ざっくり要約!
- サブリースは貸主とサブリース会社、サブリース会社と借主(入居者)という2つの賃貸借契約のうえに成り立つ
- 所有者の負担が少なく、保証も充実しているサブリースは、賃貸経営初心者や安定した賃貸経営をしたい人に向いている
サブリースとは、貸主が所有する物件をサブリース会社が借り受け、サブリース会社が借主(入居者)に転貸するという仕組みの賃貸経営方法です。サブリースでは、多くの場合、家賃保証や滞納保証が付保されるため、貸主は賃貸経営の手間をかけず、比較的安定した収入が得られます。
その一方、サブリースにはデメリットやトラブル事例も少なからずあるため、仕組みやリスクを正しく理解したうえで検討するようにしましょう。
記事サマリー
サブリースとは?契約の仕組みや意味をわかりやすく解説!
サブリースとは、不動産会社に賃貸管理を委託する際の契約形態の1つです。契約形態には、主に「管理委託契約」と「サブリース契約」の2種類がありますが、管理を一任できるサブリースは、最も貸主の負担が少ない賃貸形態といえます。
2つの賃貸借契約
サブリースの仕組み

サブリースは、2つの賃貸借契約で成り立ちます。1つは、所有者とサブリース会社が締結する契約。そしてもう1つは、サブリース会社と借主(入居者)が締結する契約です。所有者と借主(入居者)は直接、賃貸借契約を結ばないため「転貸」という形になります。
管理受託方式との違い
管理委託契約とは、家を貸す際に発生する管理業務を不動産会社に委託する契約形態です。不動産会社には業務を委託しているだなので、賃貸借契約は貸主と借主の間で結ばれます。
一方のサブリース契約とは、貸主と借主はそれぞれが不動産会社と契約を結ぶため、借主は不動産会社に、不動産会社は貸主に賃料を支払うことになります。
空室保証・滞納保証
サブリースは、契約内容に応じて、所有者に対し「空室保証」や「滞納保証」が付保されるのが一般的です。この2つの保証により、空室の間も、借主(入居者)に滞納があった場合も一定の家賃収入が保証されます。
サブリースのメリット・デメリット
サブリースには、貸主の手間や負担を減らし、安心も付帯するというメリットがある一方、デメリットもあります。
サブリースのメリット
安定した賃貸収入が得られる
管理だけを委託する場合、オーナーの「負担」は軽減しますが、空室や赤字に対する「不安」までは解消されません。サブリース契約は、空室保証や滞納保証があるため、収益の見通しが立ちやすく、安定した収入を確保できるというメリットがあります。不動産会社や賃貸管理プランによっては空室時の賃料保証がない場合もあるため、事前に必ず確認しておきましょう。契約内容によって空室時の保証範囲も変わるため、契約内容がどうなっているかも事前に確認しておきましょう。
賃貸管理の手間が省ける
サブリース契約の魅力の一つは、賃貸管理に関わる業務を不動産会社に一任できる点です。通常の管理委託契約では、例えば設備の修繕工事や入居者とのトラブル解決に関する最終的な判断や決定は、物件のオーナー自身が行う必要があります。 しかし、サブリース契約では、不動産会社が借主との賃貸借契約を結ぶため、こうした判断や対応をすべて任せることが可能です。そのため、不動産管理に不慣れなオーナーや、海外に居住していて借主との連絡が難しい方にとっても、安心して利用できる仕組みといえるでしょう。
賃貸経営初心者にも安心
サブリース契約では、借主(入居者)にとってのオーナーはサブリース会社となります。借主(入居者)間で発生したトラブルや滞納などの諸問題に際して対応するのも基本的にはサブリース会社となるため、初心者でも安心して賃貸経営を始められるでしょう。
サブリースのデメリット
管理委託より手数料が高い
サブリース契約を選ぶ場合、管理委託契約と比べて貸主の収入が減少する可能性が高いです。これは、サブリース契約の手数料が一般的に賃料の10~20%程度と高めに設定されているためです。一方、管理委託契約の手数料は通常、賃料の5~10%程度とされています。手数料の割合は、依頼する業務内容や契約する不動産会社によって変動しますが、同じ賃料の物件で比較した場合、サブリース契約では貸主の利益が相対的に低くなる傾向があります。
