ざっくり要約!
- 坪庭とは、周囲を壁や塀に囲まれた小規模な庭のこと
- 坪庭は主に装飾や鑑賞を目的とし、玄関・浴室・リビングの周辺に作られることが多い
風情を感じられる坪庭のある家。家づくりを計画されている方は、坪庭が気になる方も多いのではないでしょうか。
坪庭といっても和風なデザインばかりではありません。住まいのデザインに合わせたモダンな坪庭を作る方も増えています。
この記事では、坪庭を作るメリットやデメリット、坪庭を作る際のポイントなどを解説。坪庭をご検討の方は、ぜひ参考にしてみてください。
記事サマリー
坪庭とは?
坪庭(つぼにわ)とは、周囲を壁や塀などで囲われた小さな庭のことを指します。諸説ありますが、京都の町屋が発祥といわれています。
狭い間口に長い奥行きという町屋において、坪庭は日本庭園の美しさを再現するだけでなく、採光や通風といった機能も果たしていました。
和風のイメージが強い坪庭ですが、現代では洋風、モダンなど形式にとらわれず、身近に自然を感じられる場所として、自由な発想で作られています。
坪庭と中庭の違い
坪庭と中庭の違いは、広さや使用目的にあります。坪庭は、1坪から広くても3坪程度の広さの庭です。基本的に装飾や鑑賞が目的となります。植栽や照明などをディスプレイし、景観や季節の移ろいを楽しめる場所です。
一方、中庭は人やペットが過ごすことを目的としています。テーブルとチェアを並べてアウトドアリビングを楽しんだり、子どもをビニールプールで遊ばせたりと、開放感がありながらプライバシーを守れる空間です。
住まいに坪庭があるメリット
家に居ながら自然を感じられる坪庭。暮らしが豊かになる坪庭の魅力を紹介します。
明かりが取れる
坪庭を設けると開口部が増え、住まいに自然光をもたらします。坪庭を囲む形で部屋を配置すれば、それぞれの部屋に採光を取ることも可能です。夜にはライトアップすれば、一日を通して豊かな景観を楽しめます。
また、大きな窓を配置するのが難しい住宅密集地や、日差しが入りにくい北側の採光手段としても有効です。
通風を取れる
快適な住環境の大敵となる湿気。風の通り道があり、通気性の良い住まいは湿気がたまりません。
開口部の多い坪庭は、通風を取る役割も果たします。坪庭があることによって、湿気がたまりにくく、住まいを長持ちさせることにもつながるのです。
部屋が広く見える
坪庭は小さな空間ですが、坪庭に面した部屋は視覚的な広がりを感じられます。窮屈さや閉塞感を感じやすい場所に坪庭を作ると、開放感を演出できます。
可変性も高い
中庭よりも小さな坪庭は、DIYとも相性が良いものです。坪庭の適切な維持に重要な基礎作りはプロに任せ、その後の坪庭作りはDIYで楽しむのも良いでしょう。
坪庭を手作りすることで愛着が生まれ、お手入れにも力が入ります。その時々で好みの空間にアレンジしやすいのも、小さなスペースならではです。
住まいに坪庭があるデメリット
坪庭は家の構造や間取りに大きく影響し、居住スペースを圧迫する場合があります。坪庭を作る際には、十分な検討が必要です。
断熱性が下がる
坪庭を作ることによって、建物には窓が増えます。窓は熱の出入りが多く、熱損失が大きくなる場所です。断熱性が下がる一因となり、冷暖房のランニングコストが上がる場合もあります。
建築費が高くなる
窓や外壁面が多くなる坪庭は、それに伴い建築費も上がりますが、さらに断熱性を確保するためのコストも必要になります。坪庭と快適な住空間の両立には、コストがかかるといえるでしょう。
手入れが必要
一般的な庭と同様に、坪庭にも手入れが欠かせません。雑草取りや植栽の剪定など、小さなスペースとはいえ、維持するためには手間や費用がかかります。
ガーデニングが趣味で手入れが苦にならない方は良いですが、こまめなお手入れが得意でない方にとっては負担になるかもしれません。
坪庭はどんな場所にある?
