ざっくり要約!
- 家を建てる費用としては建築費のほか、土地の購入費用や税金などがかかる
- 家を建てる費用は、土地の有無や自己資金がどのくらいかによって大きく変わる
マイホームを検討している人の中には、自分で家を建てる注文住宅を希望している方も多いと思います。
注文住宅は、建売住宅に比べると面積も広くなる傾向があり、全体的なコストは割高です。
また、土地を所有されている人(以下「土地あり」と称する)と土地を所有されていない人(以下「土地なし」と称する)では、注文住宅を建てる費用が大きく異なります。
土地なしの場合、土地代の他、土地購入に係る諸経費も必要となってきます。
家を建てるにあたり、費用はどの程度かかるのでしょうか。
この記事では「家を建てる費用」について解説します。
記事サマリー
家を建てる費用の内訳
家を建てる費用の内訳を解説します。
建築費用
過去5年間における注文住宅の建築費(首都圏)の推移は、下表の通りです。
項目 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
---|---|---|---|---|---|
建築費(万円) | 2,958 | 3,558 | 3,301 | 3,510 | 4,077 |
延床面積(平米) | 120.4 | 116.9 | 117.2 | 113.1 | 125.0 |
建築費単価(万円) | 24.6 | 30.4 | 28.2 | 31.0 | 32.6 |
出典:令和4年度 住宅経済関連データ(2)注文住宅の建築費(首都圏)|国土交通省
建築費は、近年、人手不足等の影響もあり上昇傾向にあります。
2021年の建築費の平均単価は32.6万円/平米(108万円/坪)です。
なお、一般財団法人建物物価調査会のデータによると、2023年8月の住宅(木造)の工事原価は前月に比べて0.3%上昇、さらに1年前の2022年8月に比べると2.5%も上昇しています。
土地の購入費用
過去5年間における首都圏の住宅用の土地(100~200平米)の購入費用は、下表の通りです。
項目 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|---|
価格(万円) | 2,904 | 2,897 | 2,810 | 2,948 | 3,397 |
面積(平米) | 145.41 | 145.12 | 144.76 | 144.44 | 144.69 |
単価(万円) | 19.97 | 19.96 | 19.41 | 20.41 | 23.47 |
出典:首都圏不動産流通市場の動向(2022年)|公益財団法人東日本不動産流通機構
土地価格も、近年は上昇傾向にあります。
2022年の土地の平均単価は23.47万円/平米(78万円/坪)です。
税金などの諸費用
この章では、税金などの諸費用について解説します。
諸経費の合計は、以下のような金額が目安です。
土地あり | 建築費の15~16%程度 |
土地なし | 土地代と建築費の合計の10~11%程度 |
設計料
注文住宅では、建物の設計料が生じます。
設計料の相場は、ハウスメーカーに依頼した場合は建築費の1~3%程度です。
消費税
不動産は建築費に対して消費税がかかります。
土地には消費税は発生しないため、土地なしの人が土地を購入しても消費税は非課税です。
登録免許税
登録免許税とは、登記簿謄本に権利の内容を登記するときに生じる税金です。
登記には「保存登記」と「所有権移転登記」、「抵当権の設定登記」の3種類があります。
保存登記とは、初めて行う所有権の登記のことです。
保存登記は、建物を新築する際に行います。
所有権移転登記とは、所有権が移転するときに行う登記のことです。
所有権移転登記は、土地なしの人が土地を購入する際に必要となります。
抵当権の設定登記とは、住宅ローンを借りる際に行う登記のことです。
抵当権とは、銀行が土地と建物に設定する担保権のことを指します。
登録免許税の求め方は以下の通りです。
(所有権移転登記または保存登記)
登録免許税 = 固定資産税評価額 × 税率
(抵当権の設定登記)
登録免許税 = 債権額 × 税率
以下の要件を満たすマイホームでは、登録免許税の軽減措置を受けることができます。
【登録免許税の軽減措置の要件】
- 自己の専用住宅で、床面積が50平米以上であること
- 個人が2024年3月31日までに新築または取得すること
- 新築または取得後1年以内に登記を受けるものであること
登録免許税の本則と軽減措置が適用されたときの税率は下表のようになります。
登記の種類 | 本則 | 軽減税率 |
---|---|---|
所有権保存登記(建物) | 0.4% | 0.15% |
所有権の移転登記(建物) | 2% | 0.3% |
所有権の移転登記(土地)※ | 1.5% | 1.5% |
抵当権の設定登記 | 0.4% | 0.1% |
・「登録免許税」についてはこちら 登録免許税の計算方法と支払時期を解説!軽減措置や事例もあわせて紹介 |
司法書士手数料
登記の手続きは、司法書士に依頼することが多いです。
登記の手続き費用の相場は以下のようになります。
