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スキップフロアとは?スキップフロアが向いているケースや注意点も紹介

執筆者プロフィール

高山みさと
インテリアコーディネーター

CADオペレーター・大手住宅設備メーカー勤務を経て、住宅ライターとして開業。インテリアコーディネーター資格保有。元キッチンスペシャリスト。家づくりやリフォームにおける難しい知識を分かりやすく伝えている。プライベートでは築20年の戸建て住まい。リフォームやDIYで家づくりを楽しんでいる。

ざっくり要約!

  • スキップフロアとは、各階層の中間に異なる高さのフロアを設けた間取りのこと
  • スキップフロアは、狭小地や傾斜地を活かす手段として有効

小さな空間を階段でつないでいく「スキップフロア」は、家族のコミュニケーションを取りやすい間取りです。ダイナミックで立体感のある空間は、訪れる人や子どもの冒険心をくすぐります。

見た目には楽しく、魅力が多いスキップフロアのある家ですが、デメリットや注意点が多いことも事実です。

この記事では、スキップフロアのメリットとデメリット、スキップフロアが向いている土地などについて解説します。

スキップフロアとは

スキップフロアとは、各階層の中間に異なる高さのフロアを設けた間取りのことです。一般的な住宅は、壁や床で空間が仕切られますが、スキップフロアの間取りは複数のフロアを階段でつなぎ、高低差によって空間を構築します。

床面積を増やせる利点があることから、スキップフロアの間取りは狭小地や傾斜地に家を建てたい方から注目されている間取りです。

半地下との違い

半地下とは、部屋の半分程が地下にあるスペースを指します。スキップフロアと同様に、床面積を確保する手段のひとつです。

半地下から階段がつながり、居住スペースが連続している場合は、スキップフロアと呼ばれることもあります。

ロフトとの違い

吹き抜けと一緒に設けられることの多いロフト。フロアを2階層に分けた際に、上階となる部分を指します。はしごで昇り降りするケースが多く、ロフトは主に収納を目的とした場所です。

ロフトの活用頻度を上げたいときは、階段にすることもできます。その場合は、スキップフロアの一部として計画されることもあります。

平屋にもスキップフロアはつくれる?

平屋でも天井が高い場合は、スキップフロアをつくることは可能です。階段のない間取りが魅力の平屋ですが、部分的にスキップフロアを取り入れることで、居住空間を広げたり、収納を増やせたりするのは大きなメリットだといえるでしょう。

