セカンドハウスには、税制上の優遇や生活環境の改善などメリットがある一方で、デメリットもあります。
今回は、セカンドハウスを所有するメリットとデメリットや、ローンを組む際の注意点、手続き上の要件などを解説します。
セカンドハウスの購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
セカンドハウスは自宅とは別に居住目的で所有する家のこと
セカンドハウスとは、自宅以外に所有する第2の住居のことです。通勤時間を節約するために職場近くに所有したり、週末をゆっくり過ごすために郊外に所有したりと、さまざまな目的で建てられています。
別荘と同じようなものと認識している方もいますが、別荘とセカンドハウスは明確な違いがあります。
セカンドハウスは、あくまで「居住」を目的とした不動産です。
そのため、定期的に(毎月1泊以上)利用している状況がなければ、セカンドハウスには該当しません。
別荘の場合、「夏や冬の休暇を利用して1週間だけ滞在する」といった、不定期な使い方が一般的です。
このような使い方は居住目的に合致しないため、別荘はセカンドハウスとはいえません。
セカンドハウスは別荘よりも税制面で優遇される
セカンドハウスは「居住」を目的とする不動産ですが、別荘は保養を目的としています。そのため別荘は、税制上では住宅ではなく贅沢品の一種と評価されます。
しかしセカンドハウスは一般の住宅と同様に評価されるため、税制面で一定の優遇を受けることが可能です。
ここからは、セカンドハウスだけが受けられる税制上の特例と要件について解説します。
セカンドハウスが受けられる税制上の特例
セカンドハウスは税制上「住宅」とみなされます。
そのため、セカンドハウスを取得・所有する場合、一般の住宅と同様に不動産取得税・固定資産税・都市計画税の各税について税制上の特例(軽減措置)が受けられます。
不動産取得税の軽減措置
土地や建物などの不動産を取得したときには、不動産取得税が課税されます。不動産取得税は、土地建物の固定資産税評価額に標準税率4%を乗じて算出するのが原則です。
ただし、令和6年3月31日までに取得したセカンドハウスについては、土地の課税標準額が2分の1に、土地建物に対する税率が3%に軽減されます。
固定資産税の軽減措置
その年の1月1日時点の不動産所有者に対して課税されるのが、固定資産税です。固定資産税の税額は、不動産の評価額(固定資産税評価額)に、原則として以下の税率を乗じて算出します。
固定資産税額=固定資産税評価額×1.4%(標準税率の場合)
軽減措置は多岐にわたりますが、今回は代表例として「住宅用地の特例措置」を紹介します。
住宅用地の特例措置では、土地の評価額に特例率を乗じたものが固定資産税の課税標準額になります。特例率は、以下のように面積によって異なる点に注意してください。
固定資産税の課税標準額 (評価額×特例率) | |
---|---|
200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地) | 評価額×1/6 |
200平方メートル超の部分(一般住宅用地) | 評価額×1/3 |
この軽減措置を適用すると、以下のような計算になります。
敷地面積が100平方メートルの場合(小規模住宅用地)は敷地の課税標準額は6分の1。
敷地面積が300平方メートルの場合(小規模住宅用地と一般住宅用地の組み合わせ)は200平方メートル以下の部分の課税標準額は6分の1、200平方メートルを超える100平方メートルの課税標準額は3分の1。
こうして導いた課税標準額に、税率を乗じて固定資産税額を算出します。
都市計画税の軽減措置
固定資産税に加えて、市街化区域内に家屋や土地を持っている方には都市計画税が課されます。固定資産税と同様に、都市計画税にも軽減措置が適用されます。
都市計画税の軽減措置にも、以下のように小規模住宅用地と一般住宅用地の2つの区分があります。
都市計画税の課税標準額 (評価額×特例率) | |
---|---|
200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地) | 評価額×1/3 |
200平方メートル超の部分(一般住宅用地) | 評価額×2/3 |
セカンドハウスと認定されるための要件
ここまで説明してきた税制上の特例を受けるには、住宅と認定されるための要件をクリアしなければなりません。
セカンドハウスは、「居住」を目的とする住宅です。先述のとおり、年間を通じて毎月1泊以上の利用状況がないかぎり、セカンドハウスとはいえません。
セカンドハウスが居住用の住宅であると正式に認められるには、自治体が指定する認定条件をクリアし、家屋の利用状況に関する書類を提出する必要があります。
なお、不動産取得税の軽減措置を受ける場合は、セカンドハウスの取得後60日以内に「不動産取得税課税標準の特例適用申告書」を、都道府県税事務所に提出してください。
セカンドハウスを所有するメリット・デメリット
税制上の特例以外にも、セカンドハウスにはメリットがあります。またメリットだけでなくデメリットもあるので、あわせて解説します。
セカンドハウスを所有するメリット
セカンドハウスを持つメリットには、次のようなものが挙げられます。