登記の種類 | 相場 |
---|---|
保存登記 | 5.2万円程度 |
所有権移転登記 | 2.5万円程度 |
抵当権設定登記 | 4.0万円程度 |
合計 | 11.7万円程度 |
出典:報酬アンケート結果(2018年(平成30年)1月実施)の関東地区平均値|日本司法書士連合会
印紙税
印紙税は、「請負工事契約書」と「不動産売買契約書」、「金銭消費貸借契約書」の3つに発生します。
土地ありの人は請負工事契約書のみですが、土地なしの人には土地の購入時に不動産売買契約書を締結することが必要です。
金銭消費貸借契約書は、住宅ローンを借りる際に銀行と締結する契約書になります。
主な印紙税の金額を示すと下表の通りです。請負工事契約書と不動産売買契約書は、2024年3月31日までに契約した金額となります。
記載金額 | 請負工事契約書 | 不動産売買契約書 | 金銭消費貸借契約書 |
---|---|---|---|
1千万円超5千万円以下 | 1万円 | 1万円 | 2万円 |
5千万千超1億円以下 | 3万円 | 3万円 | 6万円 |
不動産取得税
不動産取得税とは、建物や土地を取得したときに課される税金です。
住宅の不動産取得税の計算式は以下の通りになります。
不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 3%※
※税率は2024年3月31日までのものです。2024年3月31日までの宅地の不動産取得税の課税標準額は、土地の固定資産税評価額に(1/2)を乗じたものとなります。
床面積が「50平米以上の240平米以下」の新築住宅では、評価額から1,200万円が控除される特例があります。
【新築建物の不動産取得税】
新築建物の不動産取得税 = (固定資産税評価額 - 1,200万円) × 3%
また、上記の要件を満たす建物が建つ土地については、以下のいずれかの大きい方の金額を不動産取得税から控除することができます。
【住宅の土地の不動産取得税】
(控除額)いずれか大きい方
・4.5万円
・土地1平米の評価額 × (1/2) × 住宅の床面積の2倍(200平米まで) × 3%
(不動産取得税)
住宅の土地の不動産取得税 = 固定資産税評価額 × (1/2) × 3% - 上記の控除額
・「不動産取得税」についてはこちら 不動産取得税はいくらかかる?計算方法や軽減措置についても解説! |
事務手数料
住宅ローンを組む際は、銀行に対して事務手数料が発生します。
事務手数料の相場は、「3~10万円」もしくは「借入額の2.2%」です。
住宅ローン保証料
住宅ローンでは保証料も発生します。
金利に上乗せするタイプの相場は「金利+0.2%」です。
現金一括払いのタイプの相場は、60~120万円程度となります。
損害保険料
火災保険や地震保険を複数年一括契約する場合には、新築時に損害保険料が生じます。
一般的な住宅で火災保険と地震保険を5年契約とした場合、40~60万円程度が相場です。
仲介手数料
土地なしの人は、土地を購入する際、土地の購入のための仲介手数料が生じます。
仲介手数料は、取引額に応じて不動産会社か受領できる上限額が下表のように決まっています。
取引額 | 仲介手数料(別途消費税) |
---|---|
800万円以下 | 一律30万円 |
800万円超 | 取引額の3%+6万円 |
家を建てる費用の平均
独立行政法人住宅金融支援機構が開示している「2022 年度フラット35利用者調査結果」をもとに家を建てる費用の平均について紹介します。
土地ありの場合
土地ありの人が注文住宅を建てたときの費用は、以下の通りです。
区分 | 所要資金 | 融資金 |
---|---|---|
注文住宅 | 3,717万円 | 2,967万円 |
所要資金から融資金を差し引くと、頭金は750万円です。
頭金は約20%(≒750万円÷3,717万円)用意していることがわかります。
もちろん、すべての方に当てはまるものではなく、個人の属性や金融機関によっては100%の融資金が出る場合もあります。工務店や不動産会社を通してでも良いですし、必ず金融機関に確認・事前審査を依頼するようにしましょう。
土地なしの場合
土地なしの人が土地付注文住宅を建てたときの費用は、以下の通りです。
区分 | 所要資金 | 融資金 |
---|---|---|
土地付注文住宅 | 4,694万円 | 4,018万円 |
所要資金から融資金を差し引くと、頭金は676万円です。
頭金は約14%(≒676万円÷4,694万円)用意していることがわかります。
・「土地探し」に関する記事はこちら 土地探しに疲れた?よくある実例や諦める前に実践してほしい7つの行動 |
家を建てる費用の予算別シミュレーション
この章では、以下の条件で家を建てる費用の予算別シミュレーションについて解説します。
条件 | 物件価格 | 諸経費率 |
---|---|---|
土地あり | 3,700万円 | 15% |
土地なし | 4,700万円 | 10% |
物件価格に関しては、前章で紹介した独立行政法人住宅金融支援機構の金額を参考にしています。
間取りの想定は、一般的なファミリータイプの3LDKです。