借主(入居者)を選べない
サブリース契約では、所有者が入居者を選ぶことはできません。それはサブリース会社を通した転貸だからです。入居者の審査や賃貸借契約の締結は、サブリース会社が行います。
家賃保証が見直される可能性がある
サブリース契約には、契約内容に応じて「家賃保証」が付保されるのが一般的というのは先述のとおりです。ただ、貸主に支払われる家賃保証額は、数年ごとに見直される可能性があります。その際、家賃の見直しが行われるのが一般的です。貸主に支払われる家賃保証額は、契約期間中、ずっと同じではなく、契約を更新するたびに変化する可能性があるため、注意が必要です。
修繕費用・リフォーム費用などはオーナー負担になる
物件の経年劣化で設備などが壊れてしまうことがあり、修繕やリフォームが必要な場合は、貸主が費用を負担することが一般的です。
通常、退去時の原状回復においては、入居者の故意過失により修繕・交換が必要な場合等は、入居者が一部費用負担するケースが多いですが、経年劣化による修繕・交換はオーナー負担となるので注意しましょう。
サブリース会社によっては、これらの修繕費用を部分的にサポートする場合もあるため、サービス内容を事前に確認しておくことが重要です。
契約解除が難しい場合がある
サブリース契約は一度結ばれると、貸主側からの解約が困難になる可能性があります。これは、サブリース会社が実質的な借主(入居者)となり、借地借家法により保護されるためです。
契約更新時にサブリース会社が更新を希望すれば、貸主は契約を続行させることが法的に要求されることがあります。契約の解除を希望する場合は、正当な理由が必要となり、これが契約の柔軟性を制限する要因となります。
免責期間によって収入がなくなる可能性がある
サブリース契約には免責期間が設定されている場合があります。この期間中は、貸主は賃料を受け取ることができません。
たとえば、契約初期の募集期間や退去後の空室期間がそれに該当します。このような免責期間の存在は、収入の不安定さを招く可能性があるため、契約を結ぶ前に期間の長さや条件を確認することが必要です。
サブリース会社が倒産するリスクがある
サブリース会社が倒産するリスクも考慮する必要があります。倒産した場合、オーナーは直ちに収入を失い、借主(入居者)と直接の新たな契約を結ぶ必要が生じます。
この過程は手間と時間を要するため、サブリース会社を選ぶ際にはその財務健全性や市場での評判をしっかりと調べることが勧められます。
サブリース契約は一見すると管理の手間を省ける魅力的なオプションですが、上記のようなリスクを理解し、対策を講じることがオーナーにとって重要な知見となります。
サブリースのトラブル事例
サブリースは、オーナーの手間をなくし、安定した賃貸経営をするために効果的な賃貸形態です。しかし、契約の複雑さから次のようなトラブルも起きています。
アパート・マンションなどのサブリース契約を検討している方へ消費者庁から注意喚起
アパート・マンションなどの不動産物件をサブリース契約しようと検討している方へ、消費者庁から注意喚起が行われています。以下に、その内容を要約してお伝えします。
サブリース契約のメリットと潜在的なリスク
サブリース契約では、不動産オーナーは自身のアパートやその他の賃貸物件をサブリース会社に一括して貸し出します。この方式は、オーナーにとっては安定した賃料収入が見込め、日常の管理業務から解放されるなどの明確なメリットがあります。しかし、賃料の減額問題などのトラブルが増加しているため、消費者庁からは特に注意が必要とされています。
適切な契約前の説明と理解の重要性
サブリース契約を締結する際には、契約相手からの詳細な説明を受けることが不可欠です。これには、将来的な家賃収入の減少リスクやその他の可能性が含まれる契約条件が包括的に説明されるべきです。契約内容に疑問がある場合は、積極的に質問し、納得がいくまで説明を求めることが重要となります。
国土交通省の管理業者登録制度
