ざっくり要約!
- リロケーションは、転貸型かつ定期借家契約で家を貸し出すのが一般的
- リロケーションのメリットは、空き家を有効活用できるうえで防犯・防災にもなり、所有者がまた住むことも可能なこと
- 賃貸仲介会社だからといってリロケーションの実績が豊富とは限らない
リロケーションとは、一時的に空き家となる家を貸し出し、賃料収入を得ることを指します。空き家を有効活用できる方法として、転勤や海外赴任する方に多く選ばれています。ただし、リロケーションは「一時的」に貸し出すという点において一般的な賃貸経営とは異なるため、契約の内容や流れをよく理解しておくことが大切です。
本記事では、リロケーションの仕組みやメリット・デメリット、契約の流れなどを解説します。
記事サマリー
リロケーションとは何?
リロケーションとは、海外赴任や転勤、長期出張などで家が留守になる場合に、不在になる一定期間だけ自宅を貸し出して有効活用することです。賃貸借を行う場合、多くは貸主と借主との間で「普通賃貸借契約(普通借家契約)」が結ばれますが、リロケーションの場合には、「定期賃貸借契約(定期借家契約)」という契約を締結します。
普通借家契約と定期借家契約
賃貸借契約は、次の2つに大別されます。
- 普通借家契約
- 定期借家契約
前者の普通借家契約は、賃貸借期間が1年以上で、期間満了の6ヶ月〜1年前までの間に相手に対して更新をしない旨を通知しなかった場合は自動更新される契約です。
一方、定期借家契約は更新がなく、期間満了となれば契約は終了します。期間を限定して貸し出すため、普通賃貸借契約と比べ、借主(入居者)が見つかりにくいことがあります。定期賃貸借契約で物件を貸し出す際は、契約期間が限られていることで普通賃貸借契約と比べると需要も限定的になるため、契約期間が2~3年程度の短い場合には、賃料が相場より1~2割安くなる傾向にあります。
転勤時に多く利用される
定期借家契約は、期間を決めて賃貸借契約を締結するのが一般的であることから、転勤や海外赴任の際に多く利用される方法です。普通賃貸借契約は、更新を前提とした契約のことで、貸主からの解約は正当事由が必要であるため、基本的に貸主の都合で借主を退去させることは難しいとされています。一方で、定期賃貸借契約は契約期間の満了後、再契約をしない限り借主は退去する必要があるため、貸主側の都合に合わせて貸し出す期間を限定することが可能です。期間満了で契約終了となれば、転勤から戻ってきたときには再度、住むことができます。
リロケーションの運用方法
リロケーションの運用方法は「転貸借」と「管理委託」の2つに大別されます。
転貸借
転勤などによって現地を離れるとなると難しいのが、賃貸住宅の管理です。賃借人の募集、家賃の回収、トラブル対応など、賃貸住宅経営ではやるべきことが多くあります。
また、一時的に空き家になる住まいを賃貸に出すのであれば「期日までに明け渡してもらえるか?」「賃料が滞納されないか?」といった不安もあるはずです。
以上のことから、リロケーションでは「転貸借」の定期賃貸借契約がとられるのが一般的です。転貸借とは、貸主が借主に賃貸住宅を貸し、借主が改めて転借人に貸すという仕組みです。
実際に住むことになる転借人にとっての家主は、所有者にとっての借主。所有者が貸し出すのは、リロケーション会社であるため、賃貸住宅の管理はもちろん、賃料の徴収も行います。加えて、東急リバブルのリロケーションプランには、明渡保証も付帯されています。
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管理委託
一方、「管理委託」とは転貸借という形式を取らず、不動産管理会社にサポートしてもらったうえで借主と直接、建物賃貸借契約を締結する運用方法です。管理委託においても、煩雑な管理業務の一旦を管理会社に担ってもらうことができます。
リロケーションと一般的な賃貸の主な違い
リロケーションと一般的な賃貸の主な違いは「契約期間」と「家賃相場」にあります。その他の点についても、次のような違いがあります。
一般的な賃貸 (普通賃貸借契約) | リロケーション (定期借家契約) | |
家賃相場 | 定期借家契約と比較して高い | 普通賃貸借契約と比較して低い |
契約期間 | 1年以上・上限なし (1年未満は期限の定めなしとみなされる) | 契約時に期間の確定が必須 |
