ざっくり要約!
- マンション経営では表面利回り・実利回り・キャッシュフローが重要となる
- マンション経営では手軽さを重視するか、収益性や自由度を重視するかによって、選ぶべきマンションの形が異なる
不動産投資の代名詞ともいえるマンション経営。興味を持っているものの、具体的な仕組みやメリットなどがわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
マンション経営は、高額な資金を投じて始める投資ということもあり、リスクはありますがリターンを大きくしやすい投資です。
本記事では、マンション経営のメリットやリスクなどを解説します。
記事サマリー
マンション経営の仕組み

マンション経営は、マンションを購入したり、新しく建てたりして、入居者から家賃収入を得る投資法です。
マンションを経営するためには管理費用や仲介手数料、修繕費などの経費がかかり、家賃収入等の収入から経費を差し引いた額が収益となります。
また、マンション経営はマンションを担保にアパートローンなど不動産投資用のローンを組める点が特徴です。このため、投資額に対して少ない資金で開始でき、レバレッジを利かせた運用が可能です。
ただし、ローンを組むと毎月返済の必要があり、その費用は家賃収入の中から捻出できなければ、赤字となります。
さらに、家賃収入からローンの利息分や各種経費を差し引いた収益に対しては、所得税や住民税(法人の場合は法人税)が課されます。
特に1棟もののマンション経営は投資額が大きいため収益も大きくなりやすく、収益が大きくなれば納税額も増えてきます。そのため、基本的な税制度を理解したうえで投資を始めることが大切です。
・「アパート経営」に関する記事はこちら
アパート経営とは?他の投資との違いやアパート投資のメリット・リスクなど解説
押さえておくべき指標|表面利回り・実利回り・キャッシュフロー
マンション経営にあたっては、物件の収益性を判断するために以下の指標を理解しておくことが重要です。
- 表面利回り
- 実利回り
- キャッシュフロー
表面利回り
表面利回りは、経費を考慮せずに算出する収益割合です。
物件の価格に対して、家賃収入がどの程度見込めるかを把握する際の目安となります。
表面利回りの計算式は以下のとおりです。
表面利回り=年間家賃収入の総額÷物件価格
一般的には、表面利回りは3%が最低ラインとされ、5%以上を一つの目安とする考え方があります。
実利回り
一方の実利回りは、管理費や修繕費、固定資産税などの諸経費を加味して算出する指標です。
実際の運用に近い形で収益割合を確認できます。
実利回りの計算式は以下のとおりです。
実利回り=(年間家賃収入-諸経費)÷物件価格
マンション経営においては表面利回りだけで判断するのではなく、より現実的な収益性を把握できる実利回りを重視する必要があるでしょう。
キャッシュフロー
もう一つ、重要なのがキャッシュフローです。
キャッシュフローとは、月々の家賃収入からローン返済や維持費などの支出を差し引いた後に、最終的に手元に残るお金を指します。
キャッシュフローを確認することで以下の点を把握できます。
- 維持費やローン返済を含めた資金の流れ
- 毎月プラスで回るのか、マイナスになるのか
マンション経営では、利回りの数値だけでなく、キャッシュフローが安定してプラスになるかもあわせて把握しておくことが大事です。
データで見るマンション経営

マンション経営を検討する際は、物件単体の条件以外にも、市場全体のデータを把握しておくことも重要です。
ここでは、マンション経営における収入水準や利回り相場、エリアごとの家賃相場など、代表的なデータを紹介します。
平均年収
国税庁の「令和5年分申告所得税標本調査」によると、不動産事業によって収入を得ている方の年間手取り額は約547万円とされています。
ただし、この数値にはマンション経営だけでなく、戸建てや駐車場、事業用不動産など、さまざまな不動産を貸しているケースも含まれています。
そのため、マンション経営単体の収入水準を示すものではない点に注意が必要です。
同調査では、不動産所得を得ている方の所得金額別の割合も公表されています。