国土交通省では賃貸住宅管理業者の登録制度を設けており、登録されているサブリース業者は、契約締結前にオーナーへ家賃の変動条件などを含む重要事項を書面で明確に説明する義務があります。この制度に未登録の業者も、登録に向けた準備を急ぐよう求められています。登録された業者を選ぶことは、より透明性と安全性を確保する上で有効です。
融資を受ける際の注意
サブリース契約を基に不動産投資を行い、融資を受ける場合、不動産業者や金融機関に対して、契約内容や融資条件に関する疑問点を確認することが推奨されます。万が一のリスクを理解し、適切な判断を下すためには、事前の情報収集が不可欠です。
サブリース契約に関わる際は、これらの点を慎重に考慮し、可能な限りリスクを把握した上で進めることが求められます。
サブリース業者による不正行為
金融庁には、過去に、次のようなサブリース業者の不正行為が報告されています。
- 自己資金のないオーナーの預金通帳の残高を改ざん
- 一定の年収基準を満たすようオーナーの所得確認資料を改ざん
- オーナーの口座に金融機関の融資審査に必要となる資金を振り込み
- 売買契約に必要となる諸費用等を捻出 するため、実際の売買価格よりも水増しした価格による売買契約書を金融 機関用として作成
(引用:金融庁)
これらに共通するのは、オーナーへの融資を無理に通そうとしたサブリース業者による不正行為です。このような事例に関しては、サブリース業者が悪質ということが大きな要因であることはもちろんですが、オーナー自身も「借り入れられるだけ」でなく「返せるか」を重視して融資金額を決めることが大切です。
具体的なトラブル事例も以下にご紹介しておきます。
事例1:サブリース契約による家賃保証とその後の問題
建築請負業で知られるA社は、地主にアパート建築を提案し、完成した物件を30年間一括借上げで家賃を保証するというサブリース契約を提供しました。契約では、初めの10年間家賃が変わらないことが約束されていました。しかし、リーマンショック後の経営悪化を理由に突然の家賃減額を行ったため、10年未満で家賃が減額された1万人以上のオーナーが訴訟を起こす可能性が生じました。さらに、建物のメンテナンスや設備交換が契約どおりに行われなかったとして、多数のオーナーが集団訴訟を起こしました。
事例2:女性向けシェアハウスのサブリース契約トラブル
ある会社が女性向けシェアハウスの販売と管理を行っていましたが、サブリース契約に基づく賃料の支払いを停止しました。この結果、賃料保証を受けていたオーナーたちがローン返済に困窮し、相談の結果がニュースで報じられました。サブリース会社は民事再生法の適用を申請しましたが、申請は棄却され、最終的には破産手続きに入りました。トラブルの根本原因は、過剰な賃料保証と空室リスクへの対応不足であり、金融機関の適切でないローン審査も問題視されています。このケースは、サブリース業界全体の信頼性に関する議論を呼んでいます。
事例からみるサブリース契約のリスク評価と注意点
これらの事例から学ぶべきは、サブリース契約にはオーナーにとって魅力的な安定収入の見込みがある一方で、リスクも伴うことです。サブリース契約を結ぶ際は、サブリース会社の信頼性を確認し、契約内容を十分に理解し、将来的な家賃の変動条件や、万が一の事態に備えた対策を講じることが重要です。また、契約前には専門家や相談機関でアドバイスを求めることも検討するべきでしょう。
金融機関による不正行為
サブリース業者のみならず、金融機関による不正行為も報告されています。金融庁によれば、金融機関が、融資の条件としてオーナーにとって不必要なカードローン・定期預金・保険商品等を販売する抱き合わせ販売を行っていた事例があったとのことです。
サブリース業者と金融機関が協力し、賃貸住宅の賃料や入居率について改ざんし、必要以上に多額の融資が実行された事例もあるといいます。
サブリース契約のトラブルを回避する方法
自分でも事前に情報収集を行なっておく
