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茗荷谷の住みやすさは?治安や子育て環境など、実際に街を歩いてご紹介

執筆者プロフィール

橋本岳子
住まいと地域の評論家/福祉住環境コーディネーター

約20年間、不動産情報サービスの会社に在籍。独立後は、売買・賃貸・管理・投資など、不動産のさまざまな分野での執筆を行っている。また、2018年より東京都内の商店街を毎月取材し、地域の抱える問題点などについてもリサーチを続けている。

ざっくり要約!

  • 茗荷谷エリアは、治安が良い文教地区であり、落ち着いた住環境が特徴
  • 東京メトロ丸の内線を使えば、東京や銀座、池袋などへ乗り換えなしでアクセス可能
  • 公園や自然が多く、子育てしやすい環境、各種子育て支援も用意されている
  • 歴史あるスポットも多く、成熟した街並みが広がっている

東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅を中心として広がる茗荷谷エリア。東京駅まではわずか11分程度でアクセスできるということもあって、茗荷谷での暮らしを検討されている方も多いのではないでしょうか。今回は、茗荷谷の住みやすさをテーマに、街の概要のほか、家賃相場・購入相場、交通アクセス、治安、子育て環境、教育環境、医療環境をご紹介しています。また最後には、実際に茗荷谷を歩いて、街の魅力と雰囲気をご紹介しています。みなさまが、住まいを選ぶ際のイメージを膨らます材料としてお役立てください。

茗荷谷のエリア概要

東京都文京区の南西部に位置する「茗荷谷」。現在茗荷谷という町名は存在せず、東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅、駅周辺(主に小日向、大塚、小石川エリア)の通称、町会名などとして残っています。名前の由来は、その昔、この周辺に茗荷の畑が多くみられたこと。文教地区としても有名で、周辺には「お茶の水女子大学」、「拓殖大学」、「中央大学」などのキャンパスがあります。

住まいのエリアとしては、表通りにはマンションが多く、少し入ったところに、一戸建てが並ぶ古くからの住宅街が広がっています。全体的に落ち着いた雰囲気があり、緑や自然がたくさん残されているのも特徴。穏やかに日常を送れるエリアと言えるでしょう。

茗荷谷の家賃相場・購入相場

当社ホームページ掲載物件をもとにした情報によると、マンションの家賃は5万6,000円のワンルームから35万円の2LDKまであります。マンションの価格は、2,980万円〜1億3,800万円まで、幅広い販売価格帯となっています。(2023年5月17日現在)

参考:茗荷谷駅の不動産相場
https://www.livable.co.jp/data-book/tokyo/s2342030/

茗荷谷の交通アクセス

主な交通機関は、東京メトロ丸ノ内線です。丸ノ内線は、東京都豊島区の池袋駅から杉並区の荻窪駅までを結ぶ本線、中野区の中野坂上駅から杉並区の方南町駅までを結ぶ方南支線から構成されており、大手町駅、東京駅、銀座駅、新宿駅など都内の主要スポットを網羅している沿線。茗荷谷駅から東京駅まで電車で約11分、銀座駅まで約13分、池袋駅まで約5分と利便性の高さが魅力です。また、東京駅、浜松町駅経由で東京モノレールを利用すれば、羽田空港第1ターミナル駅までは約45分で到着します。

ほかにも、上野駅や錦糸町駅方面へ向かうバスが発着しているなど、都内各所・多方面へのアクセスの良さが特徴と言えるでしょう。

茗荷谷の治安

駅周辺を歩いて気付くのが、パチンコ店、ゲームセンター、カラオケ店などがないということ。飲食店や居酒屋が並ぶような繁華街もありません。犯罪に関しては、「警視庁 区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」(2023年3月累計)によると、茗荷谷エリアのある文京区は、23区内では最も低い認知件数となっています。落ち着いた住環境で犯罪件数も少ないため、治安のよいエリアと言えるでしょう。

茗荷谷の子育て環境

都心でありながら、敷地が広い公園や残された自然が多い点も茗荷谷の特徴。子育てがしやすい環境と言えるでしょう。

「文京区立教育の森公園」は、旧東京教育大学(現在の筑波大学)の跡地にできた公園で、1986年(昭和61年)に開園しました。21171.43㎡の敷地内には、遊具などのほか、自由広場、じゃぶじゃぶ池、文京スポーツセンターなどがあります。また、植物学の教育・研究を目的とする東京大学の教育実習施設「小石川植物園」も茗荷谷エリアに立地。毎年みどりの日(5月4日)には無料で開放されています。
エリア内や近隣には、小さな区立公園や高速道路の高架下を利用した公園など、気軽に利用できるスポットも多く、訪れた休日には多くの親子連れが思い思いに遊んでいました。

