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マンション売却時の売買契約の流れとは?売買契約書の内容も解説

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • マンション売却時の売買契約時の流れは4つのステージに分かれる
  • マンション売却時に使用する売買契約書(区分所有建物)には15項目の内容がある

マンションの売却は長い人生においても、そう何度も経験することではありません。とくに売買契約当日は誰しも緊張するのではないでしょうか。まして売主である場合は準備すべき書類等もあり、忘れ物がないようにしなければなりません。

あらかじめマンション売却について一連の流れを把握し、安心して引渡し日を迎えられるようにしたいものです。

この記事では、マンション売却時の売買契約の流れやその内容を紹介します。売買契約当日に必要となるものについても説明しますので、ぜひ参考にしてください。

マンション売却時の売買契約の流れとは?

まずはマンション売却時の売買契約時の流れを、下記の通り4つのステージに分けて解説します。

  1. 重要事項説明の読み合わせ
  2. 売買契約の締結
  3. 住宅ローンの本審査申し込み
  4. マンション引渡日の決定

①重要事項説明の読み合わせ

一般的に買主などの個人は宅地建物取引の経験はほとんどなく、また法令による制限などについても知識がないため、予期せず損害を被る可能性があります。そこで宅地建物取引士が重要な事項について説明し、買主がきちんと理解した上で不動産を購入できるように義務付けられたのが重要事項説明です。

重要事項説明では、買主に改めて購入の意思を確認する必要があるため、不動産売買契約締結の前に行われます。売買契約直前に行う必要はありませんが、必ず売買契約締結前に済ませておく必要があります。

書式は不動産会社によって多少異なりますが、重要事項説明書で説明すべき内容は定められています。代表的なものは以下の通りです。

  • 登記簿に記載された事項(地番・建築年月日・専有面積・所有者・抵当権の有無)
  • 法令に基づく制限の概要(建蔽率・容積率・用途地域・利用制限)
  • 接道する道路の種類や接面状況、私道負担の有無
  • 飲用水・電気・ガスの供給施設および排水施設の設備状況
  • 区分所有建物の場合の敷地の関する権利や共有部分に関する規約の定めの有無
  • 売買代金など売主・買主間で授受される金銭について
  • 契約の解除に関する事項
  • 損害賠償の予定や違約金について

重要事項説明書と合わせて説明を行うのが「物件状況報告書」と「付帯設備票」です。不動産会社が用意した書式を利用します。

物件状況報告書は、たとえば雨漏りやシロアリの被害や、騒音や臭気の有無、管理費や修繕積立金の変更の有無、大規模修繕の予定などを記載して買主に説明する書面です。

付帯設備票は、マンションに付属する設備の有無や不具合について記載したもので、たとえばエアコンや照明の数や、不具合の有無なども合わせて記載して買主に説明します。

物件状況報告書と付帯設備票による説明は売主が行うものであり、虚偽の内容を記載すると損害賠償請求をされる可能性もあるので、注意が必要です。

②売買契約の締結 

重要事項説明書・物件状況説明書・付帯設備票の説明が終わったら、売買契約書の読み合わせを行います。重要事項説明書と重複する内容もありますが、売買契約の内容を確認するために必要な作業です。

契約書の代表的な内容は以下の通りです。

  • 登記簿に記載された事項(地番・建築年月日・専有面積・所有者・抵当権の有無)
  • 売買の目的物であるマンションの表示
  • 代金の支払い方法(ローン借入先や借入金額、ローン特約期日)
  • 手付金の額と手付解除期日
  • 契約違反による解除について
  • 公租公課の精算について(固定資産税等の精算)
  • 所有権移転登記・引き渡しの時期

売買契約書には、手付金による解除期日やローン特約期日などが記載されています。ローン特約とは、買主がローンを組めなかった場合、ローン特約期日までであれば契約を白紙(違約金なし)にできるという取り決めです。売買契約を締結しても、この期日までは買主は白紙解約できますのでご注意ください。