サブリース契約を検討する際、多くのオーナーが直面するのは、借主(入居者)の集まりが悪いことや、予想よりも低い賃料での運営を余儀なくされることです。これらの問題を最小限に抑えるためには、事前の徹底した市場調査が不可欠です。
具体的には、「自宅がどれだけの需要を持っているのか」「地域の家賃相場はどの程度か」を確認することが重要です。情報収集の方法としては、近隣の不動産会社が提供する情報(ウェブサイト、チラシ、広告など)を活用し、具体的なデータを収集しましょう。
さらに、物件の築年数が進むにつれて、通常は賃料が見直されることが一般的です。そのため、物件を賃貸に出す際は、時間の経過と共に変動する収入を見越して、長期的な財務計画を立てる必要があります。これにより、将来的に賃料収入が減少しても対応できるよう準備を整えることが、賢明な不動産経営に繋がります。
このように自分で情報収集を行うことにより、不動産投資のリスクを把握しやすくなり、より効果的な賃貸運営が可能となります。
不動産会社との契約内容を事前に確認する
サブリース契約を考えている場合、事前に確認しておくべきいくつかの重要なポイントがあります。これらをしっかりチェックすることで、将来的なトラブルや不明瞭な点を避けることができます。
家賃保証の割合がどれくらいか
サブリース契約では、サブリース会社が定める家賃保証率が重要です。通常、この率は80〜90%が相場ですが、契約によって異なる場合があります。相場よりも低い保証率の理由を事前にサブリース会社に確認することが大切だと言えます。
家賃保証の見直しが何年ごとに行われるのか
サブリース契約では、市場の変動や入居率に基づいて、定期的に家賃を見直すことがあります。この見直しの周期を契約前に確認することで、将来の収入予測を立てやすくなります。
修繕費用は誰が負担するのか
サブリース契約書には、どの程度の修繕をサブリース会社が負担するかが記載されています。大規模な修繕や経年による劣化は通常オーナー負担となりますが、詳細は契約書に基づいて決定されるため、具体的な負担範囲を確認することが大切です。
契約の中途解約を行うことはできるか
サブリース契約は、一度締結すると中途解約が困難な場合が多いです。法的に借主(入居者)であるサブリース会社が保護されるため、契約書に記載された中途解約に関する条項を事前に確認し、将来的な運用プランを立てる際の参考にしましょう。
免責期間は設定されているか
サブリース契約では、特に初期や退去後に設定される免責期間があり、この間は家賃収入が保証されません。免責期間の長さとその条件を確認することで、収入計画を正確に立てることが可能です。
信頼できる不動産会社を見極める
サブリース契約を結ぶ際には、信頼できる不動産会社を選ぶことが非常に重要です。安定した経営をしている会社を選ぶことで、後々発生するかもしれない問題を防ぎ、安心して収入を得ることができます。
不動産会社を選ぶときは、その会社の賃貸管理の経験がどれくらいあるか、問題が発生したときにしっかりと対応してくれるかを確認することが大切です。これらの情報は会社のホームページやサービス内容を確認することで得られます。
さらに、会社の営業担当者と直接話して、相談に乗ってくれるかどうかもチェックしましょう。担当者が親身になって対応してくれるかどうかは、契約後のサポートが安心できるかどうかの重要な指標になります。
サブリース問題を受けて創設された「サブリース新法」とは?
サブリース契約におけるトラブルの発生をうけ、2020年、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(サブリース新法)が施行されました。同法により、次の3つが規制されるようになっています。
- 誇大広告の禁止
- 不当な勧誘の禁止
- 契約締結前における重要事項説明および説明書の交付
現在では、法律でサブリース契約を煽るような広告や強引な勧誘は禁止されており、サブリースの契約(マスターリース契約)前には、次のような事柄が事前に説明されています。
- 家賃改定条件
- 契約解除条件
- その他マスターリース契約のリスク
サブリースを選択するのに向いているのは?