近年は共働き夫婦が増え、保育園の入園に関心を寄せている方も多いと思いますが、文京区には124の保育施設※があります。また、預ける施設だけでなく、就学前の乳幼児とその保護者が交流しあえる「子育てひろば」、高校生まで利用できる「児童館」など、安心して過ごせる施設が区内に点在しています。
※区立、私立の認可保育園、認可保育所(公設民営)、認定こども園(公設国営)、小規模保育事業A型、家庭的保育事業、事業所内保育所の合計

子育て支援の面では、様々な支援が用意されています。ここでは、そのうちのいくつかをピックアップして紹介します。

児童手当

文京区在住で中学校修了前の児童を養育していて、主に生計を維持している方に支給される手当です。支給額は、年齢や子どもの数によって異なります。なお、所得上限限度額以上の場合は支給されません。

医療助成

2023年4月1日より、高校生等医療助成がスタート。これまでの乳幼児(就学前)、子ども(義務教育就学児、満15歳の誕生日後最初の3月31日まで)に加え、高校生相当年齢にあたる人も、「入院・通院にかかる医療費の自己負担分」の助成が受けられるようになりました。

多胎児家庭支援事業の移動経費補助

区内在住で、0~2歳までの多胎育児中の世帯が対象。「移動経費補助申請書」を提出後に、タクシー移動に使用できる商品券が送付されます。乳幼児健康診査、予防接種等の母子保健事業等を利用する際に使用してもらうのが目的で、0・1・2歳で1回ずつ申請可能です。

茗荷谷の教育環境

文教地区としても名高い茗荷谷エリア。茗荷谷エリアに住んでいる子どもが公立の小学校に通う場合、半数以上が「文京区立窪町小学校」に通うことになります。この小学校は古くから名門小学校として知られており、私立中学への進学率も高いことで有名。ちなみに、文京区の私立中学への進学率は、東京都教育委員会が発表した「令和4年度 公立学校統計調査報告書【公立学校卒業者(令和3年度)の進路状況調査編】」によると、約48%となっており、ほぼ半数の生徒が私立中学へ進学していることが分かります。さらに茗荷谷エリアにしぼると、その率はもっと高くなるようです。それを物語るように、茗荷谷駅周辺には中学受験向けの進学塾が多く開塾しています。

国立の小学校に目を向けると、「東京学芸大学附属竹早」、「筑波大学附属」、「お茶の水女子大学附属」があります。これだけの範囲内に国立の小学校が集まっているというのも茗荷谷の大きな特徴でしょう。
また、「拓殖大学」、「跡見学園」、「中央大学」などの私学もあり、文教地区としての幅広さが伺えます。

茗荷谷の医療環境

茗荷谷の駅周辺には、小児科、内科、耳鼻科、皮膚科などの医院があります。「東京都立大塚病院」は隣駅である新大塚駅から徒歩2分のところにある総合病院で、総合周産期母子医療センターや地域医療支援病院に認定されています。救急外来にも対応しているので、もしもの時も安心です。

茗荷谷周辺を街歩き(茗荷谷駅~江戸川橋公園~小石川植物園)

様々な顔を持つ茗荷谷エリアを実際に歩いてみました。ここではお散歩コースとして紹介します。

まずは茗荷谷駅からスタート

東京メトロ丸ノ内線茗荷谷駅で下車し地上へ。駅には2階建ての駅ビルが備わっており、銀行、歯科医院、100円ショップ、不動産店、ネイルサロンなどが入っています。

駅の目の前に通るのは春日通り

駅を出ると目の前に通っているのが「春日通り」です。春日通りは、池袋から文京区・台東区を経由して、墨田区へと延びる道路の通称。茗荷谷駅前は片側2車線と広々としており、自転車専用車線もあります。

球技グラウンドもある新大塚公園

春日通りを池袋方面へ進み、「大塚一丁目」の交差点を左折し「跡見学園前」の信号を左に入ると見えてくるのが「新大塚公園」です。球技グラウンドやジャングルジム、複合遊具がある公園で、植栽も多く、都会のオアシスのような空間です。

住宅街を抜けた先にある小日向神社

「新大塚公園」を出て、左に向かってしばらく行くと、服部坂へ差し掛かるところから「小日向神社」の社殿が見えます。
氷川神社と八幡神社が合祀した神社で、1872年(明治2年)に小日向神社と改称されました。小日向神社祭礼は、秋の風物詩として地元住民に親しまれているそうです。

