ざっくり要約!
- コンセントの増設は、電気工事士の有資格者でなければ施工できない
- コンセントの増設は、既存の電気配線から分岐することもできるが、電力オーバーでブレーカーが落ちる可能性もある
キッチンやリビングのように、電化製品を多く使う場所で「コンセントが足りない」と感じることはありませんか?
コンセントは増設することも可能ですが、増設方法によってはブレーカーが落ちてしまい、かえって使いにくくなることも。この記事では、コンセントの増設方法や費用など、コンセント増設にまつわる疑問について解説します。
記事サマリー
1つのコンセントや回路で使える電力には上限がある
一般的な家庭用コンセントに流せる電流は、15A(アンペア)が上限です。家庭用の電圧は基本的に100V(ボルト)で引き込まれているので、1つのコンセントで使える電力の上限は1500W(ワット)となります。
また、1つのブレーカーに流せる電流は、一般的に20Aが上限となっており、1つの回路で使える電力は、100V回路の場合で合計2000Wまでとなります。
コンセントを増設する方法は4つ
コンセントを増設する方法は4つありますが、分電盤からの配線ルートや電化製品の使用状況によっては、希望する方法で増設できない場合もあります。
コンセントの差し込み口を増やす
家庭用コンセントの差し込み口は、2口が一般的です。足りない場合は、タコ足配線で差し込み口を増やしているご家庭も多いのではないでしょうか。
コンセントの差し込み口を増やす工事は、配線をつなぎ替えるだけなので比較的容易にできます。ただし、使用電力が増える訳ではないので、消費電力の大きな電化製品を一度に使用することは避けましょう。
既存の電気配線から分岐する
コンセントを増設したい場所の近くに電気配線があれば、配線を分岐(渡り配線)することができます。配線する長さが短くて済むので、工事費用を抑えられる方法です。
ただし、この方法も配線を「分岐」するだけであり、使用電力が増える訳ではありません。電力消費が集中すれば、ブレーカーが落ちる可能性もあります。あらかじめ現場調査を行い、使用頻度の低い回路から分岐すると安心です。
分電盤から新たな配線を引く
消費電力の大きい電化製品を安心して使うためには、分電盤から新たな配線を引く方法がおすすめです。
分電盤に予備のブレーカーがある場合は、そこから電気配線を新たに引くことができます。予備のブレーカーがない場合は、分電盤の交換を検討しましょう。
電圧を変更する方法も
家庭用の電圧は基本的に100Vですが、IHクッキングヒーターや一部のエアコンは、200Vの電源が必要です。
200Vのコンセントを増設するためには、電柱から住宅内へ200Vの電圧を引き込み、分電盤から新たな配線を行う必要があります。
コンセントの増設はDIYできる?
電気配線工事を行うには、電気工事士の資格が必要です。よって、コンセントの増設はDIYすることはできません。これは、電気工事士法という法律に基づいています。
第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者(以下「第二種電気工事士」という。)でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業(一般用電気工作物等の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものを除く。)に従事してはならない。
また、コンセントの増設は簡単な作業に見えるかもしれませんが、感電の危険性、火災や漏電など、多くのリスクがある工事です。無資格でコンセントの増設は行わないようにしましょう。
コンセントの増設にかかる費用
コンセントの増設にかかる費用は、増設方法や配線する距離など、現場状況によって大きく変わります。
また、現場調査した上で分電盤の交換や、渡り配線ではなく新たに配線を引くことを勧められる可能性もあり得ます。費用の目安は以下の通りです。
工事内容 | 費用の目安 |
---|---|
コンセントの差し込み口を増やす工事 | 5,000~10,000円 |
コンセントの増設(既存配線からの分岐) | 10,000~15,000円 |
コンセントの増設(分電盤から新たに配線) | 15,000~20,000円 |
配線の距離に応じて費用が上がる
コンセントの増設方法によって、電気配線の長さも変わります。既存の電気配線から分岐する場合の費用は安く、分電盤から新たに配線する場合は費用が高くなる傾向にあります。
配線の距離が長いと、ケーブルの長さが必要になるだけではありません。天井裏への配線や内装工事が伴うなど、作業工程が増えることによって費用が上がるケースもあります。
配線は壁の中か露出型かでも費用が変わる
電気配線の方法には、壁の中に配線する「隠ぺい配線」と、壁面に沿うように配線する「露出配線」があります。
隠ぺい配線は、配線が表に見えないことがメリットです。しかし、内装工事を伴うことが多く、費用が高くなる傾向にあります。
露出配線は、内装工事がほとんど必要なく費用は抑えられますが、配線が室内に目立ってしまうことが難点です。
費用は増設する電圧にもよる
家庭用の電圧は100Vであるため、200Vの電圧が引き込まれているかはご家庭によって状況が異なります。
新規で200Vのコンセントを設置する場合は、電柱からの引き込み、分電盤の交換などの別途費用が必要になるため、高額になることも少なくありません。
屋外の増設は割高なことも
屋外コンセントを増設したい場所の近くに、室内側のコンセントがある場合は、分岐による配線が可能です。配線ルートの確保さえできれば、比較的容易に施工できます。
分電盤から新たに配線を引く場合は、配線ルートや作業工程によって、費用が高額になることもあります。また、配線が露出することも多いので、配線ルートは事前に確認できると安心です。
コンセントの増設はどこに頼む?
