ざっくり要約!
- 財産が差し押さえられる要因は、借金や税金の滞納
- 差し押さえられる財産は、一定の価値のある債権や不動産、動産
- 差し押さえられたとしても解除する方法はある
差し押さえとは、借金や税金などの支払いの滞納を回収するための法的な手段です。財産が差し押さえられると換価され、滞納分に充てられます。
差し押さえを回避するには、どうすればいいのでしょうか?本記事では、財産が差し押さえられる要因や差し押さえの解除方法などを解説します。
記事サマリー
財産が差し押さえられる要因
財産が差し押さえられる要因となるのは、支払うべき金銭の滞納です。次のような費用や税金を滞納すると、差し押さえられる可能性があります。
借金・ローン滞納
住宅ローンやカードローンなどで借り入れたお金の返済を怠ると、最終的に財産が差し押さえられます。住宅ローンやカードローンの債権者は、金融機関やカード会社などの民間企業です。民間企業が債務者の財産を差し押さえるには、裁判所への申し立てが必要です。申し立てには一定の手間や費用がかかるため、返済が数日遅れた程度で速やかに差し押さえの手続きを取るわけではありません。しかし、滞納が続くと延滞金が発生したり、信用情報に影響が出たりする可能性があるためご注意ください。
税金滞納
「納税」は、国民の義務の1つです。固定資産税や住民税などの税金を滞するとも、延滞金が発生する可能性があるとともに、差し押さえられる要因となります。国税や地方税による滞納に関しては、裁判所への申し立てなしに差し押さえの手続きを進めることが可能です。
マンションの管理費・修繕積立金の滞納
あまり知られていませんが、実はマンションの管理費や修繕積立金を滞納しても、財産が差し押さえられるリスクがあります。管理費や修繕積立金は、マンションの管理組合に支払う費用です。従って、差し押さえの申し立てをするのは管理組合となります。先のとおり申し立てには手間や費用がかかるため、滞納があれば必ず差し押さえられるわけではありません。判断するのは管理組合です。
養育費滞納
離婚時、公正証書によって養育費の支払いを約束した人がその支払いを怠った場合、支払いを受ける人は相手の財産を差し押さえることができます。ポイントとなるのは、公正証書にしっかりと養育費の支払いに合意しているかどうかです。双方による契約や口約束だけでは、滞納があっても財産の差し押さえはできません。
差し押さえられる財産
差し押さえの対象となるのは、差し押さえをするときに滞納者に帰属している次のような財産です。
債権
差し押さえられるケースが多いのが、預貯金債権と給与債権です。預貯金債権や給与債権を噛み砕いていえば、預金をおろす権利や給与を受け取る権利です。給与債権が差し押さえられた場合は、勤務先にも通知が行ってしまいます。
他にも、債権には購入した動産を引き渡す目的の債権や賃貸住宅の居住者から賃料を受け取る債権も差し押さえの対象となります。賃料債権が差し押さえとなれば、賃借人にも知られてしまいます。
不動産
土地や建物も、差し押さえの対象です。一般的に不動産は価値が高い傾向にあるため、高額な債権を滞納している場合は差し押さえの対象になることも少なくありません。また、住宅ローンを滞納した場合は不動産に抵当権が設定されているため、債権者である金融機関が差し押さえ、競売にかけて融資分を回収します。
動産
貴金属や車など一定の価値のある動産も、差し押さえの対象です。差し押さえにおける優先順位はなく、滞納している金額に見合う資産が差し押さえられます。とはいえ、換価が容易な現金や貴金属などが差し押さえられるケースが多いようです。
差し押さえ禁止の財産・債権
差し押さえの対象となる資産は多岐に渡りますが、債務者が生活できなくなるまで財産を根こそぎ差し押さえられるわけではありません。民事執行法131条では、債務者の生活に欠くことのできない次のようなものを差し押さえることを禁止しています。
- 生活に欠くことのできない衣類や寝具、家具、台所用品、建具
- 1ヶ月の生活に必要な食料や燃料
- 標準的な世帯の2ヶ月分の生活費 など
また、民事執行法152条では、その支払期に受けるべき給付の1/4に相当する部分までしか差し押さえてはならないと規定されています。つまり、給与や賞与、退職金などの3/4に相当する部分の差し押さえは禁止されているのです。
財産が差し押さえられたらどうする?解除方法
財産が差し押さえられても、必ず換価され、滞納分に充てられるわけではありません。次のような方法で、差し押さえの解除が可能です。
債務の一括返済
差し押さえの目的は、債務者の財産を換価し、返済されない債務に充てることです。債務がなくなれば、当然に差し押さえは解除となります。しかし、差し押さえの段階では「期限の利益」が喪失してしまっています。期限の利益とは、多額の借り入れ金を期間を定めて徐々に返済していける権利を指します。たとえば、住宅ローンを35年間など長期に渡って返済していけるのも期限の利益です。一定期間、返済を怠った時点のこの期限の利益は失われているため、債務を返して差し押さえを解除するならば、一括返済が求められます。
債務整理
滞納している借り入れの一括返済ができない状況において差し押さえを解除するには、任意整理や個人再生、自己破産などの債務整理が有効です。いずれも、借金を減額したり、免除してもらったりする法的措置となります。
任意売却
住宅ローン滞納により自宅が差し押さえられた場合は、任意売却という方法でも差し押さえを解除することができます。任意売却とは、本来、住宅ローンを完済しなければ抹消できない抵当権を金融機関の許可を得て抹消し、差し押さえ後の競売ではなく、一般の方に向けて売ることができる不動産売却方法です。
・「任意売却」に関する記事はこちら 任意売却とは?競売や通常売却との違いやメリットとデメリットを解説 |
リースバック
「自宅に住み続けたい」という意向がある場合は、リースバックを検討してみましょう。リースバックとは、売却後に買主から賃貸することで自宅に住み続けながら売却対価としてまとまった資金が得られる方法です。査定額が一括返済しなければならない債務を超える場合は、有効な選択肢となるでしょう。
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まとめ
借金や税金を一定期間、滞納すると、給与や預金、不動産や動産などの財産が差し押さえられる可能性があります。一括返済すれば差し押さえは解除されますが、滞納額が高額であれば現実的ではないでしょう。任意売却など、差し押さえを解除する方法は他にもあります。税金や借金は、滞納せず返済することが大事ですが、万一、財産が差し押さえられた場合は、債務整理や不動産の売却も視野にいれてご検討ください。
この記事のポイント
- なぜ財産が差し押さえられるの?
借金返済や税金の滞納により、財産が差し押さえられます。
詳しくは「財産が差し押さえられる要因」をご覧ください。
- どんな財産が差し押さえられるの?
債権や不動産、動産です。
詳しくは「差し押さえられる財産」をご覧ください。
- 差し押さえが解除になることはある?
債務の一括返済や債務整理、任意売却などによって解除できます。
詳しくは「財産が差し押さえられたらどうする?解除方法」をご覧ください。
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