| 所得 | 割合 |
|---|---|
| ~100万円 | 5.3% |
| 100~200万円 | 18.6% |
| 200~300万円 | 16.9% |
| 300~500万円 | 24.1% |
| 500~1000万円 | 23.4% |
| 1000~2000万円 | 8.8% |
| 2000~5000万円 | 2.5% |
| 5000~1億円 | 0.3% |
| 1億円~ | 0.1% |
この分布を見ると、300~500万円、500~1000万円の層が比較的多いことがわかります。
一方で、300万円以下の所得層も一定数存在しており、本業としてではなく、副収入の一つとしてマンション経営を行っている実態もうかがえます。
利回り相場の目安
次は地域別の利回り相場をみていきましょう。2024年度の区分マンション・一棟マンションの利回りを以下の表にまとめました。
| 地域 | 利回り |
|---|---|
| 全国 | 6.76% |
| 北海道 | 12.10% |
| 東北 | 12.73% |
| 首都圏 | 6.25% |
| 信州・北陸 | 16.39% |
| 東海 | 9.34% |
| 関西 | 6.89% |
| 中国・四国 | 13.02% |
| 九州・沖縄 | 9.32% |
このデータを見ると、首都圏や関西といった都市部では利回りが低めである一方、地方エリアでは二桁台の利回りとなっている地域が多いことがわかります。
一般的に、人口が多く需要の安定したエリアほど物件価格が高くなりやすく、その分、利回りは低くなる傾向があります。
なお、ここで示した利回りは、健美家に登録・掲載された収益物件データを集計したものであり、実際の市場取引をそのまま反映した数値ではありません。
また、いずれも表面利回りで算出されているため、管理費や修繕費、税金などの経費は含まれておらず、実際の収益性はこれより低くなる点にも注意が必要です。
・「不動産投資の利回りの計算方法」に関する記事はこちら
不動産投資の利回りの計算方法は?投資物件の判断ポイントも紹介
都道府県別の家賃相場・入居率
ここでは、地域別の家賃相場と入居率をみていきます。
まずは、全国賃貸管理サービス協会が公表している資料を参考に、主要都道府県の家賃相場をみていきましょう。
| 都道府県 | 賃料相場 |
|---|---|
| 北海道 | 50,675円 |
| 宮城県 | 53,239円 |
| 埼玉県 | 62,510円 |
| 千葉県 | 60,909円 |
| 東京都 | 79,805円 |
| 神奈川県 | 68,482円 |
| 愛知県 | 57,569円 |
| 京都府 | 60,674円 |
| 大阪府 | 64,216円 |
| 兵庫県 | 60,529円 |
| 福岡県 | 60,613円 |
この表から分かるとおり、東京都は他の地域と比べて家賃相場が高く、首都圏全体でも高水準であることがわかります。一方、北海道や愛知県などは比較的家賃が抑えられており、地域によって賃料水準に差があることがわかります。
次に、入居率についてみていきましょう。
入居率は、マンション経営の安定性を判断するうえで欠かせない指標です。
日本賃貸住宅管理協会 日管協総合研究所が公表しているデータは以下のとおりです。
| 地域 | 入居率 |
|---|---|
| 首都圏 | 96.6% |
| 関西圏 | 96.6% |
| その他 | 92.6% |
| 全国 | 95.8% |
このデータを見ると、首都圏・関西圏はいずれも入居率が96%を超えており、賃貸需要が安定していることがわかります。
一方、その他の地域では入居率がやや低下するものの、全国平均でも95%台と、高い水準を維持しています。
一棟マンションと区分マンションの比較

マンション経営には、大きく分けて一棟マンションと区分マンションの二つの形があります。
どちらを選ぶべきかは、それぞれの特徴や違いを把握し、自身の資金状況や運用目的に適した方法を選択する必要があります。
ここでは、両者の違いを比較しながら選び方のポイントをみていきましょう。
一棟と区分の比較表