- 通勤・通学時間を短縮できる(平日利用の場合)
- 生活にメリハリが生まれる(休日利用の場合)
- 資産として将来的に活用・相続できる
会社や学校の近くにセカンドハウスがあれば、通勤や通学の時間を大幅に短縮できるというメリットがあります。生活拠点が2ヵ所以上に増えれば、残業で帰宅時間が遅くなってもストレスは軽減されるでしょう。
また、セカンドハウスを持つと仕事以外の息抜きの時間をしっかり確保できるので、生活にメリハリが生まれます。
セカンドハウスに出かける習慣ができれば、日常の景色とは異なる空間で心からリフレッシュできるでしょう。
そしてセカンドハウスは不動産という立派な資産です。会社のオフィスとして活用する、他人に貸して賃料収入を得る、子供に相続させるといった活用法が期待できます。
セカンドハウスを所有するデメリット
セカンドハウスの所有には、以下のようなデメリットもあります。
- 経済的負担が増す
- 不在期間の防犯対策が必要
- セカンドハウス用のローンを組む必要がある
セカンドハウスと自宅、2軒分の維持管理費を要するため、1軒しか家を持たない場合に比べると経済的負担が大きくなります。
また、利用していない時間が多くなるため、何らかの防犯対策が必要です。鍵の厳重化、窓のリフォームやホームセキュリティなど設備の拡充といった空き巣対策を検討しなくてはならないでしょう。
ローンを組む際にも注意が必要です。一般的な住宅ローンは「おもな住居の購入」を対象としているため、セカンドハウスの購入には利用できません。
そのため、セカンドハウスを買うときには、専用のローンを組む必要があります。しかし、このローンは通常の住宅ローンより審査が厳しく、金利も高いというデメリットがあります。
セカンドハウスでローンを組む際の注意点
資金に余裕のある方でないかぎりは、セカンドハウスを一括購入するのは難しいでしょう。そのため、多くの場合はローンを組んで購入すると考えられます。
ここからは、セカンドハウスでローンを組む際の注意点を紹介します。一般的な住宅ローンとは異なる点がいくつかあるので、注意してください。
審査が厳しく金利も高い
セカンドハウスのローンは、一般的な住宅ローンよりも審査基準が厳しく、金利も高い傾向にあります。
契約者は2軒分のローンやコストを抱えることになり、ローンの返済が滞る可能性が高いとみなされるためです。
一般的な住宅ローンの金利が1%程度であるのに対し、セカンドハウスのローンは2~3%以上であることも少なくありません。
セカンドハウスローンは住宅ローン減税制度の対象外
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、「主として居住の用に供する一つの住宅」にのみ適用されます。
つまり、メインの住宅ではないセカンドハウスは適用外となり、減税対象にはなりません。
多額の住宅ローンを組んでも控除が適用されないため、契約者には返済の負担がダイレクトにのしかかります。
セカンドハウスのローンを組む際は、このような費用面の負担を考慮したうえで、慎重に判断することが大事です。
フラット35を利用できるが条件に注意
一般的な住宅ローンとしてよく利用される「フラット35」は、最長35年間にわたって金利を固定できる住宅ローンです。
フラット35は、融資を受けるときに金利と返済額を確定するため、金利変動の影響を受けず、返済計画も立てやすいのが利点です。
このフラット35は、セカンドハウスのローンにも利用でき、一般的な住宅と同内容のローンを組めることもあります。
ただし、返済中は取得した物件を賃貸に出せない・市場金利が下がっても返済額は安くならないなどの制約がある点に注意が必要です。
セカンドハウスの購入時にフラット35を利用する際は、条件をしっかりと確認しましょう。
セカンドハウスは計画性をもって所有しよう
「第2の住居」であるセカンドハウス。要件を満たせば、税制上の特例を受けられるなど多くのメリットがあります。
しかし、今回説明したように、一般的な住宅ローンが利用できなかったり、経済的負担が増えたりするなどのデメリットも決して軽視できません。
セカンドハウスの所有を検討している場合は、メリット・デメリットをよく考え、具体的な返済計画を慎重に立てることをおすすめします。
この記事のポイント
- セカンドハウスと別荘の違いは?
セカンドハウスとは、自宅以外に所有する第2の住居のことで、職場近くや週末を過ごすために郊外に所有するなど、さまざまな目的で建てられています。
別荘の場合、「夏や冬の休暇を利用して1週間だけ滞在する」といった、不定期な使い方が一般的となっています。詳しくは「セカンドハウスは自宅とは別に居住目的で所有する家のこと」をご確認ください。
- セカンドハウスの購入に住宅ローンは使えますか?
セカンドハウスを購入する場合に住宅ローンは使えますが、一般的な住宅ローンとは異なる点がいくつかあります。
- 一般的な住宅ローンよりも審査基準が厳しく、金利も高い傾向
- 住宅ローン減税制度の対象外
- フラット35を利用できるが条件に注意が必要
詳しくは「セカンドハウスでローンを組む際の注意点」をご確認ください。
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