坪庭を作る場所に決まりはありませんが、採光や通風が取りにくい場所、家族がリラックスできる共有空間に設置すると良いでしょう。
玄関の奥
玄関は来客を迎える、家の顔ともいえる場所。坪庭を取り入れてみたい場所のひとつです。
狭く、暗くなりがちな玄関に坪庭を設けると、自然光と風が通る快適な空間になります。
また、坪庭のある玄関は視線が奥へと抜け、家が広く感じられる効果も。花や植栽で彩りを添えると、より素敵な空間を作れます。
浴室の外
浴室の外にある坪庭は「バスコート」と呼ばれます。壁や囲いによってプライバシーは確保しますが、天井を設けないバスコートは露天風呂のような開放感を味わえる空間です。
また、浴室は湿気やカビに悩まされやすい場所。バスコートへの出入りには大きな開口部が必要となるため、換気がしやすくなるというメリットもあります。
リビングの一画
家族が集うリビングに坪庭があると、癒しと安らぎを感じられる空間になります。リビングの景観となる坪庭は、インテリアの一部としてデザインすることがおすすめです。
植物や置物を所狭しと配置するのではなく、余白のあるデザインを意識することで、洗練された坪庭を作れます。
また、リビングへの日当たりを遮らないためにも、樹木を多く植えすぎないことが大切です。
坪庭を作る・坪庭がある住宅を見るときのポイント
坪庭を適切に維持するためには、風通しと水捌けの良さが重要です。日当たりは良い方が望ましいですが、日当たりが悪くても育つ植物もあります。
日当たり
周囲が壁や囲いとなる坪庭は日当たりが悪いことも少なくありません。その場合には、日陰や半日陰を好む植物を選ぶようにしましょう。
また、日当たりが良すぎると植物の生育が早く、剪定に手間がかかる場合もあります。
いずれにしても、坪庭に植える植物は、日照条件に合わせて選ぶことがポイントです。
風通し
建物に囲まれた坪庭は、地面に近い部分は風が通りにくいことがあります。風通しが悪いと、植物が根腐れを起こしたり、枯れたりする原因になることも。通気を取れるように通風口を計画しましょう。
また、地面よりも高い位置に作るレイズドベッドと呼ばれる花壇や、鉢植えを花台に置いて
風通しを改善する方法もあります。
水捌け
植物の成長には水が欠かせませんが、水捌けの悪い坪庭は植物に悪影響を与えかねません。
また、水捌けが悪いと坪庭に水たまりができたり、苔やカビが生えたりする原因にもなります。水捌けは後から改善するのは難しいため、念入りに計画することが重要です。
計画段階で以下に注意すると良いでしょう。
- 水捌けの良い土を使う
- 排水溝を設置する
- 坪庭外部へ排水できる配管設備を埋設する
ゲリラ豪雨や線状降水帯といった集中豪雨の際にも、しっかりと排水できる設備を整えておくと安心です。
暮らしを豊かにする坪庭のある家
外部空間でありながら、室内から鑑賞できる坪庭。坪庭は、日照や通風といった住まいの機能性を上げるだけでなく、身近に自然を感じられる生活へと導いてくれます。
坪庭を計画する際には、居住空間とのバランスや断熱性の確保、排水設備を整えることが重要です。
坪庭は手作りすることも可能ですが、坪庭の基礎や日照条件に合わせた樹種の選定はプロに任せると後悔がありません。土台作りを念入りに行うことで、長く愛でられる坪庭となるでしょう。
この記事のポイント
- 坪庭と中庭の違いは何?
坪庭は主に鑑賞を目的とした小規模な庭です。中庭は人が過ごすことを前提としており、一定の広さがあります。
詳しくは「坪庭と中庭の違い」をご覧ください。
- 坪庭のある家にはどんなメリットがあるの?
坪庭は、住まいに風情や開放感のある空間をもたらします。住宅密集地の採光・通風手段として使われることもあります。
詳しくは「住まいに坪庭があるメリット」をご覧ください。
- 坪庭を作る際のポイントは?
風通しと水捌けの良さが重要です。日当たりは良い方が望ましいですが、日当たりが悪くても日陰を好む樹種を選べば育てられます。
詳しくは「坪庭を作る・坪庭がある住宅を見るときのポイント」をご覧ください。
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