ざっくり要約!
- 不騒音の苦情を受けたときは、生活時間帯の見直しや防音対策を行い、真摯に対応する
- 騒音トラブルを回避するには、さまざまな曜日・時間帯に内覧し、遮音性の高いマンションを選ぶことが重要
マンションの騒音にはさまざまなものがありますが、発生源や原因などがそれぞれ異なります。ここでは、特徴的な3つの種類の騒音について、見ていきましょう。
この記事では近隣の騒音が気になる場合や、苦情を受けたときの対処法のほか、マンションの騒音トラブルを回避する方法を解説します。
記事サマリー
マンションの騒音とはどんな音?
マンションの騒音には、発生源や原因の異なるさまざまなものがあります。中でも特徴的な「足音などの生活音」「ペットの鳴き声の音」「ピアノなどの楽器音」の3つの種類の騒音について、見ていきましょう。
足音などの生活音
マンションの騒音問題で多く挙げられるものは、上階や隣戸から聞こえてくる足音や扉の開閉音、話し声といった生活音です。床や壁は他の世帯との境界である一方、構造上つながっている部分です。そのため、音や振動はダイレクトに伝わる傾向があります。
子どもがいる場合は、走ったり飛び跳ねたりする音が下の階へ伝わるものですが、大人が歩く足音でも響くことは少なくありません。
ペットの鳴き声
管理規約によりますが、ペットの飼育が認められているマンションも少なくありません。この場合も頭数やペットの大きさなどについて細かく規定されているケースが多いですが、生き物である以上、鳴き声まで制限することはできません。
また、鳴き声のみならず、建具を引っ掻く音や走り回る音などが昼夜、漏れ伝わってくる可能性も。もちろん、静かなペットもいるため、必ずしも「ペット可」のマンションが騒音に悩まされるということではありませんが、防音性能はとくに気をつけて見ておくべきでしょう。
ピアノなどの楽器音
楽器演奏の可否も、マンションの規約によって異なります。楽器演奏可、あるいは特に規定されていない場合は、ピアノなどの楽器音が騒音トラブルの要因になってしまうことがあります。
楽器の演奏が許可されているとしても、昼夜問わず大音量で演奏していれば、周りの住人の迷惑になってしまいます。特に重低音は、音だけでなく振動も隣戸などに伝わってしまうものです。防音性能が高くても限界があるため、時間帯や音量などに配慮する気持ちを持つことが大切です。
どれくらいの音量が騒音にあたるのか
生活音や給排水の音など、日常ではさまざまな音が生じますが、ある一定レベルを超えると騒音とされる基準があります。
騒音の基準
騒音と呼ばれる音の大きさは、環境省によって定められています。一般的な住居地域で騒音とされるのは、昼間は55デシベル、夜間は45デシベルを超える音です。
なお、それぞれの音量の感じ方や、音の具体例は以下のとおりです。
音量 | 具体例 | 感じ方 |
80デシベル | ・走行中の電車内 ・救急車のサイレン ・パチンコ店内 | うるさい |
70デシベル | ・高速走行中の自動車内 ・セミの鳴き声 | うるさい |
60デシベル | ・走行中の自動車内 ・普通の会話 | 普通 |
50デシベル | ・家庭用エアコンの室外機 | 普通 |
40デシベル | ・閑静な住宅地(昼 ) ・図書館内 | 静か |
ただし住居地域であっても、2車線以上の道路に面している場合は、昼間65デシベル、夜間60デシベル以下は、通常の音量とされます。
また幹線道路に面している場合は通常とみなされる音量がさらに大きく、昼間70デシベル、夜間65デシベルを超えなければ、騒音となりません。
基準以内であっても騒音トラブルが起きないとは限らない
環境省による騒音の基準は、住居内における生活音を対象としたものではありません。そのため基準値以内の音量でも騒音でないとは言い切れず、トラブルとなるケースはあります。
また、音の感じ方は人それぞれのため、基準値以内でも人によっては気になることもあるでしょう。さらに、マンションでは空気を伝って聞こえる音だけではなく、壁や床を経由した振動もクレームのもとになります。
マンションの騒音が気になる場合の対処法
マンションの騒音が気になる場合、対処の仕方によっては、さらなるトラブルに発展してしまうケースもあります。問題を大きくせずに、できるだけ穏便に解決しましょう。
管理会社や管理組合に相談する
騒音が気になる場合、まずは管理会社や管理組合に相談しましょう。管理会社などが、張り紙や書面により注意を促すケースが多いです。
また、音の発生源を特定しにくい場合でも、管理会社なら全住戸に対して注意喚起を行なえます。トラブルを大きくしないためにも、当事者へいきなり連絡するのではなく管理会社を挟みましょう。
・「管理会社」に関する記事はこちら 賃貸管理会社とは? 頼れる委託先の選び方を紹介 ・「管理組合」に関する記事はこちら マンションの管理組合とは?理事長や役員、理事会や総会の役割を解説 |
改善しない場合は弁護士や警察に相談する
管理会社に相談しても改善しない場合は、弁護士や警察に相談するのも方法のひとつです。その場合、証拠を提出できるように、騒音を録音しておきましょう。