更新 | 2年に1度が一般的 | 更新なし (再契約は可能) |
一般的な賃貸は契約期間に上限はなく、基本的に借主が希望する限り住み続けることができます。更新は、2年に1度が一般的です。一方、リロケーションは契約時に定められた期間が満了となれば解約となり、更新はできません。ただし、リロケーションも再契約は可能です。
また、家賃相場は総じて普通賃貸借契約のほうが高い傾向にありますが、これは定期借家契約には契約期間が定められており、更新ができないため、普通賃貸借契約よりも賃料が低めでないと需要も少なく入居者が決まりづらいためです。一方、契約期間が5、6年など一定期間あれば、普通賃貸と同等の賃料設定でも入居者が決まるケースも見られます。
リロケーションにかかる費用
リロケーションにかかる管理委託料は、賃料の5〜10%程度が相場といわれています。委託料は、依頼する管理プランによって異なります。また、別途、次のような費用がかかることがあります。
- 契約登録手数料
- 運営事務手数料
- 入居前設備点検費用・写真撮影代
- 送金事務手数料
- 修繕費
- 再契約の場合、再契約登録手数料
また、次の費用は貸主が負担しなければならない費用です。
- 固定資産税・都市計画税
- マンションの管理費・修繕積立金
- 住宅ローンの利子
- 火災保険料
- 不動産会社への手数料
- 不動産所得にかかる所得税・住民税
リロケーションの3つのメリット
リロケーションのメリットは、一時的に空き家となる住まいを有効活用できるとともに、転勤や海外赴任から帰ってきたらまた自身や家族が住むことができる点にあります。
1.空き家を有効活用できる
リロケーション中にもかかる固定資産税や管理費、修繕積立金などの費用は、空き家のままであってもかかるものです。家を空ける間に賃料収入が得られれば、空き家の有効活用ができます。転貸物件として貸し出せば、転勤中の手間や不安もありません。
2.転勤から戻ったら再び住むことができる
転勤から戻ってきたときに再び持ち家に住めることも、リロケーションのメリットです。普通賃貸借契約は、更新を前提とした契約のことで、貸主からの解約は正当事由が必要であるため、基本的に貸主の都合で借主を退去させることは難しいとされています。
定期借家契約なら、転勤から戻ってくるタイミングに合わせて期間を設定することで、借主の退去を待つことなく、再び持ち家に住むことができます。
3.防犯・防災になる
人が住まない空き家は、犯罪や災害に遭うリスクが上がります。居住者がいれば、空き巣や火災などの被害を受けにくいため、リロケーションが防犯・防災にもつながります。
リロケーションの流れ
転貸型のリロケーションの流れは、次のとおりです。
1.賃料査定
まず、賃料を査定します。賃貸募集をかける時期や契約期間は査定額にも影響するため、リロケーション会社には、わかる範囲で転勤の予定を伝えておきましょう。
2.賃貸借契約・賃貸業務委託契約の締結
続いて、リロケーション会社と賃貸借契約と賃貸業務委託契約を締結します。先のとおり、貸主は、実際に住むことになる転貸人とは賃貸借契約を交わしません。
3.入居者募集
不動産ポータルサイトやチラシ、顧客への紹介などにより、リロケーション会社が入居者を募集します。内覧対応や審査などは、すべてリロケーション会社が対応します。
4.転貸借契約の締結・入居
入居者が決まった後は、リロケーション会社と入居者が転貸借契約を交わします。入居者から徴収される家賃は、管理委託料を差し引いて貸主の口座に入金されます。入居中のトラブル対応は基本的にリロケーション会社がしてくれますが、設備や建具が故障した際の修繕費を負担してもらえるかどうかはリロケーション会社との契約次第です。
5.契約期間満了・退去
定期借家契約の場合、期間満了を持って借主は退去します。更新はできません。ただし、改めて契約し直すことは可能です。退去に伴う損傷の確認や立ち会い、敷金計算なども、基本的にはリロケーション会社が対応してくれます。
リロケーションの注意点
リロケーションの注意点には、一般的な賃貸経営における注意点に加え、一時的に貸し出すからこそのものが挙げられます。
住宅ローンが残っている場合は金融機関に相談を