一棟マンションと区分マンションは、いずれも賃貸収入を得る点では共通していますが、初期投資額や管理の手間、リスクの取り方、経営の自由度などに大きな違いがあります。
以下で代表的な項目について〇・△形式でまとめました。
| 比較項目 | 一棟マンション | 区分マンション |
|---|---|---|
| 収入 | 〇(高め) | △(低め) |
| 始めやすさ | △(低い) | 〇(高い) |
| 投資効率 | 〇(高い) | △(低め) |
| 管理の手間 | △(多い) | 〇(少ない) |
| 経営の自由度 | 〇(高い) | △(低め) |
| 流動性 | △(低い) | 〇(高い) |
| 出口戦略の立てやすさ | △(難しい) | 〇(立てやすい) |
一棟マンションは複数戸から家賃収入を得られるため、収入規模が大きくなりやすく、投資効率や経営の自由度が高い点が特徴です。
一方で、初期投資額が大きく、管理の手間や売却時のハードルが高くなりやすい傾向にあります。
区分マンションは少額から始めやすく、管理の手間も比較的少ないため、初めてマンション経営に取り組む方でも検討しやすい点がメリットです。
ただし、収入は一戸分に限られるため、収益性や経営の自由度に限りがあります。
どちらを選ぶかの判断基準
一棟マンションと区分マンションは、投資経験や資金力、運用にかけられる手間によって向き・不向きが分かれます。
以下を目安に自身に合った形を検討するとよいでしょう。
| 区分マンションが向いている人 | 一棟マンションが向いている人 |
|---|---|
|
|
このように、手軽さを重視するか、収益性や自由度を重視するかによって、選ぶべきマンションの形は異なります。目的に応じた選択が、安定したマンション経営につながるでしょう。
マンション経営の始め方

区分所有でマンション経営を始める場合、おおまかな流れは次のとおりです。
全体像を把握しておくことで、各ステップで何を準備すべきかがわかりやすくなります。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 物件選び | 不動産会社に相談し、条件に合う物件を探す。 |
| ② 売買契約 | 購入申込書を提出し、売主と売買契約を締結する。 |
| ③ ローン契約 | 金融機関と投資用ローンの契約を結ぶ。年収や資産状況、物件の収益性が審査される |
| ④ 決済・登記 | 代金を支払い、所有権移転登記を行う。 |
| ⑤ 入居者募集 | 管理会社などを通じて入居者の募集を開始 |
| ⑥ 賃貸借契約 | 入居者が決まれば賃貸借契約を締結し、物件を引き渡して運用を開始 |
実際には、売買契約から引き渡しまで、数カ月かけて複数の工程を進めながら物件を取得することになります。
やることが多く、不安に感じる場面もありますが、各ステップで仲介する不動産会社や金融機関がサポートしてくれます。
・「不動産投資の始め方」に関する記事はこちら
不動産投資の始め方を解説!具体的な流れや押さえておくべきポイントを紹介
マンション経営の3つのメリット

マンション経営のメリットは、以下の3つが挙げられます。
- 手間が少ない
- 長期的に収入を得やすい
- 節税効果が高い
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
手間が少ない
マンション経営には、入居者募集や管理、家賃徴収、クレーム対応などさまざまな業務があります。
しかし、管理費用や仲介手数料を支払う必要があるものの、これらの業務は不動産会社に委託することが可能で、多くのオーナーが賃貸管理業務を委託しています。
そのため、業務を委託してしまえば、ほとんど手間なく収入を得られます。
業務を委託する不動産会社によって集客力や管理力が大きく変わるため、マンション経営では不動産会社の選定も非常に重要なポイントです。
長期的に賃貸収入を得やすい
マンション経営は長期的に収入を得やすいのが利点です。
マンションは基本的に鉄骨造や鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造の堅固な構造で建てられており、数十年に渡って運用できるからです。
