一戸建てとマンションを比較するとき、物件の購入費用に目がいくという方は多いでしょう。
しかし、物件を購入した後もさまざまな維持費用がかかるため、購入時だけでなく維持費用もしっかり確認しておくことが大切です。
本記事では、一戸建てとマンションの維持費用について、具体的にどんな費用がかかるか、といったことや、どちらがお得かといった点を比較しながら、お伝えします。
記事サマリー
一戸建てとマンション両方にかかる維持費
一戸建てとマンションはそれぞれ維持管理に必要な費用が異なる部分もありますが、一方で共通してかかるものもあります。
具体的には以下のようなものです。
- 税金
- 保険料
それぞれ見ていきましょう。
税金
一戸建てとマンション両方にかかる維持費として税金があります。具体的には固定資産税と都市計画税です。
固定資産税は毎年1月1日時点に不動産を所有している人に課される税金のことで、自治体の定める固定資産税評価額に、1.4%の税率をかけたものが税金として請求されます。
また、都市計画税は固定資産税と似たものですが、こちらは市街化区域内にある不動産に課されるものです。固定資産税評価額に対して、0.3%の税率で税金を納めなければなりません。
なお、それぞれ税額算出のもとになる固定資産税評価額は、地価の変動によって変わり、建物部分については、経年劣化により毎年少しずつ下がっていきます。
保険料
また、一戸建てもマンションも保険を掛ける際には保険料を支払う必要があります。具体的には、火災保険や地震保険のことだと考えるとよいでしょう。
一戸建てもマンションも火災保険に必ず加入しないといけないわけではありません。
ただし、住宅ローンを組んで物件を購入する場合には、基本的には火災保険への加入が義務付けられています。
また、地震保険に関しては、火災保険の特約として加入するもので、こちらは完全に任意です。近年では国内で地震の被害も多くなっており、地震保険への加入を検討される方も多いでしょう。
火災保険料や地震保険料は加入する保険について、保険会社やプランにより変動します。基本的には補償内容が手厚くなるほど保険料が高くなります。
また、保険料の支払い方について複数年の一括払いや毎年払いなど選ぶことが可能で、複数年分を支払った方がトータルでは安くなるのが一般的です。
一戸建てのみにかかる維持費
次に、一戸建てのみにかかる維持費について解説していきます。
修繕費
一戸建ては建物を自分で維持管理していく必要があり、必要に応じた修繕と費用が発生します。
マンションにおける修繕積立金のように、毎月発生するものはありませんが、10年~20年など長期でみると屋根や外壁、設備など大きな費用がかかるものもあるため注意が必要です。
修繕の内容次第では数百万円の費用が必要になることもあるため、あらかじめ計画を立てておくようにしましょう。
マンションのみにかかる維持費
次はマンションのみにかかる維持費です
具体的には以下のようなものが挙げられます。
- 修繕積立金
- 管理費
- 駐車場代
修繕積立金
マンションは、建物の維持管理を入居者も所属する管理組合で行っていき、共通の費用として修繕積立金を毎年支払っていく必要があります。
毎年固定の費用が発生する一方で、修繕を実施する際には、積み立てた費用のなかから支払われることになります。
ただし、20~30年に1度の大規模修繕を実施するケースなど、積み立てた費用以上の修繕費用が発生する際には、臨時で徴収されるケースもある点には注意が必要です。
マンションの維持費は、築年数が古くなるほど高くなっていくのが一般的であることから、築年数が古くなるほど修繕積立金が高くなるよう計画されていることが多くなっています。
マンション購入時には修繕積立金がどのくらいプールされていて、将来的に高くなっていく予定はあるのか、管理組合の長期修繕計画を確認することが大切です。
管理費
また、マンションは修繕積立金以外の管理費を毎月支払う必要があります。
管理費は、主に以下のような費用のために徴収されます。
- エントランスロビーや廊下など共用部分の清掃や電気代
- エレベーターがある場合にはその点検費用や電気代
- インターネットやテレビ回線の使用料
- ジムやプールなどある場合にはその点検費用や電気代、運営費用
特にジムやプールなど、豪華な共用施設がある場合には、高くなりやすい点に注意が必要です。
駐車場代
マンションの敷地内に駐車場がある場合には、別途駐車場代を支払わなければならないことがあります。
マンションによっては、1台は無料で2台目以降有料といったケースもありますので、購入前にしっかり確認しておくようにしましょう。
一戸建てとマンションの維持費を比較