住宅ローンが残っている家でリロケーションするには、事前に金融機関から承諾を得なければなりません。そもそも住宅ローンとは、自己居住用の不動産に対する融資です。貸し出す行為は契約違反にあたるため、場合によっては投資用ローンへの借り換えを求められます。
なお、住宅ローンのままリロケーションができる場合も、所有者が住んでいない間は住宅ローン減税が受けられないのでご注意ください。
固定資産税などの維持費は継続してかかる
家を貸し出している間も、固定資産税や管理費、修繕積立金などの維持費用は継続してかかります。リロケーション中にかかる経費は、管理委託費だけではありませんのでご注意ください。
一般的な賃貸より家賃は安い
定期借家契約は、契約期間が限られていることで、契約更新が可能で、基本的にいつまでも住み続けられる普通賃貸借契約と比べると需要も限定的になるため、契約期間が2~3年程度の短い場合には、賃料が相場より1~2割安くなる傾向にあります。
ただし、契約期間を長く設けられたり、立地条件によっては、通常の賃料相場で借り手が見つかることがあります。
確定申告は貸主が行わなければならない
リロケーション会社が担うのは、物件の管理です。転貸型であっても、確定申告は貸主の役割となります。確定申告時期は、申告する年の翌年2月16日から3月15日までが原則です。e-taxを使ってWeb上から申告すれば、手間も削減できます。早めに申告準備と手続きを進めておきましょう。
海外赴任の間も、日本で得た収入は日本で確定申告する必要があります。本人による申告が難しい場合は、事前に納税管理人を選任すれば、本人に代わって管理人が申告および納税できます。
借主が決まりにくい
リロケーションは、転勤などで一時的に家を空ける人にとってはメリットのある賃貸方法ですが、長く同じ物件に住み続けたいと考えている借主にとっては、デメリットとなります。従って、家賃を一般的な賃貸住宅より落としたとしても、借主がなかなか決まらない可能性があります。
室内や設備が傷つく可能性がある
借りる人の住み方や設備の使い方によっては、壁や床に傷がついたり、設備が傷んだりするおそれがあります。入居者の過失によって傷がついた場合は修繕費用を負担してもらえることもありますが、賃貸物件である以上「持ち家と同じように大切に暮らしてほしい」ということを強要するのは困難です。
リロケーションがおすすめの人
ここまでのとおり、リロケーションは一般的な賃貸とは運用方法や家賃、契約内容が異なります。万人に向いているわけではなく、次のような方におすすめの賃貸方法だといえるでしょう。
一時的に自宅を貸し出したい人
リロケーションは、外赴任や転勤、長期出張などで家が留守になる場合に、不在になる一定期間だけ自宅を貸し出したい人に向いている賃貸方法です。
自宅を空き家にしたくない人
空き家になると室内の通風がなくなり、湿気や埃がたまりやすくなることから、急速に建物の劣化が進みます。人に貸し出せば日常的に換気や掃除がされるため、傷みを抑えられることに期待できます。不具合があった場合も入居者に気づいてもらいやすくなるため、深刻な状況になる前に修繕やメンテナンスができるでしょう。
留守中に家賃収入を得たい人
たとえ空き家であったとしても、固定資産税やマンション管理費、修繕積立金など住まいの維持費はかかり続けます。転勤先などでも住居費や生活費はかかるため、留守中の家を活用し、収入を得ることができれば維持費の負担は軽減するでしょう。加えて、副収入を得ることも可能です。
リロケーションがおすすめできない人
転勤や海外赴任によって家を空ける方であっても、その期間が1年未満であったり、逆に長期に及んだりする場合はリロケーションに向いていません。また、リロケーション後は自宅に戻ることが想定されるため「他人に住んでほしくない」と考える人もリロケーションには不向きだと考えられます。
転勤が1年以内の人
定期借家契約の場合「1年未満」の契約期間も有効ですが、現実的に数ヶ月や半年間という期限が決まっている定期借家に住みたいと考える方は非常に少ないと考えられます。
1年以内という短期間の借家に需要がないわけではありませんが、借り手として想定されるのは、家を建て替えている人や新居を探している人など限定的です。このような人にはマンスリーマンションなどの選択肢もあるため、期間が決まっていて、なおかつ1年未満という短期間しか住むことのできない物件の需要は極めて低いといえるでしょう。