双方が契約内容に納得できれば売買契約締結します。署名欄に住所・氏名を記入した上で捺印し、買主から手付金を受け取り、領収書を渡します。以上が不動産売買契約当日の流れです。

③住宅ローンの本審査申し込み 

通常買主は、売買契約前に住宅ローンの事前審査を受けているため、金融機関が買主の収入や年齢、マンションの担保評価を元に事前審査し、仮の承認を出しています。

なお、住宅ローンの本審査は必ずしも契約当日に行わないといけない決まりはありませんが、契約日から数日以内には取り組めるよう、買主と合意しておくと安心です。

住宅ローンは売買契約締結後に本審査を申し込むことになりますが、非常にまれではあるものの、本審査で承認が下りないことがあります。その場合、他の金融機関に本審査を申し込むこともありますが、ローン特約期日までは買主は白紙解約できます。よって買主の住宅ローンの本審査が通るまでは不確定な状態であると認識する必要があります。

住み替えを予定している場合などは、このローン特約日以前に住み替え先の売買契約をしないようご注意ください。

④マンションの引き渡し日の決定

買主の住宅ローン本審査に対し、承認が正式に下りたらマンションの引渡日(決済日)を双方のスケジュールを確認した上で決定します。不動産売買契約では仮の期日を期限として設定していますが、買主と売主の準備が整えば早めることもできます。

マンション引渡日は残代金決済日であり、所有権移転登記日になるので、金融機関や法務局が対応できる平日に行います。

ただし、契約日に引き渡し日を取り決めたとしても、都合により後に変更となる場合も多々あります。仕事などの調整が必要となることも多いので、契約日にある程度固めておければ安心でしょう。

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マンション売却時の売買契約書の内容 

マンション売却時に使用する不動産売買契約書(区分所有建物)には15項目の内容がありますが、その中でも買主がとくにチェックすべき点について詳しく解説します。

区分所有建物(専有部分)の詳細

専有部分の建物の表示には登記簿に記載された内容を転記します。具体的には、家屋番号や建物の番号、種類や構造、床面積や建築年月日です。

通常、専有面積は公募面積(登記簿上の面積)が記載され、パンフレットなどに記載されている面積(壁芯面積)と異なります。公募面積は壁の内側から測りますが、壁芯面積は壁の中心線から測るため、公募面積よりも広くなります。

売買代金の額や受取時期 

売買代金・手付金・残代金についても記載がありますが、この場合の売買代金は総額です。手付金は残代金支払い時に売買代金に充当されるため、売買代金から手付金を差し引いた金額が残代金になります。

残代金の支払い時期は「○日まで」と期限を設けていますが、実際には買主のローン実行可能日以降で売主・買主が相談の上、決済日を決めることになります。

所有権の移転・引き渡し・登記 

所有権移転・引き渡し日も残代金支払い期日と同様で、期限を設けていますが、実際には売主・買主が相談の上で決定した残代金決済日に所有権移転とマンションの引き渡しを行います。

つまり残代金支払い日と所有権移転日、マンション引き渡し日は同日になります。この日にすべてを行うことになりますので、金融機関と法務局が開いている平日に設定する必要があります。それ以外の日は所有権移転等ができませんのでご注意ください。

契約解除に関する内容

不動産売買契約における契約解除にはいくつか種類がありますが、とくに重要なのは手付解除・契約違反による解除・ローン特約による解除です。

手付解除

相手側が契約の履行に着手するまでは、売主は受領した手付金を返還して、手付金と同額を買主に支払うことによって解除ができ、買主は手付金を放棄することによって解除することができます。
ただし手付解除できる期日が定められているため、いつまでも手付解除できるわけではありません。

契約違反による解除

たとえば売主が契約の履行(契約の義務を果たす)をしているのにもかかわらず、買主が残代金を支払わない場合や、逆に買主が残代金を支払ったのにもかかわらず、売主が所有権移転に応じない場合は、相手側に履行を求めるよう催告をした上で、解除する旨を通知すれば契約を解除することができます。この場合は違約金についても設定されていますので、確認しておきましょう。

