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不動産を処分したいときの方法は?売却や活用の注意点も解説

執筆者プロフィール

尾嵜豪
株式会社ウィンドゲート 代表取締役

不動産の売買仲介・相続相談・不動産投資・賃貸・その他不動産コンサルティングなど、実際に不動産会社を経営しています。現場目線から不動産に関する記事を執筆しており、その他、書籍執筆、セミナー講師などもしております。渋谷にオフィスがあり、対面及びオンラインでも、お客様目線に立って不動産の相談にのっています。不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、相続対策専門士、ビル経営管理士、2級ファイナンシャルプランニング技能士など。

ざっくり要約!

  • 不動産を処分したい場合、売却や寄付、活用などさまざまな方法がある
  • 不動産を処分したい場合、名義変更やリフォームの必要性、更地化する場合の費用などに注意する

不動産を処分したいとき、どんな方法があり、何から始めればよいのかなど、わからないことが多々あると思います。この記事では売却や寄付、活用など項目ごとに手順やかかる費用、注意点などをまとめてみました。少しでも事前に知識をつけておくことで損失を減らすことができます。実際に処分したくなったときにご活用ください。

不動産を処分したいときの方法

不動産を処分したいときにはさまざまな方法があります。ここでは代表的な処分方法をいくつか解説します。

売却する

まずは売却して処分するという方法です。不動産の売却は、早く売りたいのか高く売りたいのかで売り方が異なります。
少しでも早く売りたい場合、買い取り業者という不動産会社に直接売却をすることが多いです。
一方で高く売りたい場合、仲介をメインとする不動産会社を間に入れ、個人の方へ売却することによって高く売れる可能性が上がります。

具体的な手順は以下の通りです。

1.不動産査定を行う

買取・仲介どちらの場合もまず、住んでいる家を査定してもらいます。査定自体は費用がかからないところがほとんどです。立地・利便性・建物・土地の状態・路線価・近隣の取引事例などから、総合的に価格が算出されます。

仲介会社に売却を依頼する場合は、主に取引事例から予測される売却可能価格が算出され、その金額をもとに希望販売価格を決定して売りに出します。

買い取り業者へ売却する場合、買い取り業者が購入後にリフォームをして利益を乗せて販売することがほとんどであるため、その分低い金額で査定されることが多いです。

価格に関しては買い取り業者へ直接売るほうが安くなりますが、売却を急いでいるときには買取が適しており、また建物の契約不適合責任が免責となるため、家の古さによって発生するリスクを回避できるというメリットがあります。

注意点としては、仲介・買い取りを問わず、複数の会社に査定してもらうことです。

2.売却活動

その後、仲介で買主を探す場合、「REINS」と呼ばれる不動産会社間のネットワークや一般の方でも閲覧できる物件情報のポータルサイトなどに、価格・間取り・設備・諸条件・諸費用などが載った図面が掲載されます。売主の要望通りに記載されているか、必ず確認するようにしましょう。

物件に問い合わせがあった場合、不動産会社が購入希望者へ現地の物件案内をします。まだ居住中の場合は居住者と日程調整をして見てもらう必要があるため、その際はなるべく部屋をキレイにしておきましょう。引っ越し後であれば、不動産会社にカギを預けて案内をお願いするケースが多いです。

売却に際して、売主は必要以上のリフォームをする必要はありませんが、壁クロスやカビ跡などは修繕またはクリーニングしておくほうが良いでしょう。

3.売買契約

何組か案内して購入を希望するお客様がいれば、仲介会社を介して買付申込書が送られてきます。価格交渉が入っている場合、条件の想定内であれば売り渡す合意をします。このとき、売り渡し承諾書を作成するケースもあります。

それに伴い、仲介会社が現地調査・役所調査・売主へのヒアリングをしたうえで、重要事項説明書及び契約書を作成します。買主・売主で日程を調整し、まず仲介会社が買主へ重要事項説明をします。その後、原則対面で契約書を読み合わせたうえで、署名・捺印をします。この際、書面で契約を交わす場合は契約書に貼付する印紙代が発生します。