転勤先に長く住む予定の人
逆に、転勤先に長く住む予定のある方、あるいは戻ってくる予定がない方も、リロケーションには不向きです。このような場合はリロケーションではなく、普通借家契約で一般的な賃貸住宅として貸し出すか、売却を検討したほうが良いでしょう。
他人に住んでほしくない人
一時的とはいえ、人に貸し出せば多少の使用感は出てしまうものです。丁寧に住んでもらえる可能性を高めるため、入居審査を厳しくすることもできます。しかし、ただでさえ一般的な賃貸住宅と比べて需要が高くないことから、借主の属性などを絞りすぎると「借り手がつかない」「家賃を下げざるをえない」といった別の課題がでてくる可能性があります。
リロケーション会社選びのポイント
「定期借家契約」や「転貸」は、一般的な賃貸仲介会社にとってイレギュラーな契約形態です。そのため、リロケーションの実績が豊富な会社に任せることをおすすめします。
リロケーションプランの有無
賃貸仲介ができる不動産会社は多くあるものの、リロケーションは、期間が定まっているうえに転貸型で貸し出すのが一般的です。そのため、リロケーションプランのある不動産会社にお願いすることをおすすめします。リロケーションの仲介や管理をする不動産会社には、賃料設定や入居者募集、退去時に際して、普通借家契約の賃貸物件とは異なる対応が求められます。不慣れな会社に任せると、大きなトラブルにも繋がりかねません。
管理実績
管理戸数は、賃貸管理をする不動産会社の信頼と実績の証でもあります。東急リバブルは1995年に賃貸仲介事業を本格的にスタートし、2015年には当社の賃貸住宅管理事業を東急住宅リースに統合しています。東急リバブルのリロケーションプランで物件管理を請け負う東急住宅リースは、賃貸管理戸数約13万戸。安心して留守宅を任せることができるでしょう。
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担当者
リロケーション会社には、一般的な賃貸仲介会社以上の手厚いサポートが求められます。貸主の疑問・質問に対する迅速かつ正確な回答、難しい専門用語や法律のわかりやすい解説には、担当者の知識や実績も必要不可欠です。会社としてのサポート体制だけでなく、担当者の専門性や人柄もしっかり見定めるようにしましょう。
確定申告関連の代行の有無
リロケーションによって得た家賃収入は「所得」にあたるため、収入を得た翌年には確定申告をしなければなりません。
一般的な会社員は、会社の年末調整によって所得の申告ができるため「確定申告をしたことがない」「申告方法がわからない」という方も少なからずいらっしゃるでしょう。また、海外赴任中であっても、日本の物件で家賃収入を得た場合は日本で確定申告する必要があります。しかし、すべてのリロケーション会社が確定申告関連の代行を行っているわけではありません。「確定申告まで任せたい」と考えている場合は、リロケーション会社が確定申告関連の代行をしているかどうかについても確認しておくことをおすすめします。
まとめ
リロケーションは、一時的に空き家になる家を賃貸することで、収入を得る方法です。空き家を有効活用できることに加え、防犯・防災対策にもなり、転勤や海外赴任などから戻ってきたら再び住むことができるなどのメリットがあります。一方、転貸型かつ定期借家契約で貸し出すことの多いリロケーションは、一般的な賃貸住宅と比較して家賃が安くなるなどの注意点も。リロケーションは賃貸形態の1つですので、普通借家契約や管理委託なども併せて検討してみましょう。
この記事のポイント
- リロケーションとはどういう意味ですか?
リロケーションとは、海外赴任や転勤、長期出張などで家が留守になる場合に、不在になる一定期間だけ自宅を貸し出して有効活用することです。
詳しくは「リロケーションとは何?」をご覧ください。
- リロケーションのメリットは?
空き家を有効活用でき、転勤などから帰ってきたときに再び住むことができる点にあります。
詳しくは「リロケーションの3つのメリット」をご覧ください。- リロケーションの相場はいくら?
リロケーションにかかる費用は、賃料の10%程度が相場といわれています。
詳しくは「リロケーションにかかる費用」をご覧ください。
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