ざっくり要約!
- スロップシンクはキッチンや洗面所とは別に設けた汚れもの用の流し
- スロップシンクを設置する場合は配管工事や内装工事が必要になることもある
スロップシンクという呼び名は知らなくても、「汚れもの専用の流し」といえばイメージできる人が多いのではないでしょうか。
マンションのベランダなどでよく見かけますが、深さがあり比較的底面が広いのが特徴のシンクです。
この記事ではスロップシンクとはどのような設備なのか紹介し、メリットや注意すべきポイントを解説します。
後半で設置費用の相場も紹介していますので、新築やリフォームに際してスロップシンクの採用を検討している人はぜひ参考にしてください。
記事サマリー
スロップシンクとは?
スロップシンクとは「汚れもの専用の流し」です。スロップは英語で「汚水」を意味し、スロップシンクはキッチンや洗面所とは別に設けた掃除用の流しを指します。
泥がついた靴や汚れた雑巾などを、キッチンや洗面所で洗うのは躊躇する人が多いのではないでしょうか。そういった声を反映して商品化されたのがスロップシンクです。
スロップシンクは間取図などに「SK」と記載されることがあります。これは「TOTO」のスロップシンクの品番がSKだからという説がありますが、実はTOTOのカタログにスロップシンクという商品はなく、「マルチシンク」や「洗濯用流し」とされています。表示に関しては、シンク(sink)のSKから来ている説もあります。
呼び名はメーカーによって多少異なりますが、共通しているのは汚れもの用に設けるシンクということです。
そしてその形状に共通しているのは、水跳ねを防ぐためにある程度深さがあり、靴などが洗いやすいように底が平らになっている点などでしょう。またバケツが置けるように作られているタイプが多いです。
つけ置き洗いすることを想定した商品もあり、詰まり防止の目皿や水を溜めるためのゴム栓がついたタイプなどもあります。
泥汚れなどを落とすときに使う大型の流し
スロップシンクは泥汚れなどを洗い流す用途に適したシンクです。メーカーによってサイズもいろいろありますが、バケツを置けるほどのサイズからペットを洗うことができるような大きなタイプまであります。
他にもテントやアウトドアグッズを洗ったり、釣りが趣味の方はクーラーボックスなどを洗ったりするのに便利です。
キッチンや洗面所のシンクとは違い、多少汚れても気にならないので、子どもに上履きや習字道具を洗うのを任せてみるのもいいでしょう。
スロップシンクのメリット・デメリット
ここからはスロップシンクの活用例を実際にあげていきます。合わせてメリット・デメリットも紹介していきますので、実際の活用方法をイメージしてみましょう。
メリット
スロップシンクのメリットは以下の通りです。
靴を洗う際に役立つ
泥がついた靴や汚れた上履きを洗う作業も、スロップシンクなら水跳ねも気にならず便利です。
雑巾やモップのつけ起き洗いができる
雑巾やモップを洗って、そのままつけ置き洗いすることもできます。
レンジフードなどの大掃除に活用できる
油汚れが気になるレンジフードの分解洗いも、スロップシンクなら汚れが気になりません。またつけ置きしている間もキッチンのシンクを使うことができるので、長時間のつけ置き洗いも負担にならないでしょう。
家庭菜園などで収穫した泥のついた野菜を洗える
洗い流した泥も、詰まり防止の目皿があるスロップシンクなら、配管の詰まりを心配する必要がありません。
外遊びをしてきた子どもの手やおもちゃを洗える
砂場などで外遊びをした子どもの手や、おもちゃを洗うのに便利です。
ペットのシャンプーができる、散歩後の手足を洗える
家で手軽にペットのシャンプーができれば、お散歩で汚れた時も安心です。
アウトドアグッズやガーデニング用品を洗える
アウトドアグッズは洗った後に干す必要がありますが、スロップシンクがベランダや庭にあればそのまま干すことができるので便利です。
釣り道具やクーラーボックスを洗える
釣り道具をスロップシンクで洗えば、キッチンを占領することがなく魚を調理することもできます。
絵具や習字道具を洗える
洗面化粧台などで洗うと絵具や墨汁の着色汚れが気になりますが、スロップシンクなら気にすることなく洗うことができます。
デメリット
スロップシンクは使い方によっては便利な設備ですが、デメリットもあります。ここでは設置を検討する前におさえておきたい、注意すべきポイントを3つ紹介します。
スロップシンクを設置するスペースが必要
キッチンや洗面化粧台の他にスロップシンクを設置することになるので、室内に設置する場合は、ユーティリティーとも呼ばれる家事室やコーナーを設ける必要があります。
広さに余裕がある場合は問題ありませんが、限られた面積の中に設ける際は工夫が必要になります。
室内に設置するのが難しい場合は、勝手口の外やベランダに設けることも検討できますが、マンションであればベランダに設けるのは難しいでしょう。
マンションのベランダは専用の使用権は認められていますが共用部分であるため、修復が難しいようなリフォームはほぼできないと考えた方がいいでしょう。よってマンションの場合の設置場所は基本室内に限られます。
スロップシンクを設置する場合は配管工事が必要
スロップシンクは給水と排水が必要になるので、配管工事が必要になります。新築の場合は水回りに近いところであれば比較的簡単に設置できます。しかしリフォームで設置する場合は、配管工事をする部分の壁や床をはがす必要があるため、内装工事も必要になります。
設置する場所によっては大掛かりな工事になりますので、程度によっては工事に数日かかり、またそれにともなって余分に費用もかかります。
スロップシンクは種類が少ない