中でも、現況調査・設備状況報告書はとても重要です。建物の状態や設備の故障などをきちんと確認し、漏れなく伝えましょう。物件の瑕疵(品質や性能における欠点等)について伝え漏れ等があった場合、購入後に揉めるケースが多々あります。

契約を交わすタイミングで、通常は買主より手付金を受領します(100万円~物件価格の10%程度が主流です)。買主側が住宅ローンを設定している場合や、戸建てで隣地や前面道路との境界確定が必要な場合などいろいろなパターンに合わせて、契約後1か月~3か月後ぐらいに決済・引き渡しの日程を設定します。

なお、境界確認で揉めるケースも多いため、売却時にトラブルにならないよう近隣との関係を良好に保つことはとても大事です。

4.物件の引き渡し

ローン条項や境界確定などの各種特約による契約白紙撤回などがなければ、決済・引き渡しとなります。

売主は登記識別情報通知・物件のカギ・印鑑証明書・実印などを準備し、決済当日に金融機関や不動産会社のオフィスで司法書士による書類確認を受けます。名義変更が必要な書類に記入し、売買の意思確認を済ませれば、物件の残代金授受となります。

買主が銀行からお金を振り込み、売主の口座に着金しているか確認します。同時に、固定資産税・都市計画税の日割り計算も合わせて行います。マンションの場合、管理費・修繕積立金の精算も月単位で行います。

また、不動産会社への仲介手数料の支払いも発生します。どの段階で手数料を支払うかは不動産会社によって異なるため、必ず確認しておきましょう。一般的には、契約時に約半金、決済・引き渡し時に残額を支払うケースが多いです。その後 、物件の鍵を渡して決済・引き渡しは終了となります。

売却時に発生した利益に対して、税金の控除対象でない場合や控除額以上の利益が出た場合、利益に対する所得税が売主に課せられます。控除対象かどうかは税理士に確認することをおすすめします。

寄付する

不動産を寄付するという処分方法もあり、寄付する相手によって注意点が異なります。

個人

個人に不動産を寄付すると、贈与という扱いになります。この場合、不動産を寄付された側が贈与税を支払う必要があるため、注意しなくてはいけません。

まずは贈与契約書を作成し、契約内容に関して寄付者及び寄付を受けた人の間で齟齬が生じないようにきっちりと明文化しておくことが大切です。
注意点として、税理士に贈与税額を確認してから契約書を作成するようにしましょう。寄付された不動産に対して贈与税がかかることを知らず、トラブルが起きてしまうケースを防ぐためです。

寄付の流れとしては、契約書を2部作成して両者が直筆で署名・捺印し、所有権移転登記を行います。

法人

個人が法人に不動産を寄付した場合、売却したものとみなして課税されます。課税されるのは寄付をした側です。その年度の確定申告が必要となります。

寄付をした側は見かけ上の所得が増えてしまうので、公的保険料などの値上がりに注意しておきましょう。遺贈という形で寄付した本人が亡くなっている場合も注意が必要です。寄付者の相続人にみなし課税がかかる可能性があります。

自治体

自治体が不動産の寄付を受け取ってくれるかどうかはケースバイケースです。
寄付の申し出をした後に、まず自治体が不動産の調査に来ます。そこで審査が行われ、通過した場合のみ寄付申込が可能となります。

寄付申込後、正式に受理・不受理が通知され、受理された場合は所有権移転登記を行います。この場合、譲渡所得税は課税されません。

相続または遺贈によって土地や不動産を相続した人が一定の要件を満たせば、国に土地や不動産を寄付することができます。

注意点として、建物がある土地や隣地との境界が明らかでなく確定できない場合などは寄付できない可能性があります。

活用する

何らかの形で、処分予定の不動産を活用する方法もあります。

太陽光発電システムの設置

土地によっては太陽光発電システムを使って収益を出すことも可能です。太陽光発電システムを設置できる土地か、売電することが可能なエリアなのか等を確認する必要があります。その後、施工業者に設置費・売電収入シミュレーションなどの見積もりを出してもらいます。このとき、なるべく複数業者から見積もりを取りましょう。

