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二重床とは? リフォームの自由度が上がる二重床について解説

執筆者プロフィール

高山みさと
インテリアコーディネーター

CADオペレーター・大手住宅設備メーカー勤務を経て、住宅ライターとして開業。インテリアコーディネーター資格保有。元キッチンスペシャリスト。家づくりやリフォームにおける難しい知識を分かりやすく伝えている。プライベートでは築20年の戸建て住まい。リフォームやDIYで家づくりを楽しんでいる。

ざっくり要約!

  • 二重床とは、フローリングの下に配管を納める床下空間がある構造のこと
  • 二重床によって、水回り位置の変更や床材の選択肢が増えるなど、リフォームの自由度が上がる

フローリングの下に床下空間がある二重床は、リフォームやリノベーションがしやすい構造です。水漏れトラブルの際にも早期に原因を特定しやすく、メンテナンスにおける利点が多くあります。

その一方で「二重床はうるさい」といわれることもあります。その原因は、衝撃音の種類によっては音を響かせてしまうことがあるからです。

この記事では、二重床のメリットとデメリット、衝撃音の違いなどについて解説します。

二重床とは?

二重床とは、マンションの躯体であるコンクリートスラブの上に防振ゴムと支持脚を立て、下地を組んでからフローリング材を張る工法です。支持脚には調整機能があり、水平な床仕上げにすることができます。正式には、乾式二重床と呼ばれています。

二重床は、フローリングの下に床下空間ができるため、設備配管の取り回しがしやすいことが特徴です。また、コンクリートスラブから伝わりやすい冷気や湿気を、空気層によって緩和することもできます。

一方、直床とは、クッション材が貼られたフローリング材を、直接コンクリートスラブに施工する工法です。

直床の場合は、水回りの配管をコンクリートスラブに埋め込んでいたり、部分的にスラブを下げて配管を通したりすることがあります。そのため、水回りの位置変更は難しいことが多いでしょう。

二重床のメリット

二重床は、メンテナンスやリフォームの際にメリットを実感できる構造ですが、生活する上での利点もあります。

メンテナンスがしやすい

床下空間に設備配管を納められる二重床は、メンテナンスがしやすい構造です。水回り周辺の床に点検口を設けることによって、配管のメンテナンスや交換がしやすくなります。

水漏れトラブルが起きた際にも、早期に原因を突き止め、スムーズな対応が期待できるでしょう。

可変性が高い

二重床のマンションは、水回りの配置を変えやすいのでリフォームやリノベーションの際に有利です。
排水管の位置を変更するには、排水がスムーズに流れるように勾配(配管に傾斜をつけること)をつける必要がありますが、床下空間があることによって勾配を取りやすくなります。

また、二重床は床材の自由度が高いこともメリットです。フローリング材だけでなく、石やタイルといった床材を選べるようになります。

クッション性が高い

直床の場合は、クッション材が貼られた遮音フローリング材を、直接コンクリートスラブに施工します。足裏にやわらかい感触を感じられる反面、転倒した際の衝撃はコンクリート上とほとんど変わりません。

一方、二重床は、防振ゴムと支持脚で下地を組んでいるため、クッション性があり転倒時の衝撃を緩和できる場合があります。

軽量衝撃音が伝わりにくい

床の衝撃音は、「軽量床衝撃音」と「重量床衝撃音」に分かれます。

軽量床衝撃音は、スプーンやフォークのような小さな物を落としたときに階下に伝わる「コツン」といった種類の音です。二重床の防振ゴムは、振動をやわらげる効果があるため、軽量床衝撃音に対する遮音性を期待できます。

二重床のデメリット

中古マンションを購入して、二重床にする場合は遮音性と天井高について注意する必要があります。また、二重床は新築・中古問わず建築費が上がる一因です。

遮音性が高まるとは一概には言えない

二重床は、軽量床衝撃音に対して一定の遮音性を期待できますが、重量床衝撃音に対する遮音性もあるとは言い切れません。

重量床衝撃音とは、大きな足音やソファから子どもが飛び降りたときの「ドスン」とした重量のある音のこと。二重床の構造によっては、重量床衝撃音が床下の空気を通して階下に響く「太鼓現象」を招く場合があります。

比較的新しいマンションでは、重量床衝撃音への対策としてコンクリートスラブの厚さや二重床の構造の仕方を工夫していますが、中古マンションの場合は注意が必要です。

天井高が下がる

最初から二重床構造で建てられたマンションは、居住に必要な天井高を確保していますが、中古マンションを購入する場合は注意が必要です。直床構造を二重床構造に変える場合は、現状より天井高が下がります。

建築費が高くなる

二重床は、防振ゴムや支持脚で土台をつくり、パーティクルボードや石こうボードを遮音性能に応じて重ねていき、下地を組みます。直床と比較すると、建築資材を多く必要とし作業工程も多くかかるため、建築費が高い傾向にあります。

二重床の住宅に住むにはどうすればいい?

二重床のマンションを見分けるのは難しいため、不動産会社に確認することをおすすめします。

中古住宅の物件情報には記載されていないことがほとんど

リノベーションや水回りの位置変更を希望している場合は、床の構造が二重床であることが前提になります。

しかし、不動産会社が公開している物件情報には、床が二重床であるか否かは基本的に記載されていません。確認するためには、不動産会社に問い合わせる必要があります。

二重床にリノベーションすることはできるのか?

直床から二重床にリノベーションすること自体は可能ですが、管理規約で禁止されている場合は変えることができません。二重床へのリノベーションを検討している場合は、購入前に管理規約の確認が必要です。なお、床がカーペットになっているマンションは、フローリングへの改装を規約で禁止しているケースもあるのでご注意ください。

また、コンクリートスラブに配管が埋め込まれているなど、配管の状態によっては二重床にしてもメリットが得られない可能性もあります。

マンション構造を含めた住宅性能をヒアリングすることが大切

二重床は、軽量床衝撃音をやわらげる効果を期待できますが、重量床衝撃音に対しては、かえって音を響かせる原因になる場合があります。

重量床衝撃音を防ぐ対策としては、以下が挙げられます。

  • 遮音性能の高い二重床システムを採用する
  • 下地材を重ね張りする
  • 遮音性能の高い床材を採用する

また、コンクリートスラブが厚い方が、重量床衝撃音を防ぐ効果を見込めます。スラブ厚は200mm以上が望ましく、マンションの構造を確認することも対策になります。

二重床はリフォームの自由度を上げるひとつの選択肢

二重床はリフォームやメンテナンスに有利な構造です。間取りや水回りの位置変更、床材の選択肢が増えるなどの利点があります。

しかし、遮音性についてはマンションの構造や性能によって変わることもあり、二重床より直床が必ずしも劣っている訳ではありません。

二重床はひとつの選択肢に過ぎず、コストやプランの実現性をトータルで鑑みることが大切です。

この記事のポイント

二重床とは何?

二重床は、コンクリートスラブの上に防振ゴムと支持脚を立て、下地を組んでからフローリングを施工する工法です。

詳しくは「二重床とは?」をご覧ください。

マンションが二重床だとうるさい?

二重床はスプーンを落としたような軽量床衝撃音を緩和しますが、子どもがドタドタ走り回るような重量床衝撃音を響かせてしまうことがあります。

詳しくは「遮音性が高まるとは一概には言えない」をご覧ください。

二重床のマンションを見つける方法はある?

不動産会社が公開している物件情報には、二重床であるか否かは記載されていません。不動産会社に問い合わせることで確認できる場合があります。

詳しくは「二重床の住宅に住むにはどうすればいい?」をご覧ください。

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