す方法としては、譲渡や贈与、相続などがあります。

譲渡とは何か、贈与や相続とは何が違うのか、それぞれにおいてどのような税金が発生するのかについて解説します。

また、税金の種類が異なると、税率や税額が変わることがあります。

不動産は高額な資産となることが多いため、少し税率が変わるだけでも大きく税額が異なります。譲渡と贈与、相続のうち、どれが税金を抑えやすい方法なのかについても見ていきましょう。

不動産の譲渡とは不動産を渡してその代金を受け取ること

不動産の譲渡とは、相手に不動産を渡し、その対価として代金を受け取る行為のことです。不動産を渡すほうから見れば売却、受け取るほうから見れば購入(買取)となります。

贈与との違い

贈与とは、無償で渡す行為です。譲渡とは異なり、不動産を渡すほうには、金銭的にはメリットのない行為です。

一方、不動産を受け取るほうは無償で手に入るため、金銭的にはメリットがあります。ただし、不動産の価値によっては贈与税を納付することになるので、出費がいっさいないとは限りません。

相続との違い

相続とは、死後に財産を引き継ぐことです。一般的には、配偶者や子などの法定相続人が相続しますが、遺言などにより、法定相続人以外が相続することもあります。

相続により不動産を受け取った場合、不動産の価値やそのほかの相続財産の価値によっては、相続税が発生します。相続税も贈与税もどちらも累進課税で受け取った財産の価値が高いと税率が高くなります。また、最高税率は55%とどちらも同じです。

しかし、同じ金額でみると相続税のほうが低い税率が適用されることが多く、また、配偶者控除などの控除額も大きいので、税額が少なくなる傾向にあります。

とはいえ、不動産を渡す方と受け取る方の関係、そのほかの財産などによっても税額が異なるので、贈与税と相続税のどちらが低いか迷ったときは、税理士などの税の専門家に相談してみましょう。

譲渡したときに発生する税金

譲渡するときには不動産を渡したほうに所得が発生するため、譲渡した方が税金を支払うことになります。譲渡したときに発生する所得は「譲渡所得」で、以下のように課税対象額を計算します。

  • 収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=課税対象額

譲渡所得の税率は、譲渡した年の1月1日時点での保有期間が5年以下か5年を超えているかによって異なります。

例えば、2015年8月1日から保有している不動産を2021年9月1日に譲渡したとしましょう。譲渡した年の1月1日、つまり2021年1月1日時点では5年5ヶ月となるため、この場合の保有期間は「5年超」と判断できます。

短期譲渡所得

短期譲渡所得とは、保有期間が5年以下の不動産を譲渡したときの所得のことです。

例えば、2017年8月1日から保有している不動産を2021年に譲渡する場合は短期譲渡となります。

短期譲渡所得に対しては、所得税(※)が30%、住民税が9%課せられます。

ただし、譲渡金額が課税対象となるのではなく、取得したときの費用と譲渡にかかった費用、特別控除額の3つを合算した金額を差し引いて課税対象額を求めます。

特別控除額は、不動産の種類によって異なります。

例えば、マイホームを譲渡した場合の特別控除額は3,000万円です。2,000万円で購入したマイホームが4,000万円で売却できた場合には譲渡所得に対する税金はかかりません。

(※)令和19年までの譲渡に関しては、復興特別所得税として所得税額の2.1%が課せられます。

長期譲渡所得

長期譲渡所得とは、保有期間が5年超の不動産を譲渡したときの所得のことです。例えば2015年8月1日から保有している不動産を2021年に譲渡する場合は長期譲渡となります。

長期譲渡所得には、所得税(※)が15%、住民税が5%課せられます。短期譲渡所得と同様、譲渡額から取得したときの費用と譲渡にかかった費用、特別控除額の3つを合算した金額を差し引いて求めます。

