ざっくり要約!
- 「竣工」とは、建築工事や土木工事が完了することを意味する建築用語
- 「竣工」と「完成」「竣功」「落成」「竣成」はほぼ同義
- 「竣工日」は、一般的に検査済証の交付年月日を指す
「竣工」という言葉に建物完成のイメージはあるものの、具体的に何を指すのか分からないという方は多いかもしれません。さらに「完成」や「竣功」など、似た意味を持つ言葉もあります。
本記事では、竣工に関連する言葉の意味のほか、竣工から物件引き渡しまでの流れも解説します。それぞれの言葉の意味を押さえておくことで、不動産売買をスムーズに進められるので、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
竣工とは?
「竣工」とは、建築工事や土木工事が完了することを意味する建築用語です。読み方は「しゅんこう」です。ほかにも似たような意味を指す言葉があるため、違いを把握しておきましょう。
「竣工」と「完成」「完工」との違いは?
「竣工」と「完成」は、どちらも建物の完成を意味するもので、ほぼ同義と言えます。ただし「完成」に明確な定義はないため、竣工以外のタイミングや建物以外にも使うことが可能です。たとえば外構工事の完成や、擁壁工事の完成といった使い方ができます。
また、似た言葉に「完工(かんこう)」があります。完工とは、契約した内容の工事がすべて終わり、施主(お客様)へ引き渡せる状態を指すことが多いです。
建物完成後には役所による完了検査を受けるだけでなく、施主と立ち合い、傷や不具合がないかを確認する竣工検査(施主検査)などがあります。そのほか、外構工事や手直しなどもすべて完了した状態が「完工」です。
「竣工」は「竣功」「落成」「竣成」はほぼ同義
「竣功(しゅんこう)」、「落成(らくせい)」、「竣成(しゅんせい)」は、いずれも工事の完了を表す言葉で、竣工とほぼ同じ意味で使用されています。
使い分けに明確な決まりはないものの、戸建住宅の建築では「竣功」「落成」「竣成」を使うことは、ほとんどありません。
一方で、「竣成」は大規模建築物に使われる傾向があり、マンションの完成を「竣成」と呼ぶケースはあります。
また、「竣功」は神社仏閣の完成に使われる場合が多く、一般住宅では「竣工」と表記することが一般的です。「落成」は学校や庁舎をはじめとした公共建築物のほか、社屋などの工事完了において使われています。
「着工」は「竣工」の対義語
「着工」とは建築工事や土木工事を開始することで、「竣工」の対義語です。役所などに建築確認申請を提出し、申請が承認されたら着工できる状態となります。
基礎工事や杭工事のほか、地面の掘削も工事の一部に該当するため、これらも確認申請後でなければ着手できません。
竣工から物件が引き渡されるまでの流れ
竣工はあくまで工事の完了であるため、竣工後すぐに施主が建物を使うことはできません。竣工から引き渡しまでには、次のような工程を経るのが一般的です。
- 自社検査
- 完了検査
- 竣工検査・内覧会
- 引き渡し
それぞれの検査は1日で終了しますが、手直しなどの期間も含めると、竣工から引き渡しまで10~14日程度かかるケースが多くなっています。
各工程を順番に見ていきましょう。
自社検査
「自社検査」とは、工事を実施した建築会社などが、建物完成後に行う社内チェックのことです。検査の呼び方は会社によって異なり、自社検査のことを社内検査や竣工検査と呼ぶ場合もあります。
自社検査では、工事責任者や設計担当者が現場で立ち合い、不具合がないかを確かめます。設計図通りに作られているか、給水・排水や電気・設備に問題がないか、傷がないかといったことがチェックポイントのひとつです。
完了検査
「完了検査」とは、建物完成後に役所や民間の指定確認検査機関が行う検査です。主に建築確認申請の通りに施工されているか否かなどがチェックされ、検査に合格すると検査済証が発行されます。検査済証が発行されるまでは、建物が完成していても使用できないこととなっています。
完了検査を受けることは建築基準法第7条で定められており、施主は工事完了から4日以内に完了検査を申し込まなければなりません。
ただし、一般的には施主から委任状を受けた建築会社が、確認申請や完了検査の申し込みを代理で行うことが多くなっています。
竣工検査・内覧会
工事完了後に施工会社や工事監理者、施主が立ち会って検査することを「竣工検査」といいます。「内覧会」や「施主検査」とも呼ばれることもあります。
チェック項目は自社検査と同様です。傷や不具合だけでなく、図面通りにできているかなども確認します。
なお、先述した通り「竣工検査」は「自社検査」の意味で使われることもあります。
引き渡し
「引き渡し」とは、不動産の所有権の移転を意味する場合と、建物の鍵の受け渡しを指す場合があります。
住宅を新築した際は、後者の鍵の受け渡しの意味で使われ、その日から施主が自由に建物を使用できるようになります。所有権の登記や残金の支払いは、引き渡しまでに実施しなければなりません。
引き渡し当日に行われることは、引渡証明書や保証書などの重要書類のやり取りのほか、設備の使い方に関する説明です。
なお「引き渡し」が所有権の移転を意味する場合には、引き渡しの場に売主と買主、司法書士などが集まり、その場で残金の支払いや所有権移転登記の手続きを行います。
「竣工日」はいつを指す?