弁護士に相談すると、迷惑行為を止めるようにという通知書を弁護士から送ることができます。それでも解決しない場合は、裁判に発展する可能性もあります。
できる限り穏便な解決を目指す
騒音の発生源を特定した場合、同じマンション内であれば、相手が知り合いのケースもあります。その場合は、警察や弁護士などに相談せず、直接話し合いをすることも可能でしょう。
ただし相手を怒らせると、かえってトラブルが大きくなるため、できる限り穏便な解決を目指しましょう。
騒音の苦情をうけたときの対処法
騒音を立てているつもりはなくても、近隣から苦情を受けてしまうこともあります。その場合は速やかに対処をしましょう。
家事・生活の時間帯に気をつける
夜間・早朝の生活音が原因で苦情を言われた場合は、家事・生活の時間帯に気をつけてみましょう。昼間なら気にならない音量でも、深夜だと騒音に感じることもあります。
たとえば洗濯機を夜に回したり、早朝から掃除機をかけたりすることを控えます。すぐに生活を変えるのは難しいかもしれませんが、時間帯を変えられるものは日中に行うようにしてみましょう。
防音対策を施す
大きな音を立てていなくても、日常の生活音が響いてクレームになる場合は、防音対策を施しましょう。
足音が原因ならカーペットやマットを敷き、洗濯機やテレビなど家電の音が聞こえてしまう場合は壁から離しておきます。それでも解消しない場合は、家電の周りの壁や床に防音・遮音シートを貼ったり、防振マットを敷いたりしてみるとよいでしょう。
できる限り真摯に対応する
苦情を言われたときは、対応の仕方によって解決することもあれば、問題が大きくなることもあります。そのため、できる限り真摯に対応しましょう。
謝罪の意を見せずに逆上すると、トラブルに発展しかねません。相手の話を聞き、まずは謝罪することが大切です。その後は、生活リズムの見直しや防音対策など、問題の解決に努めましょう。
マンションの騒音トラブルを回避する方法
騒音トラブルが起きた際には、速やかに対処するべきですが、その労力や精神的ストレスが大きい場合もあります。トラブルを回避するには、入居時点で騒音の少ないマンションを選びましょう。
遮音性の高いマンションを選ぶ
鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)のマンションは、木造アパートよりも遮音性に優れています。
さらに壁や床が厚いほど、音が伝わりにくいので、厚さをチェックして他の物件と比較してみましょう。
また、フローリングの遮音等級が「L-40」や「L-60」などの数値(L値)で表されていることがあり、L値の数値が低いほど遮音性は高くなります。一方、壁の遮音性は「D-40」などで表され、数字が大きいほうが遮音性は高くなります。
遮音等級は、マンションのパンフレットに記載されている場合もあるので、確認してみましょう。
・「鉄筋 鉄骨 防音性」に関する記事はこちら 鉄筋と鉄骨はどっちが防音性が高い?違いや調べ方を紹介 |
曜日や時間帯を変えて複数回、内覧する
内覧は一度だけではなく、何度もしましょう。初回見学時には問題がなくても、他の入居者の家族構成やライフスタイルによって、賑やかになる曜日や時間帯があるかもしれません。
たとえば深夜に帰宅する会社員が多いマンションでは、夜間に家電や水まわりを使う音が気になるかもしれません。また、幼稚園児・小学生が多ければ、土日に走り回る足音が響く可能性もあるでしょう。
騒音トラブルの有無を聞く
管理会社や不動産会社に、騒音トラブルの有無を確認するのも方法のひとつです。また、入居者の家族構成や年齢層など、どのような属性の人が多いかを聞いてみるのもいいでしょう。
まとめ
マンションで暮らすなかでは、さまざまな生活音が生じるため、思わぬ騒音トラブルに巻き込まれることもあります。
近隣の騒音が気になる場合には、まずは管理会社や管理組合に相談します。反対に、苦情を受けてしまった場合は、できる限り真摯に対応しましょう。
また、これから引っ越しをするなら、騒音が少ないマンションを選ぶことでトラブルを回避しやすくなります。内覧時に、クレームの有無や他の入居者について、不動産会社へ聞いてみるとよいでしょう。
この記事のポイント
- マンションの騒音が気になる場合の対処法は?
まずは管理会社や管理組合に連絡し、改善しない場合は弁護士や警察に相談しましょう。
詳しくは「マンションの騒音が気になる場合の対処法」をご覧ください。- 騒音の苦情をうけたときの対処法は?
生活時間帯の見直しや防音対策を行い、真摯に対応しましょう。
詳しくは「騒音の苦情をうけたときの対処法」をご覧ください。- マンションの騒音トラブルを回避する方法は?
さまざまな曜日・時間帯に内覧したうえで、遮音性の高いマンションを選びましょう。
詳しくは「マンションの騒音トラブルを回避する方法」をご覧ください。
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