もちろん、築年数が古くなるほどメンテナンスが必要になりやすいといった問題点には注意しなければなりません。
節税効果が高い
マンション経営には、高い節税効果があります。所得税の節税効果もある程度期待できますが、特に高い効果を期待しやすいのが相続税の節税効果です。
まず、不動産は相続税評価額の計算上、地域によりますが都市部では、時価の6~8割程度を目安に評価されるため、現金などの金融資産で持っているより不動産で持っている方が相続税の節税につながりやすいです。
マンション経営によって賃貸住宅として建物を第三者に貸し出すことで、貸している分、課税額を軽減できます。
さらに、一定の条件を満たすことで土地面積200㎡までの相続税評価額を50%で計算できる、小規模宅地等の特例といった制度も用意されています。
また、家賃収入は不動産所得として計上する必要がありますが、マンションを取得するのに要した費用は経費となり、建物や設備については耐用年数などに応じた減価償却が適用されます。
マンション経営を始めるのであれば、マンション取得前から可能な範囲で減価償却費の額や毎年の納税額などをしっかり計算しておくと良いでしょう。
マンション経営の3つのデメリット

次に、マンション経営のデメリットを見てみましょう。具体的には以下の3つが挙げられます。
- 初期投資額が大きい
- 利益には累進課税で税金が課される
- 管理費用がかかる
初期投資額が大きい
マンション経営を始めるには、ローンを利用するとしても自己資金として数千万円程度から、場合によっては億を超える資金が必要になります。
ローンを利用した場合、万が一経営がうまくいかなかった際には大きな借金が残るリスクがある点には注意が必要です。
ただし、初期投資額が大きい分、リターンを大きくしやすい点はメリットと言えます。
利益には累進課税で税金が課される
マンション経営で得られた利益は不動産所得として計上し、所得に応じて所得税や住民税を納める必要があります。
所得税は所得が高くなるほど税率が高くなる累進課税制度のため、個人経営の場合、所得が4,000万円を超えると最大で55%(住民税10%を含む)もの税率が課されてしまう点に注意が必要です。
法人化すれば法人税での納税となるため、一定以上の所得が見込めるようであれば、法人化してしまうのも一つの方法です。
法人化することで、家族に法人から給料を支払ったり、会社ごと子どもに相続させたりすることも可能になり、さまざまな節税策を考えられます。
管理費用がかかる
マンション経営は不動産会社に賃貸管理を任せることが可能ですが、この場合、管理費用を支払う必要があります。
また、入居者が退去した場合には室内修繕やクリーニング費用が発生したり、再募集する際には不動産会社に対して仲介手数料を支払ったりしなければなりません。
マンション経営を始めるのであれば、家賃収入の額だけでなく、経費がどの程度かかるのか細かくシミュレーションしておくことが大切です。
| ・「マンションの維持費」に関する記事はこちら マンションの維持費は高い?一戸建てとの違いやシミュレーションを紹介 |
マンション経営のリスク

マンション経営にはさまざまなリスクがあります。ここでは、以下のリスクの内容と対策をお伝えします。
- 空室リスク
- 家賃下落リスク
- 事故、災害リスク
空室リスク
マンション経営の主な収益源は入居者からの家賃です。そのため、空室が生じると収入を得ることができなくなります。
その意味ではマンション経営で最も意識しておくべきりすくは空室リスクです。いったん入居者が入ったとしても、ずっと住み続けるとは限りません。
退去した後はまた再募集する必要があり、入居者がいつ退去するかは入居者から意思表示があるまでわからないので、マンション経営は常に空室のリスクがあります。
マンション経営で空室リスクを軽減するための方法は、より多くの戸数を持つことで1戸あたりの空室による影響を少なくすることが考えられます。
また、建物修繕や設備の更新等で貸室の居住性を維持し、賃貸募集時の家賃設定や賃貸条件などを相場と比べて無理のないものとして、できるだけ入居者を確保する努力をしなければなりません。