「竣工日」は、一般的に検査済証の交付年月日とされています。完了検査に合格した際、その証明として発行されるのが検査済証です。
竣工日によって税制優遇の適用可否などが変わる可能性があるため、日付を確認しておきましょう。交付年月日は検査済証に記載されています。
また、竣工日と似たものに「築年月」があります。大きな違いは、竣工日は日付まで記載されることに対し、築年月は月までの表記である点です。いつの時点を築年月とするかは、不動産会社によって変わることもあります。
「竣工」がつく言葉色々……竣工図・竣工写真・竣工届の意味は?
「竣工」がつく言葉は、竣工日以外にも竣工図・竣工写真・竣工届などがあります。建物完成前に行っておくと、入手しやすくなるでしょう。
竣工図とは
「竣工図」とは、工事中に発生した設計変更などを反映し、竣工時の建物を正確に記載した図面のことです。住宅の新築工事などで、契約後に細かな変更が生じることは珍しくありません。その場合、最初の設計図と実際の建物は異なります。
将来のリフォームや売却の際に図面は必要になるので、建築会社に竣工図の作成を依頼してみるとよいでしょう。
竣工写真とは
「竣工写真」とは、竣工したときに撮影する建物の写真のことです。特定の箇所や画角の写真を指すものではなく、外観や内観、設備や内装など、竣工時の写真であればいずれも竣工写真といえます。
竣工のタイミングでしか撮れないため、建築主にとって思い出の写真となるでしょう。また、建築会社にとっては、施工実績として広告やホームページに掲載できる点がメリットです。
手持ちのカメラで撮影しても問題はありませんが、より本格的なものを撮りたい場合はプロのカメラマンに依頼するのも選択肢の一つです。
竣工届とは
「竣工届」とは、道路に影響を及ぼす可能性がある工事を行った際、道路法第24条にもとづいて工事完了後に提出する書面です。道路に影響を及ぼす工事とは、たとえば足場や仮囲いで道路を占用するケースや沿道の掘削などが挙げられます。
また、駐車場の出入り口で歩道や縁石を切り下げる場合や、道路の法面を埋め立てて宅地造成をする場合も竣工届が必要です。
竣工届は道路に手を加える施工会社が行うため、建築主が提出することは基本的にはありません。
まとめ
「竣工」は、建築工事や土木工事が完了することを意味する建築用語です。竣工の明確な定義はないものの、一般的には検査済証の交付年月日を竣工日とみなすケースが多くなっています。
竣工はあくまで建物の完成であり、物件の引き渡しまでには、自社検査や完了検査、竣工検査(内覧会)などが行われます。不動産の購入や契約をする際には、契約から引き渡しまでの流れについて、不動産会社に事前に確認しておきましょう。
この記事のポイント
- 竣工と完成の違いは?
竣工と完成は、どちらも建物の完成を意味するもので、ほぼ同義ですが、完成は竣工以外のタイミングや建物以外にも使うことが可能です。
詳しくは「「竣工」と「完成」「完工」との違いは?」をご覧ください。
- 竣工日とは、いつのこと?
竣工日は、一般的に検査済証の交付年月日とされています。
詳しくは「『竣工日』はいつを指す?」をご覧ください。
- 竣工図とは何?
竣工図とは、工事中に発生した設計変更などを反映し、竣工時の建物を正確に記載した図面のことです。
詳しくは「竣工図とは」をご覧ください。
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