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家賃の目安は年収の何割?手取り収入別のシミュレーション付き

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • 家賃の目安は基本的に手取り年収の2.5割程度にし、家計に余裕を持たせるのがおすすめ
  • 入居審査では一般的に家賃が収入の3割以下であることが目安になるが、収入や勤務先によってその割合が緩和されることもある

「家賃は手取り収入の3割が目安」ともいわれますが、本当に手取り収入の3割に押さえれば、無理のない負担といえるのでしょうか。

中には、収入の4割を家賃に充てても、問題ないという方もいるかもしれません。同じ3割だとしても、収入額によっては家計を圧迫する方もいます。家族構成やライフスタイルによっても、感じ方は異なるでしょう。

この記事では、年収に対する適切な家賃の割合と、手取り収入別に家賃の目安を紹介します。

入居審査のポイントや、家賃の目安を考える際の注意点を紹介します。住み替えを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

家賃の目安は年収の何割?

家賃の目安は、実際には手取り年収の何割程度と考えたらよいのでしょうか。

手取り年収とは、給与から厚生年金の保険料や健康保険料、所得税の源泉徴収税、住民税、雇用保険料などを控除(天引き)した額で、実際に会社から支払われる金額です。

例えば給与が20万円の場合、社会保険料などの天引き後の手取りは15~17万円ほどになります。

まず、年収に対する適切な家賃の目安と、家賃以外にかかる考慮すべき費用を紹介します。

家賃の目安は年収の2.5割に抑えるのがおすすめ

一般的に、家賃は手取り収入の3割程度が目安ともいわれますが、収入や家族構成、ライフスタイルによっては、家計を圧迫する可能性があります。

基本的には手取り年収の2.5割程度を家賃の目安にし、家計に余裕を持たせることをおすすめします。つまり年収×0.25=年間家賃額と計算します。

もちろん住まいに対する考え方は、人それぞれ異なります。通勤時間をなるべく短くして、家族との時間を大切にしたいと考える人は、家賃が高くてもそれほど負担に感じないかもしれません。

また家には寝に帰るだけで狭くても問題ないという人は、家賃はなるべく安く抑えたほうがよいでしょう。

家賃以外にかかる費用も考慮する

毎月かかる費用は家賃だけではありません。管理費(共益費)が家賃とは別にかかることが多く、車を所有している場合は、駐車場代もかかります。駐車場が数千円のエリアもありますが、数万円かかることもあり、けっして無視できない費用です。

家賃以外に月々かかる費用も考慮して、無理のない範囲で家賃を設定しましょう。

手取り収入別・家賃の目安シミュレーション

この章では、手取り収入別に家賃の目安を紹介します。あくまでも目安ですので、実際には家族構成やライフスタイル、月々の支出額を考慮して、無理のない家賃を設定してください。

手取り20万円の場合

家賃の割合家賃の目安
2.5割(25%)   5万円
3割(30%)6万円

手取り収入が20万円の場合、家賃の目安を2.5割とすると5万円、3割とすると6万円です。

総務省が公表している家計調査年報家計収支編(2022年)によると、単身者の住居費以外の生活費の平均額は約13.9万円です。

もしこの13.9万円に、手取り収入の3割である6万円を家賃として加えると19.9万円となります。つまり手元にほとんど残らないことになります。

臨時支出や物価高を考慮すれば、やはり手取り収入20万円の2.5割である5万円程度の家賃とした方がよいでしょう。すると住居費を含めた生活費は18.9万円になり、1万円ほど貯金することができます。

手取り30万円の場合

家賃の割合家賃の目安
2.5割(25%)  7.5万円
3割(30%)9万円

手取り収入が30万円の場合、家賃の目安を2.5割とすると7.5万円、3割とすると9万円です。

単身者の場合は、住居費以外の生活費の平均である約13.9万円に、手取り収入の3割である9万円をプラスしても22.9万円です。かなりゆとりがあります。

しかし2人暮らしの場合はどうでしょうか。総務省が公表している家計調査年報家計収支編によれば、2人以上の世帯の住居費以外の生活費の平均額は27.3万円で、住居費以外の生活費を除くと2.7万円しか残りません。地域にもよりますが、家賃を支払うゆとりはありません。

2人以上で暮らす場合は共働きするなどして、手取り収入を増やす必要があります。

手取り40万円の場合

家賃の割合家賃の目安
2.5割(25%)  10万円
3割(30%)12万円

手取り収入が40万円の場合、家賃の目安を2.5割とすると10万円、3割とすると12万円です。

2人以上の世帯の住居費以外の生活費の平均額は27.3万円です。これに手取り収入の2.5割の家賃である10万円を足すと37.3万円ですが、3割の場合は39.3万円となり、月によっては家計が赤字になる可能性があります。

手取り収入が40万円の場合で、2人以上で居住する場合は、手取り収入の2.5割である10万円を家賃とした方がよいでしょう。

手取り50万円の場合

家賃の割合家賃の目安
2.5割(25%)  12.5万円
3割(30%)15万円

手取り収入が50万円の場合、家賃の目安を2.5割とすると12.5万円、3割とすると15万円です。

2人以上の世帯の住居費以外の生活費の平均額である27.3万円に、手取り収入の2.5割である12.5万円を足すと39.8万円、3割の場合は42.3万円です。

子どもがいる世帯であれば教育費がかかり、生活費はもう少しかかるでしょう。手取り収入に対する家賃の割合をもう少し高くすることもできそうですが、実際には支出を考慮して無理のない家賃にしましょう。