家賃下落リスク
マンションの家賃は近隣にあるマンションと競合しながら相場が形成されます。例えば、近隣に新しいマンションができた場合には、そちらに人気が集まり、もともとあったマンションの人気が落ちることがあります。
また、築年数が古くなると、デザインが時代遅れになったり、設備が老朽化したりして家賃下落の要因となります。
マンション経営の計画を立てるときは、新築時や購入時の家賃が継続するものと考えるのではなく、築年数に応じて少しずつ家賃が下がることを想定したほうが良いでしょう。
なお、少しでも家賃の下落を抑えるには、定期的な修繕や、時代にあった設備への取り換えが求められます。
ただし、必ずしもかけた費用分の効果が得られるわけではないため、費用対効果を意識した施策を検討していくことが大切です。
| ・「アパート経営」に関する記事はこちら アパート経営とは?他の投資との違いやアパート投資のメリット・リスクなど解説 |
事故・災害リスク
所有しているマンションの中で事故が起きたり、台風や火災などの災害に遭ったりする可能性があります。確率としてはそこまで高いものではありませんが、ゼロにすることはできません。
事故や災害への対策としては、保険に加入するほか、異なるエリアにマンションを持つことでリスク分散するといったことが考えられます。
その他のリスク
マンション経営では、上記のリスクの他、滞納リスクや金利上昇リスクといったものもあります。
滞納リスクは、空室リスクよりも発生率は低いものの、入居が入っているにもかかわらず滞納され、家賃が入ってこないという点で厄介なリスクです。入居時に保証会社を利用することで一定期間はリスク回避できますが、その保証期間を過ぎる前に退去してもらわないと法的措置が必要になることが多く、その費用は馬鹿になりません。
また、ローンを利用してマンション経営を始めた場合は、ローンの金利上昇のリスクがあります。投資用ローンでは固定金利の商品が少なく、変動金利では金利変動のリスクが伴います。
対策としては借り過ぎないことに加え、資金に余裕があるときに繰上げ返済することになります。
マンション経営の収入と支出

マンション経営を検討するうえでは、どのような収入が得られるのかだけでなく、どのような支出が発生するのかをあわせて把握しておくことが重要です。
ここでは、マンション経営における主な収入と支出について解説します。
主な収入
マンション経営で得られる主な収入は、毎月継続して入るものと、入居時や更新時に発生するものに分けられます。
まずは、日常的な収入項目をみていきましょう。
| 収入項目 | 内容 |
|---|---|
| 家賃 | 入居者から毎月支払われる賃貸収入 |
| 共益費 | 共用部分の維持管理を目的として入居者が負担する費用 |
| 駐車場代 | 敷地内や付帯駐車場を貸している場合に発生する収入 |
| 自動販売機や看板 | 敷地内に自動販売機や広告看板を設置している場合に得られる収入 |
これらは、入居者がいる限り継続して得られる収入であり、マンション経営の基盤となります。
また、上記とは別に入居時や更新時に発生する一時的な収入もあります。
- 入居時の礼金
- 契約更新時の更新料
これらは毎月入る収入ではありませんが、長期的に見ると収支に影響を与える要素です。
マンション経営では、月々の家賃収入だけでなく、こうした一時金も含めて収入全体を把握することが大切です。
主な支出
マンション経営では収入が得られる一方で、さまざまな支出も発生します。支出は大きく初期費用と維持費用に分けられます。なお、区分マンションは一棟マンションと比べて、これらの費用を抑えやすい点が特徴です。
初期費用について以下の表にまとめました。
| 支出項目 | 内容 |
|---|---|
| 物件取得費用 | マンション本体の購入代金 |
| 頭金 | ローン利用時に自己資金として支払う金額 |
| ローン諸費用 | 事務手数料や保証料など |
| 不動産取得税 | 物件取得時に一度だけ課される税金 |
| 登記費用 | 所有権移転登記にかかる費用 |
| 印紙税 | 売買契約書や金銭消費貸借契約書に必要 |