スキップフロアのある家のメリット

スキップフロアは、上下に空間がつながる「立体感」が魅力の間取りです。このことから、次のようなメリットが得られます。

空間を有効活用できる

スキップフロアは「縦」の空間を有効活用できる間取りです。

建物の高さは建築基準法によって制限されますが、スキップフロアを採用することによって、中2階や中3階といった空間を生み出すことができます。

延床面積に算入されない範囲で、実質上の床面積を増やすことが可能です。

開放感がある

スキップフロアのある家は、一般的な住宅と比べると壁や扉など空間を遮るものが最小限です。吹き抜けのように視界が開けた印象があり、開放感があります。

また、スキップフロアは住まいに光を取り入れやすいことも特徴です。天窓や高窓から入る光が各所に届きやすく、明るい住環境をつくれるでしょう。

収納力もUP

フロアをずらしながら構成するスキップフロアは、天井高の低い空間が生まれやすい間取りです。空間自体は広いため、大容量の収納として活用できます。

他にも、階段の蹴込み板を加工して、収納を組み込んだ構造にする方法もあります。スキップフロアは、アイデア次第で収納を増やせる間取りです。

スキップフロアはやめたほうがいい?スキップフロアのデメリットとは

空間を余すことなく活用できるスキップフロアですが、後悔することもあるといいます。どのようなデメリットがあるのでしょうか。

建築費が高くなる

一般的な住宅と比べると、スキップフロアは壁が少なく複雑な構造であるため、高度な構造計算が求められます。

耐震性を確保するために、特殊な構造材が必要になることも少なくありません。よって、耐震性や強度を確保するための費用も増えます。

また、難易度の高い構造計算と間取り設計に対応でき、その施工を実現できる技術力のある工務店や住宅会社を選ぶことが重要です。

冷暖房効率が下がる

空間を仕切るものが少ないスキップフロアは、冷暖房が効きにくいことも難点です。吹き抜けと同様に、冬は1階が寒くなりやすいといえます。

寒さや暑さで後悔しないためには、建物の断熱性を上げたり、全館空調を取り入れたりする対策が必要です。

バリアフリーではない

段差や階段の多いスキップフロアの間取りは、年齢を重ねた老後には暮らしにくくなる可能性があります。

日常的に足腰を鍛えられるという考え方もありますが、負担に感じる方も多いでしょう。

掃除が大変

スキップフロアのある家は、動線設計が難しく、住んでからでないと分からない大変さもあります。

たとえば、段差の多いスキップフロアはお掃除ロボットを使いにくい間取りです。日常的にお掃除ロボットを使ってきた方にとっては大きなストレスになるでしょう。

スキップフロアのある家が向いているのは?

スキップフロアは、狭小地や傾斜地といった土地活用が難しい形状の土地を、建築基準法を遵守した上で活かせるようになります。

狭小地

狭小地では、建物の高さを最大限高くしたいところですが、建築基準法には高さ制限や斜線制限といった、建物の高さに対する規制があります。

また、建物の延床面積は容積率によって制限されますが、スキップフロアの間取りで生じる天井の低い空間は、延床面積に算入されない場合があります。

延床面積への不算入は、自治体によって条件が異なる場合がありますが、狭小住宅の生活空間を広げる手段として、スキップフロアは有効といえるでしょう。

高低差のある土地

高低差のある傾斜地に家を建てるためには、平らな地面をつくるための造成工事が必要になります。スキップフロアは、傾斜に沿った形で建物を計画できることから、造成にかかる費用を抑えられる可能性があります。

スキップフロアを採用することによって、傾斜地という難しい土地を活用できるようになるのです。

子育て世帯

視界が上下に広がるスキップフロアは、家族とコミュニケーションを取りやすく、子どもを見守りやすい間取りです。

段差や階段が多く、秘密基地を思わせるスキップフロアは、子どもにとって楽しい遊び場になることでしょう。

ただし、赤ちゃんや幼いお子さんの場合には転落やケガの危険性もあります。小さなお子さんのいるご家庭では、滑り止めや転落防止のネットを張るなど、十分な対策と検討が必要です。

また、スキップフロアは個室をつくりにくいため、思春期や受験時期を迎えたお子さんのプライバシーの確保について考えておく必要があります。

スキップフロアは施工実績のある会社に相談を

スキップフロアは、狭小地や傾斜地を活かす手段として有効です。ただし、設計や構造計算、施工の難易度が高く、スキップフロアの実績がある住宅会社を選ぶことが重要です。

スキップフロアの間取りは、平面図だけではイメージしづらいこともあります。立体的な空間構成を把握できるように、建築模型やパースを製作してもらい、実際の生活に不便が生じないか確認することが大切です。

この記事のポイント

スキップフロアのメリットは?

スキップフロアは開放感があり、空間を有効活用できる間取りです。天井の低い空間を大容量の収納としても活用できます。

詳しくは「スキップフロアのある家のメリット」をご覧ください。

スキップフロアはやめたほうがいい?

壁が少なく構造が複雑なスキップフロアは、耐震性確保のために建築費が高くなる傾向にあります。また、冷暖房が効きにくいことも懸念点です。

詳しくは「スキップフロアはやめたほうがいい?スキップフロアのデメリットとは」をご覧ください。

スキップフロアが向いているのはどんな場合?

スキップフロアは、狭小地や傾斜地を活かす手段として有効です。また、家族のコミュニケーションが取りやすく、子育て世代にも向いています。

詳しくは「スキップフロアのある家が向いているのは?」をご覧ください。

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