住宅ローンの返済条件は、以下のように設定しています。
【住宅ローンの返済条件】
ローン期間:35年
返済方法:元利均等返済、ボーナス返済なし
金利:1.5%
金利の種別:固定金利
なお、建築費に関しては、予算を上げるほど建物のグレードを上げることができます。
例えば、キッチンをアイランド仕様にする、または防音仕様を充実する等のグレードアップが考えられます。
上記を前提条件として、次章で家を建てる際の予算別シミュレーションを土地あり・なしに分けて紹介します。
予算1,000万円台で家を建てる場合の費用
自己資金1,000万円を用意している場合のシミュレーションを紹介します。
注意点としては、土地なしの場合、頭金が少なすぎて住宅ローンの返済比率が高くなり、住宅ローンを組めなくなる可能性があるという点です。
土地ありの場合
項目 | 金額 |
---|---|
土地代 | 0万円 |
建築費用 | 3,700万円 |
諸経費 | 555万円 |
総予算 | 4,255万円 |
自己資金 | 1,000万円 |
借入金 | 3,255万円 |
毎月の返済金額 | 108,848円 |
土地なしの場合
項目 | 金額 |
---|---|
物件価格 | 4,700万円 |
諸経費 | 470万円 |
総予算 | 5,170万円 |
自己資金 | 1,000万円 |
借入金 | 4,170万円 |
毎月の返済金額 | 127,678円 |
予算2,000万円で家を建てる場合の費用
自己資金2,000万円を用意している場合のシミュレーションを紹介します。
注意点としては、2,000万円の自己資金を貯めるまでにかなり時間がかかるという点です。
土地ありの場合
項目 | 金額 |
---|---|
土地代 | 0万円 |
建築費用 | 3,700万円 |
諸経費 | 555万円 |
総予算 | 4,255万円 |
自己資金 | 2,000万円 |
借入金 | 2,255万円 |
毎月の返済金額 | 69,044円 |
土地なしの場合
項目 | 金額 |
---|---|
物件価格 | 4,700万円 |
諸経費 | 470万円 |
総予算 | 5,170万円 |
自己資金 | 2,000万円 |
借入金 | 3,170万円 |
毎月の返済金額 | 97,060円 |
予算3,000万円台で家を建てる場合の費用
自己資金3,000万円を用意している場合のシミュレーションを紹介します。
自己資金が3,000万円もあれば、土地なしの人でも良い立地で家を建てることができます。
土地選びは、焦らずにじっくりと行うことが注意点です。
土地ありの場合
項目 | 金額 |
---|---|
土地代 | 0万円 |
建築費用 | 3,700万円 |
諸経費 | 555万円 |
総予算 | 4,255万円 |
自己資金 | 3,000万円 |
借入金 | 1,255万円 |
毎月の返済金額 | 38,426円 |
土地なしの場合
項目 | 金額 |
---|---|
物件価格 | 4,700万円 |
諸経費 | 470万円 |
総予算 | 5,170万円 |
自己資金 | 3,000万円 |
借入金 | 2,170万円 |
毎月の返済金額 | 66,442円 |
予算4,000万円台で家を建てる場合の費用
自己資金4,000万円を用意している場合のシミュレーションを紹介します。
自己資金が4,000万円もあれば、相当に条件が良くなります。
昨今は低金利ですので、あまり自己資金を投入し過ぎず、住宅ローンもうまく借りて現金をある程度残しておくことも注意点です。
土地ありの場合
項目 | 金額 |
---|---|
土地代 | 0万円 |
建築費用 | 3,700万円 |
諸経費 | 555万円 |
総予算 | 4,255万円 |
自己資金 | 4,000万円 |
借入金 | 255万円 |
毎月の返済金額 | 7,807円 |
土地なしの場合
項目 | 金額 |
---|---|
物件価格 | 4,700万円 |
諸経費 | 470万円 |
総予算 | 5,170万円 |
自己資金 | 4,000万円 |
借入金 | 1,170万円 |
毎月の返済金額 | 35,823円 |
この記事のポイント
- 家を建てる費用の平均はどのくらい?
独立行政法人住宅金融支援機構が開示している「2022 年度フラット35利用者調査結果」によれば、土地ありの人が注文住宅を建てたときの平均費用は所要資金3,717万円、融資金2,967万円、所要資金から融資金を差し引いた頭金は750万円です。
一方で土地なしの場合は、所要資金4,694万円、融資金4,018万円、所要資金から融資金を差し引いた頭金は676万円となっています。
詳しくは「家を建てる費用の平均」をご覧ください。
- 予算1,000万円台で家を建てることはできる?
予算1,000万円台でも家を建てることは可能です。
ただし、土地なしの場合、頭金が少なすぎて住宅ローンの返済比率が高くなり、住宅ローンを組めなくなる可能性があります。
詳しくは「予算1,000万円台で家を建てる場合の費用」をご覧ください。
物件探しや売却がもっと便利に。
無料登録で最新物件情報をお届けいたします。
Myリバブルのサービス詳細はこちら