| 保険料 | 火災保険や地震保険など |
初期費用は物件価格のおおよそ10~15%前後が目安といわれており、頭金や各種税金、ローン諸費用などを含めて、あらかじめ資金を準備しておく必要があります。
維持費用についてもみていきましょう。主な支出項目は以下のとおりです。
| 支出項目 | 内容 |
|---|---|
| ローン返済 | 毎月の元金と利息の支払い |
| 管理手数料 | 管理会社へ支払う委託費用 |
| 修繕費 | 設備の故障対応や原状回復費用 |
| 修繕積立金 | 将来の大規模修繕に備える積立金(区分の場合) |
| 管理費 | 共用部分の維持管理にかかる費用(区分の場合) |
| 固定資産税 | 不動産を所有している人に課せられる税金 |
| 都市計画税 | 市街化区域内の物件に課される税金 |
| 所得税・住民税 | 収入に応じて発生する税金 |
維持費用は毎月または毎年発生するため、家賃収入から差し引いた後にどれだけ手元に残るかを意識することが重要です。
マンション経営では、初期費用と維持費用の両方を把握したうえで、無理のない資金計画を立てることが、安定した運用につながります。
マンション経営の収入の目安|具体的シミュレーション

ここでは、区分マンションと一棟マンションに分けて、マンション経営による収入の目安をシミュレーションします。
マンション経営の収支は、立地や築年数、家賃水準や融資条件などによって大きく左右されます。そのため、ここで示す数値はあくまで一つのモデルケースとして捉えてください。
区分マンションの例
ここでは、区分マンションを1室保有した場合の「最終手残り金額」と「表面利回り」「実利回り」をシミュレーションします。
前提条件は以下のとおりです。
- 物件価格:2,800万円
- 自己資金:280万円
- 借入額:2,520万円
- ローン返済額:8万5,000円(年間102万円)
- 家賃:9万5,000円
- 満室想定家賃:114万円
- 入居率:95%
- 年間経費:37万円
【最終手残り金額】
最終手取り金額は以下の計算式で求めます。
収入-経費-ローン返済
収入は以下のとおりです。
114万円(満室想定家賃)×95%(入居率)=108万3,000円
ここから年間経費とローン返済額を差し引きます。
108万3,000円-37万円(年間経費)-102万円(ローン返済)=▲30万7,000円
この条件では、年間で約30万円の持ち出しが発生する結果となりました。
【表面利回り】
表面利回りの計算式は以下のとおりです。
年間家賃収入の総額÷物件価格
114万円(満室想定家賃)÷2,800万円(物件価格)=約4%
【実利回り】
実利回りの計算式は以下のとおりです。
(年間家賃収入-諸経費)÷物件価格
実際にあてはめていきます。
(108万3,000円(総収入)-37万円(年間経費))÷2,800万円=約2.5%
この例では、表面利回りだけを見ると収益性があるように見えますが、経費やローン返済を考慮すると、実際のキャッシュフローはマイナスとなっています。
マンション経営では、利回りを確保する物件選びや、自己資金を厚くして返済負担を抑えるなど、キャッシュフローを意識した運用が求められます。
一棟マンションの例
ここでは、一棟マンションを保有した場合の「最終手残り金額」と「表面利回り」「実利回り」をシミュレーションします。
前提条件は以下のとおりです。
- 物件価格:1億2000万円
- 戸数:10戸
- 自己資金:3000万円
- 借入額:9000万円
- ローン返済額:月30万円(年間360万円)
- 平均家賃:8万円
- 満室想定家賃:960万円
- 入居率:90%
- 年間運営費:300万円
【最終手残り金額】
まず収入はからみていきましょう。
960万円(満室想定家賃)×90%(入居率)=864万円
ここから運営費とローン返済額を差し引きます。
864万円-300万円(運営費)-360万円(ローン返済)=204万円
この条件では、年間で約200万円の手残りが見込める結果となりました。
【表面利回り】
表面利回りの計算式は以下のとおりです。
年間家賃収入の総額÷物件価格