その後契約をし、補助金の申請などを出します。売電するためには、経済産業省の「資源エネルギー庁」に事業契約認定の申請をする必要があります。

詳しくは資源エネルギー庁の公式サイト をご確認ください。

申請後、設置工事に入り、電力会社との受給契約を結びます。すべての契約が終了したら運転を開始し、発電と売電が始まります。

出典:【太陽光発電】利用者は要チェック!『FIT制度』のこれから|経済産業省 資源エネルギー庁

マンションやアパートの経営

マンションやアパートで収益を得たい場合、まずは不動産会社にマンションやアパートの収支計画を作成してもらいます。その収支計画に沿って施工会社に見積もりを依頼し、見積額が収支計画の範囲内に収まるかどうか確認します。

収支計画に問題がなければ、融資が必要な場合は金融機関に融資の依頼をします。融資を受けることができれば、設計に入ります。

その後、融資契約・施工契約の締結を行います。建物の規模によっては近隣に施工説明をする必要があるため、トラブル防止のために必ず確認しておきましょう。施工が完了次第、建物管理契約を締結して賃借人の募集を開始します。

注意点として、賃借人の賃料未払いを避けるために保証会社を活用することが重要です。また、駅からの距離や傾斜など、アパート・マンション経営に向いている立地かどうかを事前に確認することも忘れないでください。

駐車場の経営

駐車場経営を考えている場合、月極駐車場かコインパーキングかを選択する必要があります。

コインパーキングは運営会社が一括で借り上げるため、運営管理の手間がいりません。立地が良ければ、1台当たりの収益性は月極駐車場より高くなります。ただし、コインパーキングが設置できない立地や広さがあるため注意してください。

月極駐車場はアスファルトなどで舗装することによって、相続税対策として貸付事業用の小規模宅地等の特例が使えます。

土地信託の利用

土地信託として利用する場合、土地信託する会社を決めて信託契約を締結します。これによって土地の所有権は信託会社に移転し、委託者は信託受益権を持ちます。

土地の運用を任された信託会社は立地や広さなどから投資方法を決定し、建設・運営をします。運用が始まってから、信託会社から諸経費を控除した配当金を得ることができます。

不動産を処分したいときの注意点

不動産を処分したいときの注意点は以下の通りです。

相続した場合は名義変更が必要

名義変更を怠ると将来の売却時に困ります。放置しておくと、相続人が増えてしまう場合があり、意思の確認をとるだけで一苦労です。

また、2024年の法改正では不動産取得を知った日から3年以内に正当な理由なく登記・名義変更手続きをしなかった場合、10万円以下の過料の対象となります。

出典:あなたと家族をつなぐ相続登記 ~相続登記・遺産分割を進めましょう~|法務省

リフォームや解体は慎重に

リフォームによって売却価格が大きく上がることはほとんどありません。

リフォーム物件が市場で販売されているのは、買い取り業者がその物件をリフォームしても利益が出る程度に安く買っているという背景があります。そのため通常の仲介で売却する場合、内見時に印象が悪くなるほど汚れたクロスや水回りがあれば、一部交換やクリーニングを行う程度で問題ありません。

解体に関してはいきなり解体業者に依頼せずに、経験豊富な不動産会社や不動産コンサルタントに相談しましょう。市街地調整区域などにある建物の場合、解体してしまったことで再建築不可となってしまって資産価値が大きく減少してしまう可能性があります。

更地化するには相当の費用がかかる

建物を更地化するには、一定の費用がかかります。木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の順に費用が高くなります。解体は機械・人件費・作業費はもちろん、解体時に出る産業廃棄物の分別処分・運搬などさまざまな面で費用がかかります。

また、見積もり時に想定できなかった地中埋設物が、地中の基礎部分を解体している時に出てくることもあります。それによって追加で費用がかかるケースがあるため注意しましょう。

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この記事のポイント

不動産を処分したいときの方法は何がありますか?

売却する、個人や法人などに寄付する、太陽光発電システムを設置したり、アパートや駐車場などを作ったりして活用するなど、さまざまな方法があります。

詳しくは「不動産を処分したいときの方法」をご覧ください。

不動産を処分したいときの注意点はありますか?

相続した場合は名義変更が必要であること、リフォームや解体は慎重に行われなければならないこと、更地化するには相当の費用がかかることなどを知っておく必要があります。

詳しくは「不動産を処分したいときの注意点」をご覧ください。

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