貸主の負担がかからず安定した経営ができるという特徴があることから、次のような人がサブリースに向いていると考えられます。
賃貸経営が初めての人
賃貸経営は、家を貸し出して終わりではありません。空室対策や修繕計画、出口戦略など、所有者がやらなければならないこと、考えなければならないことは膨大です。サブリースは、サブリース業者が所有者に代わって募集から入居中、退去時までの対応をしてくれるため、賃貸経営が初めての方に適していると考えられます。
できる限り負担を減らしたい人
すでに賃貸経営をしていて、その業務の煩雑さや忙しさに負担を感じている方もサブリースを検討してみましょう。サブリースを選択することで投資物件を増やしやすくなり、リスクの分散にもつながります。
賃貸管理を行う時間がなかなか取れない人
サブリース契約は特に、賃貸管理に多くの時間を割けない貸主にとって有益です。この契約形式では、不動産会社が借主(入居者)や借主(入居者)との日常的なやり取りを代行してくれるため、賃貸管理の手間を大幅に削減することが可能です。これにより、忙しい貸主も安心して賃貸ビジネスを行うことができます。
海外に居住または転勤している人
海外に転勤や居住している場合、国内の物件管理はさらに複雑になります。時差の関係で不動産会社との連絡が困難になりがちであり、トラブル発生時の迅速な対応が難しいことも考えられます。
その際にサブリース契約を利用していれば、不動産会社がすべての管理業務を行ってくれるため、海外にいても物件の状況を心配する必要がありません。
また、海外に居住している貸主の場合、法人が物件を借りる際には「源泉所得税」の支払いが必要になることがありますが、サブリース契約では不動産会社が借主(入居者)としてこの税金の処理も担ってくれます。
これによって、海外居住者でも物件が借りづらくなるリスクを軽減し、賃料収入の機会を最大限に保持することができます。
安定した経営をしたい人
どんな事業にも共通することですが、基本的に、賃貸経営における収支は変動します。想定した入居率を維持できなければ、赤字になるリスクもあります。滞納保証や家賃保証が付保されているサブリースは、安定した経営をしたい人にも適しています。
サブリースを選択するのに向いていないのは?
次に、サブリース契約が向いていない人の特徴を詳しく見てみましょう。
大きく利益を出したい
不動産投資は基本的に長期的な取り組みが求められます。そのため、すぐに大きな利益を期待する人にはサブリースは不向きです。特に、ローンを組んでいる場合、短期間での収益化はさらに難しくなります。
サブリースを選択する前には、じっくりと将来の収益をシミュレートし、その結果を基に判断することが重要です。
短期間で利益を出したい
一般的な賃貸契約では、オーナーは借主(入居者)から直接礼金や更新料を受け取ることができますが、サブリース契約ではこれらの収入がサブリース会社を通じて入るため、オーナーに直接的な収益は減少します。
サブリースは安定収入と管理の手間を減らすことに焦点を置いているため、一攫千金を狙うタイプの投資ではありません。
長期にわたって確実に資産を増やしていく戦略を好む人には適していますが、短期間で高収益を望む場合は他の選択肢を検討した方が良いでしょう。
これらの点を考慮して、自分の投資スタイルや目的にサブリースが合っているかを慎重に評価することが必要です。
サブリースの解約は可能?