960万円(満室想定家賃)÷1億2000万円(物件価格)=8%
【実利回り】
実利回りの計算式は以下のとおりです。
(収入-運営費)÷物件価格
(864万円(収入)-300万円(運営費))÷1億2000万円=約4.7%
この例では、区分マンションと比べて初期投資額や管理負担は大きいものの、戸数が多い分、空室リスクが分散され、ローン返済後も一定の手残りを確保できています。
マンション経営の収支アップのコツ

マンション経営で収支をアップさせるには、収入をアップさせるか、支出を抑える必要があります。以下、収支アップのコツについて紹介しましょう。
築年数の浅い物件を選ぶ
中古の一棟マンションを購入してマンション経営を始める場合、築年数の浅い物件を選ぶのが収支をよくする方法のひとつです。
築年の浅い物件は、もちろん物件にもよりますが、家賃を比較的高い状態で貸すことができ、建物の修繕費もあまりかからないため、収支が良くなる傾向があります。
立地の良い物件を選ぶ
これから土地も含めて購入してマンション経営を始める場合、立地の良い物件は、家賃が比較的高く、また入居率も高い水準で維持できる可能性も高く、さらに家賃が下がりにくい傾向もあるため、収入が比較的安定します。
立地が良ければ、経済事情に合わせて家賃を上げることも可能で、さらに支出を抑えることができれば、収支アップが期待できます。
できるだけ借入金を少なくする
購入時にローンを利用する場合は、借入額を少なくすることで、キャッシュフロー上の支出は減らすことができます。
管理会社選びにこだわる
空室が増えると、家賃収入が減ってしまいます。つまりできるだけ空室を出さないことが家賃収入を安定させ、収支をよくするためには欠かせません。
そのためには、管理を委託する場合は、賃貸管理を任せる管理会社選びが重要になります。
管理会社が、賃貸募集に強い、退去時の修繕などの費用が安い、建物をしっかり管理しているなどの点で優れていれば、より収支が安定します。
さらに、良い管理ができていれば、入居者の納得を得て家賃アップという選択肢も出てきます。
既存の入居者と家賃交渉する
経済情勢にもよりますが、入居者の入りやすい物件であれば、既存の入居者に対して家賃交渉を行って、家賃をアップさせることもできます。
特に中古で物件を購入する場合、立地の良い物件や管理の良い物件で、既存の入居者の家賃が相場より低い場合は家賃アップの可能性が高くなります。
家賃が上がれば、当然ながら収支もアップします。
リフォームして家賃アップする
同じ物件でも家賃は貸室の状態によっても変わるため、古い間取りや設備を更新することで家賃をアップさせることも可能です。
例えば、3点ユニット(バス、洗面、トイレが一体となったユニットバス)をリフォームして設備を新しくするのと同時にバス、トイレを別にするといったことで家賃をアップしても入居者が期待できる貸室にすることができます。
ただし、リフォーム費用と家賃アップ可能な金額は比例するものではないので、コストバランスは意識してリフォームする必要があります。
マンション経営の物件選びのチェックリスト

マンション経営では、どの物件を選ぶかによって運用結果が大きく変わります。購入後に工夫できる部分もありますが、立地や物件そのものの条件は後から変えられません。
そのため、物件選びの段階で慎重にチェックすることが、その後の収益性や安定性に大きく影響します。
物件選びの際に確認しておきたいポイントは次の3つです。
- 立地・周辺環境
- 物件の条件
- 想定家賃や利回り
まず、立地は入居需要に直結する大事な要素です。
最寄り駅からの距離や交通アクセス、日常生活に必要な施設が周辺にそろっているか、賃貸需要が安定しているエリアかを確認しましょう。
次に、物件の条件です。築年数や構造、間取りが賃貸ニーズに合っているか、管理状況や修繕履歴に問題がないかのチェックも大切です。
最後に、収益性の確認です。想定家賃が周辺相場と比べて現実的か、表面利回りだけでなく実利回りやキャッシュフローまで考慮できているかを確認しましょう。
・「駅近物件」に関する記事はこちら
駅近物件のメリット・デメリット! 物件選びのポイントとは?
