更新日:  

土地売買の流れをわかりやすく紹介!税金や特別控除も解説

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 土地売買では土地の境界の確定や不動産会社への査定依頼などの工程が必要となる
  • 土地売買(売却)で使えるさまざまな特別控除がある

はじめて土地を売買しようとしている方の中には、何から手を付ければ良いかわからない人もいらっしゃると思います。

売却する土地が確定していない場合には、売主は売却前に境界確定のための測量が必要です。
また、売却時の税金について、節税できる特例を知っておくことも望ましいといえます。

一方で、買主は購入する土地の地中障害物の有無を売主に確認しておくことが注意点です。

この記事では、「土地売買」について解説します。

土地売買の流れ7ステップ

最初に売主向けに、土地売買の流れについて解説します。

1.土地の境界を確定しておく

土地を売却する場合には、原則としてすべての境界が確定していることが必要です。
境界が確定していない場合には、売却前に測量会社に依頼して確定測量図を作成する必要があります。

2.売りたい土地の価格相場のチェック

事前に相場を調べておくと、査定結果に対して安過ぎる、もしくは高過ぎる等の判断をすることができます。
土地の相場は、国土交通省の「土地総合情報システム」 で調べることが可能です。

3.不動産会社への査定依頼

売却前に、売り出し価格の参考とするために不動産会社に査定を依頼します。
査定時は、本人確認のために「登記識別情報通知書または登記済証」や、すぐに売却できる状態かを確認するために「確定測量図」の提示を求められることがあります。

4.不動産会社との媒介契約を結ぶ

媒介契約とは、不動産会社に対して依頼する仲介の契約のことです。
仲介を依頼したい不動産会社が決まったら媒介契約を締結します。

5.買主と売買契約を結ぶ

買主が見つかったら売買契約を締結します。
売買契約時は買主から手付金(売買代金の10%程度)を受領することが一般的です。

6.売主が用意する書類を確認する

引渡時は最終的に以下のような書類が必要となります。

登記手続きに必要な書類

  • 登記識別情報通知書または登記済証(権利証)
  • 印鑑証明書(引渡時の3ヶ月以内に発行のもの)
  • 固定資産税評価証明書
  • 住民票(住所の変遷が確認できない場合は戸籍の附票も必要)
  • 本人確認書類(免許証など)

買主へ引き渡す書類

  • 確定測量図、筆界確認書、越境の覚書などの土地関係の書類
  • 固定資産税・都市計画税納税通知書の写し

7.土地の決済・引渡し

引渡では、手付金を除く残代金が支払われます。
同時に所有権移転登記手続きに必要な書類を司法書士に渡し、所有権移転登記手続きも引渡日に行います。

土地売買の買主側に必要な準備や注意点

土地を購入する場合には、第一に境界が確定している土地を購入することが注意点です。
一般的には、売主側に確定測量図を用意させることが引渡の条件となります。

また、注意しなければならない点が、地中障害物(コンクリートガラ等)の有無です。

土地の売買では、かつて下水が通っていなかった時期に使われていた浄化槽が埋設されていることがあります。
できれば売主に過去の地歴を調べてもらい、地中障害物の可能性を調べてもらうことが望ましいです。

土地売買でかかる費用や税金

土地売買でかかる費用や税金について解説します。

費用

売却に要する費用は以下の通りです。

費用項目費用の相場
仲介手数料売主が不動産会社に対して支払います。
売買代金が400万円超:「売買代金×3%+6万円」
売買代金が200万円超400万円以下:「売買代金×4%+2万円」

売買代金が200万円以下:「売買代金×5%」
上限額がそのまま相場となっていることが多いです。
建物解体費建物を取り壊して更地として売る場合は、取り壊し費用がかかります。
売主が解体工事会社に対して支払います。
相場は木造であれば坪4~6万円程度で、30~35坪程度の木造戸建て住宅であれば150~200万円程度になります。
測量費土地の境界が確定していない場合は、境界を確定するための確定測量を行います。
売主が測量会社に対して支払います。
確定測量費の相場は、40~90万円程度です。
司法書士手数料抵当権が設定されている土地を売却する場合は、司法書士に抵当権抹消手続きを依頼します。
売主が司法書士に対して支払います。
司法書士手数料は、1.0~2.5万円程度です。
一括返済手数料土地に担保を付けて借入金を借りている場合は、売却時に残債を一括返済します。
売主が銀行に対して支払います。
一括返済手数料の相場は、窓口申し込みで税込3.3~5.5万円程度です。

購入に要する費用は以下の通りです。

費用項目費用の相場
仲介手数料買主が不動産会社に対して支払います。
売買代金が400万円超:「売買代金×3%+6万円」
売買代金が200万円超400万円以下:「売買代金×4%+2万円」
売買代金が200万円以下:「売買代金×5%」

上限額がそのまま相場となっていることが多いです。
司法書士手数料買主が司法書士に対して支払います。
相場は以下の通りです。
所有権移転登記:3~8万円程度
抵当権設定登記:3~6万円程度
事務手数料借入金を組んで土地を購入する場合は、事務手数料がかかります。
買主が銀行に対して支払います。
相場は税込「3.3~5.5万円程度」もしくは「借入額の2.2%」程度です。
保証料借入金を組んで土地を購入する場合は、保証料がかかるときもあります。
買主が保証会社に対して支払います。
相場は以下の通りです。
金利上乗せタイプ:金利+0.2%程度
現金一括払いタイプ: 60万円~70万円程度