最近ではスロップシンクを設置するケースが増えてきましたが、それでもまだ少ないのが現状です。
システムキッチンや洗面化粧台に比べると、スロップシンクの種類は多いとはいえません。デザイン性を重視したい場合は、既製品ではなくタイルなどで造作してもらうなど、工夫が必要になります。
今後需要とともにオシャレなタイプも増えていくかもしれませんが、デザイン性にこだわりたい場合はリフォーム会社などに相談してみましょう。
スロップシンクのおすすめの設置場所と使い方
スロップシンクの設置場所はいくつか考えられますが、生活スタイルや家族構成によって適した場所が変わってきます。また戸建てとマンションの場合でも条件が異なってきます。
ここでは代表的な4つの場所に設置するケースについて提案します。
ユーティリティー(家事室)
ユーティリティーとは英語で「役立つこと」を意味します。一般的に家事室とも呼ばれ、キッチンや洗面所に隣接するところに設けます。洗濯機やアイロン、ミシンなどがある、家事や作業をするための部屋です。
ユーティリティーにスロップシンクがあれば、外遊びをしてきた子どもの手をスロップシンクで洗い、汚れた洋服を着替えさせ、衣類をそのまま洗濯機に入れるといった一連の流れができます。
特に汚れが気になる場合は、スロップシンクで衣類の予洗い(本洗いの前の手洗いなど)をしてから洗濯機に投入することもできます。洗面化粧台などでつけ置き洗いをすると、その場を占領してしまうことになりますが、スロップシンクがあれば洗濯物を放置した状態でも気にならないので便利です。
庭やバルコニー
比較的大きなものを洗うことを想定する場合は、スロップシンクを庭やバルコニーに設置するのがおすすめです。
たとえばテントなどアウトドアグッズは洗った後に干す必要があります。スロップシンクが外にあれば、室内を汚すことなくそのまま外に干すことができるので安心です。
室内にはゆとりがなくスロップシンクの設置が難しい場合は、庭であればハードルが低くなるでしょう。
またリフォームでスロップシンクを設置する場合、すでに庭に水栓設備があれば比較的簡単な工事で設置することができます(戸建ての場合)。
勝手口
戸建てにお住まいで勝手口をよく利用する人には、勝手口のそばがおすすめです。泥がついた野菜を洗う場合でも、キッチンから動線が短いので便利です。
また外遊びで汚れて帰ってきたら玄関を使わず、勝手口から入るようにしている場合も、勝手口のそばに設置するのがいいでしょう。
キッチンと浴室や洗面所は隣接していることも多いので、水回りへの動線が短いこともメリットといえます。
ガレージ
自宅でよく車やバイクを洗う人は、ガレージにスロップシンクがあると便利です。ホースをつなげて使うこともできますし、バケツを使う場合もスムーズに水を使うことができます。
ガーデニンググッズやアウトドア用品をガレージに収納している場合も、スロップシンクがそばにあれば手入れが楽になるでしょう。
スロップシンクの相場と注意点
スロップシンクを設置するには、どのくらい費用がかかるのでしょうか。また最後に注意点も紹介します。
相場は10万円前後
スロップシンクを設置する場合、新築時とリフォーム時でも異なりますが、本体と工事費の合計で10万円前後が相場です。
新築時に設置する場合は内装工事をやり替える必要がなく、また配管工事なども建物全体の工事費の一部と考えれば、スロップシンクの本体代金程度で設置できると考えてもいいでしょう。メーカーによっても異なりますが、5万円前後です。
リフォームで設置する場合は、配管工事の長さや内装工事の範囲によっても異なります。
配管が露出のままで仕上げることができる場合は、10万円前後が相場です。
内装工事が必要になるかどうかは、工事の程度により異なります。詳しくはリフォーム会社や工務店などにご相談ください。
スロップシンクを設置する際の注意点
最後にスロップシンクを設置する際の注意点を紹介します。後悔しないためにも、ぜひ参考にしてください。
深さや広さが合っているか確認する
システムキッチンやユニットバスなどは、ショールームなどで確認することができますが、スロップシンクはカタログを見て選ぶことになるでしょう。
写真だけを見て選ぶと、イメージよりも小さかったり浅かったりすることがあります。選ぶ際はかならず寸法を確認するようにしましょう。
水跳ね対策をする
スロップシンクは見跳ねを考慮して深さがありますが、それでも壁などに水が跳ねる可能性はあります。スロップシンク周りは耐水性がある素材や、タイル張りにするなど対策することをおすすめします。
必要に応じて凍結対策を行う
地域にもよりますが、スロップシンクを外部に設置する場合は、配管に凍結防止帯や保温チューブなどを使用するなど、凍結対策が必要になります。対策方法については、リフォーム会社などに相談しましょう。
この記事のポイント
- スロップシンクのおすすめの設置場所と使い方は?
比較的大きなものを洗うことを想定する場合は、スロップシンクを庭やバルコニーに設置するのがおすすめです。
たとえばテントなどアウトドアグッズは洗った後に干す必要があります。スロップシンクが外にあれば、室内を汚すことなくそのまま外に干すことができるので安心です。
詳しくは「スロップシンクのおすすめの設置場所と使い方」をご覧ください。
- スロップシンクを設置する場合の相場は?
新築時とリフォーム時でも異なりますが、本体と工事費の合計で10万円前後が相場です。
リフォームで設置する場合は、配管工事の長さや内装工事の範囲によって費用が変わります。
詳しくは「スロップシンクの相場と注意点」をご覧ください。
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