家賃の目安と収入から見た入居審査のポイント

賃貸物件に入居を希望する場合、不動産会社の入居審査を受けることになります。家賃に対して収入が低い場合や、安定した収入がない場合は、審査が通らないこともあります。

この章では、入居審査のポイントと判断基準を紹介します。

賃貸住宅の入居審査に通るための家賃の目安とは

入居審査では、入居希望者の支払い応力を審査します。まず収入に対する家賃の割合で判断されることが多いでしょう。

一般的には家賃が収入の3割以下であることが目安になりますが、収入や勤務先によっては、その割合が緩和されることもあります。

安定した収入があり、家賃が収入の3割以下の場合は、基本的には入居審査は通ると思ってよいでしょう。しかし滞納歴などがある場合は、注意が必要です。

夫婦の収入を合算すれば信用度アップ

共働きの場合、入居審査の際に夫婦の収入を合算できることが多いです。その場合は世帯収入で審査されるため、審査が通りやすくなります。

自営業やフリーランスの場合、収入が安定している給与所得者よりも審査が通りにくいことがあります。しかし夫婦のうち一方が給与所得者の場合は、信用度がアップするため審査は通りやすくなるでしょう。

契約期間分の賃料分の貯蓄があると有利

求職中や無職で収入がない場合、通常は入居審査が通ることはありません。しかし賃貸借契約期間分(2年分)の家賃に相当する貯蓄がある場合は、家賃の支払い能力があると判断されて、入居審査が通る可能性があります。

必ずしも審査に通るわけではありませんが、物件によっては審査が通る可能性があります。まずは不動産会社に相談してみましょう。

法人契約では入居者の収入ではなく会社の経営状態を審査

法人契約とは、勤務先である法人が賃貸物件の契約者となり、従業員が入居者となる契約です。

法人契約の場合、家賃を支払うのは法人になります。したがって通常、入居者の収入は審査の対象になりません。審査されるのは会社の売上高や資本金、経営状態などです。帝国バンクデータの評点を見る場合もあります。

法人契約になる場合、勤務先である法人が家賃を全額負担するケースもありますが、従業員向けの「借り上げ社宅」とする場合もあります。法人が借り入れた住宅に従業員が住む場合、従業員がその家賃の1~2割程度を勤務先へ支払うもので、福利厚生のための社内制度です。

家賃の目安を考える際の注意点

家賃は年収の2.5割程度に抑えるのが望ましいと説明してきましたが、ここでは家賃の目安を考える際に注意すべきポイントを紹介します。

ボーナスを当てにしない

ボーナスは変動することがあり、会社の経営状態によっては想定よりも少額、もしくはゼロになることがあります。家賃の目安を計算するときにはボーナスは含めず、手取り収入で計算しましょう。

実際の生活費を把握しておく

年収に対する家賃は2.5割程度に抑えると無理がないと説明してきましたが、実際の生活費を把握して、家計を圧迫しない金額を設定しましょう。

例えば、趣味に使うお金をある程度確保しておきたい場合などは、その分も生活費にしっかり含めた上で家賃を設定する必要があります。

収入によっては住宅購入という選択肢もある

月々支払う家賃の金額によっては、家賃と同程度の返済額で住宅を購入することができます。持ち家であれば、住宅ローン完済後には自分の資産になるため、老後の住居費を抑えることができ、生活にゆとりが生まれます。

例えば手取り収入が40万円で、家賃の目安を2.5割とする場合、目安は10万円です。

では月々家賃として支払っている10万円程度を、住宅ローンの返済に変えた場合をシミュレーションしてみましょう。

借入金額4,000万円、借入期間35年、変動金利(0.345%)を選択して、元利均等返済をする場合、月々の返済額は約10.1万円、年間返済額は約121.2万円になります。

諸費用がかかるため、別途自己資金も必要ですが、月々10万円の返済で4,000万円の物件を購入することができます。

住宅ローンの返済比率は「年間返済額÷額面年収」で計算します。

上記の場合、返済比率は1,212,000÷4,800,000=0.2525となり、手取りの年収で計算しても25.25%です。25%は無理のない返済比率だといわれており、一般的には30%が基準になります。もう少し返済額を増やして、予算を増やすことも可能です。

実際の資金計画は、金融機関や不動産会社でご相談ください。

この記事のポイント

手取り収入別の家賃の目安は?

手取り収入が20万円の場合、収入の2.5割である5万円程度の家賃とした方がよいでしょう。
手取り収入が30万円の場合、家賃の目安を2.5割とすると7.5万円、3割とすると9万円ですが、2人以上で暮らす場合は共働きするなどして手取り収入を増やすのがおすすめです。
手取り収入が40万円の場合、単身者なら手取り収入の3割負担でも余裕がありますが、2人以上で居住する場合は2.5割負担である10万円とした方がよいでしょう。

手取り収入が50万円の場合、家賃の目安を2.5割とすると12.5万円、3割とすると15万円です。手取り収入に対する家賃の割合をもう少し高くすることもできそうですが、子どもがいる世帯であれば教育費がかかるので、実際には支出を考慮して無理のない家賃にしましょう。

詳しくは「手取り収入別・家賃の目安シミュレーション」をご覧ください。

家賃の目安と収入から見た入居審査のポイントは?

安定した収入があり、家賃が収入の3割以下の場合は、基本的には入居審査は通ると思ってよいでしょう。しかし滞納歴などがある場合は、注意が必要です。

また、共働きの場合は入居審査の際に夫婦の収入を合算できることが多いです。その場合は世帯収入で審査されるため、審査が通りやすくなります。

詳しくは「家賃の目安と収入から見た入居審査のポイント」をご覧ください。

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