税金

売主が支払う税金は以下の通りです。

費用項目費用の相場
印紙税印紙税は売買契約書に記載する売買代金で決定されます。
主な印紙税は以下の通りです。(2024年3月31日までの軽減税率)
売買代金が1,000万円超5,000万円以下:1万円
売買代金が5,000万円超1億円以下:3万円
抵当権抹消の登録免許税抵当権抹消の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。
所得税
住民税
復興特別所得税
売却物件で売却益(譲渡所得)が発生した場合に生じます。
所得税および住民税、復興特別所得税を合算した原則的な税率は以下の通りです。
保有期間5年以下:譲渡所得の39.63%
保有期間5年超:譲渡所得の20.315%

(保有期間は売却した年の1月1日における所有期間のこと)

買主が支払う税金は以下の通りです。

費用項目費用の相場
印紙税売買契約書とローンの契約書に印紙が発生します。
主な印紙税は以下の通りです。
【売買契約書】 (2024年3月31日までの軽減税率)
売買代金が1,000万円超5,000万円以下:1万円
売買代金が5,000万円超1億円以下:3万円

【ローンの契約書】
借入額が1,000万円超5,000万円以下:2万円
借入額が5,000万円超1億円以下:6万円
不動産登記費用固定資産税評価額×1.5%(2023年3月31日までの軽減税率)
不動産取得税固定資産税評価額×3%(2023年3月31日までの軽減税率)
住宅用の土地の場合、軽減措置あり

なお、売主・買主ともに仲介手数料や司法書士手数料に対して消費税が生じます。

土地売買(売却)で使える特別控除

不動産の売却では、一定の要件を満たすと譲渡所得から一定額を控除できる特別控除の節税特例があります。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 特別控除

この章では、土地売却で使える特別控除の制度を紹介します。
詳しい要件については、国税庁のホームページをご参照ください。

100万円の特別控除

低未利用土地等を売却した場合は、100万円の特別控除があります。

主な要件としては、「売却価額が500万円以下であること」、「所有期間が5年超であること」等です。

特例の提供を受けるにあたっては、売主が市区町村にその土地が売却前は低未利用土地等であったこと等の確認書の交付を申請することが必要です。

出典:国土交通省|No.3226 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除

800万円の特別控除

農地保有の合理化などのために土地を売った場合は、800万円の特別控除があります。

主な要件としては、農業振興地域内の農地等を農業委員会のあっせんにより売却した場合等が挙げられます。

申請は、確定申告時に一定の書類を添付して申告手続きを行います。

出典:国土交通省|措置法第34条の3《農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除》関係

1,000万円の特別控除

平成21年及び平成22年に取得した土地を譲渡した場合は、1,000万円の特別控除があります。

主な要件としては、平成21年(2009年)1月1日から平成22年(2010年)12月31日までの間に土地等を取得し、所有期間が5年超となる土地を売却した場合等が挙げられます。

申請は、確定申告時に一定の書類を添付して申告手続きを行います。

出典:国土交通省|No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除

1,500万円の特別控除

特定住宅地造成事業等のために土地を売った場合は、1,500万円の特別控除があります。

主な要件としては、特定住宅地造成事業等(一定の要件を満たす住宅地造成等のこと)のために買い取られたこと等が挙げられます。

申請は、確定申告時に一定の書類を添付して申告手続きを行います。

出典:国土交通省|措置法第34条の2《特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除》関係

2,000万円の特別控除

特定土地区画整理事業等のために土地を売った場合は、2,000万円の特別控除があります。

主な要件としては、国や地方公共団体等が土地区画整理事業として行う公共施設の整備改善や宅地造成事業のために買い取られる場合等が挙げられます。

申請は、確定申告時に一定の書類を添付して申告手続きを行います。

出典:国土交通省|措置法第34条《特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除》関係

3,000万円の特別控除

マイホームや相続空き家を取り壊して更地にして売った場合は、3,000万円の特別控除があります。

マイホームの場合は、取り壊した日から1年以内に売買契約を締結し、かつ、その家から転居して3年後の12月31日までに売却すること等が主な要件です。

相続空き家の場合は、建物が昭和56年(1981年)5月31日以前に建築されたもので、かつ、相続の開始があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること等が主な要件となります。

申請は、確定申告時に一定の書類を添付して申告手続きを行います。

出典:国土交通省|No.3302 マイホームを売ったときの特例
国土交通省|No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

5,000万円の特別控除

公共事業などのために土地や建物を売った場合は、5,000万円の特別控除があります。

主な要件としては、収用等により売却した場合で、その売却が公共事業施行者から最初に買取等の申出があった日から6ヶ月以内に行われていること等が挙げられます。

申請は、確定申告時に一定の書類を添付して申告手続きを行います。

出典:国土交通省|No.3552 収用等により土地建物を売ったときの特例

この記事のポイント

土地売買でかかる税金は?

売主が支払う税金は印紙税、抵当権抹消の登録免許税、所得税、住民税、復興特別所得税です。

一方、買主が支払う税金として印紙税、不動産登記費用、不動産取得税があります。

その他にもさまざまな費用がかかります。

詳しくは「土地売買でかかる費用や税金」をご覧ください。

土地売買(売却)で使える特別控除はありますか?

100万円の特別控除、800万円の特別控除、1,000万円の特別控除、1,500万円の特別控除、2,000万円の特別控除、3,000万円の特別控除、5,000万円の特別控除などがあります。

いずれも要件があるので、国税庁のHPで確認しましょう。

詳しくは「土地売買(売却)で使える特別控除」をご覧ください。

物件探しや売却がもっと便利に。

無料登録で最新物件情報をお届けいたします。

Myリバブルのサービス詳細はこちら