一戸建てとマンション、それぞれの維持費についてお伝えしましたが、実際のところどちらが維持管理に費用がかかるのでしょうか。ここでは、3,000万円の物件を購入したことを想定して、比較していきたいと思います。
共通してかかる費用の比較
まず、共通してかかる費用として、固定資産税や都市計画税は一戸建てよりマンションの方が高くなる傾向にあります。
これには以下のような理由が挙げられます。
- 一戸建てに比べて、マンションの方が物件価格に占める建物の比率が高い
- マンションは鉄筋コンクリート造が一般的で、マンションの方は固定資産税が落ちにくい
固定資産税の計算のもとになる固定資産税評価額は市場価格の7割程度になるよう定められており、物件価格3,000万円であれば固定資産税評価額はおおむね2,100万円と計算できます。
固定資産税の税率は1.4%のため、そのまま計算すれば29.4万円/年となるのですが、住宅用地については200㎡の部分まで固定資産税が1/6になる住宅用地の特例があり、このため土地部分の占める割合が高い方が固定資産税を安く抑えることにつながるのです。
例えば、3,000万円のうち2,000万円が建物、1,000万円が土地とした場合、以下のように計算できます。
建物部分:2,000万円×0.7×1.4%=13.7万円
土地部分:1,000万円×0.7×1.4%×1/6=約1.7万円
合計:約15.4万円
一方、建物部分が1,000万円、土地部分が2,000万円だった場合は以下のとおりです。
建物部分:1,000万円×0.7×1.4%=9.8万円
土地部分:2,000万円×0.7×1.4%×1/6=約3.3万円
合計:約13.1万円
なお、建物部分については新築から3年間固定資産税が1/2となる特例がありますが、3階建以上の耐火構造住宅の場合は5年間になるため、マンションの方が長くこの特例の適用を受けられます。
一方、一戸建て住宅の多くは木造であり、木造の方が早く固定資産税評価額が安くなるのに対し、マンションの多くは鉄筋コンクリート造であり、固定資産税評価額が安くなるのに時間がかかります。
ちなみに、共通してかかる費用の内、火災保険については耐火建築物の方が保険料で安くなるため、一戸建てよりマンションの方が費用を安く抑えやすいでしょう。
修繕費の比較
修繕費については、マンションの場合は管理費と修繕積立金が毎月発生します。2011年の不動産経済研究所のデータによると管理費の平均は216.43円/㎡、同じく2011年の国土交通省のデータによると修繕積立金の平均は218円/㎡です。
70㎡のマンションと仮定した場合、毎月かかる費用は約3万円。30年間では約1,100万円と計算できます。
一方、一戸建ての場合は自分で修繕を実施していく必要があり、30年でおおよそ以下のような費用が発生することが想定されます。
- 建物内部の修繕費用(水回りや床・壁紙など):300~400万円
- 屋根・外壁塗装費用:200~300万円
- 給湯器や外部給排水設備交換費用:50~100万円
- 床下メンテナンス費用(防蟻処理):50~100万円
- 合計:600~900万円程度
一戸建ての場合はどのような修繕工事を実施するか、またメンテナンスをしっかりしているかにより費用が大きく変動しますが、マンションと比べても費用は安く抑えやすいことが多いです。
総じて、長期的にみると一戸建てよりマンションの方が、維持費が高くなる傾向にあるといえるでしょう。
一戸建て・マンションは初期費用だけでなく維持費用も比較することが大切
一戸建てとマンションの維持費用について比較しました。本記事でお伝えした通り、維持費に関しては一戸建てよりマンションの方が高くなることが多いです。
一方、同じ立地だと一戸建てよりマンションの方が初期費用を安くしやすいもの。単に維持費だけで比較するのではなく、初期費用も含めてトータルで判断することが大切だといえるでしょう。
この記事のポイント
- 家を買う時に、維持費として考えておくべき項目を教えてください
家を買うときに、一戸建てとマンション両方に必要な維持費としては、毎年かかってくる固定資産税や都市計画税などの税金があります。
他にも、一戸建て・マンション共に火災保険や地震保険といった保険料を支払う必要があります。詳しくは「一戸建てとマンション両方にかかる維持費」をご確認ください。
- 修繕積立金と管理費の違いは?
修繕積立金は、管理組合で行う建物の維持管理費用として積み立てるもので、修繕を実施する際などの費用に充てます。
一方の管理費は、教養部の清掃や電気代、インターネットやテレビ回線の使用料などの費用として支払いが必要なものです。詳しくは「マンションのみにかかる維持費」をご確認ください。
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