サブリースに限ったことではありませんが、賃貸借契約は原則的に貸主の都合による解約ができません。とはいえ、解約ができないということではありません。
借地借家法
借地借家法第では、建物賃貸借契約の更新やその要件について次のように定められています。
第二十六条
建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
第二十八条
建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
これらの条文から、借主(入居者)は1年前から6ヶ月前までの通知をしたうえで解約ができるものの、貸主都合による解約には「正当事由」が必要であると解釈できます。
解約に必要な「正当事由」とは
何が正当事由になるかについての判例は多数ありますが、一般的には1年間から6ヶ月前までに告知をしたうえで居住者の数ヶ月分の賃料や引越し代を負担することで、立ち退きを了承してもらえるケースが多いものです。
サブリースのマスターリース契約をする際には、あらかじめ解約の条件や違約金、立退料の扱いについてよく確認しておくようにしましょう。
サブリース契約の注意点
ここまでお伝えしてきたサブリース契約の仕組みやリスクを踏まえ、契約の前には次の点をあらかじめ確認しましょう。
所有者自身も事業計画やリスクを理解する
サブリースでは、賃貸経営の業務の大部分をサブリース業者に担ってもらえます。しかし、サブリース業者に一任して良いということではなく、投資判断をするのは所有者に他なりません。契約内容や事業計画について所有者自身が正しく理解し、契約内容や契約期間中のリスクもあらかじめ把握しておきましょう。
融資額が「返済可能」かシミュレーションする
融資を受けるにあたって大事なのは「借入可能」ではなく「返済可能」であることです。当初の想定収入のみならず、5年先、10年先……に保証される賃料が減額になる可能性も考えたうえで、返済期間中、事業収入だけで返済していける金額であるかどうか綿密なシミュレーションをしましょう。
サブリース会社を選ぶポイント
サブリース会社を選ぶうえで大前提となるのは、安定した事業をしていて、行政処分履歴などがないことです。この点に不安があると、長く、安定した賃貸経営ができないおそれがあります。
サブリース会社は、所有者にとって、ともに事業を進めていくパートナーのような存在です。所有者に代わって借主(入居者)募集や管理をしていくにあたり、賃貸仲介や賃貸管理の豊富な実績も求められます。契約前には、契約書に家賃改定や契約解除の条件が明記されており、所有者に対してわかりやすく説明してくれるサブリース会社かどうかも確認しましょう。
経営状況が安定しているか
サブリース会社を選ぶ際に最も重要なのは、その会社が安定した経営をしているかどうかです。家賃保証を長期にわたって維持するためには、会社の財務状況が健全でなければなりません。契約前には、会社の財務諸表や業績報告書を確認し、安定した収益があるかどうかをチェックすることをお勧めします。
オーナーの要望を理解してくれるか
サブリース会社がオーナーの要望をどれだけ理解し、尊重してくれるかも重要です。契約を進める過程で、会社側が自分たちの都合の良いように物件の修繕や改修を強要するようなことがないか注意深く確認しましょう。オーナーとして納得のいく対応をしてくれる会社を選ぶことが望ましいです。
現実的な事業計画を考案してくれるか
サブリース会社がどのような事業計画を立てているかも契約の決め手になります。特に入居率が下がった際の経営計画は、その会社がどれだけリスクを管理しているかの指標になります。市場状況や周辺の家賃相場を踏まえ、安定して収益を上げることが可能な計画を立てているか確認してください。
高い情報収集能力を持っているか
サブリース会社の情報収集能力は、物件の入居率に直接影響します。地域の市場動向、家賃相場、競合物件の状況など、様々な情報を迅速かつ正確に把握できるかが重要です。情報収集能力が高い会社であれば、市場の変動にも柔軟に対応し、空室リスクを最小限に抑えることができるでしょう。
東急リバブルの「サブリースプラン」はこちらから |
まとめ
サブリースは、所有者(オーナー)の経営負担を大幅に軽減し、安定した経営が目指せる賃貸形態です。ただし、保証される賃料は経年につれて減額する可能性があり、解約には正当事由が求められるなど、注意点もあります。各種保証や解約方法を正しく理解したうえで検討しましょう。
この記事のポイント
- サブリースってどんな仕組み?
所有者とサブリース業者が締結する「マスターリース契約」とサブリース業者と借主(入居者)が締結する「サブリース契約」で成り立つ仕組みです。
詳しくは「サブリースとは?契約の仕組み」をご覧ください。
- サブリースのメリットは?
「転貸」となるため所有者の負担が大幅に軽減され、家賃保証や滞納保証により安定した経営ができます。
詳しくは「サブリースのメリット・デメリット」をご覧ください。
- サブリース契約をするうえでの注意点は?
転貸とはいえ、投資判断をするのはあくまで所有者です。契約内容やリスクを正しく理解したうえで契約しましょう。
詳しくは「サブリース契約の注意点」をご覧ください。

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