(※)令和19年までの譲渡に関しては、復興特別所得税として所得税額の2.1%が課せられます。

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贈与したときに発生する税金

一方、贈与の場合、税金を支払うのは贈与された方です。課税対象額は以下のように求めます。

  • 贈与財産価額 - 110万円(基礎控除)=課税対象額

贈与税率は最大55%

贈与税率は最大55%となります。贈与される財産の価額が高いほど税率は高くなりますが、贈与する方と贈与される方の関係によって少々異なるので注意が必要です。

例えば贈与する方と贈与される方の関係が父母、祖父母など直系尊属とその年の1月1日時点で20歳以上の子、孫などの場合に、最高税率である55%が適用されるのは基礎控除後の課税対象額が4,500万円以上の場合です。

しかし、直系血族の関係でないときには、基礎控除後の課税対象額が3,000万円以上で最高税率の55%が適用されます。

譲渡と贈与のどちらが税金を抑えられる?

譲渡と贈与では税金を支払う方が異なるので、どちらが節税できるかは単純には比較できません。

不動産の価値にもよりますが、贈与税率のほうが譲渡所得の税率より高くなることがあるので、贈与税の課税を回避するために著しく低い価格で譲渡する事例があります。

しかし、明らかに低すぎる金額での譲渡は贈与とみなされること(みなし贈与)があります。その行為が租税回避行為とみなされた場合、追徴課税を受ける可能性があります。

例えば不動産の市場価値が明らかに1億円を超えているのに、当事者で合意して100万円で譲渡したとしましょう。この場合は、譲渡ではなく贈与(みなし贈与)をしたと認定され、譲渡価額の100万円ではなく、不動産の価値をベースに税金が計算される可能性があります。

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譲渡か贈与か専門家に相談してみよう

不動産を第三者に渡すとき、譲渡であれば不動産を渡したほうに税金が課せられ、贈与であれば不動産を受け取ったほうに税金が課せられます。

そのため、不動産を渡す本人の節税を考えるならば贈与が得策となりますが、譲渡所得を得られなくなるという点には注意が必要です。

不動産を受け取るほうの節税を考えるならば譲渡が得策となりますが、代金を支払う必要があるため贈与税よりも出費が多くなる可能性があります。いずれがよいかはケースバイケースなので、不動産売買の専門家に相談してみましょう。

また、贈与税を抑えるために価額を極端に低くして譲渡すると、みなし贈与となり、譲渡価額ではなく不動産本来の価値に基づいて課税される可能性もあります。

どの程度の譲渡価額が適正か、また、節税できるのかについても、不動産売買の専門家に相談するほうがよいでしょう。

この記事の監修

安田 亮
資格情報: 公認会計士、税理士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

神戸市中央区で「安田亮公認会計士・税理士事務所」を開業している公認会計士・税理士。
大手監査法人で約4年間、東証一部上場企業で6年間勤務した後に独立開業。
税理士として法人企業や個人事業主の方の決算・申告はもちろんのこと、大家業を営まれている方の不動産所得や譲渡所得の申告を数多くこなす。また、1級FP技能士の資格も保有しており、個人のお金・家計・税金分野についても強みを持つ。

この記事のポイント

譲渡所得税の課税対象額の計算方法は?

譲渡したときに発生する所得は「譲渡所得」となり、以下のように課税対象額を計算します。

収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=課税対象額
なお、譲渡した年の1月1日時点で、保有期間が5年以下か5年超かによって税率は異なります。

詳しくは「譲渡したときに発生する税金」をご確認ください。

譲渡と贈与のどちらが税金を抑えられる?

支払う方が異なるので、どちらが節税できるかは単純な比較は不可能です。
どの程度の譲渡価額が適正なのか、また、節税できるのかについては、不動産売買の専門家に相談するとよいでしょう。

詳しくは「譲渡と贈与のどちらが税金を抑えられる?」「譲渡か贈与か専門家に相談してみよう」をご確認ください。

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