・「最寄り駅から徒歩10分の物件」に関する記事はこちら
徒歩10分の距離は近い?自転車ならどのくらい?物件選びのポイントを解説
マンション経営における失敗事例・儲からない理由

マンション経営を検討するうえで、成功事例だけでなく、失敗事例を事前に知っておくことも重要です。よくある失敗パターンを理解しておけば、同じ判断ミスを避けやすくなります。
ここでは、マンション経営で起こりやすい失敗事例や、収益が出にくくなる代表的な理由について紹介します。
募集方法に問題があり空室が埋まらない
マンション経営では、物件そのものに問題がなくても、募集方法に課題があることで空室が長期化するケースがあります。
物件の魅力が十分に伝わらない募集内容になっている場合や、写真・情報量が不足している場合、入居希望者の候補から外れてしまいがちです。
募集方法は管理会社ごとに異なり、広告費をほとんど使わず、自社サイトへの掲載のみで対応している会社も少なくありません。空室が続けば家賃収入を得られず、収支が悪化する原因となります。
こうしたリスクを避けるためにも、どのような媒体で、どの程度の募集活動を行っているのかをあらかじめ確認することが重要です。
マンション経営では、物件選びだけでなく、管理会社選びも安定した運用を左右するポイントとなります。
・「空室対策のアイデア」に関する記事はこちら
空室対策のアイデア6選! マンション・アパートの大家ができることとは?
・「賃貸管理会社」に関する記事はこちら
賃貸管理会社とは? 頼れる委託先の選び方を紹介
借入しすぎた
マンション経営でよくある失敗の一つに、借入額が過大になってしまうケースが挙げられます。ローンを借りすぎた結果、家賃収入はあっても、その多くが返済に充てられ、手元にほとんど資金が残らない状況に陥ります。
キャッシュフローを甘く見積もり、許容範囲を超えたローンを組んでしまうと、空室や修繕が起きた際に返済が追いつかず、マンション経営そのものが困難になることも珍しくありません。
こうした事態を防ぐためにも事前に入念な資金計画を立て、返済に余裕を持たせた借入額に抑えることが重要です。
周辺環境が変わった
マンション経営では、周辺環境の変化によって賃貸需要が低下するケースも少なくありません。
購入当初は安定して入居者が確保できていても、環境が変わることで人が集まりにくくなり、空室が増える可能性があります。入居者が減少すれば、家賃収入を得られず、収支の悪化につながります。
主な周辺環境の変化は次のとおりです。
- 最寄り駅の路線の縮小
- 大型商業施設や企業の撤退
- 大学や工場の移転、閉鎖
こうした変化は個人でコントロールできないため、需要の変動を想定した資金計画や、柔軟に対応できる物件選びをしておくことが大切です。
まとめ
マンション経営について、仕組みやメリット・デメリット、リスクについてお伝えしました。マンション経営にはさまざまなリスクがありますが、うまく運用すれば大きなリターンを得ることも可能です。
これからマンション経営に取り組む方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。
この記事のポイント
- マンション経営の平均年収はどのくらいですか?
国税庁の「令和5年分申告所得税標本調査」によると、不動産事業によって収入を得ている方の年間手取り額は約547万円とされています。
ただし、この数値にはマンション経営だけでなく、戸建てや駐車場、事業用不動産など、さまざまな不動産を貸しているケースも含まれています。詳しくは「データで見るマンション経営」をご覧ください。
- マンション経営で後悔するのはどんなケース?
マンション経営には、空室リスク、家賃下落リスク、事故や災害リスクなどが生じます。それぞれのリスクを抑えるために適切な対策をし、後悔しないようにしましょう。
詳しくは「マンション経営のリスク」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
マンション経営を検討する際は、表面利回りの数字だけで判断せず、ローン返済や経費を差し引いた後に、実際に手元にいくら残るのかを確認しましょう。
なかには見せかけの利回りだけを強調して提案してくる不動産会社も存在します。まずは今回解説した数字の意味を正しく理解することです。そのうえで、収支やリスクについて丁寧に説明してくれる、信頼できる不動産会社を選びましょう。

はじめてのマンション投資に、納得できるスタートを。
マンション投資のメリットやリスク、運用までの流れなど、物件を探しはじめる前に知っておきたいことを、ポイントごとにわかりやすくご紹介
はじめての不動産投資:初心者ガイド