庭園も美しい鳩山会館

服部坂を下って音羽通りへ。右へ向かって歩いていくと、「鳩山会館」の敷地への入口が見えてきます。ここは、内閣総理大臣を務めた鳩山一郎の邸宅を一般に公開している建物で、小高い丘の上にあるため、たどり着くまではちょっとした登山気分。建物もさることながら、バラや四季折々の植物で埋め尽くされている庭園も見ごたえがあります。

高速道路高架下にある憩いの場。音羽パークロード600

音羽通りに戻りさらに右へ。「大塚警察署」の交差点を渡った先の高速道路高架下にあるのが、「音羽パークロード600」の入口。公園兼道路で、音羽児童公園をはじめ6つの区画に分けられています。子ども向けの遊具だけでなく、大人向けの健康遊具も設置されており、多様な年齢層が利用しやすいスポットです。

神田川沿いに広がる文京区立江戸川公園

「音羽パークロード600」を抜けたところにあるのが「文京区立江戸川公園」。神田川沿いに広がる東西に細長い公園で、桜の季節にはお花見スポットとして親しまれています。石の広場や山小屋を模した時計搭のあるあづまや、藤棚が備わったテラスなど、様々な表情が楽しめる公園です。

筑波大附属中学・高等学校やお茶の水女子大がある付属横坂

「大塚警察署」の交差点へ戻り、春日通り方面へ向かう道に入っていきます。ほどなくすると坂道となりますが、ここが「付属横坂」と呼ばれている坂で、両脇には筑波大附属中学・高等学校やお茶の水女子大が並んでいます。上り切った先には、「新大塚公園」へ行く際に曲がった「跡見学園前」の信号があります。

旧東京教育大学(現在の筑波大学)の跡地にできた、文京区立教育の森公園

春日通りを渡って左へ進んだらすぐ右へ。突き当りに見えるのが「文京区立教育の森公園」です。「茗荷谷の子育て環境」でも触れましたが、旧東京教育大学(現在の筑波大学)の跡地にできた公園で、広々とした敷地には、広場や遊具、スポーツセンターなどがあります。

巨木が生い茂る占春園

松平家の屋敷内の庭園の名残である「占春園」。筑波大学附属小学校の自然観察の場ともなっていて、高低差のある園内には様々な樹木がうっそうと生い茂っています。虫かごや、虫取り網を持って昆虫採取をする子どもの姿も見られました。

大正元年に竣工した国の重要文化財、旧磯野家住宅

「占春園」を出て右に進み、最初の角を右に曲がります。湯立坂を上っていくと坂の中腹にあるのが「旧磯野家住宅」です。主屋の屋根と外壁に銅板が張り巡らされているため「銅御殿(あかがねごてん)」と呼ばれており、主屋は国の重要文化財に指定されています。

春には桜が満開になる播磨坂

「春日通り」に戻って後楽園方面へ。「小石川五丁目」の交差点を右に入るとあるのが「播磨坂」です。1960年(昭和35年)に舗装が行われた際、桜の木約120本が植えられました。中央部はベンチなどが配された緑道で、地域住民の憩いの場となっています。

日本で最も古い小石川植物園

「播磨坂」を下りきったら、右へ進み、最初の信号を左へ曲がります。突き当りにあるのが「小石川植物園」で、日本で最も古い植物園として知られています。前身は徳川幕府が設けた「小石川御薬園」。約161,588㎡ある敷地内には、傾斜地や泉水地などを生かして多様な植物が植えられています。

※こちらのデータ及び情報は、2023年5月17日現在によるものです。実際の相場状況、制度、その他街の情報とは異なる場合がございますので、ご注意ください。

この記事のポイント

茗荷谷はどのような街ですか?

茗荷谷は東京都文京区の南西部に位置し、静かで落ち着いた雰囲気の住宅街です。周辺には文教地区として有名な大学キャンパスがあり、緑と自然も多く残されています。

詳しくは、「茗荷谷のエリア概要」および、「茗荷谷の教育環境」をご覧ください。

茗荷谷の子育て環境について教えてください

茗荷谷は広い公園や自然が多く、子育てに適した環境です。区内には多くの保育施設や子育て支援施設があり、子どもと保護者が安心して過ごせます。さらに、子育て支援の面では、様々な支援が用意されています。
また、「警視庁 区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」(2023年3月累計)によると、茗荷谷エリアのある文京区は、23区内では最も低い認知件数となっており、治安がよいのが特徴です。

詳しくは、「茗荷谷の子育て環境」 および、「茗荷谷の治安」をご覧ください。

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