ただし、どちらかが一方的に解除できるわけではありませんのでご注意ください。

ローン特約による解除

買主がローンを利用する場合、ローンの一部もしくは全部が否認されたときには契約を解除することができるとする、ローン特約を設定することができます。この場合は「仕方のないこと」として、手付金を買主に返還する必要があります。

ただし期日を定める必要があり、いつまでも解除できるわけではありません。

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マンション売却時の売買契約で必要なもの 

マンション売却時の売買契約で必要になるのは、基本的には以下の通りです。

本人確認書類

売買契約当日、売主本人であることを証明するために、本人確認できる書類が必要になります。いわゆる「なりすまし」による詐欺を防ぐためです。
基本的には以下のような住所・氏名・生年月日が記載された公的な書類になります。

  • 運転免許証
  • パスポート(旅券)
  • マイナンバーカード
  • 各種健康保険証
  • 医療受給者証

印鑑証明書

印鑑証明書とは、本人が使用している印鑑が本物(実印)であることを証明するための書類です。押印した実印と印鑑証明書を買主に提示することで、マンションの売主本人であることが証明できます。売買契約に代理人が出席する場合、売主の印鑑証明書だけでなく、代理人の印鑑証明書も必要です。

もし印鑑証明書がない場合は、すみやかに管轄の役所で印鑑登録を行いましょう。なお、印鑑証明書が持つ法的効力は、原則発行日から3カ月以内となっているため、提出時に失効していないか確認してください。

実印

売買契約締結時に物件所有者であることを証明し、契約の信頼性を高めるためにも、基本的には実印を押印します。また、所有権移転登記では実印と印鑑証明書が必要になり、売買契約書の写しを添付することもあるので、統一して実印を使用することをおすすめします。

手付金・仲介手数料

売買契約時に、売主は仲介手数料を用意する必要があります。

手付金には不動産の売買契約成立を安定させ、証明する意味合いがあり、契約金と呼ばれることもあります。ちなみに売買代金の5~10%が一般的な相場です。手付金は売買代金の一部のため、残代金決済時に売買代金に充当します。

また手付解除の基準額となり、手付解除期日までは買主側は支払い済みの手付金放棄、売主側は手付金を返還して手付金と同額を買主に支払うことにより、手付解除することができます。

仲介手数料とは不動産会社に支払う報酬です。売買代金の3%+6万円+消費税が上限です。成功報酬のため、支払うタイミングは通常売買契約が成立した時になります。(売買価格800万円以下の場合は仲介手数料33万円(税込み))

なお、最近では仲介手数料を振込で受け取る会社が増えているため、その場合は送金手続きする際に使う銀行のスマートフォンアプリをインストール・設定しておく、通帳やキャッシュカードを持参するなどの準備をしておきましょう。

収入印紙

収入印紙を貼付しなければならない文書を「課税文書」と呼びますが、不動産売買契約書はその課税文書に該当します。そのため、売買契約締結時には収入印紙を貼って印紙税を納めなければなりません。なお、収入印紙は郵便局で購入できます。

収入印紙は売買代金の金額によって異なります。現在は印紙税の税額が軽減されており、令和6年(2024年)3月31日までは以下の通りです。

売買契約書に記載された契約金額印紙税の税額
1,000万円を超え5,000万円以下1万円
5,000万円を超え1億円以下3万円

この記事のポイント

マンション売却時の売買契約の流れを教えてください。

マンション売却時の売買契約は、重要事項説明の読み合わせ、売買契約の締結、住宅ローンの本審査申し込み、マンション引渡日の決定という流れで進められます。

詳しくは 「マンション売却時の売買契約の流れとは?」をご覧ください。

マンション売却時の売買契約で必要なものは何ですか?

本人確認書類、印鑑、手付金・仲介手数料、収入印紙などが必要です。

詳しくは 「マンション売却時の売買契約で必要なもの」をご覧ください。

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