コンセントの増設工事は、リフォーム業者や電気工事店など、電気工事士の有資格者がいる所へ依頼しましょう。
リフォーム業者
リフォーム業者は、住まいの困り事全般を相談できます。コンセントの増設工事だけでなく、水まわりやエクステリアなど、電気以外の工事もまとめて依頼できることが特徴です。
電気工事店
電気工事店とは、いわゆる町の電気屋さんです。コンセントの増設を始め、家電購入の相談、電気の不具合を見てもらうなど、電気のことなら何でも相談できます。地域密着型で、いつも同じ人が対応してくれる安心感もメリットです。
家電量販店
家電量販店では、家電購入に伴うコンセントの増設工事を請け負います。家電購入時に工事のスケジュールを組めたり、ある程度の費用の予測がついたり、スムーズに段取りできることが特徴です。
【空間別】コンセントの設置数の目安
コンセントの数は「2畳につき1つ」が目安とされています。6畳のお部屋であれば3つが一般的です。ただし、レイアウトやライフスタイルによって適切なコンセントの数は異なります。近年は、あらゆる電子機器の充電が必要になったり、生活に不可欠なデバイスが増えたりしていることから、目安以上のコンセントが必要になることも少なくありません。
リビング
「2畳につき1つ」とすれば、10畳のリビングであればコンセントは5つ、12畳であれば6つが一般的となりますが、実際にはリビングの形状などにもよるところです。L字型など、壁が多いリビングは、長方形や正方形のリビングより多くのコンセントが必要になるでしょう。いずれにしても、リビングはテレビやゲーム機器、掃除機やアイロンなど、さまざまな電化製品を使う場所のため、コンセントが多めにあると便利です。
キッチン・ダイニング
近年は、キッチン家電も充実しています。炊飯器や冷蔵庫、電子レンジはもちろん、ミキサーや電気フライヤー、電気圧力鍋、ホームベーカリーなどを置いているお宅も多いのではないでしょうか。
キッチンに最低限、必要なコンセントは4つほどですが、6つや8つあると便利です。ただし、キッチン家電は総じて消費電力が大きいため、コンセントを増やしたとしても同時にたくさんの家電を利用することは避けたほうが良いでしょう。また、数を増やすだけでなく、使いやすい場所に増設することも求められます。
ダイニングは、コンセントの「数」とともに「場所」も重視したいところです。ダイニングテーブルで鍋や鉄板料理などをする場合、卓上やダイニングテーブルの足元にコンセントがあると非常に便利です。
洗面室
洗面室は2畳程度ですが、洗濯機やドライヤー、ヘアアイロンなど電化製品を使うケースが多いことからコンセントは2箇所以上あるのが一般的です。洗面室で扇風機や暖房機器、スチームアイロンなどを利用する場合は、コンセントが足りないということも少なくありません。
玄関
玄関にコンセントがないというお住まいも一定数あります。しかし、お子さんがいる家庭では、玄関で電動自転車のバッテリーを充電することも少なくありません。また、照明を置いたり、玄関周りを掃除したりすることも想定されるため、2口コンセントが1つあると重宝します。
廊下
廊下のコンセントは、掃除機をかける際に必要となります。お掃除ロボットを利用していて、廊下で充電する場合は、低い場所にコンセントがあると便利です。また、廊下には、夜間に自動点灯するライトと一体となったコンセントもおすすめです。
コンセントの増設は、費用より安全性を重視
コンセントの増設は、差し込み口を増やす方法や既存の電気配線から分岐する方法が費用を抑えられます。
ただし、1つのコンセント及び回路で使用できる電力には上限があり、電化製品の使用が集中すると、ブレーカーが落ちてしまうことも少なくありません。
そのようなトラブルを避けるためには、1つの回路で共有しているコンセントの使用状況や電化製品の消費電力の確認を。状況によっては、分電盤から新たに配線を引くことも検討しましょう。
この記事のポイント
- コンセントを増設するにはどんな方法がある?
差し込み口を増やす方法、既存の電気配線から分岐する方法、新たに分電盤から配線を引く方法があります。
詳しくは「コンセントを増設する方法は4つ」をご覧ください。
- コンセントの増設はDIYできる?
コンセントの増設だけでなく、電気工事を行うには電気工事士の資格が必要です。
詳しくは「コンセントの増設はDIYできる?」をご覧ください。
- コンセントの増設は、どこに頼めばいい?
コンセントの増設工事は、リフォーム業者や電気工事店などに依頼することができます。
詳しくは「コンセントの増設はどこに頼む?」をご覧ください。
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